事件番号令和5(受)606
事件名事務管理費用償還等請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和7年7月14日
裁判種別判決
結果破棄差戻
原審裁判所名古屋高等裁判所 金沢支部
原審事件番号令和3(ネ)109
原審裁判年月日令和4年12月7日
事案の概要1 原審の確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
⑴ 被上告人らは、市町村又は一般廃棄物の処理に関する事務を共同処理するために市町村によって設置された一部事務組合(以下、併せて「市町村等」という。)であり、その区域(一部事務組合についてはこれを組織する市町村の区域。以下同じ。)内で生じた一般廃棄物について、廃棄物処理業者であるキンキクリーンセンター株式会社に委託して、上告人の区域内に存する廃棄物最終処分場(以下「本件最終処分場」という。)において処分していた。
⑵ キンキクリーンセンターは、平成8年5月以降、本件最終処分場において、平成4年5月の福井県知事への届出に係る埋立容量を大幅に超える量の廃棄物を埋め立てたが、平成12年8月、福井県の行政指導を受け、本件最終処分場への廃棄物の搬入を停止した。
⑶ 福井県及び上告人によって設置された敦賀市民間最終処分場環境保全対策協議会は、平成18年2月、本件最終処分場において、埋立地からの浸出液が混入した地下水が処理されないまま周辺の河川に流出しており、本件最終処分場から流出する地下水に複数の有害物質が基準値を超えて含まれ、上記河川の下流域の農作物や井戸水等に影響を生ずるおそれがある旨を報告した。
⑷ 上告人の市長は、平成18年5月、本件最終処分場において廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)6条の2第2項に規定する一般廃棄物処理基準に適合しない処分が行われたことにより、生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがあり、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置(以下「支障の除去等の措置」という。)を講ずべきであるとして、法(平成18年法律第5号による改正前のもの)19条の4第1項に基づき、キンキクリーンセンターに対し、本件最終処分場から外部への漏水防止対策、埋立地からの浸出液の浄化対策等を講ずべきことを命じた。上告人は、同年7月以降、上告人の市長による上記の命令に係る法19条の7第1項に基づく措置として、福井県と共に諸施設の設置工事等を実施した。
2 本件は、上告人が、上記工事等の実施により被上告人らの事務の管理をしたなどと主張して、被上告人らに対し、事務管理に基づく費用償還請求等として、上記工事等の費用の一部に相当する金員の支払を求める事案である。本件では、被上告人らが支障の除去等の措置を講ずる法的義務を負い上告人が民法697条1項所定の他人の事務の管理をしたといえるかが争われている。
判示事項市町村Aから一般廃棄物の処分の委託を受けた者が市町村Bの区域内で行った一般廃棄物の処分に起因して生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがある場合に、市町村Bがその支障の除去等の措置を講じたときは、市町村Aとの関係において事務管理が成立し得る
事件番号令和5(受)606
事件名事務管理費用償還等請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和7年7月14日
裁判種別判決
結果破棄差戻
原審裁判所名古屋高等裁判所 金沢支部
原審事件番号令和3(ネ)109
原審裁判年月日令和4年12月7日
事案の概要
1 原審の確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
⑴ 被上告人らは、市町村又は一般廃棄物の処理に関する事務を共同処理するために市町村によって設置された一部事務組合(以下、併せて「市町村等」という。)であり、その区域(一部事務組合についてはこれを組織する市町村の区域。以下同じ。)内で生じた一般廃棄物について、廃棄物処理業者であるキンキクリーンセンター株式会社に委託して、上告人の区域内に存する廃棄物最終処分場(以下「本件最終処分場」という。)において処分していた。
⑵ キンキクリーンセンターは、平成8年5月以降、本件最終処分場において、平成4年5月の福井県知事への届出に係る埋立容量を大幅に超える量の廃棄物を埋め立てたが、平成12年8月、福井県の行政指導を受け、本件最終処分場への廃棄物の搬入を停止した。
⑶ 福井県及び上告人によって設置された敦賀市民間最終処分場環境保全対策協議会は、平成18年2月、本件最終処分場において、埋立地からの浸出液が混入した地下水が処理されないまま周辺の河川に流出しており、本件最終処分場から流出する地下水に複数の有害物質が基準値を超えて含まれ、上記河川の下流域の農作物や井戸水等に影響を生ずるおそれがある旨を報告した。
⑷ 上告人の市長は、平成18年5月、本件最終処分場において廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)6条の2第2項に規定する一般廃棄物処理基準に適合しない処分が行われたことにより、生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがあり、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置(以下「支障の除去等の措置」という。)を講ずべきであるとして、法(平成18年法律第5号による改正前のもの)19条の4第1項に基づき、キンキクリーンセンターに対し、本件最終処分場から外部への漏水防止対策、埋立地からの浸出液の浄化対策等を講ずべきことを命じた。上告人は、同年7月以降、上告人の市長による上記の命令に係る法19条の7第1項に基づく措置として、福井県と共に諸施設の設置工事等を実施した。
2 本件は、上告人が、上記工事等の実施により被上告人らの事務の管理をしたなどと主張して、被上告人らに対し、事務管理に基づく費用償還請求等として、上記工事等の費用の一部に相当する金員の支払を求める事案である。本件では、被上告人らが支障の除去等の措置を講ずる法的義務を負い上告人が民法697条1項所定の他人の事務の管理をしたといえるかが争われている。
判示事項
市町村Aから一般廃棄物の処分の委託を受けた者が市町村Bの区域内で行った一般廃棄物の処分に起因して生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがある場合に、市町村Bがその支障の除去等の措置を講じたときは、市町村Aとの関係において事務管理が成立し得る
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