事件番号令和4(行ウ)8
事件名政務活動費返還履行請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和7年5月27日
事案の概要本件は、原告が、北海道議会(以下「道議会」という。)の会派である補助参加人において、令和2年度に北海道から交付を受けた政務活動費のうち4416万6067円を地方自治法(以下「法」という。)100条14項及び北海道議会の会派及び議員の政務活動費に関する条例(以下「本件条例」という。)に反して違法に支出したと主張し、北海道の執行機関である知事を被告として、法242条の2第1項4号本文に基づき、補助参加人に対して前記金額の返還を請求するよう求める事案である。
判示事項の要旨【主文の要旨】
1 被告は、補助参加人に対し、2097万7278円を北海道に支払うよう請求せよ。
2 原告のその余の請求を棄却する。
【理由の骨子】
1 道政調査業務経費負担契約に基づく支出のうちコピー機等のリース料・電話料・事務
用品費等に係る部分、政務調査業務委託人件費契約に基づく支出について、本件条例
と本件条例に基づき策定された規程、運用方針は、委託した業務が政務活動と政党活
動の側面を有し、これらを合理的に区分することが困難な場合に按分充当を認めてい
るところ、政務調査業務委託人件費契約に基づき補助参加人の業務を担った自民党道
連の職員は、補助参加人からの委託業務のみならず委託業務とは無関係の自民党道連
固有の業務にも従事していたものであり、これらの区別がまったくなされていなかっ
たにもかかわらず、その全部が委託業務であり政務活動と政党活動の区別が困難な場
合に適用されるべき政務活動費の按分充当をしたものであり、コピー機等のリース
料・電話料・事務用品費等も同様の状況にあったと認められるので、本件条例やこれ
に基づく規程、運用方針との乖離が著しく、支出の全部が違法と判断した。
2 また、世論調査業務委託契約に基づき行われた世論調査は、期待する会派を問う設問
に対する回答の選択肢から、無所属議員が構成員の多くを占める北海道結志会が除外
されていた一方、選択肢に挙げられた会派は特定の政党に所属する議員によって構成
された会派であり、また「その他政党」との選択肢が設けられていたことからすると、
当該調査は、政党に対する支持を問うものになっていたと評価せざるを得ず、政党活
動の要素が混在していると認められるので、委託費用の2分の1を超えて政務活動費
を充当したことは違法と判断した。
3 他方、道政調査業務経費負担契約に基づく支出のうち会議費・出張旅費に係る部分、
職員人件費契約に基づく支出は違法とはいえないと判断した。
以 上
事件番号令和4(行ウ)8
事件名政務活動費返還履行請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和7年5月27日
事案の概要
本件は、原告が、北海道議会(以下「道議会」という。)の会派である補助参加人において、令和2年度に北海道から交付を受けた政務活動費のうち4416万6067円を地方自治法(以下「法」という。)100条14項及び北海道議会の会派及び議員の政務活動費に関する条例(以下「本件条例」という。)に反して違法に支出したと主張し、北海道の執行機関である知事を被告として、法242条の2第1項4号本文に基づき、補助参加人に対して前記金額の返還を請求するよう求める事案である。
判示事項の要旨
【主文の要旨】
1 被告は、補助参加人に対し、2097万7278円を北海道に支払うよう請求せよ。
2 原告のその余の請求を棄却する。
【理由の骨子】
1 道政調査業務経費負担契約に基づく支出のうちコピー機等のリース料・電話料・事務
用品費等に係る部分、政務調査業務委託人件費契約に基づく支出について、本件条例
と本件条例に基づき策定された規程、運用方針は、委託した業務が政務活動と政党活
動の側面を有し、これらを合理的に区分することが困難な場合に按分充当を認めてい
るところ、政務調査業務委託人件費契約に基づき補助参加人の業務を担った自民党道
連の職員は、補助参加人からの委託業務のみならず委託業務とは無関係の自民党道連
固有の業務にも従事していたものであり、これらの区別がまったくなされていなかっ
たにもかかわらず、その全部が委託業務であり政務活動と政党活動の区別が困難な場
合に適用されるべき政務活動費の按分充当をしたものであり、コピー機等のリース
料・電話料・事務用品費等も同様の状況にあったと認められるので、本件条例やこれ
に基づく規程、運用方針との乖離が著しく、支出の全部が違法と判断した。
2 また、世論調査業務委託契約に基づき行われた世論調査は、期待する会派を問う設問
に対する回答の選択肢から、無所属議員が構成員の多くを占める北海道結志会が除外
されていた一方、選択肢に挙げられた会派は特定の政党に所属する議員によって構成
された会派であり、また「その他政党」との選択肢が設けられていたことからすると、
当該調査は、政党に対する支持を問うものになっていたと評価せざるを得ず、政党活
動の要素が混在していると認められるので、委託費用の2分の1を超えて政務活動費
を充当したことは違法と判断した。
3 他方、道政調査業務経費負担契約に基づく支出のうち会議費・出張旅費に係る部分、
職員人件費契約に基づく支出は違法とはいえないと判断した。
以 上
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