事件番号令和4(行ウ)219
事件名
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和6年12月6日
事案の概要原告は、平成29年10月30日(以下「裁定請求日」ということがある。)、処分行政庁に対し、①国民年金法(以下「国年法」という。)30条の3第1項に基づく障害基礎年金及び厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)47条の3第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「初めて2級裁定請求」という。)、②国年法30条の2第1項に基づく障害基礎年金及び厚年法47条の2第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「事後重症裁定請求」という。)、③国年法30条の4第2項に基づく障害基礎年金の裁定請求(以下、「20歳前傷病事後重症裁定請求」という。)をそれぞれしたところ、いずれについても障害給付を支給しない旨の処分(裁定請求を却下する処分を含む。以下「不支給処分」という。)がされた。
本件は、原告が、①主位的に、初めて2級裁定請求に係る不支給処分の取消し並びに障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定の義務付けを、②予備的に、事後重症裁定請求に係る不支給処分の取消し並びに障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定の義務付けを、③さらに予備的に、20歳前傷病事後重症裁定請求に係る不支給処分の取消し及び障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定の義務付けをそれぞれ求める事案である(上記①が前記第1の主位的請求に、上記②が予備的請求1に、上記③が予備的請求2にそれぞれ対応する。以下、これらを総称して「本件各請求」という。)
判示事項1 幼少期から脳性麻痺による歩容異常が認められ、成人後に腰椎分離すべり症による手術を受けた者がした国民年金法30条の3第1項及び厚生年金保険法47条の3第1項に基づく障害給付の裁定請求に関し、基準傷病以外の傷病により障害等級2級未満の障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後、初めて、基準傷病による障害と他の障害とを併合して障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったとされた事例

2 訴訟において裁定請求時に特定されていた初診日と異なる日を初診日として主張することが妨げられないとした事例
裁判要旨1 医師の診断書上、裁定請求日において左右の足関節の筋力が著減とされていたこと、下肢の機能に関連する日常生活の動作6つのうち5つが一人でできるが非常に不自由以上の状態であったこと等の本件の事実関係の下では、障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至っていると認定した上で、その障害の状態は、腰椎分離すべり症に対する手術を受けるに至った頃までは身体障害者5級に相当する障害の状態にあったものの日常生活に著しい制限がある等障害等級2級に該当する障害の状態にあったとは認められなかったこと、腰椎分離すべり症の手術後しばらくすると再び腰の痛みを覚えるようになり次第に外出時に杖を使うことが多くなり腰椎分離すべり症による腰痛で定期的に通院するようになったこと、このような推移は腰椎分離すべり症の病態にも符合すること等の本件の事実関係のもとでは、腰椎分離すべり症を基準傷病とし、基準傷病による障害と基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障害とが合わさったことによるものであるというべきであるとされた事例

2 裁定請求時点では医療機関から当時の医療記録が残っていないと回答されたことから記憶に基づいて初診日を特定するほかなかったこと、当該初診日が裁定請求日から20年以上も前の日であること、訴訟で主張された初診日が裁定請求時に特定された初診日と3か月しか違わないこと等に鑑みれば、訴訟において裁定請求時に特定されていた初診日と異なる日を初診日として主張することは妨げられないとされた事例
事件番号令和4(行ウ)219
事件名
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和6年12月6日
事案の概要
原告は、平成29年10月30日(以下「裁定請求日」ということがある。)、処分行政庁に対し、①国民年金法(以下「国年法」という。)30条の3第1項に基づく障害基礎年金及び厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)47条の3第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「初めて2級裁定請求」という。)、②国年法30条の2第1項に基づく障害基礎年金及び厚年法47条の2第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「事後重症裁定請求」という。)、③国年法30条の4第2項に基づく障害基礎年金の裁定請求(以下、「20歳前傷病事後重症裁定請求」という。)をそれぞれしたところ、いずれについても障害給付を支給しない旨の処分(裁定請求を却下する処分を含む。以下「不支給処分」という。)がされた。
本件は、原告が、①主位的に、初めて2級裁定請求に係る不支給処分の取消し並びに障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定の義務付けを、②予備的に、事後重症裁定請求に係る不支給処分の取消し並びに障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定の義務付けを、③さらに予備的に、20歳前傷病事後重症裁定請求に係る不支給処分の取消し及び障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定の義務付けをそれぞれ求める事案である(上記①が前記第1の主位的請求に、上記②が予備的請求1に、上記③が予備的請求2にそれぞれ対応する。以下、これらを総称して「本件各請求」という。)
判示事項
1 幼少期から脳性麻痺による歩容異常が認められ、成人後に腰椎分離すべり症による手術を受けた者がした国民年金法30条の3第1項及び厚生年金保険法47条の3第1項に基づく障害給付の裁定請求に関し、基準傷病以外の傷病により障害等級2級未満の障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後、初めて、基準傷病による障害と他の障害とを併合して障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったとされた事例

2 訴訟において裁定請求時に特定されていた初診日と異なる日を初診日として主張することが妨げられないとした事例
裁判要旨
1 医師の診断書上、裁定請求日において左右の足関節の筋力が著減とされていたこと、下肢の機能に関連する日常生活の動作6つのうち5つが一人でできるが非常に不自由以上の状態であったこと等の本件の事実関係の下では、障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至っていると認定した上で、その障害の状態は、腰椎分離すべり症に対する手術を受けるに至った頃までは身体障害者5級に相当する障害の状態にあったものの日常生活に著しい制限がある等障害等級2級に該当する障害の状態にあったとは認められなかったこと、腰椎分離すべり症の手術後しばらくすると再び腰の痛みを覚えるようになり次第に外出時に杖を使うことが多くなり腰椎分離すべり症による腰痛で定期的に通院するようになったこと、このような推移は腰椎分離すべり症の病態にも符合すること等の本件の事実関係のもとでは、腰椎分離すべり症を基準傷病とし、基準傷病による障害と基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障害とが合わさったことによるものであるというべきであるとされた事例

2 裁定請求時点では医療機関から当時の医療記録が残っていないと回答されたことから記憶に基づいて初診日を特定するほかなかったこと、当該初診日が裁定請求日から20年以上も前の日であること、訴訟で主張された初診日が裁定請求時に特定された初診日と3か月しか違わないこと等に鑑みれば、訴訟において裁定請求時に特定されていた初診日と異なる日を初診日として主張することは妨げられないとされた事例
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