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カテゴリー > 総合裁判例集 (アーカイブ : 平成21年4月 ; 降順 ; 裁判年月日で整列)

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事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[下級] [民事] 平成19(ワ)29506  1755Views
損害賠償
平成21年4月30日
東京地方裁判所 民事第14部
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[知財] [民事] 平成20(ワ)3036  1369Views
損害賠償等請求事件(著作権・民事訴訟)
平成21年4月30日
東京地方裁判所
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[最高裁] [民事] 平成20(受)804  7111ViewsMoreinfo
損害賠償請求事件
平成20(受)804
殺人事件の加害者が殊更に死体を隠匿するなどしたため,被害者の相続人が死亡の事実を知り得なかった場合において,相続人確定時から6か月内に権利が行使されたなど特段の事情があるときは,不法行為に基づく損害賠償請求権は除斥期間により消滅しない
裁判要旨
平成21年4月28日
最高裁判所第三小法廷
詳細/PDF
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[最高裁] 平成20(行ヒ)97  3378ViewsMoreinfo
損害賠償代位等請求事件
平成20(行ヒ)97
市の発注した工事に関し業者らが談合をしたため市が損害を被ったにもかかわらず,市長が上記業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとして,市の住民が地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,怠る事実に係る相手方である上記業者らに対し損害賠償を求める訴訟において,市長が上記損害賠償請求権を行使しないことが当該債権の管理を違法に怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨
平成21年4月28日
最高裁判所第三小法廷
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[最高裁] [民事] 昭和21(受)981  8210ViewsMoreinfo
損害賠償請求事件
昭和21(受)981
小学校の教員が,女子数人を蹴るなどの悪ふざけをした2年生の男子を追い掛けて捕まえ,胸元をつかんで壁に押し当て,大声で叱った行為が,その目的,態様,継続時間等から判断して,国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
裁判要旨
平成21年4月28日
最高裁判所第三小法廷
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[行政] 平成20(行コ)11  1248Views
行政文書不開示処分取消請求控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成13年(行ウ)第12号)
平成21年4月28日
仙台高等裁判所
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[下級] [刑事] 平成20(う)210  1411ViewsMoreinfo
非現住建造物等放火被告事件
平成20(う)210
被告人に対する非現住建造物等放火被告事件(以下,「本件」という。)と併合審理されていた被告人に対する同一の建物に対する建造物侵入,窃盗被告事件等(以下,「前訴」という。)について,弁護人の請求により弁論を分離した後,有罪判決が言い渡され確定したところ,本件については,前訴と公訴事実の同一性が認められ,上記確定判決の一事不再理の効力が及んでいるから,刑事訴訟法337条1号により判決で免訴を言い渡すべきであるのに,それをしなかった原判決には重大な法令違反があること等を理由とする控訴に対し,本件と前訴の両訴因が,一罪の関係にあり,公訴事実の同一性が認められるとしても,弁護人が,前訴及び本件について,弁論の分離を請求し,それぞれ判決が言い渡されることを当然の前提にしていたこと等にかんがみると,本件において,前訴の確定判決の一事不再理の効力を主張して免訴を求めるのは,権利の濫用に当たり,刑事訴訟規則1条2項の法意に照らし許されないとして,控訴を棄却した事案
判示事項の要旨
平成21年4月28日
広島高等裁判所 第1部
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[知財] 平成20(行ケ)10119  1035Views
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟)
平成21年4月28日
知的財産高等裁判所
詳細/PDF
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[知財] 平成20(行ケ)10341  1317Views
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟)
平成21年4月28日
知的財産高等裁判所
詳細/PDF
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[行政] 平成20(行ウ)517  1431Views
平成21年4月28日
東京地方裁判所
詳細/PDF
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[知財] 平成21(行ウ)696  1983Views
特許出願却下処分取消請求事件(特許権・行政訴訟)
平成21年4月28日
東京地方裁判所
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[下級] [刑事] 平成19(わ)4648  1382ViewsMoreinfo
談合被告事件
平成19(わ)4648
a市長であった被告人が,当時の同市議会議員,大阪府警察官,建設会社の談合担当者らと共謀の上,同市が制限付き一般競争入札に付した清掃工場の土木建築工事に関して,入札の公正な価格を害する目的で談合したという事案について,被告人に対して懲役1年6月,3年間執行猶予の判決を言い渡した事例
判示事項の要旨
平成21年4月28日
大阪地方裁判所 第3刑事部
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[下級] [刑事] 平成19(わ)3456  1183ViewsMoreinfo
談合,収賄被告事件
平成19(わ)3456
a市議会議員であった被告人が,同市が制限付き一般競争入札に付した清掃工場の土木建築工事に関して,(1)当時のa市長,大阪府警察官,建設会社の談合担当者らと共謀の上,入札の公正な価格を害する目的で談合し,さらに,(2)建設会社の営業担当者らから自己の職務に関し,現金合計3000万円の賄賂を収受したという談合,収賄の事案につき,(1)の共謀及び(2)の職務関連性をいずれも認め,被告人を懲役3年6月に処した事例
判示事項の要旨
平成21年4月28日
大阪地方裁判所 第3刑事部
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[行政] 平成21(行ク)1  1000Views
平成21年4月28日
京都地方裁判所
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[下級] [民事] 平成20(ワ)460  1837Views
温泉採取権確認
平成21年4月28日
大分地方裁判所 民事第1部
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[下級] [刑事] 平成18(わ)459  3639ViewsMoreinfo
証拠隠滅,証人等威迫,脅迫
平成18(わ)459
本件はGに捜査の手が伸びるのを避けるために行われたものではない旨主張する。しかし,Gは平成15年7月に出所した前科を有しているところ,A事件においては,AがGのところのbである旨述べた上でJと取引をしていたもので,Aが逮捕された後,被告人がAから,捜査機関がGを狙っている旨の捜査情報を得て,それをGに報告していること,これを受けてGが伊豆方面に身を隠していること,その後,乙第1会合が持たれ,Aと似た人物を物色するためにCらの写真を集めたことにGも関与していること,Gが,D及びCを乙に呼び出すとともに,乙第2会合に出席し,兵隊を出す旨の発言をし,被告人が会合においてCに出頭を求める説得をしたほか,BもDに対し,Gが捕まることがどういうことか分かっているのかなどと発言をしていること,甲会合においてもBがGの指示を受けていることなどに照らせば,B及び被告人は,Gの意向を受けて,A事件に関与していないCを身代わりとし,Aを釈放させることによりGに対して捜査機関の手が伸びるのを避けるために行動していたものと認められるので,弁護人の主張は採用できない。(3) 弁護人は,被告人,B及びGには,A事件について,CをAの身代わり犯人として出頭させる動機はない旨主張するが,上記(2)で認定したとおりの本件の事実経過やその際の各人の言動にも照らせば,被告人,B及びGには,その動機があったものと認められるので,採用できない。(4) 弁護人は,Aが執行猶予付きの判決が予想されたので否認する理由もないのに一貫して否認していたことや,被告人がアリバイの成立の有無の調査を指示するなどしていたこと,Hらの証言によれば被告人が誤認逮捕だと述べていたこと,宮崎空港でJにAに間違いないのかなどと話し掛けていることからしても,被告人がA事件の犯人がA以外の者であると考えていたと推測される旨主張する。しかし,これまで認定してきた本件の事実経過に照らせば,上記の弁護人が指摘するところは,被告人の認識に関する前記認定を覆すような事情ではないし,Cを身代わり犯人とするという目的に照らせば,Aが否認を貫くのは当然のことでもあり,弁護人の主張は採用できない。(5) 弁護人は,eと名乗る人物がDであることを前提に,①A事件関係者であるfを名乗っていたHや,eを名乗っていたDから,bの携帯電話に複数回架電されているところ,その回数に照らせばCがbと考えられる,②Hは,ロイヤルホストでCとともにJと会った旨証言している,③Hは,Cがbという偽名を用いていた旨証言している上に,Cも公判廷で,封筒にbの氏名を書いた可能性があることを認めており,自らが裁判に出頭した際に記載した出頭カードの文字とが酷似していることを認めざるを得なかった,④Hは,DとAの関係について,昔は友達みたいだったが平成17年ころは話もしないし連絡もしない感じだったと証言し,D及びKの証言によれば,DとAは仲が悪く,KはAを見たことがあるという程度の付き合いがあるにすぎないことから,AがKの代わりにJに会って取引をしたりDとともに通帳売買をしていたとは考え難い反面,Cが犯人であるとすれば,H,D及びKとも同じc区出身のグループであり,通帳売買時の行動とも符合することなどから,A事件の犯人であるbはCである旨主張する。しかし,J,I及びMが,いずれもCの写真も見せられた上で,自らが取引をしたり目撃した人物はCではなくAであると証言し,これらの証言が信用できることは前記のとおりであるので,Cが犯人であるという弁護人の主張を採用することはできない。(6) その他,弁護人が縷縷主張する点を検討しても,本件の認定に影響を及ぼすものではない。7 争点(1)ないし(3)についての結論以上によれば,(1)A事件の真犯人がDとCである旨の本件書面の内容は虚偽であり,(2)被告人とBには本件書面の内容が虚偽であるとの認識があり,(3)本件書面は,被告人がBと共謀してDに作成させたものと認められる。そして,被告人は,Bと共謀の上,本件書面が内容虚偽の証拠であることを知りながら,平成18年9月6日のA事件の公判において,Cが真犯人であるとの立証趣旨で,真正な証拠と装って提出したものである。第4 争点(4)に対する判断1 違法捜査に基づく起訴であるとの点について弁護人は,証拠隠滅被疑事件の捜査を担当したN検事が,被告人の取調べの際,違法な切り違え尋問を行って被告人の供述調書を作成しており,このような違法捜査及び違法収集証拠に基づいてなされた証拠隠滅被告事件の公訴提起は違法無効である旨主張する。しかし,証拠隠滅被告事件の証拠構造は,D及びCの供述を基礎とし,これにJ,I及びMら関係者の供述や書証等を加えてそれらの信用性を判断し,また,他の間接事実をも考慮するというものであり,被告人の供述を中心として公訴の提起や維持がなされているものではない。また,弁護人が指摘する接見メモの内容は,その文面から一義的に内容が明らかに分かるものではなく,検察官及び弁護人がそれぞれの立場で主張する内容のものと解しても不合理ではない多義的なものであり,本件の争点にかかる事実認定に用いるには証拠価値の乏しいものである。このような接見メモの内容を巡って,N検事がAと被告人の錯誤に乗じて供述調書を作成したとしても,捜査の手法としての相当性はともかく,その供述調書の,本件の争点に関する証拠としての価値は乏しく,現に検察官は本件において,被告人の供述調書の請求を撤回している。このように,本件の証拠構造からすると,接見メモとその内容にかかる供述調書は証拠価値に乏しいものであるところ,そのような証拠の収集過程において,仮に違法な捜査が行われたとしても,それが直ちに,他に適法に収集された重要証拠に支えられた本件の公訴提起の全体を違法無効とする程の重大な違法であるということはできない。よって,弁護人の主張は採用できない。2 被告人の弁護活動の違法な妨害であるとの点について弁護人は,被告人の逮捕と起訴は,N検事がA事件が無罪となることを阻止するために,被告人の弁護活動を妨害する目的で行ったものである旨主張する。確かに,証拠隠滅の被疑事実による被告人の逮捕は,A事件の第1審公判手続が進行している中で,論告弁論期日の約1週間前に行われており,その結果,A事件の訴訟進行に重大な影響を与えたもので,刑罰法令を適正,迅速に実現すべき刑事訴訟の原則に照らし,時期の点において著しく妥当性を欠くものであったというべきである。しかし,逮捕の時期は,A事件の証拠調べが終了し,当事者の訴訟活動としては論告弁論を残すのみとなった段階であり,A事件の弁護活動に与える影響は比較的小さかったものと認められる。また,証拠隠滅被告事件の証拠構造が上記1記載のとおりであることからすれば,N検事にA事件が無罪となることを阻止する意図があったとまでは認めることはできない。よって,弁護人の主張は採用できない。第5 結論以上によれば,判示第1の事実を認定することができる。[証人等威迫,脅迫被告事件(判示第2)]第1 争いがないか,または,証拠上明らかに認められる事実1 Eは,Fらとともに振り込め詐欺を行っていたが,Eら幹部グループの関与が捜査機関に発覚しにくいように,幹部グループと,現金の引き出し役やだまし役という捜査機関に発覚しやすい立場の者との間に,クッションと呼ばれる連絡役を置き,幹部を知る者を少数にしていた。そのため,Eの関与の事実を知っていたのは,幹部及びクッション役のみであり,Fもそのクッション役の一人であった。Fは,振り込め詐欺に使う預金口座を用意させたり,詐欺の実行役らからの報告を受けたり,詐取金を回収するなどの役割をしていた。2 Fは,平成18年9月21日,勤務先のホストクラブの無許可営業に関し,風俗営業の規制及び適正化に関する法律(以下「風適法」という。)違反の被疑事実で逮捕された。Eの存在を知る者の中で一番最初に逮捕されたのがFであるが,その時点では,FがEらの存在を供述しない限り,Eらの存在は捜査機関に明らかにならなかった。加えて,Eは,Fに対し,Fが警察に捕まった場合にはEのことを供述しないようにと伝えており,Fもこれを了承していた。3 被告人は,Bの紹介によりEと会い,Fの弁護をすることとなり,9月24日,27日,10月11日,14日にFと接見した。また,10月5日付けで,風適法事件に関する付添人選任届を作成した。4 Fは,10月16日,振り込め詐欺に関する被疑事実により逮捕され,警視庁y町警察署に勾留された。Fが逮捕された段階では,捜査機関は,Fより上位の人間の存在は解明できておらず,上位の人間の存在の可能性がある一方,Fが最上位の立場の可能性もあると認識していた。5 被告人は,10月16日,17日,21日,26日,28日,11月2日(接見時間は,午後4時7分から午後4時30分まで),7日にそれぞれFと接見した。また,10月21日に,詐欺事件に関する弁護人選任届を作成した。6 Fは,11月16日にEの名前を出して上位の人間の存在を供述し,その結果,Eら関係者が逮捕されるに至った。第2 争点及び当事者の主張証人等威迫,脅迫被告事件の争点は,(1)被告人が,Fに対して,強談威迫,脅迫行為を行ったか,(2)平成18年11月2日のFとの接見当時,被告人は,Fが,Eらの振り込め詐欺事件の捜査に必要な知識を有すると認められる者であるとの認識を有していたか,(3)本件公訴提起が公訴権濫用に当たるか,である。検察官は,争点(1)及び(2)の事実が認められると主張するのに対し,弁護人はいずれも否定し,弁護人は争点(3)の公訴権濫用を主張して公訴棄却すべきであるとするのに対し,検察官はそれを否定する。第3 争点(1)に対する判断1 Fの証言及び供述(1) 証言及び供述の要旨ア Eとは高校生のときに知り合い,家出をした際に面倒を見てくれるなどしたため,平成17年初めころにはE抜きの生活は考えられなくなり,Eのことを兄貴と呼び,一生付いていこうと思うようになった。同年夏ころにEから振り込め詐欺の仕事を紹介され,警察に捕まってもEの名前を出すなとたびたび言われていた。平成18年2月ころ,振り込め詐欺グループの一員が逮捕されたときも,Eから,「捕まってもおれの名前を出すな。事件のことは知らないで通して,どうしても通せなくなったらお前が全部抱えてくれ。おれはお前のことを弟だと思っている。捕まっている間,事業をやって稼いでおくから,出てきたら一緒に事業をやろう。」と言われた。私も絶対にEの名前を出すつもりはなく,分かりましたと答えた。イ 平成18年9月24日,風適法の被疑事実により逮捕された後,被告人と最初の接見をした。被告人は,「Bに頼まれて来た。」と言った。私が「どこのBさんですか。」と聞くと,「z1会の者だ。」と言い,「BとEから頼まれて来た。」と再度言った。ウ 同年10月11日及び14日の接見では,風適法の記録に,「捜査2課が振り込め詐欺で捜査中」との記載があることを被告人から聞かれたので,同年2月に戸塚警察署から任意同行を求められて事情聴取されたが,知らないと言い通して何もなく帰ってきたことがあり,保護観察中だったので,そのことを保護司に報告したため,裁判所に通知が行っているのではないかと説明した。被告人には,半年くらい前の事件で,何人くらい捕まったと説明した。被告人から,「お前はパイで帰ってきたんだな。」と言われ,「自分は取りあえず今のところパイで帰って来たんで何もないと思うんですけど。」と答えると被告人がその旨メモをした。「お前は関係ないな。」と言って,被告人が「関係なし」とメモした。「半年もたって逮捕者もこれだけ出していれば,今更捕まえたりはしてこないだろう。」と言い,「Eもかかわっているのか。」と聞くので,「少なからずかかわっています。」と答え,その記録の記載についてEに伝えるように依頼すると,被告人は,「分かった。」と言った。私が,再逮捕されるかどうかを聞くと,「もし捕まったりとかしたら知らないって言っておけ。」と言われた。エ 同年10月16日,振り込め詐欺で逮捕されたが,その日に私が依頼して被告人と接見した。被告人は接見室に入ってきて,「Eとも話してたんだけれども,やっぱり来たか。」と言った。逮捕されたのでこれからどうすればいいかという話になり,被告人は,「取りあえず知らないと言っておけ。20日でパイの可能性もあるし,起訴されれば検察側のほうから証拠が開示されるから,そしたら,ストーリーをこっちで立てるから,お前は何も心配するな。」と言った。また,「調書とかに指印とかサインとかは一切するな。警察の調べに出てきた名前とかは全部覚えておけ。警察の調べで誘導尋問や利益誘導があればこっちのもんだから,ちゃんと覚えとけよ。」と言い,私の交際相手について,「Eがしっかり面倒見てるから安心しろ。」と言った。「取調べで得た情報,出てきた名前とかどこまであっちがつかんでいるかはすぐに伝えろ。」とも言った。被告人からやっぱり来たかと言われ,少年事件の記録のことを伝えてもらった結果Eも心配して被告人と打合せをしたのだろうと思い,被告人のアドバイスを受け入れようと思った。翌17日の接見の際も,被告人から,「一切しゃべるな。」と言われた。この黙秘の指示は,その後の接見のたびに言われた。また,同日前後ころ,「彼女と別れたことにしないと警察の手が余計に回るから,別れたことにしろ。」と強く言われた。オ 同月20日,成人の雑居房である第5留置室に入り,Oらと同室になった。Oには,何かとあれば相談したり,話を聞いてもらったりした。最初は,起訴から公判の流れを聞いたり,接見禁止がどうしたら取れるのかなどを相談した。黙秘していることも伝えた。カ 同月21日の接見の際,被告人から,「調べの中で,E,k,lの名前が出てきてないか。」と聞かれ,「出ていません。」と答えた。そのときもとにかく黙っとけと言われた。私も,少なくともEの名前は出さないつもりだった。キ 取調べの際に担当捜査官から,振り込め詐欺の被害者がつらい生活を送っていることを聞かされ,自分の祖母が被害に遭ったらどうだろうなどと考え,自分の祖母と重なり,初めて自分が悪いことをしたことを自覚した。また,否認していて,このままグループのトップだと思われたら困ると考え,自分のやったことだけでも話せたらいい,このまま黙っているのはきついと思い始めた。Oにも,完全黙秘はきついという話をしたところ,「そりゃそうだろうね。完黙することが本当にいいのかね。」と言われた。ク 同月26日の取調べで,私の自宅から押収された同年9月の振り込め詐欺で使われた携帯電話の契約書9枚を見せられた。この契約書が関係する中野の件は私の関与が薄く,携帯電話を調達した者がその振り分けを私の部屋でした際に契約書を忘れていったものであり,私の中では関与していないという認識だったので,この件まで私の責任にされたらたまらないと思った。同日の接見では,被告人が,「Eが中野の件で来るかもしれないから気を付けろと言っていたぞ。」と言ったので,「もう来てます。」と言った。被告人が,「どういうことだ。」と聞き返してきたので,取調べで9枚の契約書を示されたことを伝えた。そして,中野の件には私の関与が薄いので,これも全部かぶらなければいけないのかEに聞いてほしいと依頼した。中野の件の実行犯が同じころに逮捕されていたので,Eの方にもつながってくるのではないかと心配したEが,被告人に話したのだと想像した。この接見の際,被告人に対し,詐欺グループに関し一通りの話をしており,その中にEがいることも話した。同日以降は,中野の件の契約書を示されたことから焦りの気持ちが出てきて,私が関与した内容を正直に話し,周りの名前はあくまで偽名で通そうかと思うようになった。ケ 同月28日の接見では,被告人は,「たまたま近くに寄ったから顔を出した。Eとはまだちょっと話せてないんだよな。」と言った。5万円がEから差し入れられたが,被告人からは,「親父からの差し入れだったというふうに言っとけよ。」と言われた。コ Oに,完全黙秘がきついので,自分がやったことだけ正直に話し,周りのことは偽名で通そうと思うがどう思うかと相談すると,Oから,「中途半端にやってうまくいくのか。」と言われ,また,「正直にしゃべることはいいことだ。」とも言われた。同月26日の接見以降,自分がやったことは認めたいという気持ちを被告人に伝えたいと強く思うようになった。被告人に,中野の件も全部かぶらなければいけないのかをEに聞いてもらったが,その返答次第で考えようと思っていた。勾留満期が近づいているので,次回被告人が来たら相談しようと思っていることをOに話した。サ 同年11月2日の接見では,被告人は,接見室の3つあるうちの真ん中の席に座った。目の前のテーブルのようなものの上に左ひじをついて,左前のめりの体勢で,右手はメモを取るような体勢だった。被告人と私の距離は仕切板を挟んで1メートルくらいだった。私が,完全黙秘はきつい,自分のやったことはしゃべりたい,Eたちの名前は絶対出さないから自分のことだけしゃべらせてくれと言うと,被告人は,とても怒ったような,一気に顔が赤くなって,激高した態度になり,「ふざけるな。」と怒鳴り,左ひじをついたまま左手を床と水平の方向に動かし,こぶしで仕切板をドンと1発たたいた。仕切板をたたいた位置は,自分の体の右肩か右胸の辺りのところだった。そして,被告人の言葉がきつくなり,「だれに頼まれて来てると思ってるんだ。雑用じゃねえんだぞ。Eにはお前ですべて終わらせるように言われている。認めるんだったらすべてお前がかぶる以外にないぞ。知らねえって言っておけばいいんだ。」などと言い,「余計なことをしゃべったら,お前の女だってこっちで面倒見てるんだし,実家の住所だって知ってるんだから,お前,どうなっても知らないぞ。」などと区切りなく,怒った興奮した口調で言った。こんなこと言うなんて弁護士じゃないな,やくざと変わらないなと思った。彼女や家族のことを出され,自分はもうしゃべれない,今後どうすればいいんだろう,心配だなという気持ちがとても強く,家族や彼女に何か悪いことが起きるのではないかと危険を感じた。被告人が直接何かをするとは少しも考えなかったが,被告人がEらに自分が供述したとかEたちを裏切ることをしたことを伝えると,Eや周りの暴力団員が怒って実際に何かしらのアクションでも起こすのではないかという心配があった。被告人の発言で固まってしまい,その後も被告人がずっと何か言っていたが,それも聞けず違うことを考えていた。被告人はそれ以降ずっと怒っていて,どんどん興奮し,言葉の節々に,「ぶっ殺す。」とか,「ぐちゃぐちゃにしてやる。ふざけるな。」という言葉を言っていたのが強く記憶に残っている。自分のしたことをしゃべれない,そうすると,長期服役となって祖母の死に目にも会えないかもしれないと思い,とても悲しくなり,泣き出してしまった。すると,被告人が,泣くなよという感じでなぐさめ,「おれは男の涙にも女の涙にも弱いんだ。」などと言った。「お前がしっかりやっていれば女の面倒だってEがしっかり見るから安心しろ。起訴されたら検察側の証拠をこっちが全部見られるから,そうしたらストーリーをおれが立てるから,お前はそのとおりにしとけば大丈夫だ。」とも言った。また,今までどおり,「取調べには一切応じるな。」と言った。接見後第5留置室に戻ると,Oからどうだったのかと聞かれ,接見の内容を説明すると,Oは,「それって脅しじゃないか。」と言い,「雑用じゃねえってそれが弁護士の仕事なんだから。」と言った。私も脅しだと思った。話したことが伝われば何かしらのことをするぞと言われたので,脅されたことを捜査官に言っても結果は同じだろうと思い,捜査官には言わなかった。その後も黙秘を続けたが,その最大の理由は,被告人に脅されて言えなくなったことにある。シ 同月6日に詐欺罪で起訴され,同月7日に被告人と接見した。被告人は,「起訴されたか。」,「検察は一体何を証拠つかんでるんだろうな。」,「公判が始まれば少し前に証拠は全部見られるから,そしたらこっちでストーリー立てるからそのとおりにしとけ。女のことはお前がしっかりやってればEが面倒見てくれるから。」などと言った。ス 同月8日に中野の件の振り込め詐欺事件で再逮捕された。私が関与していないのに,この件もかぶらなければならないのかと思ってとても動揺した。とにかくEなりに伝えて何かしらの対策を考えてほしいと思い,被告人に電話してくれるよう留置係に伝えた。脅された相手を呼ぼうとしたのは,接見禁止が付されており,唯一の外部とのパイプが被告人であったことや,中野の件はEにどうにかしてくれと言っていたので,再逮捕の事実をEに伝えれば何かしら動いてくれるのではないかという期待があったからである。しかし,被告人が逮捕されたことを留置係係長から聞いて,とても驚き,自分と外部との唯一のパイプだった被告人が捕まり,これからどうすればいいんだろうと思った。Eが被告人の逮捕を知り,すぐに違う人をよこしてくれるんじゃないかと思い,とにかく待とうと思った。セ 同月12日,以前,少年事件で付添人をしてくれたP弁護士が接見に来てくれた。P弁護士は,「君のお父さんに頼まれて来ました。君のお父さんはとても心配していてすぐ扉の外で待ってるんだよ。」と言い,事件のことを聞いてきた。私は,警察には一切しゃべっていないこと,今まで被告人に脅されて話せなかったこと,今警察は私が振り込め詐欺グループのトップだと思っているが,本当は,口座や携帯電話の用意をし,振り込め詐欺のグループとの連絡役をし,お金の受渡しをしたのが自分の役割であったことを伝えた。P弁護士は,一通り私の話を聞き,私の入れ墨を見ながら,「入れ墨が中途半端だということはまだ君の気持ちも決まりきってはいないんだろう。君がこちらの世界に戻ってきてやり直すというのであれば僕は幾らでも力を貸す。ただ,君がそちらの世界で生きていくというのであれば,僕は君のお父さんとお母さんに,君のことはあきらめるように言う。」,「ちゃんとやり直す気があるんだったら正直に全部しゃべりなさい。」と言った。私は,P弁護士の言うことが本当に正しいことだと思い,また,17歳か18歳くらいのときから家を飛び出したりしていたのに,親がまだ見捨てずに心配してくれていることを知り,うれしい驚きがあった。一方,Eのことをどうしても言えないという気持ちも強く,その両面でとても悩んだ。そこで,「考えさせてください。」と言った。第5留置室まで泣きながら戻った。Oらが,どうしたのかと聞くので,P弁護士との接見の内容を話し,悩みについて話すと,Oから,「弁護士を使って脅しを掛けてくるような兄貴が信用できるのか。君はまだ若いんだから幾らでもやり直せるんだから,お父さんが見捨ててなかったということはいいことじゃないか。少しでも正直にしゃべった方がいいよ。」と言われた。その後,朝方まで一人で考え,事件について話そうと決めた。ソ 同月13日の取調べで,捜査官に自分の周囲の人間を保護するとの約束を取り付けた上で,自分の実際の役割を話し,また,被告人に脅されていたが,P弁護士と話をして考え,話そうと思ったと伝えた。捜査官はとても信じてくれない様子だった。それまで正直に話をしていなかったので,信じてもらえないのは当然だと思った。脅されたことは本当だと強く主張すると,捜査官がこいつはうそをついているという心証を強くすると考え,事件を分かってもらうためには少しでも自分の事件のことに対して疑われないように話したいと思っていたので,被告人に脅されたことを強くは主張しなかった。その日のP弁護士との接見の際,捜査官に事実を話し始めたことを伝えた。タ 同月14日,犯行を自白する内容の上申書を作成し,自分の振り込め詐欺グループには役割があることや,その上役3人のうちiとjの名前を書いたが,Eの名前は書かなかった。正直に話して気持ちが楽になり,それまでは留置係に聞かれないように小声で話したりするなど気を付けていたが,話した後は留置係警察官とも話すようになり,弁護士が逮捕されて大変だったねと言われたときも,自分が脅された話をした。チ 同日,S弁護士と接見した。S弁護士は,「Eさんに頼まれて来ました。●●先生(掲載者注釈:被告人のことを指す)をz1会に紹介したのは私だから私も責任を感じちゃってて,あなたの弁護をしようと思っています。」と言った。私は,P弁護士にお願いしようと思っており,S弁護士との接見で変な態度をとればそれがEに知られてしまうとも思ったので,なるべく聞かれたことには答えて当たり障りないような話をした。その中でうそをついたこともあったと思う。被告人に脅されたという話はしていない。ツ 同月15日,P弁護士と接見した際,Eの名前を初めて出し,振り込め詐欺グループがどういうものであったか話をした。テ 同月16日,上申書を2通作成した。一通には,一切話すなということを被告人に言われて事件のことを話さなかった,ただ,P弁護士が来てくれて話をしようと思ったという内容であるが,それには,被告人から脅されたとは書いていない。書面化して証拠品として残したくない,事を大きくしたくないという気持ちが強く,また,捜査官も信じてくれていなかったので,被告人に一切話すなと言われたところだけに限定して書いた。もう一通には,Eの名前も出して振り込め詐欺グループの全体像について本当のことを書いた。ト 平成19年2月末,担当のT検事に対し,振り込め詐欺事件について最初の段階から詳しく話し,脅迫事件についても話した。T検事からは,脅迫事件について,被害届を出してほしいと言われた。最初は出したくないという気持ちが強かった。事を大きくして何かがあるのがとても嫌だったのと,取調べが延びるのも嫌だった。ただ,このころから,真実を知りたい,許せないという気持ちも徐々に出てきた。ナ 被害届を出すことについてP弁護士に相談すると,報復があるなどデメリットがあるなら弁護人として勧めないが,君が決めることであり,君が出したいなら出すことはいいと言われた。そして,同年4月17日に被害届を提出した。(2) 信用性の検討ア Fの証言は,まず,被害に至る経緯の部分について,被告人が付添人に就任してからの接見のやりとりにおける被告人の言動等について具体的に証言するものである上に,自白をすることを被告人に相談しようと考えるに至った経緯やその際の心情の変化などに関する部分についても具体的,詳細に述べており,心情の変化について述べるところも不自然,不合理な点はみられない。イ 被害状況について,その際の被告人の顔の表情,口調,態度などについて具体的に述べている上に,Fが,自分のしたことは話したいなどと,被告人の指示に従わない言動をしたところ,被告人が怒ったという流れも自然である。また,被告人の強い口調の言葉を聞いて動揺した様子や,涙を流した心情についても具体的に話し,体験した者が語る迫真性も認められる。ウ 被害後の状況についても,直後のOとのやりとり,P弁護士と接見した際のやりとりの内容やその直後の心情,その後のOらとのやりとりの状況,そして,それらを通じて考えが変わっていく状況などについて,具体性,迫真性を有する供述をしているものであり,その経緯に不自然な点はない。反対尋問に対しても特段揺らいでおらず,記憶にないことはその旨をありのまま答えている。エ さらに,被告人はFの付添人ないしは弁護人として活動していた者であり,Fが慕っていたEの依頼により付添人となって活動していたものである。このような被告人に対し,Fがあえて虚偽の被害事実を述べて陥れる行為に出るとは考え難い。オ また,捜査機関から誘導されたりして虚偽の事実を述べていることを窺わせるような事情も認められない。2 F証言に対する他の証言による補強(1) Oの証言ア 証言の要旨(ア) Fからは振り込め詐欺事件の概要について聞いていたほか,完全黙秘でいきたいというようなことを言っており,実際にしばらくは黙秘していたと思う。Fが兄貴と慕う人物について,家出をした後,生活の面から大変世話になっていると聞いており,その人物も詐欺事件に関係していると聞いていた。被告人については,その人物が派遣してくれた弁護士と聞いている。また,被告人から黙秘するように指示されたとも聞いている。(イ) 勾留延長の少し前くらいの時期から,Fの態度が,どうしても兄貴の名前を出すわけにはいかないので,できれば自分のところで止めたい,完全黙秘がつらいので,兄貴の名前は出さずに自分がやったことだけは話したいというふうに変わってきた。Fに対しては,中途半端な供述をするんだったら全部話した方がいいんじゃないかというアドバイスをした。また,若いし,何度もやり直しできるんだから,すべて話して一からやり直したらどうだという話もした。これに対し,Fは,兄貴の名前は出したくないと言った。Fは,勾留延長後すぐくらいの時期に,今度弁護士が来たらそういうことを話してみたいと言っていた。(ウ) Fは,接見直後,弁護士から脅されたということを言った。その後食事になって,食後の自由時間に詳しい内容を聞いた。対面に座り,ひじ,額を突き合わせるようにして,少し声を潜めるような感じで話をした。Fは,完全黙秘はできそうもないので,とにかく自分のやったことは話したい,兄貴の名前は絶対に出したくない,とにかく自分のところで止めておきたいということを弁護士に言ったら,話をするようであれば家族とか彼女がどうなっても知らないぞと言われたと言った。おれも他の事件でいろいろ忙しい,お前の雑用係じゃないんだ,だから黙秘しとけと強く言われたとも聞いた。Fに対し,「それは脅しじゃねえか。」と言うと,Fは,「そうですね。」と言っていた。夕食の時間があって落ち着いたせいか,Fは,一つ一つ説明するように話した。Fは落胆していた。黙秘するのがつらそうで,弁護士に黙秘するよう強く言われたため,うんざりという感じだった。イ 信用性の検討等(ア) Oの証言内容は,Fと同房となってからのFの言動,Fの心情の動きや考え方の変化など,日々Fと接してきて体験したところをありのまま供述しているものと認められる。そして,被告人と接見をした直後のFの発言内容や,食事後にFから聞いた内容について具体的に述べており,Fの表情や動揺の様子を述べるところは,体験した者が述べる迫真性も認められ,反対尋問にも揺らいでいない。(イ) また,Oは,被告人やEとは利害関係を有しない第三者であり,あえて虚偽の事実を述べるような事情も認められない。(ウ) なお,Oは,被告人が仕切板をたたいたとか,ぶっ殺すと言ったという点はFから聞いていない旨証言するところ,FがOに対し,被告人がした言動のすべてを事細かに話しているとは限らないので,Oが上記の点を証言していなくても不自然とはいえない。弁護人は,Oが,Fから話を聞いた日を特定できていないことを指摘するが,Fの勾留延長後すぐくらいの時期に,今度弁護士が来たらそういうことを話してみたいと言っていたと証言し,弁護士の接見の直後に脅された旨の話を聞いたなど証言していることからすると,日付の特定ができていなくても,Oの証言の信用性に影響を及ぼすものではない。(エ) そうすると,Oの証言は十分に信用できるものである。そして,Oの証言は,Fの証言を支えるものであり,その信用性を高めるものである。(2) P弁護士の証言ア 証言の要旨(ア) Fの父親の依頼で,平成18年11月12日の夕方にFと接見した。Fは,思い掛けない人が来たという感じで非常に驚いていた。Fからは,事件の内容を聞いたり逮捕後の経過を聞いたりした。取調べに対しては,黙秘ないし否認をしているということだった。話している途中,入れ墨が見えてびっくりし,やくざになったわけでもなさそうだが,半分足をつっこんでいる状況だと思った。Fには,「全部そっちの世界から抜けて,ちゃんと戻るというんであれば私やりましょう。もしそうでない,今のまま続けるなら私は弁護するつもりはない。」と言った。Fは,上の人の名前を出すのに非常にちゅうちょしており,心情的にはそうしたい気もあったようだが,その時点ではそこに踏み込めなかった。被告人からは,全面否認か黙秘で通せと言われていた,脅されていたということは言っていた。どういう内容で脅されたかは,自分から積極的に聞いた記憶は余りない。Fが話したときに少し言っている可能性はあるが,それ自体が記憶に残っていない。Fは,少しずつこちらの方になびくのは見て取れた。接見後,Fの父親に,事件の内容と前の弁護士に脅されていたようであると伝えた。(イ) その後,同月13日の接見では,上の者の名前を出すか出さないかで,かなり長時間話したが,Fは名前を言わなかった。次の15日の接見で,Fが,「決心した。」と言い,「先生お頼みします。」と言って,E,j及びiの名前を初めて明かした。(ウ) 平成19年3月ころ,Fが,T検事から被害届を出すように言われていると言った。Fは,報復を怖がるのと,今更という考えもあったと思うが,被害届を出すことにそれほど積極的ではなかった。私も積極的ではなかった。被害届を出せば,法廷に引っ張り出されることもある程度予測できるので,そういうことも全部説明して,「出すんであればしっかり言わなければ駄目だ。」,「自分で考えろ。」と言った。イ 信用性の検討等(ア) P弁護士の証言内容は,Fが被告人から脅迫を受けた旨聞いたことを証言しているほか,Fとの接見のやりとりや,被害届を出すかどうかのやりとりなども具体的である。(イ) また,同弁護士は,以前被告人と共同して刑事事件の弁護を担当したこともあり,本件でも,Fが被害届を出すことについては余り積極的ではなかった旨述べていることに照らしても,あえて被告人に対して不利に虚偽の供述をするような事情は認められない。(ウ) そうすると,P弁護士の証言は十分信用できるものである。そして,P弁護士の証言は,Fの証言を支えるものであり,その信用性を高めるものである。(3) Uの証言ア 証言の要旨平成18年11月15日当時,警視庁y町警察署留置係係長であり,集中護送のため押送バスを待っている間,Fに,弁護士が逮捕されて大変だねという話をすると,Fが,「いやいやとんでもないですよ。」と言い,机にひじを90度くらいに曲げてついて,半身になる姿勢をとって,「話したらお前の家族と女,どうなっても知らねえぞ。ぶっ殺してやると言われた。」などと言った。Fは,とにかくひどいということを言っていた。Fの態度や言い方を見て,真剣に話しており,これはうそじゃないなと思った。イ 信用性の検討等(ア) Uの証言内容は,Fの発言内容やそのときのFの態度について具体的に述べているし,Fが長く留置場にいたために記憶に残っている旨述べていることから,記憶に基づいて証言しているものと認められる。(イ) そして,留置係では,被告人について,腰が低くていい弁護士だという噂をしていたというのであるから,あえて被告人に不利に虚偽の事実を述べることは考え難い。(ウ) なお,弁護人は,UがFのことをうそつきであると述べていることは,FがUに話した内容もうそである可能性がある旨指摘するが,Uは,被告人に脅されたとのFの発言に関しては,Fの態度等の根拠を示して,うそではないと思ったと述べていることからすると,Uの証言内容は矛盾するものではない。(エ) そうすると,Uの証言は十分に信用できるものである。そして,Uの証言は,Fの証言を支えるものであり,その信用性を高めるものである。(4) Eの証言及び供述ア 証言及び供述の要旨(ア) 振り込め詐欺をしていたとき,Fに対し,もしFが警察に捕まった場合,私のことを供述しないようにと言っており,Fも了承していた。(イ) Fが風適法違反で逮捕された際,Fの弁護士について,私,j及びBで話し合って決めた。弁護士をFに用意するメリットは,Fの調べの中で私の名前が出ていないかを把握できるという点にあった。その夜,コージーコーナーに集まって話し合い,被告人に弁護を依頼することになり,弁護士費用として20万円を私が被告人にその場で支払った。また,被告人に会う前に,Fの交際相手とも会い,生活は心配するなと言って5万円渡した。(ウ) 平成18年9月21日から同年10月16日までは,被告人とは携帯電話で話したり,直接会ったりして連絡を取っていた。少年事件の捜査書類の中に「振り込め詐欺で捜査中」と書いてあることを被告人から聞いた。被告人から,「これ,もしかしたら事件になって噴火するかもしれないよ。」と言われ,また,Fがこういうふうに捜査されているが君もかかわっていたかと聞かれ,私とjもちょっとはかかわっていると答えた。以前自分たちは,捕まったら自己責任の上,他の人間の名前をしゃべらないようにしようと決めていたので,今度Fに会うときに,その意志と気持ちは揺らいでいないか再確認してほしいと被告人に依頼した。(エ) 10月16日にFが詐欺の被疑事実により再逮捕されたときは,被告人に電話し,Fがもしかしたらすごく動揺しているかもしれないので面会に行ってくれるよう依頼した。Fの身柄拘束が少し長くなりそうだったので,「交際相手は大丈夫だから心配するな。最小限に被害をとどめてくれ。他人の名前は言うな。」と伝えるよう被告人に依頼した。弁護士費用は払わなければと思っていたが,お金がなく払えなかった。交通費として5万円くらい渡したことがあるくらいである。(オ) Fの再逮捕後,心配だったので,被告人と大体ほぼ毎日,電話したり会ったりして連絡を取っていた。同月17日の接見の内容も聞き,被告人からFが黙秘していると聞いた。被告人は,「この方がいい。Fが認めてしまったら,いろいろと話さないといけないこともある。まずは裁判の1か月前くらいに証拠が開示されるから,それを見て決めた方がいいから黙秘させるよ。」と言った。(カ) 同月16日以降,Fの態度は黙秘と聞いていた。被告人とは,捜査の中で私の名前が出ていないかどうかについても話をしていた。被告人は,「このままでいこう。」,「このままでいってくれる。」と言った。Fに5万円の差し入れをする際は,指紋がばれたらまずいのでお金を替えてほしい,私の名前では入れられないのでFのお父さんかだれかの名前でお願いしますと頼んだ。「こういう状況でもし自分が捕まるとしたらどんな状況ですか。」と聞くと,被告人は,「Fがしゃべらなきゃないだろう。あとはEに関する証拠は何もないので,そしたらFだろう。」と言った。被告人に,Fに話さないように伝えることを依頼した。また,携帯電話の通話明細の話もした。ガサが入って,連絡用の携帯電話の明細書が押収されたと捜査官から話をされたとのFからの話を聞いた。(キ) 勾留延長になり,Fが自分のことを話したいと言い始めたと被告人から聞いた。被告人は,「Fが自分のことは認めたい,話したいというふうに言ってきたので黙らせといたよ。」と言った。被告人は,Fが話したりすると,私がどういうふうにFを組織に入れたとか,おのずと私の名前をどんどん話さないといけなくなるし,全容がすべて明らかになってしまうので話さない方がいいと言った。Fは,結局黙秘していると思っていた。(ク) 取調官からkやlらの名前が出てきたことがないかFに尋ねてほしいと被告人に依頼したことはある。中野の件でも来るかもしれないから気を付けろとFに伝えてほしいと依頼したこともある。イ 信用性の検討等(ア) Eの証言内容は,被告人に対し,自らが振り込め詐欺に関与していることを話した場面や,Fに黙秘させる理由を述べた場面,Fが認めたいと言い出したのに対して被告人がやめさせたとの場面等のやりとりについて,具体的に述べているし,その内容に不自然,不合理な点はみられない。反対尋問にも揺らいでおらず,捜査官から誘導されたことを窺わせるような事情も認められない。(イ) また,Eの証言は,Fが警察に捕まってもEの名前を出さないと話し合っていたこと,被告人が面会に来た際,「BとEから頼まれて来た。」と言ったこと,少年事件の記録に振り込め詐欺に関する記載があることについてEに伝えてくれるよう依頼したこと,Fが被告人から黙秘するように指示されたこと,平成18年10月16日の接見の際,被告人から,「Eとも話してたんだけれども,やっぱり来たか。」と言われたこと,Eからの伝言として,Fの交際相手について,「Eがしっかり面倒見てるから安心しろ。」と言われたこと,被告人から,取調べでEらの名前が出ていないか聞かれたこと,5万円の差し入れは父親からのものにしておけと言われたことなどはFの証言と符合するし,被告人が,「Fが自分のことは認めたい,話したいというふうに言ってきたので黙らせといたよ。」と言った旨の証言は,被告人に自分のことを認めたい旨話した際に脅迫されたとのFの証言とも符合する。(ウ) Eは,Bの紹介で被告人と知り合い,Fの弁護を被告人に依頼したり,他に民事紛争の解決を依頼したりする関係にあったこと,被告人に不利な証言やFの証言に沿う証言をして自らの立場が有利になるとは認められないことなどに照らせば,Eが,あえて虚偽の供述をして被告人を陥れるとは考え難い。(エ) そうすると,Eの証言は十分信用できるものである。そして,Eの証言は,Fの証言を支えるものであり,その信用性を高めるものである。3 弁護人の主張の検討(1) 弁護人は,被告人の供述するFの言動を根拠に,Fは平気でうそをつく人間であるとか,演技力があり大人をだますことに長けているので証言は信用できないと主張するが,前記で検討したようにFの証言内容が虚偽のものとは認められない。(2) 弁護人は,平成18年11月当時のFの供述調書には被告人から脅されたとの記載がなく,平成19年3月25日の供述調書に初めて脅されたとの記載があり,その後脅迫行為について詳細化した供述記載があることから,被害状況に関するFの供述は不自然に詳細化して変遷しており,また,被告人が仕切板をたたいた手についても変遷するなど,信用できない旨主張する。しかし,上記のFの供述状況は,Fが,当初は捜査官も信じてくれていなかったので被告人に脅されたとは強くは言っていなかった,平成19年2月末にT検事から脅迫事件について被害届を出してほしいと言われてどうするかを考えるようになったと述べているところとおおむね符合するのであって,その後,気持ちの整理がつき,記憶を喚起して被害状況を供述していったものと認められる。被告人が仕切板をたたいた手についても,たたいたのは左手であり,自らの裁判の公判廷では,自分から見て右側の方の手でたたいたので,緊張していたこともあって右手と述べてしまったと説明している。したがって,弁護人の指摘するFの供述部分はいずれも不合理なものとはいえず,信用性に影響を及ぼさない。(3) 弁護人は,供述が変遷していることなどを根拠に,検察官とFとが事件を虚構した旨縷縷主張するが,検察官とFが事件を虚構したことを窺わせるに足る事情は認められない。(4) 弁護人は,Fの振り込め詐欺事件にはz1会の関与はなく,FがEの存在を供述したとしてもz1会が動くことはないのだから,Eの名前を出さないように被告人から脅されたとのFの供述は荒唐無稽であると主張するが,被告人による強談威迫や脅迫行為の有無と,z1会が現実に振り込め詐欺事件に関与しているかどうかとは直接かかわりのないことであるから,Fの証言の信用性に影響を及ぼさない。4 Fの証言及び供述の信用性についての結論以上検討したとおりであり,Fの証言及び供述は,それ自体信用できるものであることに加え,前記のとおりO,P,U及びEの各証言による信用性の補強も認められることから,十分信用することができる。5 被告人の供述(1) 供述の要旨ア 平成18年9月21日の朝,Bから連絡があり,知り合いが警察に逮捕されたので会ってほしいと言われ,Fが逮捕されたことを聞いた。Fの父親に電話をして弁護人となることの了承を得た上で,当日午後7時ころから新宿のコージーコーナーでB,E,jらと会い,風適法事件についてFの弁護を引き受けることにした。Eからは,早く出してやってくれくらいの要望はあったが,それ以外は特になかった。イ 同月24日のFとの接見では,被疑事実を聞き,手続の説明や取調べを受ける際の一般的注意事項の説明をした。Eから,交際相手のことはちゃんと世話をしているということを伝えるよう頼まれていたので伝えた。Fは,「ありがとうございます。兄貴によろしく言ってください。」と言った。すぐ出られると思っていた様子で,交際相手の心配は余りしていなかった。Bから頼まれたということは,途中で話した可能性はある。B,E及びママの名前を出すなとは言っていない。同月27日にも接見し,その後,EにFが元気だったとか,彼女を頼むとかいうことを伝えた。ウ 同年10月11日の接見には風適法事件の記録を持参した。同記録の振り込め詐欺に関する記載に関連して,「関係なし」,「パイ」の記載はいずれもFが述べたことをメモしたものである。Fに対し,お前のところまでこないだろうとは言っていないし,捕まったりしたら知らないと言っておけとも言っていない。裁判官に振り込め詐欺のことについて聞かれたら関係ないとちゃんと答えるよう指導をしただけである。Fが全く関係していないと言っていたので,振り込め詐欺の話をするはずがない。エ 同月14日の接見の際,Fが,振り込め詐欺に関与していると告白し,将来どうなるのか,逮捕される可能性があるのかを聞いてきた。Fは,半年もたって何人も捕まってるから,先生もう来ませんよねとしつこく言っていた。私は,終わってる可能性だってあるかもしれないけど,分からないなどと答えた。振り込め詐欺事件の内容についての説明はほとんどなく,立件されているわけではないので聞く気にならなかった。共犯者の名前も出なかった。Eが関係しているかを聞いたら関係しているということだけで終わり,どういう役割かは分からなかった。接見後,Eに電話して関与の有無を聞くと,Eは少し関係していると答えたが,立件されていないから聞く必要もないと思い,それ以上深く聞いていない。オ 同月16日,Fが振り込め詐欺で逮捕されたと聞き,Eからも連絡があり,接見に行った。接見前に詐欺の概要について捜査機関から聞いていた。Fから,これから一体どうなるのか,どうしたらいいのかと聞かれ,手続の説明をした。Fが事実を認めると思ったら,否認すると言ったので少し驚いたが,否認すると言うのならしょうがないよねと言い,否認の理由を聞いた。Fは,任意の取調べのときに身柄釈放されたことがあり,新証拠がなければ起訴されない可能性があるので否認すると言った。Fは,情状が悪くなって刑が重くなること,任意の取調べのときから状況がどう変わったのか,新証拠が出てきたのかを心配していた。捜査機関に会って新証拠が何があるか調べてくれと言うので,無理だと答えた。また,Fは,交際相手のことと,兄貴に付いていきますということを言っていた。Fは,詐欺で逮捕されてから交際相手の心配をし始めた。取りあえず黙っとけ,とか,20日間でパイになる可能性があるとは言っていない。Fの言うようなストーリーの話はしていない。それに近い話として,情状が重くなることを心配していたので,「それはしょうがない。起訴されたら考えようよ。記録も開示されるから,そのときになぜ捜査段階で否認したのかということをお互い考えて法廷で言うしかない。」と話した。調書にサインするなとか調べに出てきた名前を全部覚えておけとは言っていない。誘導尋問や利益誘導の話もしていないし,黙秘ないし否認を勧めたこともない。接見後Eと会い,接見内容の報告をした。否認するらしいことを伝えると,Eは,ああそうですかという感じで,どうしてほしいとかの依頼はなかった。このとき,Eの名前を出さないという約束があることは知らなかった。カ 同月17日,Fに呼び出されて接見した。否認に対する意見を求められ,新証拠は何か,交際相手は元気にしているか,情状は一体どうなるか,兄貴には付いていくというようなことの繰り返しだった。結論として,否認して不起訴を期待して頑張るが,起訴されたら認めるという方針になった。交際相手の面倒を見てくださいという話をされた。交際相手に,任意の取調べを受けるのが嫌ならもう別れたと言えばどうかとアドバイスしたので,警察がこの点で揺さぶりを掛けてきても心配するなと言った。接見を終わるに当たり,起訴されて記録が開示されるまではもう接見に来ないので,よほど急用があったら電話するようにと言った。Eに対しては,いつかは覚えていないが,Fが面会で女の話ばかりするので困るというぐちを言ったことはある。Fが否認の不利益を心配しているのと,新証拠を調べてほしいと言っているのもEに伝えた。Eは,ああそうですかと人ごとのような感じだった。心配しているのだろうが淡々としたものだった。兄貴に付いていきますということも伝えると,分かりましたと言っていた。キ 同月21日,Fから急用と言われて呼び出されて接見した。内容は今までと同じで,交際相手のこと,情状のこと,新証拠のこと,兄貴に付いていきますということばかりだった。mという者の話も出て,mがFの名前を話しているかもしれないので,話したかどうかをEを通じて調べてくれと強く頼まれた。E,k,lの名前が出ていないかとは尋ねていない。Fの父親にも元気にやっていると連絡した。父親から,警察が来ると言ってるがどうしたらいいかと聞かれ,やってもらいなさいと伝えた。同月21日から26日までに,Fの父親から携帯電話の空き箱が押収された話を聞き,21日か26日の接見の際伝えると,空き箱の外側に携帯電話の番号がはってあり,自分がやったと明らかになってしまうので焦っているという説明を受けた。自認に変わるかなと思い,どうするのか聞くと,しばらく考え込み,振り込め詐欺で使われた携帯が全部分かっているわけではなく,押収されたものが振り込め詐欺につながらない可能性もあるので,取りあえず勾留満期まではやはり否認すると言った。ク 同月26日に急用で接見希望と警察署から連絡があり,Fと接見した。内容は,新証拠があるのか,あるとしたら何か,交際相手は元気か,情状はどうなるのかということだった。また,mに関する報告をし,中野の件に関する振り込め詐欺の話をした。中野の件はFから話したものだが,具体的内容は聞いていない。中野の件を気を付けろと自分からは言っていない。Fから,中野の件を調べられている,自分は関係していないが自宅から携帯の契約書が押収され,その携帯が中野の件で使われているようなので自分が疑われていると説明を受けた。Fは,友達が遊びに来て置き忘れたもので,自分は一切関与していないと説明した。以前の詐欺の件は私の前では認めていたので,中野の件はFの言葉を信じた。Fから,取調べで契約書を突き付けられて追及されているのでどうすればよいかアドバイスを求められたので,関係ないなら積極否認しろ,だれがいつ来て置いていったか捜査機関に言えとアドバイスした。しかし,Fは,実名を出すことはできない,詐欺事件はいろいろな関係者がいるので一人の名前を出したらどんどん名前を言わなければならない,そうすると困ってしまう,だから自分からは言うことはできないなどと言った。そこで,どうするのか聞くと,偽名で言うと答えたので,そうすると積極的にうそを言わせることになるため反対した。名前を明かすことはできませんがということくらいで言うしかないんじゃないかとアドバイスをしたが,受け入れられなかった。そこで,積極否認もしない,でもやっていないというのであれば黙秘するしかないんじゃないかとアドバイスすると,Fが,Eとも相談してくれませんかと言った。Eから,mはFの名前を出していないと報告を受けたので,名前を出してないことをFに伝えた。交際相手は元気にしているか,見捨てるとは言ってないかなどと聞かれた。接見後,同月27日だと思うが,Eと連絡を取った。FからEに相談するように言われていたことを話し,自分は黙秘するしかないと言っておいたがどうかと考えを聞いた。Eの答えは,ああそうですかというくらいだった。中野の件について関与していたかEは話していないし,自分からも聞いていない。Eから5万円を差し入れのために預かった。ケ 中野の件でEと相談した返事を持って来ることを約束していたので,同月28日にもFと接見した。私に相談しながらFの考えるとおりやればいいとEが言っていることを伝え,名前を挙げて言うことができないのか,自分は関係してないんだからちゃんと言わなきゃ駄目だと言ったが,Fは名前は出せないと言うので,結局選択肢は黙秘しかないと伝え,最終的にFが決断した。Fは黙秘するのはつらいと言ってきた。つらいならしゃべったらどうかと言うと,やはりしゃべれないと言い,最終的に黙秘で頑張るということになった。5万円を差し入れたほか,交際相手の話をした。また,コンタクトレンズの差し入れの依頼を受けた。接見後,Fの父親には連絡した。Eにも報告したと思うが明確な記憶はない。黙秘でいくことに決まったということくらいは言っているかもしれない。コ 前日にy町署から至急来てくれと連絡があったため,同年11月2日に時間をやりくりして接見に行った。私が先に接見室に入ったと思う。真ん中のいすに,Fと正対する姿勢で座り,メモ用紙を出して目の前に置いた。半身にはなっていない。Fが入ってきて,頼まれていたコンタクトレンズを差し入れしておいたという話をし,急用と連絡があったのでどういう内容かを尋ねた。Fは,彼女は元気でいますか,私を待つと言ってくれていますかということを聞いてきた。急用ということで時間をやりくりして来たのにまた女性の話かと思いむっとして,「もういいかげんにしてくれ。女の話ばっかりじゃないか。起訴されるまでは私は急用以外は来ないと言ってあるよね。ところが来てみれば女性の話ばかり。もういいかげんにしてくれ。私は刑事弁護人であって,あなたの伝書鳩でもないし雑用係でもない。そういう話ならもう私は帰ります。」と言った。Fに対して怒りの気持ちが少なからずあり,口調はかなり厳しい,しかりつける,しっ責するような口調だったが,声は普通どおりの大きさと思う。発言は割と一気に言った。手は机に置いたまま,上半身をいすの背もたれの方に少しそるような感じの姿勢で,手に持っていたボールペンは乱雑に右手から離したという状態だった。腹立たしいので厳しい表情をしていたと思う。初めてとった態度だったため,Fはあっけにとられていたような感じだった。Fは,一瞬驚いたような顔をして泣き出した。泣かれたのでびっくりして理由を聞くと,彼女がかわいそうなんだと言った。彼女がかわいそうだというのは分かるが,それは自分の責任なのだから,自分の責任でかわいそうだって泣いたってしょうがないという話をし,私は人の涙を見るのは好きじゃないとも言った。口調は,丁寧に,大丈夫だよというような言い方を心掛けた。そのほかのやりとりは,同月6日が勾留満期だったので検察官の取調べの状況等を聞き,3連休だからもう決裁されている可能性があるということで,決裁の説明をし,おそらく起訴になるという話をした。このときはFはもう泣きやんでいた。サ 同月7日に,起訴状の宅下げを受ける目的で自分から接見に行った。Fは交際相手の話をし,交際相手あての手紙の持ち帰りを依頼された。留置係のn係長から,彼女あての手紙で私あてのものとは思えないので接見禁止が付されている以上宅下げできないと拒絶された。接見室に戻ってFに,私あてのものに書き直して送り直すように言うと納得したので,n係長にもうこれでいいですと言って帰った。シ Eが,被告人からFに黙秘させたと聞いたという証言をしたが,それは,最終的に黙秘するしかないと言ったことを指しているのではないかと思う。私は認めさせたかったんだけれどもということで事情説明したはずである。一人名前を出したら,二人,三人と挙げないといけないというのはFの言葉だが,Eが私の言葉ととらえてしまった。Eには逐一丁寧に報告はしていないし,私も言い間違いがあったのかもしれない。(2) 信用性の検討以上の概要の被告人の供述は,本件接見の状況や,それに至る経緯やそのときどきの接見内容に関するFの証言に反するのみならず,Eが,Fに黙秘するよう被告人に依頼した,被告人からFに黙秘させるとの説明を受けた,Fが自分のやったことを認めたいと言ったが黙らせておいたと報告を受けたなどと証言していることとも重要部分において反するものである。Fとの接見内容を報告した際のEの態度について被告人が供述するところは,Fに対する捜査がどの程度進んでいるかについて強い関心を持っていた旨証言しているEの態度と相容れない不自然なものである。そうすると,本件接見に至る状況や本件接見の状況及びその後の状況に関する被告人の供述は信用することはできない。6 争点(1)についての結論(1) Fの証言によれば,平成18年11月2日の接見時に,捜査官にEらの存在を言わずにFで事件を止めるとの被告人やEの方針に反し,上の者の存在は示すが名前は出さずに自己が関与した程度や内容を捜査官に話したいと申し出たFに対し,被告人が,「ふざけるな。」と怒鳴り,仕切板を手でたたき,「だれに頼まれて来てると思ってるんだ。雑用じゃねえんだぞ。Eにはお前ですべて終わらせるように言われている。認めるんだったらすべてお前がかぶる以外にないぞ。知らねえって言っておけばいいんだ。」,「余計なことをしゃべったら,お前の女だってこっちで面倒見てるんだし,実家の住所だって知ってるんだから,お前,どうなっても知らないぞ。」などと申し向けて,判示のとおり,強談威迫及び脅迫行為をしたものと認められる。(2) この点,検察官は公訴事実において,「ぶっ殺す。」という言葉も強談威迫や脅迫行為の内容とし,それをFの生命,身体等に対する害悪の告知として主張するが,Fの証言によれば,被告人が「ぶっ殺す。」,「ぐちゃぐちゃにしてやる。」と言った言葉それ自体は記憶にあるものの,それがどのような場面で言われたものか分からない旨述べていることからすると,その言葉が使われた文脈が判然としないので,強談威迫や脅迫行為の内容として言われたものと認定することはできないものである。(3) 弁護人の主張の検討ア 弁護人は,判示の行為については,脅迫罪も成立しない旨主張する。しかし,本件接見において,被告人がFに申し向けた上記の文言は,Fの親族の生命,身体等に危害を加える可能性があることを告知する内容であり,被告人を通じてEやBらにFの言動が伝われば,暴力団員を介するなどして害が加えられることを恐れさせるものであったと認められる。また,被告人もその旨を認識していたと推認できる。したがって,脅迫罪の成立を認めることができるので,弁護人の主張は採用できない。イ 弁護人は,被告人には強談威迫や脅迫行為に及ぶ動機がない,むしろFの望むように自白してもらえば公訴事実を争わないことになるのであるから,被告人にとっても歓迎すべきことである旨主張する。しかし,FやEの証言に照らせば,被告人はEに対し,「Fが認めてしまったら,いろいろと話さないといけないこともある。」,「黙秘させる。」などと述べ,実際に,Eの意向に沿ってFに黙秘するよう伝え,Fもこれに異を唱えることなく従っていたものである。そうすると,被告人の意向はEと一致しており,Eを始めFの上の者たちの名前を一切出さず,Fで止めることにあったものと認められる。ところが,Fが一転して,上の者の名前は言わないが自らの行為に関してのみ供述したい旨言い出したことから,もしFが被告人やEの方針に反して自己の関与の態様を説明すれば,上の者の存在が明らかとなり,Fが名前は出さないつもりではあっても,捜査の手がEらに及ぶことが予想されることから,Fを制止させるために強談威迫や脅迫行為に及んだと考えても不自然とはいえない。そうすると,被告人には,Fに対して強談威迫や脅迫行為に及ぶ動機があったものと認められるので,その主張は採用できない。ウ 弁護人は,Fが平成18年11月2日に被告人に脅されたとすれば,その後に被告人との接見を希望したり,接見に来たS弁護士に犯行についての話をしているのは不自然である旨主張する。しかし,Fが被告人に接見を希望したのは,接見禁止が付されていて,唯一の外部とのパイプが被告人であったことや,再逮捕の事実をEに伝えれば中野の件は何かしら動いてくれるのではないかという期待があったからであり,S弁護士に対する対応も,P弁護士に弁護を依頼しようと思っていたため,S弁護士に変な態度を取ればそれがEに知られてしまうとも思い,聞かれたことにも当たり障りないように話をしたということからすると,いずれも不合理なものではないので,弁護人の主張は採用できない。第4 争点(2)に対する判断1 前記認定の事実によれば,(1)Fは,面会に来た被告人にEも振り込め詐欺に少なからずかかわっていると話し,Eも,被告人から尋ねられて少しはかかわっていると答え,他の人間の名前を出さない意志が揺らいでいないかFに確認するよう被告人に依頼したこと,(2)Eは,Fが振り込め詐欺事件で逮捕されたことを聞き,Fに他人の名前を言うなと伝えるよう被告人に依頼し,被告人は接見のたびにFに黙秘するよう指示したこと,(3)Eは,被告人に捜査で自分の名前が出ていないか聞いていたほか,kなどの関係者の名前が出ていないかFに聞くよう被告人に依頼しており,Fは被告人からその旨尋ねられたこと,(4)平成18年11月2日の本件接見の際も,Fが絶対にEの名前を出さないと言い,一方,被告人はEにはお前ですべて終わらせるように言われているなどと発言したこと,(5)被告人は,Fの取調べ状況や供述状況をEに話し,Eから,自分が捕まるとしたらどんな状況かと聞かれ,Fがしゃべらなきゃないだろうなどと答え,また,Eに対し,Fが話すとおのずとEの名前を話さないといけなくなるし全容が明らかになってしまうから話さない方がいいと言ったことなどが認められる。2 以上によれば,平成18年11月2日の本件接見のとき,被告人は,FがEらに関する振り込め詐欺の成否や態様に関する知識を有する者であることを認識していたものと認められる。したがって,被告人は,Fが刑法105条の2にいう,捜査に必要な知識を有する者であることを認識していたことが認められる。第5 争点(3)に対する判断弁護人は,証人等威迫,脅迫被告事件の公訴提起は,被告人に対する証拠隠滅被告事件の虚構が明らかになり,被告人が完全に無罪となることを回避する目的の下に事件を虚構した上で提起されたものであって,公訴権を濫用する違法なものである旨主張する。ところで,証拠隠滅被告事件が虚構のものでないことは前記認定のとおりである。そして,証人等威迫,脅迫被告事件も前記認定のとおり,Fを始めとした関係者の供述等適法に収集された証拠に基づいたものであって虚構のものではない。したがって,検察官に被告人の無罪を回避する目的があったとは認められない。また,証人等威迫,脅迫被告事件の事案の重大性に鑑みても,その公訴提起が訴追裁量権を濫用したものとはいえない。したがって,公訴権濫用の主張は採用できない。第6 結論以上によれば,判示第2の事実を認定することができる。(法令の適用)罰 条第1の証拠偽造及び偽造証拠使用の各点につきいずれも刑法60条,104条第2の証人等威迫の点につき同法105条の2,脅迫の点につき同法222条2項科 刑 上 1 罪 の 処 理第1につき刑法54条1項後段,10条(犯情の重い偽造証拠使用罪の刑で処断)第2につき刑法54条1項前段,10条(重い脅迫罪の刑で処断)刑 種 の 選 択第1及び第2につきいずれも懲役刑選択併 合 罪 の 処 理刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い第2の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条訴 訟 費 用 の 負 担刑事訴訟法181条1項本文(量刑の理由)本件は,弁護士である被告人が,暴力団員と共謀の上,自らが弁護人となっていた盗品等有償譲受け事件に関し,同事件の被告人以外の者が真犯人である旨の内容虚偽の書面を作成して,これを同事件を審理中の裁判所に提出したという証拠隠滅(第1),並びに,自らが弁護人を務めており,他人の刑事事件の捜査に必要な知識を有する者に対して強談威迫の行為をするとともに,同人の親族の生命,身体等に危害を加えかねない気勢を示して脅迫したという証人等威迫及び脅迫(第2)の各事案である。
事案の概要
平成21年4月28日
宮崎地方裁判所 刑事部
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[知財] [民事] 平成21(ネ)10018  1271Views
商標権移転登録抹消登録請求控訴事件(商標権・民事訴訟)
平成21年4月27日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成20(行ケ)10206  1154Views
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟)
平成21年4月27日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成20(行ケ)10380  1012Views
審決取消請求事件(商標権・行政訴訟)
平成21年4月27日
知的財産高等裁判所
詳細/PDF
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[知財] 平成20(行ケ)10353  1126Views
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟)
平成21年4月27日
知的財産高等裁判所
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