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カテゴリー > 総合裁判例集 (アーカイブ : 平成29年5月 ; 降順 ; 裁判年月日で整列)

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事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[下級] [民事] 平成28(ネ)5233  844ViewsMoreinfo
平成28(ネ)5233
本件は,被控訴人が,レオパレスが賃貸する家具家電付き賃貸物件(本件物件)に入居し,控訴人との間で放送の受信契約(本件受信契約)を締結して受信料を支払ったものの,放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に当たらないから,本件受信契約は公序に反して無効であると主張して,控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,1か月分の受信料1310円及びこれに対する支払日である平成27年10月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息の支払を求めた事案である。
事案の概要
平成29年5月31日
東京高等裁判所
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[下級] [刑事] 平成28(う)451  985ViewsMoreinfo
詐欺未遂被告事件
平成28(う)451
本件公訴事実の要旨は,被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,当時84歳の女性(以下,「被害者」と表記することがある。)が宝くじに必ず当選する「特別抽選」に選ばれて当選金を受け取れると誤信しているのに乗じて,同人から現金を騙し取ろうと考え,平成27年3月16日頃,同人に対して,真実は同人が「特別抽選」に選ばれたことがなく,違約金を支払う必要もないのに,Aを名乗る氏名不詳者が,電話で,今回の特別抽選はなくなり297万円の違約金を支払わないといけなくなった,半分の150万円を準備できますかなどと嘘を告げて現金150万円の交付方を要求し,被害者を誤信させ,大阪市城東区内所在の空き部屋に現金120万円を配送させて被告人が受け取る方法によって現金を騙し取ろうとしたが,警察官に相談をした被害者が嘘を見破り,現金が入っていない箱を発送したために未遂に終わった,というものである。
事案の概要
平成29年5月31日
福岡高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10151  330Views
(特許権・行政訴訟/多接点端子を有する電気コネクタ)
平成29年5月31日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10150  361Views
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟/多接点端子を有する電気コネクタ)
平成29年5月31日
知的財産高等裁判所
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[知財] [民事] 平成28(ワ)7763  452ViewsMoreinfo
特許権に基づく製造販売禁止等請求事件(特許権・民事訴訟/分断部分を有するセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベル)
平成28(ワ)7763
本件は,発明の名称を「分断部分を有するセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベル」とする特許第5377629号の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許を「本件特許」という。また,本件特許の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書等」という。)の特許権者である原告が,別紙1物件目録記載の製品(以下「被告製品」という。)は,本件特許の願書に添付した特許請15求の範囲(以下,単に「特許請求の範囲」ということがある。)の請求項1記載の発明(以下「本件発明1」という。)及び同26記載の発明(以下「本件発明26」といい,本件発明1と併せて「本件各発明」という。)の各技術的範囲に属するから,被告による被告製品の製造,販売,輸入,輸出,販売の申出及び販売のための展示(以下,併せて「譲渡等」ということがある。)は,いずれも本件特許権を侵20害する行為であると主張して,被告に対し,①特許法100条1項に基づき被告製品の譲渡等の差止めを求め,②同条2項に基づき被告製品の廃棄を求めると共に,③特許権侵害の不法行為による損害賠償請求権(損害賠償の対象期間は,平成25年10月4日から平成28年3月9日までである。)に基づき,損害賠償金510万円及びこれに対する不法行為後の日である平成28年3月26日(訴状送達の日25の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
事案の概要
平成29年5月31日
東京地方裁判所
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[下級] 平成27(行ウ)34  428ViewsMoreinfo
損害賠償等請求事件
平成27(行ウ)34
本件は,任用期間を1年とする非常勤職員として被告(兵庫県小野市)に勤務していたが期間満了により平成27年3月31日に退職した原告が,職場において上司から受けたパワーハラスメント(パワハラ)を問題にしたがために違法に再任用20を拒否されたなどと主張して,被告に対し,①行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)上の義務付けの訴えとして,同年4月1日付けで原告を任用すべき旨を命ずることを求めるとともに,②国家賠償法1条1項に基づき,⒜再任用拒否を理由とする500万円の損害賠償(慰謝料500万円。ただし,①の請求が認容される場合は,2か月分の給料・時間外勤務手当相当額27万8464円と慰謝料100万25円の合計127万8464円を請求するとする)と⒝パワハラを理由とする100万円の損害賠償(慰謝料100万円)を求める事案である。
事案の概要
平成29年5月31日
神戸地方裁判所 第6民事部
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[知財] 平成28(行ケ)10154  379ViewsMoreinfo
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟/マキサカルシトール中間体およびその製造方法)
平成28(行ケ)10154
本件は,訂正審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
事案の概要
平成29年5月30日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10242  373ViewsMoreinfo
審決取消請求事件(意匠権・行政訴訟)
平成28(行ケ)10242
本件は,意匠登録出願拒絶査定不服審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
事案の概要
平成29年5月30日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10241  388ViewsMoreinfo
審決取消請求事件(意匠権・行政訴訟)
平成28(行ケ)10241
本件は,意匠登録出願拒絶査定不服審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
事案の概要
平成29年5月30日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10240  363ViewsMoreinfo
審決取消請求事件(意匠権・行政訴訟)
平成28(行ケ)10240
本件は,意匠登録出願拒絶査定不服審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
事案の概要
平成29年5月30日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10239  436ViewsMoreinfo
審決取消請求事件(意匠権・行政訴訟)
平成28(行ケ)10239
本件は,意匠登録出願拒絶査定不服審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
事案の概要
平成29年5月30日
知的財産高等裁判所
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[知財] 平成28(行ケ)10190  328Views
審決取消請求事件(特許権・行政訴訟/印刷物)
平成29年5月30日
知的財産高等裁判所
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[行政] 平成26(行ウ)627  332ViewsMoreinfo
東京都市計画△西地区第一種市街地再開発事業に係る損失補償事件
平成26(行ウ)627
1 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,上記賃貸借契約の解約通知がされた日及び上記賃貸借契約が終了した日は,それぞれ明渡期限の約2年6か月前及び約2年前のことであり,賃借人において上記賃貸借契約を解約した主たる理由が,不確定な事業スケジュールに煩わされることなく,本社機能の移転を確実に実施するという一種の経営判断にあったことなどから,上記賃貸借契約の解約が上記事業の明渡しによるものということはできないとして,上記賃貸借契約と上記定期建物賃貸借契約との明渡期限までの家賃の差額が,都市再開発法97条1項にいう「通常受ける損失」に当たらないとされた事例
2 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,明渡期限後の家賃の減収分の補償額につき,同事業における補償基準等に定められた「従前の建物の家賃」を基準とする補償額よりも,上記補償基準等における空室補償による場合の補償額の方が高く,上記空室補償に係る規定が上記定期建物賃貸借契約を締結した後に定められたものであり,原告において,定期建物賃貸借契約を締結するか,空室補償を得るべきかの適切な選択が必ずしもできない状態にあったなどの事情の下では,上記補償基準等をそのまま適用することは合理的とはいい難く,上記空室補償に相当する金額によるとされた事例
裁判要旨
平成29年5月30日
東京地方裁判所
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[下級] [刑事] 平成26特(わ)1059  458Views
覚せい剤取締法違反,窃盗,建造物侵入被告事件
平成29年5月30日
東京地方裁判所 刑事第16部
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[知財] 平成28(行ウ)450  419ViewsMoreinfo
処分取消請求事件(特許権・行政訴訟/高度なイメージング特性を有する顕微鏡イメージング装置)
平成28(行ウ)450
本件は,「千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約」(以下「特許協力条約」という。)に基づいてされた国際出願(国際出願番号PCT/US2011/049180)であって,特許法184条の3第1項に基づき,その出願日に日本国にされたものとみなされた特許出願(特願2013-527133号。以下「本件国際特許出願」という。)の出願人である原告が,同特許出願について平成28年1月7日付けで提出した,「引用による補充」がなかったとする旨の条約規則82の3.1による請求書(以下「本件請求書」という。)に係る手続につき,指定期間を徒過した提出であることを理由に特許庁長官が同年3月28日付けでした却下処分(以下「本件却下処分」という。)が違法であると主張して,その取消しを求める事案である。
事案の概要
平成29年5月30日
東京地方裁判所
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[下級] [民事] 平成27(ワ)1974  355ViewsMoreinfo
違約金等支払請求事件
平成27(ワ)1974
本件は,おり,原告が,本件予約契約を解除したなどと主張して,被告に対し,主位的に本件予約契約上の予約金8億3099万5620円の返還及びこれと同額の違約金の支払等を求め,予備的に上記予約金の返還等を求める事案である。
事案の概要
平成29年5月30日
名古屋地方裁判所 民事第8部
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[下級] [刑事] 平成26(わ)48  707ViewsMoreinfo
詐欺被告事件
平成26(わ)48
本件は,新燃岳の噴火により一般家庭等に大量の灰が降り積もる事態が生じたことから,都城市において,組合の各社に対し降灰の収集運搬業務を委託したところ,組合に所属する会社の関係者である被告人Aと被告人Bが共犯者と共謀して,降灰収集運搬業務に関する受託代金を水増し請求してだまし取ったという詐欺2件の事案である。
事案の概要
平成29年5月30日
宮崎地方裁判所
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[下級] [刑事] 平成29(う)83  377Views
銃砲刀剣類所持等取締法違反
平成29年5月29日
名古屋高等裁判所 刑事第1部
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[下級] [刑事] 平成26(わ)3  413ViewsMoreinfo
業務上過失致死
平成26(わ)3
本件キャンプへの参加児童は小学3年から6年までの児童22名であって,その遊泳能力には個人差があり,予測困難な行動に出るおそれもあった上,川遊び予定場所はj川の流れに沿った距離にして90mを超え,右に湾曲するなどしている流域であったため,川への入水場所であるスロープから川遊び予定場所の下流域を見渡すことは困難であるばかりか,水深が2mを超える場所があるなどの自然の河川であったのであるから,適切な監視態勢や溺れた場合の救助態勢が整わない状態で児童らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば,児童らがj川に入水し,水流に流されて深みにはまるなどして溺水する危険があった。被告人Eは,川遊び予定場所で以前に実施された同様の体験イベントにおける川遊びにスタッフとして参加した経験などから,そのように溺水する危険があることを知っていた上,本件キャンプの企画・立案段階において,同協議会事務局側担当者として,本件倶楽部の実質的な代表補佐の地位にあったB等と協議する中で,川遊びに際しては例年どおり本件キャンプに参加する成人スタッフ全員で川遊びをする児童らが溺水しないように監視することを確認した上,上司である被告人Cや被告人Dらに対し,本件キャンプは同倶楽部の主導の下で行われるものであり,川遊びについても同倶楽部の成人スタッフの指示に従って行動するものである旨を説明するなどしていた。ところが,Bは,本件キャンプ当日である同月24日,本件川遊びプログラムを開始するに際し,成人スタッフらと参加児童22名全員で前記「J」から川遊び予定場所に移動し,成人スタッフ全員で監視に当たるという予定を変更し,自らは川遊び場所には移動せず,他の成人スタッフの一部と男子児童ら17名だけを先に川遊び場所へ移動させることにしのであり,被告人Eも,被告人Dなどを通じてBがそのような変更をしたことを知ったのであるから,被告人Eは,男子児童らに付き添って川遊び予定場所に移動する成人スタッフに対し,監視,救助態勢が整うまでは児童らが前記j川に入水しないよう監視を指示するなどして児童らが溺水しないように成人スタッフによる監視態勢を整えた上で上記川遊びプログラムを開始すべき業務上の注意義務があった。それにもかかわらず,被告人Eは,これを怠り,男子児童らに付き添って川遊び予定場所に移動する成人スタッフに対して上記指示をするなどして監視態勢を整えることをしないまま,Bによる予定の変更に従い,Bから男子児童ら17名だけを先に川遊び場所へ移動させるよう指示を受けた被告人Dらに対し,その指示に従うよう指示して他の成人スタッフの一部と男子児童ら17名だけを先に川遊び場所へ移動させて本件川遊びのプログラムを開始した。この過失により,児童らの1人I(当時8歳)をj川に入水させ,同日午後3時55分頃,同河川において,同人を溺水させ,よって,同月27日午前9時38分頃,長崎県大村市 ef 丁目 g 番地 h 所在の i 病院において,同人を低酸素性脳症により死亡させたものである。(事実認定の補足説明並びに被告人C及び被告人Dの無罪の理由)1 当裁判所は,被告人Eに対する予備的訴因は認められるものの,被告人らに対する主位的訴因及び被告人C及び被告人Dに対する予備的訴因はいずれも認められず,被告人C及び被告人Dはいずれも無罪であると判断したので,その理由を説明する。2 被告人らに対する主位的訴因及び被告人C及び被告人Dに対する予備的訴因別紙のとおり3 前提事実関係各証拠によれば,本件の事実経過について,概ね次の事実が認められる。本件倶楽部は,平成6年頃,伊万里市 a 町b(以下「b」という。)地区の活性化等を目的とし,古代米「黒米」の栽培及びこれを原料とした加工品の開発促進や都市住民との交流を図るためのイベント開催等の事業を行うことを目的としてb地区に居住する住民らが構成員となって設立された団体である。本件倶楽部は,当初はz市役所とは関係なく,独自に黒米の栽培,収穫,料理等を行うイベント「農業体験スクール」などの企画運営を行っていたが,平成12年頃から,独自の企画のほかに,z市からの打診を受け,z市役所と連携して様々な企画を催行するようになった。z市は,平成16年頃から,当時のk部m課n係が所管となって,地産地消事業の一つとして,都市部の参加者を募り,z市内の農村部で地元の農産物を収穫してその料理を試食して貰うという「H2」と称する体験イベント等を各地区の受入れ団体と連携して実施することとし,本件倶楽部と一緒に行ってきた体験イベントも,その企画の一部として取り込まれることになった。本件倶楽部は,平成12年頃から,Aが代表者を務め,Bが監査役に就任していたが,Aが会社勤めのために日中に連絡を取りづらいということから,上記体験イベントの企画立案等に関するz市側の担当者との連絡や打合せは専ら,z市役所の隣にあるz市Oに勤務していたBが内線電話を使用したり,同市役所を直接訪れたりして行っていた。被告人Eはz市の職員であり,平成17年4月頃から,同市k部m課n係員として,グリーン・ツーリズム,すなわち,都市部の住民を対象とした農山漁村における自然,文化,人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動を行う事業等に関する事務を担当し,z市側の担当者として,本件倶楽部との間で,上記「H2」に関する企画立案等のやり取りや打合せを全て行っていた。z市は,平成19年度から,本件倶楽部と共同して,「H2」の夏休み特別企画として「H1キャンプ」と称する都市部の小学4年から中学3年の児童を対象にしたb地区における農家への民泊を伴う農村交流を目的とする体験イベントを開催するようになったところ,この体験イベントには,公募に応じた小学1年から中学生の児童が参加すると共に,本件倶楽部側のAやB,被告人Eも主催者側の成人スタッフとして参加して児童らを引率した。この体験イベントでは,プログラムの一つとして,伊万里市 a 町bc番地d所在の「J」(以下「J」という。)南南東約700m先のj川での参加児童らによる川遊びが行われた。この川遊び場所は,川の流れに沿って90mを超える距離があり,下流方向に向かって右に湾曲する形状になっているため,入水場所であるスロープから川遊び場所の下流域を見渡すことが困難な状態になっていた上,下流側には水の流れる岩盤がスライダー状になっている部分があり,その出口部分から流水が流れ落ちる場所の数m先には水深2mを超える場所がある流域が続いていた。この年のH1キャンプの各種プログラムは,基本的には地元団体である本件倶楽部が中心となり,z市側からスタッフとして参加した者は,本件倶楽部の成人スタッフの指示に従う形で進められた模様であり,中核プログラムの1つである川遊びについては,食事の後片付け等のため,「J」に残り,後から現場に行ったEを除き,「J」から川遊び場所へは成人スタッフと参加児童全員で移動し,本件倶楽部の会員であり,救命救急士の資格を有するPが中心となって堤防の上で全員が準備運動をした上で,監視に当たる成人スタッフを各所に配置してから児童らを入水させて行われた。なお,この川遊びの最中,z市側から参加した職員のQは,児童が溺水する危険を察し,上記スライダー状になった部分の出口付近に立ち,その下流にある深みのある流域に児童らが立ち入らないように監視していた。平成20年度も,前年に引き続き「H1キャンプ」が行われたところ,小学2年から中学生の児童約17名がこれに参加し,本件倶楽部側のAやB,z市側の被告人Eも前年同様成人スタッフとして参加し,児童らを引率した。このイベントでも,プログラムの1つとして上記 と同じ場所で,同様の方法により川遊びが行われたが,同19年度とは異なり,Qは参加しておらず,上記のように児童らの足が届かない深みのある流域も川遊びの場所となった。その場所では,児童らは遊泳したり,数mの高さがある護岸ブロックの上から川面に飛び込んだりするなどしていたが,その周辺には本件倶楽部の成人スタッフ数名が配置について,児童らの行動を監視していた。平成21年3月30日,グリーン・ツーリズムに関する事業を推進するため,z市内の各団体が個々に実施してきたグリーン・ツーリズム事業の窓口を一本化し,対外的な受入れなどの仕組みづくりの効率化を図ると共に,z市内の各団体の連携を深め,地域一体となって同事業に取り組み,その充実を図るための官民共同による団体として,F協議会(以下「本件協議会」という。)が設立され,本件倶楽部も本件協議会の会員となった。本件協議会の事務処理は,z市k部m課に置かれた事務局によって行われていたが,協議会が行うグリーンツーリズム事業の企画立案等は,協議会事務局と会員が協議して行っていた。このような中で,平成21年度も,平成19年度及び同20年度に実施された例に倣ってH1キャンプが企画され,上記同様の川遊びのプログラムも予定されていたが,天候不順により中止された。平成22年4月1日,z市の組織改編に伴い,同市k部にL課が新設されると共に,同課にF係が新設され,これに伴い,本件協議会も同課に移管されてその事務局も同課内に置かれることになった。被告人Cは,同日,同課課長に就任するのに伴い本件協議会の事務局長となり,被告人Dも,同日,同課副課長兼F1係長に就任するのに伴い本件協議会の事務局員となった。被告人Eも,同日から同課F1係員となり,本件協議会に関する事務,グリーンツーリズム体験交流の推進に関する事務等に関し主査を務めると共に,本件協議会事務局の事務局員を務めることになった。このような中で,被告人Eは,同年5月頃までに,本件倶楽部等と調整を進めながら,本件キャンプの実施を含む「H2」の平成22年度の年間計画案を作成し,同月14日,本件協議会の幹事会において,その承認を得た。その後,被告人Eは,Bとの間で,電話で本件キャンプについて打合せを行い,被告人Bの提案により,従前行っていたプログラムであるモクズガニ漁は取りやめることにしたが,川遊び(以下「本件川遊び」という。)を含む従前とほぼ同様の本件キャンプのプログラムを決定し,同年6月10日頃,これを記載したチラシを添付した「開催伺い」を起案し,被告人C及び被告人Dの決裁を受けた。なお,被告人Eは,その間の同年5月18日頃,市役所を訪れたb地区のR区長から,本件キャンプの際に行う川遊びで児童らが溺れたりする可能性があるので救助用の浮き輪を用意したらどうかという提案を受け,その後,被告人Cと協議した上でSの忘れ物の浮き輪を準備することにすると共に,被告人Cの指示により,参加児童への指示を明確に伝えるためにホイッスルを準備することとした。被告人EとAやBは,同年7月7日,b公民館において,上記R区長と共に本件キャンプについて打合せを行った。その際,被告人EからB,Aらに本件キャンプのプログラムの内容を記載した上記チラシが交付され,本件キャンプのプログラムの内容について種々話合いがなされたところ,Bの提案により,従前行っていたカブトムシ捕りをプログラムから外すことが決まり,本件川遊びに関しては,Bから事前に確認した川の水量の報告を受けて,例年どおり,被告人E,A及びBを含む成人スタッフが全員で児童らの監視に当たる計画で川遊びを実施することが確認された。本件協議会が本件キャンプに参加する児童の募集を行ったところ,被害児童を含む小学3年から6年の児童22名(うち,小学3年は6名,男子児童17名,女子児童5名)の参加が決まり,被告人EはBに対し,同年7月15日頃,電話で参加児童が22名であることを伝えた。また,同月中旬頃までに,本件キャンプに参加する本件協議会側の成人スタッフとして,被告人Eのほか,被告人C,被告人D,z市役所k部L課観光係のT及び同課F1係嘱託職員のUの参加が決まった。なお,平成19年に実施されたのH1キャンプについては,z市からは,m課課長,担当者である被告人E及び上記Qなどが,平成20年に実施されたH1キャンプについてはm課課長及び被告人Eなどしか参加していなかったが,本件キャンプに関しては,人手が足りないので参加して欲しいという被告人Eからの求めに応じて,被告人Cの参加が決まり,他の成人スタッフについては,被告人Eの手伝って欲しいとの依頼や,被告人Cの「L課ができたのでL課みんなで参加しよう」といった提案を受けて参加が決まったものである。A及びBは,平成22年7月21日,本件倶楽部の会員らを集め,会員らに対し,被告人Eから渡された本件キャンプのパンフレットを配布して各プログラムの内容を説明し,本件川遊びの時の監視員を募ったところ,P,V,W及びXの4名が参加することが決定した。このうち,PとVは過去に川遊びプログラムに参加したことがあったが,WとXは今回が初めての参加であったところ,AとBは,例年どおりの方法で児童らに川遊びをさせれば大丈夫などと考えており,上記成人スタッフらに対し「子供を監視してほしい」などと指示をしたのみであった。被告人Eは,同年7月22日頃,Bと電話で打合せを行い,本件協議会側の成人スタッフの役割分担表を作成したことなどを伝え,Bからは,本件倶楽部側から参加する成人スタッフが6,7名であることを確認した上で,Bに対し,「地元主導でお願いします。」などと伝えた。被告人E,被告人C及び被告人Dは,同年7月23日,z市k部L課において,本件キャンプに参加するT及びUと共に,本件キャンプの打合せを行った。なお,祭りに参加していた被告人Dは,10分ほど遅れて出席した。その打合せの中で,被告人Eは,同人が作成した「危険ポイントは…川遊び中,苔のついた岩を歩いているときの転倒や深いところで溺れる可能性があるので,目を離さないようにお願いします」などと注意事項が記載された役割分担表と当日のタイムスケジュールを配布すると共に,本件協議会側の成人スタッフの本件キャンプへの係り方に関しては,現地では地元の本件倶楽部の成人スタッフが主体となるのでサブ的に動いて欲しいこと,本件川遊びの際には,地元の本件倶楽部の成人スタッフが監視に就くので,その指示に従って配置に就き,地元の人と一緒に児童らを見て欲しいこと,Tには滑って下るスライダー状になった場所で監視について欲しいので水着を持ってきて貰いたいこと,川には車で全員が行くこと,深みがあって児童が溺れたりする危険があるので,児童から目を離さないようにして欲しいことなどを伝えた。本件キャンプは,本件協議会側が参加児童を引率して現地である「J」に到着するのが遅れたため,同年7月24日午前10時10分頃,予定時刻より約10分遅れで開始された。同日午後のプログラムは,午後1時30分から,班別に分かれた児童らが地元の民家を回って夕食の食材を分けてもらう「おすそ分け大作戦」,午後3時から,「J」でアイスクリームを食べる「おやつタイム」,午後3時30分からj川での本件川遊びとなっていたが,「おすそ分け大作戦」の終了が遅れ,同日午後3時を過ぎてから,「おやつタイム」となったため,川遊びを開始時刻どおりに始めるのが困難な状況になりつつあった。このような中で,Aは,本件キャンプの前日夜遅くまで夏祭りに参加し,当日も早朝から本件キャンプの準備である草刈り作業をして睡眠不足であったため,「J」の事務室で椅子に座って休んでいたところ,いつの間にか眠ってしまっていた。Bは,同日午後3時30分過ぎ頃,先にアイスクリームを食べ終わった男子児童らが次のプログラムである本件川遊びに気が向き,水着に着替えたり,走り回ってはしゃいだりし始める一方,女子児童らは,まだアイスクリームを食べており,また,「男子児童らがいるところでは着替えたくない」などと言い出したため,男子児童らから先に川遊びの場所に連れて行くこととし,Pに対し,「J」の玄関付近で被告人Dの運転する市役所の車を本件川遊びの予定場所(以下「本件川遊び場所」という。)まで案内するように指示し,これには全員が乗り切れないので先に男子児童らを連れて行き,被告人Dが車で女子児童らを迎えに戻る際に迂回路を案内することなどを指示した上,その場にいた被告人D,T及びUに対しても,先導するPの後を追って,男子児童らを先に連れて行くよう指示した。被告人Dは,これを受け,被告人Eに対し,男子児童らを先に連れて行っていいのか尋ねたところ,被告人Eは本件倶楽部の成人スタッフに確認の上,被告人Dに対し,男子児童らを先に連れて行き女子児童らを迎えに来るように言った。また,Uも,被告人Eに対し,なぜ別々に行くのかを尋ねたところ,被告人Eから,女子児童らは事情があって遅れる旨の説明を受けた。そこで,被告人DはT及びUと共に,男子児童らを被告人Dが運転する10人乗りワゴン車と,Tが運転する8人乗りワゴン車に分乗させ,Pが運転する車の後を追随して,被告人D運転のワゴン車,T運転のワゴン車の順に「J」を出発し,本件川遊び場所へ向かった。被告人Cは,その頃,「J」で休んでいたが,気が付くと被告人D運転のワゴン車とT運転のワゴン車が出発するところであったため,慌てて外に出たところ,その場には被告人EとUだけが残っており,被告人EからPが児童らの乗ったワゴン車を先導しているとの説明を受けた。被告人Cは,男子児童らだけを先に川遊びの場所に連れていくという上記やり取りを知らず,誰からも説明を受けなかったため,児童らと本件倶楽部の成人スタッフは全員,j川に向けて出発したと思い,被告人Eに準備していた浮き輪が車に積載されていることを確認し,被告人Eからホイッスルを受け取った上,待っていたUをその車に乗せ,上記2台のワゴン車の後を追ってj川へ向かった。その後,Bは,「J」にまだAがいることを確認し,さらに,本件川遊び場所にあるスライダー状の部分の出口先にある深みの手前に張ろうと考えていたロープを自宅から持ってくることを忘れていたため,これを取りに自宅に戻った。また,Vも,岩場で滑って遊ぶための肥料袋を取りに自宅に帰った。その一方で,XとWは,j川には向かわず,女子児童らと共に「J」にとどまった。被告人Dは,本件川遊び場所付近で男子児童らを車から降ろした後,「J」に残してきた女子児童5名を連れに行くため,Pの案内でワゴン車を運転してその場所を後にした。そして,上記2台のワゴン車から降りてその場に残された被害児童を含む男子児童らは,本件倶楽部側の成人スタッフも,本件協議会側の成人スタッフも誰一人として川遊びの状況を監視していない状況の下でj川に入り始めた。被告人Cは,Pや被告人Dらに若干遅れて本件川遊び場所に到着し,児童らが川に入っていくのに気付いたが,男子児童らは本件倶楽部の成人スタッフらに引率されていると思っており,自分は浮き輪を膨らませないといけないと考えていたため,自動車から浮き輪などを降ろし,入水場所であるスロープ付近で,T及びUと共に浮き輪を膨らませようとし,その途中で,児童らの声が聞こえなくなったことに気づいて,下流の方に行ってみたが,本件川遊びをする場所を確認しただけで,元の場所に戻り再び浮き輪を膨らませようとしていた。同日午後3時55分頃,被害児童が溺水した。その頃,Bはロープを準備して自宅から本件川遊び場所に向かう途中であり,被告人Eは,「J」内あるいはj川に向かう途中で,女子児童らと一緒にビデオ撮影するなどしていた。また,Aは,「J」で目を覚ました後,マイクロバスを運転して一人で本件川遊び場所へ向かったが,Aが本件川遊び場所に着いたのは,被害児童が溺水した後であった。4 主位的訴因の検討以上の事実経過を前提に,まず,主位的訴因の当否について検討する。弁護人らも種々指摘しているとおり,主位的訴因に関しては検討すべきが点が少なからず認められるところであるが,主位的訴因の核心部分である注意義務及び過失行為の内容如何について検討する。主位的訴因の掲げる注意義務は,結論的には「児童らが溺水するのを未然に防止すべき注意義務」とされている要請し,川遊びの際には児童らにライフジャケットを着用させた上,児童らの監視態勢や危険指導の方法,児童らの引率から入水させるまでの手順等の実施計画を策定し,被告人られをしない場合には川遊びをする範囲を深みのない場所に限定した上,児童らの監視態勢や危険指導の方法,児童らの引率から入水させるまでの手順等の実これもしない場合には川遊びの中止を決定・協議すべきであったこととされ,これらの手段・方法を採らずに溺水防止の注意義務に違反した過失行為として又はは「川遊びの中止について協議しなかった」こととされていると解される。そこで,以下においては,まず,⑴検察官は,本件川遊び場所は大人でも足が届かない程深い場所が広範囲にわたって存在する危険な場所であり,参加した小学校低学年の児童らが想定外の行動に出ることが間々あることは経験則上明らかであること,本件キャンプに参加した成人スタッフの過半数は初参加者であり,参加スタッフの中には川の体験活動の専門家や水難救助の専門的な知識・能力を有している者はいなかったこと,本件キャンプ開始前にライフジャケットを準備して児童らに着用させることは可能であったことなどを根拠として,被告人らは,児童らが溺水するのを未然に防止するため,児童らに着用させるライフジャケットを準備し,本件川遊びの際にはこれを児童らに着用させることとし,それができないのであれば,本件川遊びの場所を深みのない場所に限定した上で,本件川遊びの際の監視態勢,児童らに対する事前の危険指導の方法,児童らの引率から入水までの手順等を定めた実施計画を策定させ,これを成人スタッフ全員に周知させるべきであったなどと主張する。そして,これに沿う証人Y及び同Zの公判供述などがある。しかしながら,検察官の主張する過失の訴因構成に賛同することはできない。本件における過失を考えるに当たっては,被害児童死亡の時点から時間軸を遡っていき,死亡に最も近接した時点における具体的な注意義務の内実如何を検討するのが相当である。これに従って検討すると,前記認定のとおり,被告人EはB及びAと協議の上,本件川遊びを例年通りの方法で行うこととし,成人スタッフ及び児童らが全員で移動して成人スタッフ全員で川遊びをする児童の監視に当たるということを決めていたことが認められる。本件において予定されていた上記のような本件川遊びの実施計画は周到なものではなく,やや漠然としたものであったことは否めないものの,平成19年度及び同20年度に実施されたH1キャンプにおいては,いずれも川遊び場所への移動は,被告人E以外の成人スタッフ全員と参加児童全員で行い,参加児童らに準備運動をさせ,成人スタッフによる監視態勢を採った上で,児童らを入水させており,平成19年度は,川遊び場所は児童らの足が届かない深みの手前までに限定され,平成20年度は,その深みのある場所も川遊びの場所になり,そこで泳いだり,護岸ブロックの上から川面に飛び降りたりする児童もいた。その際,ライフジャケットが準備・着用されていなかったのはもとより,成人スタッフの中に水難救助の専門的な教育を受けた者はいなかったものの,成人スタッフら数名がその付近に立って,監視及び救助態勢を採っており,いずれの川遊びにおいても児童らが溺水するなどの事故は生じていない。本件川遊び場所にはスライダー状の部分の出口先に水深の深い箇所があるなど,溺水事故が発生する相応の危険性があったことは明らかであるが,そこで川遊びをすれば相当高度の確率で溺水事故が発生する程の危険性があったとはいえないと思われる。もっとも,本件キャンプに参加したのは小学3年の児童が6名,4年が6名,5年が8名,6年が2名であり,スタッフにおいて児童の体力や水泳能力等の把握もできていなかったことなどを考慮すると,本件川遊びを実施するに際しては相応の溺水事故防止策を採っておく必要があったことは多言を要しない。そこで,どの程度の溺水事故防止策を採っておく必要があったかについて検討するに,参加児童が突然予想のつかない行動に出る蓋然性があったことなどを考慮しても,その年齢などに照らし,予定していた例年どおりの監視態勢が採られ,現場に居合わせた成人スタッフから監視・救助態勢が整う前に入水しないように注意されたり,入水しようとした際に制止されたりすれば,特段の事情がない限り,その制止を振り切ってまで参加児童が入水するとは考え難い。このような事情に照らせば,被告人らが平成19年度及び同20年度と同様の監視・救助態勢を採る限り,被害児童が溺水するといった結果が生じる蓋然性は相当程度低くなっていたものと考えられる。先に認定したとおり,本件においては,例年どおりの引率手順と監視・救助態勢を採ることが予定されていた上,本件協議会側においては溺水防止のために浮き輪を準備し,これを川遊びの際に使用するものとしていたのであり,これらの措置が滞りなくなされてさえいれば,本件の結果発生は十分防ぐことができたと考えられる。本件溺水事故が発生した原因は,平成19年度及び同20年度の川遊びの際に採られていた監視態勢すら採られず,成人スタッフが児童らを引率して集団行動すべきであるのにこれを分散させた結果,監視する成人スタッフが誰1人としていない状況下で児童らに川遊びをさせたことにほぼ尽きると考えるのが相当であり,ライフジャケットの準備・着用,川遊びの場所の限定,周到な実施計画の策定・周知がなされなかったことがそもそもの原因であったとは認め難く,このような高度な結果回避義務を被告人らに負担させることは相当とはいえない。上記⑶に係る点について更に,検察官は,被告人らについて,上記のような周到な実施計画の策定,周知をしないのであれば,本件川遊びのプログラムの開始前に被告人CはAらと協議して川遊びの中止を決定すべきであり,被告人D及び被告人Eはその中止を被告人Cに進言すべきであったとも主張する。しかしながら,上記のとおり,被告人らには上記実施計画の策定・周知の義務があったとはいえず,これを前提とする中止を協議・進言・決定すべき義務が存しないのは当然である。また,本件キャンプの開始後,本件川遊びのプログラム開始までの間に,被告人らが,周到な実施計画が策定・周知されていないことが大きな問題であることに気付き,本件川遊びプログラムを中止しなければならないと判断する契機となるような事情の発生・変更も認められない。検察官の主張は採用することができない。5 予備的訴因について本件の予備的訴因は,要旨,被告人らには本件キャンプ当日,成人スタッフらと共に児童らに付き添って川遊び予定場所に入水するなどして川遊び中の児童が溺水しないように監視し,児童が溺水した場合には直ちに救助出来る態勢を採った上で川遊びをさせるプログラムを開始すべき注意義務があったにもかかわらず,その態勢を採らないまま本件川遊びをさせるプログラムを開始した過失があったとするものと解される。主位的訴因を検討した際に言及したとおり,本件川遊び場所の危険性の程度,参加した児童の年齢や行動傾向,平成19年度及び同20年度の監視・救助態勢の実情等に照らし,上記予備的訴因の掲げる注意義務の内容は基本的に妥当なものとして是認することができる。ところで,被告人らやA及びBは,平成19年度及び同20年度の川遊びにも参加したか,今回が初めての参加であるかという本件川遊び場所に関する経験値,これに伴う本件川遊びの危険性に対する認識の程度などが異なっている上,本件川遊びの企画・立案への関与にも濃淡があることに徴すると,上記内容の注意義務が被告人らやA及びBの全員に均等に課せられるかについては,なお慎重に検討する必要があると思われる。そこで,この過失を誰が課せられるかを検討する前提として,被告人ら,A及びBが本件川遊びにおける成人スタッフとして果たすことが期待されていた役割について検討する。ア 検察官は,本件キャンプは本件協議会と本件倶楽部の「共催」によるものであり,弁護人らは,本件キャンプは本件倶楽部が企画立案を行っており,本件協議会は事務的な手続に関与するものにすぎなかったと主張している。ところで,予備的訴因は,上記のとおり,本件キャンプ当日において参加児童の監視・救助態勢を採らないまま本件川遊びのプログラムを開始するという過失行為に係る注意義務が問題であるところ,本件川遊びの際の監視・救助態勢の大枠は事前に定められていたものの,成人スタッフ各人が本件川遊びの当日,現地においてどのような役割を分担して果たすべきかなどの細目的事項については定められていなかったことに徴すると,現場においてこれを適宜決定して指示・指導する者がいることが必須であり,その者の指示・指導の下で状況に即した具体的な監視・救助態勢が整えられることが予定されていたというべきである。従って,ここで問題となるのは,実質的にみて本件キャンプないし本件川遊びの当日の進行を誰が責任を持って指示・主導していくべき役割を担っていたのかということであり,これは,本件協議会と本件倶楽部との形式的な関係や,各成人スタッフの各組織における役職等の地位から離れて,実質的に定められなければならない問題である。このような視点に立って前記認定の事実経過を検討すると,本件キャンプに関する両組織の関係について以下の事実が重要であると考えられる。すなわち,①本件倶楽部は,設立当初は独自のイベントの企画運営を行っていたところ,平成12年頃,z市役所からの打診を受け,一緒にイベントを行うようになったこと,②平成16年頃から始まったイベント「H2」については,z市と各地区の受入れ団体とが連携する形で行われ,市の担当者と受入れ団体との間で協議をしながらイベント内容の企画立案を行う一方,参加者の募集や申込みの受付などの事務作業についてはz市又は本件協議会の事務局が行っていたこと,③そのイベントの一つである「H1キャンプ」についても,同様に,z市側又は本件協議会側の担当者である被告人Eと,本件倶楽部の実質的な副代表であるBとの間で打合せを重ねながら,企画立案をしてきたこと,④平成22年度の本件キャンプの企画立案についても,本件倶楽部側はBが担当し,本件協議会側は被告人Eが行ってきたが,プログラムの内容は,従前からのプログラムを基礎にBの提案に従って決まっていったこと,⑤平成19年度及び同20年度のH1キャンプは,本件倶楽部の成人スタッフが中心となって進められ,川遊びについても,本件倶楽部のPが中心となって準備運動などを行い,z市側から参加した成人スタッフは基本的にその指示に従って監視を行うなど,本件倶楽部が主体となって行っていたこと,⑥本件キャンプの2日前には,上記の様な経緯を前提に,被告人EからBに対して「地元主導でお願いします。」などと伝達がされ,本件キャンプに関しても,本件倶楽部が中心となって行っていくことが確認されたことが認められる。以上によれば,本件キャンプの企画内容は,基本的には現地の状況をよく知る本件倶楽部側の担当者であるBが提案したものを本件協議会側担当者の被告人Eが受け入れて作成されたものであり,また,本件キャンプ当日の進行についても,本件倶楽部の成人スタッフが中心となって進めていくことが予定されていたものであるから,本件キャンプの実施については,基本的にはBを中心とした本件倶楽部側の成人スタッフが主導して行うべき立場にあったものと考えられる。もっとも,本件協議会側(本件協議会設立前はz市側)においても,本件以前からH1キャンプの参加募集や申込み等の事務を担当し,その担当者であった被告人Eにおいて,Bと協議をして本件キャンプを含むキャンプの企画立案を行った上,これに2度参加して川遊びも行っていたのであるから,本件協議会が単なる参加者の募集,申込みの受付等の事務作業だけを行う立場にあったとは解されず,川遊びの危険性を含む本件キャンプの全体像を把握し,その企画内容や実施状況に問題があれば,その変更を促すべき立場にあったと考えるのが相当である。イ そして,各組織内における各成人スタッフの地位についてみると,まず,本件倶楽部内においては,その形式的な代表者はAであったものの,本件キャンプの企画立案はBが中心となって行っていたものであり,当日の進行も,基本的にはBが中心となって行われ,Aの指示で進行していた様子は窺われない。殊に,本件川遊びの開始については,BがAに一切相談することがなかったばかりか,「J」の事務室で居眠りをしていたAの所在を探そうともしておらず,B1人の判断で男子児童らのみをまず本件川遊び場所に連れていくことを決定し,他の成人スタッフにその旨の指示を出し,男子児童らの移動が始まったのであるから,Bが主導的な立場にあり,Aは,Bと並んで本件キャンプを主導すべき立場にあったとまではいえず,Bを補佐する立場にとどまっていたと考えるのが相当である。ウ これに対し,z市役所内における各成人スタッフの関係についてみると,まず,被告人Eについては,本件キャンプの企画立案に携わっただけでなく,これまでの参加経験から本件川遊びの危険性をも知っていたのであるから,本件川遊びを含む本件キャンプの全体像を把握し,その実施状況などに問題が生じた場合には,これに対処すべき本件協議会側の担当者であったと考えるのが相当である。実際にも被告人Eは,男子児童らのみを川に連れていくことになった際,確認及び指示を求めた被告人D及びUに対し,男子児童らを先に連れていくよう指示し,被告人Cに対しても本件川遊び場所への移動を指示しているのであるから,被告人Eは,Bに次いで本件キャンプを主導すべき立場にあったものと認めるのが相当である。また,被告人E以外の成人スタッフについてみると,いずれもH1キャンプには初参加であり,参加するに至った経緯も,被告人Eからの手伝いの要請を受けたり,被告人Cの提案で参加することになったにすぎない。また,本件キャンプ前日の打合せにおいて,被告人Eから,本件協議会側からの参加スタッフの本件キャンプへの係り方について,本件倶楽部が主体となるのでその成人スタッフの指示に従うように説明を受け,本件キャンプ当日も,被告人Eからの指示どおり,本件倶楽部側の成人スタッフの指示に従って行動した上,本件川遊びの開始に当たっても,Bと被告人Eの指示を受けて移動を始めたものである。このような事情に鑑みれば,被告人E以外の本件協議会側参加スタッフについては,本件キャンプを主導すべき立場にあったとはいえない。被告人Eについてア 以上を前提として,まず,被告人Eの責任について検討する。前記認定のとおり,本件キャンプの計画においては,本件川遊びを行うに当たり,成人スタッフ全員と参加児童ら全員が一緒に本件川遊び場所まで移動し,準備運動をした上で,成人スタッフによる監視態勢を整えた上で,児童らを入水させる予定となっていた(もっとも,被告人Eは別の用件に従事するため,本件川遊びには移動開始当初からではなく途中から参加する予定であった。)ところ,本件川遊びのプログラム開始の前に,アイスクリームを食べ終わった男子児童らが川遊びに気が向き,水着に着替えたり,走り回って騒いだりし始めたことなどから,BがPや被告人D,T及びUに対し,男子児童らを先に連れていくように指示をし,被告人Eにおいても,被告人Dから,男子児童らを先に連れて行っていいのか尋ねられたのに対し,男子児童らを先に連れて行き女子児童らを迎えに来るように指示し,Uから,何故別々に行くのかを尋ねられたのに対しても,女子児童らは事情があって遅れる旨の説明をして男子児童らを先に連れていくよう指示している。これらの指示により,被告人DはTと共に,男子児童らを本件川遊び場所へ連れて行き,本件川遊び場所で男子児童らを車から降ろした後,Pと共にその場を離れることになり,その場に残ったTと続いて到着した被告人C及びUについては,本件川遊び場所に移動するよう指示されただけであったため,その三者で浮き輪を膨らませる作業を始め,その結果,被害児童が,成人スタッフが誰も監視していない状況下で川に入水し,溺水するに至ったものである。以上のような経過からすれば,被害児童が溺水するに至った主要な要因は,Bが全員で移動するという当初の予定を変更して男子児童らのみを本件川遊び場所に連れていくこととした上,被告人Eにおいても,現地に残ることになるTに対し,監視態勢が整うまで男子児童らを川に入水させないように指示することも,Bに対し本件倶楽部の成人スタッフに男子児童らを監視させるように要請することもないまま,Bによる上記予定の変更を容認し,被告人Dらに対して上記移動を指示したことにあると認められる。そして,被告人Eは,前記のとおり,Bと共に本件川遊びを含む本件キャンプのプログラム全体を把握しており,Bに次いで本件キャンプを主導すべき立場にあったものである。当初の予定とは異なり,成人スタッフと児童らの全員で移動するという計画が変更され,男子児童らを先に本件川遊び場所に移動させることになり,その移動を開始する時点では,自身もBも本件川遊び場所に移動せず,被告人Dも男子児童らを川遊び場所に連れて行った後,「J」に戻るために本件川遊び場所を離れることになっており,被告人Cについてはその場におらず,Uも「J」の駐車場にいた上,本件倶楽部の他の成人スタッフであるA,X,Wについては,その所在や行動を把握していなかったのであるから,男子児童らを先に本件川遊び場所へ移動させるに当たっては,現地に向かう成人スタッフに対し,成人スタッフが揃うまで男子児童らを川に入水させないように指示しなければ本件川遊び場所において成人スタッフの監視がない状態が生じ,男子児童らが監視,救助態勢のない状態で川に入水する可能性があることは十分に予見し得たと考えられる。そして,このことは,被告人Eが供述するように,たとえPが駐車場を出発し,Vもその後から出発したのを見ていたとしても,同人らが男子児童らを監視することを被告人Eが自ら,あるいは,Bを通じて確認していない以上,自らが果たすべき役割を果たしたとはいえないというべきである。したがって,被告人Eが上記のように被告人D及びUに指示をして男子児童らのみを移動させて本件川遊びプログラムを開始するに当たっては,本件川遊び場所に残る成人スタッフに対して男子児童らが入水しないように監視しておくよう指示したり,あるいは,本件倶楽部の成人スタッフに対し,男子児童らと共に川遊び場所に移動し,その場で男子児童らが入水しないように監視しておくよう指示すべき注意義務があったというべきである。イ これに対し,被告人Eの弁護人らは,被害児童の溺水は,本件川遊び場所で男子児童らに付き添っていた成人スタッフ全員が男子児童らから目を離すという異常な行動によって発生したものであるから,被告人Eの上記行為と被害児童死亡という結果との間に刑法上の因果関係を認めることはできない旨主張する。しかしながら,前記認定のとおり,被告人Eは男子児童らを先に連れていくことを前提とする指示をしたものの,被告人Cに対しては,何らその計画の変更について伝えていない。そのため,被告人Cは,「J」から本件川遊び場所に移動するに当たり,計画が変更されて男子児童らだけを先に移動させるということは知らず,男子児童らだけでなく女子児童らを含めた児童全員が移動したものと考えており,また,「J」では被告人EとUを除き,他の成人スタッフを見ておらず,既に本件倶楽部の成人スタッフも一緒に移動したものと考えていたのであり,本件の証拠上も,本件川遊び場所において一緒に浮き輪を膨らませていたTやUから,男子児童らだけが移動したという話や,成人スタッフが現地に着いていないという話を聞いていたというような事情も窺われない。また,被告人Cは,浮き輪を膨らませている途中,児童らが気になり,本件川遊び場所を確認するために一度下流の方に状況を見に行っており,その際,児童らの状況をきちんと把握せず,元の場所に戻って再び浮き輪を膨らませる作業に入っているが,上記のとおり,被告人Cは,本件キャンプ当日は,本件倶楽部の成人スタッフの指示を受けるべき立場にあり,その成人スタッフからの指示は一切なく,むしろ,救助用に用意した浮き輪を早く膨らませないといけないと考え,それを行っていたのである。被告人Cは被告人Cなりに児童らが溺水しないようにするための準備行動をしていたとみることも可能であり,本件倶楽部の成人スタッフの指示がない状況下で率先して男子児童らを監視すべき義務があったなどということはできない。同様に,本件倶楽部の成人スタッフの指示を受ける立場にあったT及びUについても,そのスタッフからの指示は一切なく,むしろ,本件キャンプ実施において主導的立場にあるBの指示に従って本件川遊び場所に移動し,他に本件倶楽部の成人スタッフからの指示を一切受けないまま,被告人Cと共に,救助用に用意した浮き輪を膨らませていたものであるから,この両名について率先して男子児童らを監視すべき義務があったということはできない。また,VやPについては,男子児童らと行動を共にしていなかったのであるから,そもそも,男子児童らから目を離すという行動をとったものではない。結局,被告人C,T及びUの行動は,Bや被告人Eの指示によって誘発されたものにすぎず,本件の被害児童の溺水,死亡という結果はBや被告人Eの上記行為の危険性が現実化したものと認められるから,上記行為と結果との間の因果関係は否定されない。被告人Eの弁護人らの上記主張は採用することはできない。ウ また,同弁護人らは,女子児童らを監視する被告人Eに男子児童らを監視することの期待可能性はなかったと主張するが,上記のとおり,川遊び場所へ移動した成人スタッフに対して監視を指示するなどすれば足りるのであるから,期待可能性がなかったとはいえない。なお,被告人Eは,上記のとおり,z市役所の職員として,川遊びという危険性を伴う本件キャンプに継続して関わっていたものであるから,業務性が認められることは明らかである。被告人Cについて次に,被告人Cについて検討する。先に説示したとおり,被告人Cは本件川遊びを含む本件キャンプを主導すべき立場にあったとはいえず,Bや被告人Eの具体的な指示に従って児童らを監視することが期待されていたにとどまる上,事実経過に即してみても,本件キャンプ当日,B及び被告人Eが男子児童らを本件川遊び場所に向けて「J」から移動させることを決めた時点では「J」の中にいたものの,男子児童らを先に移動させると決めたBや被告人Eから何ら相談を受けることもなく,B及び被告人Eのみの判断によって本件川遊びプログラムが開始され,被告人Cが気付いた時点においては,既に男子児童らは「J」から本件川遊び場所への移動を始めていたものである。このような事実経過に鑑みれば,被告人Cが予備的訴因に掲げられた「本件川遊びプログラムを開始した」とみることはできない。従って,被告人Cの過失責任を問うことはできない。被告人Dについて更に被告人Dについて検討する。上記のとおり,被告人Dは,B及び被告人Eから,男子児童らを先に本件川遊び場所へ移動させるよう指示を受け,これに従い,本件川遊びプログラムの開始に関わったことが認められる。しかしながら,前記のとおり,被告人Dは,本件キャンプの手伝いを依頼されて本件キャンプに参加するに至ったものであり,被告人Eから,当日は本件倶楽部の成人スタッフの指示に従って行動するように指示されていたものである。そして,被告人Dは,本件川遊びプログラムの開始に当たり,本件倶楽部の成人スタッフであり,本件キャンプを主導していたBから,男子児童らを先に移動させるよう指示を受け,それが当初の予定とは異なっていたことから,Bに次いで本件キャンプの主導的な立場にあった被告人Eに改めて指示を仰いだ上で,その指示を受けて行動をしたにすぎない。このような本件キャンプにおける被告人Dの立場を前提とすれば,被告人Dには,自ら監視態勢の整備を確認したり,その確認ができない場合にはB及び被告人Eの指示を拒むなどして男子児童らの移動を取りやめさせるまでの役割が期待されていたとは認め難い。従って,被告人Dは,Bや被告人Eが男子児童らを移動させて本件川遊びが開始された際にこれに追従して本件川遊び場所まで男子児童らを搬送したにとどまるというべきであり,これをもって被告人Dに本件川遊びをさせるプログラムを開始した過失があったと考えるのは相当ではない。被告人Dについても過失責任を問うことはできない。(法令の適用)罰 条 平成25年法律第86号附則14条により同法による改正前の刑法211条1項前段刑種の選択 罰金刑を選択宣告刑の決定 罰金40万円労役場留置 刑法18条訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文(量刑の理由)本件は8歳の児童が自然の川の深みで溺れ,その生命を失うに至ったという事案である。
事案の概要
平成29年5月29日
佐賀地方裁判所
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[下級] [刑事] 平成26(わ)3  387ViewsMoreinfo
業務上過失致死
平成26(わ)3
本件キャンプへの参加児童は小学3年から6年までの児童22名であって,その遊泳能力には個人差があり,予測困難な行動に出るおそれもあった上,川遊び予定場所はj川の流れに沿った距離にして90mを超え,右に湾曲するなどしている流域であったため,川への入水場所であるスロープから川遊び予定場所の下流域を見渡すことは困難であるばかりか,水深が2mを超える場所があるなどの自然河川であったのであるから,適切な監視態勢や溺れた場合の救助態勢が整わない状態で児童らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば,児童らがj川に入水し,水流に流されて深みにはまるなどして溺水する危険があった。被告人Bは,川遊び予定場所で以前に実施された同様の体験イベントにおける川遊びにスタッフとして参加した経験などから,そのように溺水する危険があることを知っていた上,本件キャンプの企画・立案段階において,F協議会事務局側担当者と協議する中で,川遊びに際しては例年どおり本件キャンプに参加する成人スタッフ全員で川遊びをする児童らが溺水しないように監視することを確認し,同倶楽部に所属する人員の中から川遊びの監視要員として参加する成人スタッフを募るなどしていた。被告人Bは,本件キャンプ当日である同月24日,本件川遊びプログラムを開始するに際し,成人スタッフらと参加児童22名全員で前記「J」から川遊び予定場所に移動し,成人スタッフ全員で監視に当たるという予定を変更し,自らは川遊び場所には移動せず,他の成人スタッフの一部と男子児童ら17名だけを先に川遊び場所へ移動させることにした。そのような変更をするのであれば,男子児童らに付き添って川遊び予定場所に移動する成人スタッフに対し,監視,救助態勢が整うまでは児童らが前記j川に入水しないように監視するよう指示するなどして児童らが溺水しないように成人スタッフによる監視態勢を整えた上で上記川遊びプログラムを開始すべき業務上の注意義務があった。それにもかかわらず,被告人Bは,これを怠り,男子児童らに付き添って川遊び予定場所に移動する成人スタッフに対して上記指示をするなどして監視態勢を整えることをしないまま予定を変更し,他の成人スタッフに指示して他の成人スタッフの一部と男子児童ら17名だけを先に川遊び場所へ移動させて本件川遊びプログラムを開始した。この過失により,児童らの1人I(当時8歳)をj川に入水させ,同日午後3時55分頃,同河川において,同人を溺水させ,よって,同月27日午前9時38分頃,長崎県大村市 ef丁目 g 番地h所在の i 病院において,同人を低酸素性脳症により死亡させたものである。(事実認定の補足説明及び被告人Aの無罪の理由)1 当裁判所は,被告人Bに対する予備的訴因は認められるものの,被告人らに対する主位的訴因及び被告人Aに対する予備的訴因はいずれも認められず,被告人Aは無罪であると判断したので,その理由を説明する。2 被告人らに対する主位的訴因及び被告人Aに対する予備的訴因別紙のとおり3 前提事実関係各証拠によれば,本件の事実経過について,概ね次の事実が認められる。本件倶楽部は,平成6年頃,伊万里市 a 町b(以下「b」という。)地区の活性化等を目的とし,古代米「黒米」の栽培及びこれを原料とした加工品の開発促進や都市住民との交流を図るためのイベント開催等の事業を行うことを目的としてb地区に居住する住民らが構成員となって設立された団体である。本件倶楽部は,当初はz市役所とは関係なく,独自に黒米の栽培,収穫,料理等を行うイベント「農業体験スクール」などの企画運営を行っていたが,平成12年頃から,独自の企画のほかに,z市からの打診を受け,z市役所と連携して様々な企画を催行するようになった。z市は,平成16年頃から,当時のk部m課n係が所管となって,地産地消事業の一つとして,都市部の参加者を募り,z市内の農村部で地元の農産物を収穫してその料理を試食して貰うという「H2」と称する体験イベント等を各地区の受入れ団体と連携して実施することとし,本件倶楽部と一緒に行ってきた体験イベントも,その企画の一部として取り込まれることになった。本件倶楽部は,平成12年頃から,被告人Aが代表者,被告人Bが監査役に就任していたが,被告人Aが会社勤めのために日中連絡を取りづらいということから,上記体験イベントの企画立案等に関するz市側の担当者との連絡や打合せは専らz市役所の隣にあるz市Oに勤務していた被告人Bが内線電話を使用したり,同市役所を直接訪れたりして行っていた。Eはz市職員であり,平成17年4月頃から,同市k部m課n係員として,グリーン・ツーリズム,すなわち,都市部の住民を対象とした農山漁村における自然,文化,人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動を行う事業等に関する事務を担当し,z市側の担当者として,本件倶楽部との間で,上記「H2」に関する企画立案等のやり取りや打合せを全て行っていた。z市は,平成19年度から,本件倶楽部と共同して,「H2」の夏休み特別企画として「H1キャンプ」と称する都市部の小学4年から中学3年の児童を対象にしたb地区における農家への民泊を伴う農村交流を目的とする体験イベントを開催するようになったところ,この体験イベントには,公募に応じた小学1年から中学生の児童が参加すると共に本件倶楽部側の被告人Aや被告人B,z市側のEも主催者側の成人スタッフとして参加して児童らを引率した。この体験イベントでは,プログラムの一つとして,伊万里市 a 町bc番地d所在のJ(以下「J」という。)南南東約700m先のj川での参加児童らによる川遊びが行われた。この川遊び場所は,川の流れに沿って90mを超える距離があり,下流方向に向かって右に湾曲する形状になっているため,入水場所であるスロープから川遊び場所の下流域を見渡すことが困難な状態になっていた上,下流側には水の流れる岩盤がスライダー状になっている部分があり,その出口部分から流水が流れ落ちる場所の数m先には水深2mを超える場所がある流域が続いていた。この年のH1キャンプの各種プログラムは,基本的には地元団体である本件倶楽部が中心となり,z市側からスタッフとして参加した者は本件倶楽部の成人スタッフの指示に従う形で進められた模様であり,中核プログラムの1つである川遊びについては,食事の後片付け等のため,「J」に残り,後から現場に行ったEを除き,「J」から川遊び場所へは成人スタッフと参加児童全員で移動し,本件倶楽部の会員であり,救命救急士の資格を有するPが中心となって堤防の上で全員が準備運動をした上で,監視に当たる成人スタッフを各所に配置してから児童らを入水させて行われた。なお,この川遊びの最中,z市側から参加した職員のQは,児童が溺水する危険を察し,上記スライダー状になった部分の出口付近に立ち,その下流にある深みのある流域に児童らが立ち入らないように監視していた。平成20年度も前年に引き続き「H1キャンプ」が行われたところ,小学2年から中学生の児童約17名がこれに参加し,本件倶楽部側の被告人Aや被告人B,z市側のEも前年同様成人スタッフとして参加し,児童らを引率した。このイベントでも,プログラムの1つとして上記 と同じ場所で,同様の方法により川遊びが行われたが,同19年度とは異なり,Qは参加しておらず,上記のように児童らの足が届かない深みのある流域も川遊びの場所となった。その場所では,児童らは遊泳したり,数mの高さがある護岸ブロックの上から川面に飛び込んだりするなどしていたが,その周辺には本件倶楽部の成人スタッフ数名が配置について児童らの行動を監視していた。平成21年3月30日,グリーンツーリズムに関する事業を推進するため,z市内の各団体が個々に実施してきたグリーンツーリズム事業の窓口を一本化し,対外的な受入れなどの仕組みづくりの効率化を図ると共に,z市内の各団体の連携を深め,地域一体となって同事業に取り組み,その充実を図るための官民共同による団体として,F協議会(以下「本件協議会」という。)が設立され,本件倶楽部も本件協議会の会員となった。本件協議会の事務処理は,z市k部m課に置かれた事務局によって行われていたが,協議会が行うグリーンツーリズム事業の企画立案等は協議会事務局と会員が協議して行っていた。このような中で,平成21年度も,平成19年度及び同20年度に実施された例に倣ってH1キャンプが企画され,上記同様の川遊びのプログラムも予定されていたが,天候不順により中止された。平成22年4月1日,z市の組織改編に伴い,同市k部にl課が新設されると共に,同課にzF1係が新設され,これに伴い,本件協議会も同課に移管されてその事務局も同課内に置かれることになった。Cは,同日,同課課長に就任するのに伴い本件協議会の事務局長となり,Dも,同日,同課副課長兼F1係長に就任するのに伴い本件協議会の事務局員となった。Eも,同日から同課F1係員となり,本件協議会に関する事務,グリーンツーリズム体験交流の推進に関する事務等に関し主査を務めると共に本件協議会事務局の事務局員を務めることになった。このような中で,Eは,同年5月頃までに,本件倶楽部等と調整を進めながら,本件キャンプの実施を含む「H2」の平成22年度年間計画案を作成し,同月14日,本件協議会の幹事会においてその承認を得た。その後,Eは,被告人Bとの間で,電話で本件キャンプのプログラムの内容について打合せを行い,被告人Bの提案により,従前行っていたプログラムであるモクズガニ漁は取りやめることにしたが,川遊び(以下「本件川遊び」という。)を含む従前とほぼ同様の本件キャンプのプログラムを決定し,同年6月10日頃,これを記載したチラシを添付した「開催伺い」を起案し,C及びDの決裁を受けた。なお,Eは,その間の同年5月18日頃,市役所を訪れたb地区のR区長から,本件キャンプの際に行う川遊びで児童らが溺れたりする可能性があるので救助用の浮き輪を用意したらどうかという提案を受け,その後,Cと協議した上でSの忘れ物の浮き輪を準備することにすると共に,Cの指示により,参加児童への指示を明確に伝えるためにホイッスルを準備することとした。Eと被告人Aや被告人Bは,同年7月7日,b公民館において,上記R区長と共に本件キャンプについて打合せを行った。その際,Eから被告人Bや被告人Aらに本件キャンプのプログラムの内容を記載した上記チラシが交付され,本件キャンプのプログラムの内容について種々話合いがなされたところ,被告人Bの提案により,従前行っていたカブトムシ捕りをプログラムから外すことが決まり,本件川遊びに関しては,被告人Bから事前に確認した川の水量の報告を受けて,例年どおり,被告人両名を含む成人スタッフが全員で児童らの監視に当たる計画で川遊びを実施することが確認された。本件協議会が本件キャンプに参加する児童の募集を行ったところ,被害児童を含む小学3年から6年の児童22名(うち,小学3年は6名,男子児童17名,女子児童5名)の参加が決まり,Eは被告人Bに対し,同年7月15日頃,電話で参加児童が22名であることを伝えた。また,同月中旬頃までに,本件キャンプに参加する本件協議会側の成人スタッフとして,Eのほか,C,D,z市役所k部l課観光係のT及び同課F1係嘱託職員のUの参加が決まった。なお,平成19年に実施されたH1キャンプについては,z市からは,m課課長,担当者であるE及び上記Qなどが,平成20年に実施されたH1キャンプについてはm課課長及びEなどしか参加していなかったが,本件キャンプに関しては,人手が足りないので参加して欲しいというEの求めに応じてCの参加が決まり,他の成人スタッフについては,Eの手伝って欲しいとの依頼や,Cの「l課ができたのでl課みんなで参加しよう」といった提案を受けて参加が決まったものである。被告人A及び被告人Bは,平成22年7月21日,本件倶楽部の会員らを集め,会員らに対し,Eから渡された本件キャンプのパンフレットを配布して各プログラムの内容を説明し,本件川遊びの時の監視員を募ったところ,P,V,W及びXの4名が参加することが決定した。このうち,PとVは過去に川遊びプログラムに参加したことがあったが,WとXは今回が初めての参加であったところ,被告人Aと被告人Bは,例年どおりの方法で児童らに川遊びをさせれば大丈夫などと考えており,上記成人スタッフらに対し「子供を監視してほしい」などと指示をしたのみであった。Eは,同年7月22日頃,被告人Bと電話で打合せを行い,本件協議会側の成人スタッフの役割分担表を作成したことなどを伝え,被告人Bからは本件倶楽部側から参加する成人スタッフが6,7名であることを確認した上で,被告人Bに対し,「地元主導でお願いします。」などと伝えた。E,C及びDは,同年7月23日,z市k部l課において,本件キャンプに参加するT及びUと共に,本件キャンプの打合せを行った。なお,祭りに参加していたDは,10分ほど遅れて出席した。その打合せの中で,Eは,同人が作成した「危険ポイントは…川遊び中,苔のついた岩を歩いているときの転倒や深いところで溺れる可能性があるので目を離さないようにお願いします」などと注意事項が記載された役割分担表と当日のタイムスケジュールを配布すると共に,本件協議会側の成人スタッフの本件キャンプへの係り方に関しては,現地では地元の本件倶楽部の成人スタッフが主体となるのでサブ的に動いて欲しいこと,本件川遊びの際には,地元の本件倶楽部の成人スタッフが監視に就くので,その指示に従って配置に就き,地元の人と一緒に児童らを見て欲しいこと,Tには滑って下るスライダー状になった場所で監視について欲しいので水着を持ってきて貰いたいこと,川には車で全員が行くこと,深みがあって児童が溺れたりする危険があるので,児童から目を離さないようにして欲しいことなどを伝えた。本件キャンプは,本件協議会側が参加児童を引率して現地である「J」に到着するのが遅れたため,同年7月24日午前10時10分頃,予定時刻より約10分遅れで開始された。同日午後のプログラムは,午後1時30分から,班別に分かれた児童らが地元の民家を回って夕食の食材を分けてもらう「おすそ分け大作戦」,午後3時から,「J」でアイスクリームを食べる「おやつタイム」,午後3時30分からj川での本件川遊びとなっていたが,「おすそ分け大作戦」の終了が遅れ,同日午後3時を過ぎてから,「おやつタイム」となったため,川遊びを開始時刻どおりに始めるのが困難な状況になりつつあった。このような中で,被告人Aは,本件キャンプの前日夜遅くまで夏祭りに参加し,当日も早朝から本件キャンプの準備である草刈り作業をして睡眠不足であったため,「J」の事務室で椅子に座って休んでいたところ,いつの間にか眠ってしまっていた。被告人Bは,同日午後3時30分過ぎ頃,先にアイスクリームを食べ終わった男子児童らが次のプログラムである本件川遊びに気が向き,水着に着替えたり,走り回ってはしゃいだりし始める一方,女子児童らはまだアイスクリームを食べており,また,「男子児童らがいるところでは着替えたくない」などと言い出したため,男子児童らから先に川遊びの場所に連れて行くこととし,Pに対し,「J」の玄関付近でDの運転する市役所の車を本件川遊びの予定場所(以下「本件川遊び場所」という。)まで案内するように指示し,これには全員が乗り切れないので先に男子児童らを連れて行き,Dが車で女子児童らを迎えに戻る際に迂回路を案内することなどを指示した上,その場にいたD,T及びUに対しても,先導するPの後を追って,男子児童らを先に連れて行くよう指示した。Dは,これを受け,Eに対し,男子児童らを先に連れて行っていいのか尋ねたところ,Eは本件倶楽部の成人スタッフに確認の上,Dに対し,男子児童らを先に連れて行き女子児童らを迎えに来るように言った。また,Uも,Eに対し,なぜ別々に行くのかを尋ねたところ,Eから,女子児童らは事情があって遅れる旨の説明を受けた。そこで,DはT及びUと共に,男子児童らをDが運転する10人乗りワゴン車と,Tが運転する8人乗りワゴン車に分乗させ,Pが運転する車の後を追随して,D運転のワゴン車,T運転のワゴン車の順に「J」を出発し,本件川遊び場所へ向かった。Cは,その頃,「J」で休んでいたが,気が付くとD運転のワゴン車とT運転のワゴン車が出発するところであったため,慌てて外に出たところ,その場にはEとUだけが残っており,EからPが児童らの乗ったワゴン車を先導しているとの説明を受けた。Cは,男子児童らだけを先に本件川遊び場所に連れていくという上記やり取りを知らず,誰からも説明を受けなかったため,児童らと本件倶楽部の成人スタッフは全員,j川に向けて出発したと思い,Eに準備していた浮き輪が車に積載されていることを確認し,Eからホイッスルを受け取った上,待っていたUをその車に乗せ,上記2台のワゴン車の後を追ってj川へ向かった。その後,被告人Bは,「J」にまだ被告人Aがいることを確認し,さらに,本件川遊び場所にあるスライダー状の部分の出口先にある深みの手前に張ろうと考えていたロープを自宅から持ってくることを忘れていたため,これを取りに自宅に戻った。また,Vも,岩場で滑って遊ぶための肥料袋を取りに自宅に帰った。その一方で,XとWは,j川には向かわず,女子児童らと共に「J」にとどまっていた。Dは,本件川遊び場所付近で男子児童らを車から降ろした後,「J」に残してきた女子児童5名を連れに行くため,Pの案内でワゴン車を運転してその場所を後にした。そして,上記2台のワゴン車から降りてその場に残された被害児童を含む男子児童らは,本件倶楽部側の成人スタッフも,本件協議会側の成人スタッフも誰一人として川遊びの状況を監視していない状況の下でj川に入り始めた。Cは,PやDらに若干遅れて本件川遊び場所に到着し,児童らが川に入っていくのに気付いたが,男子児童らは本件倶楽部の成人スタッフらに引率されていると思っており,自分は浮き輪を膨らませないといけないと考えていたため,自動車から浮き輪などを降ろし,入水場所であるスロープ付近でT及びUと共に浮き輪を膨らませようとし,その途中で児童らの声が聞こえなくなったことに気づいて下流の方に行ってみたが,本件川遊びをする場所を確認しただけで,元の場所に戻り再び浮き輪を膨らませようとしていた。同日午後3時55分頃,被害児童が溺水した。その頃,被告人Bはロープを準備して自宅から本件川遊び場所に向かう途中であり,Eは「J」内あるいはj川に向かう途中で,女子児童らと一緒にビデオ撮影するなどしていた。また,被告人Aは,「J」で目を覚ました後,マイクロバスを運転して一人で本件川遊び場所へ向かったが,被告人Aが本件川遊び場所に着いたのは,被害児童が溺水した後であった。4 主位的訴因の検討以上の事実経過を前提に,まず,主位的訴因の当否について検討する。弁護人らも種々指摘しているとおり,主位的訴因に関しては検討すべきが点が少なからず認められるところであるが,主位的訴因の核心部分である注意義務及び過失行為の内容如何について検討する。主位的訴因の掲げる注意義務は,結論的には「児童らが溺水するのを未然に防止すべき注意義務」とされているところ,溺水防止の手段・方法としては,大要, ライフジャケットの準備を要請し,川遊びの際には児童らにライフジャケットを着用させた上,児童らの監視態勢や危険指導の方法,児童らの引率から入水させるまでの手順等の実施計画を策定し,被告人らを含む成人スタッフに周知すべきであったこと, これをしない場合には川遊びをする範囲を深みのない場所に限定した上,児童らの監視態勢や危険指導の方法,児童らの引率から入水させるまでの手順等の実施計画を策定し,被告人らを含む成人スタッフに周知すべきであったこと,これもしない場合には川遊びの中止を決定・協議すべきであったこととされ,これらの手段・方法を採らずに溺水防止の注意義務に違反した過失行為としてもの 又はものとしては「川遊びの中止について協議しなかった」こととされていると解される。そこで,以下においては,まず,に係る点を検討し,その後, に係る点を検討する。⑴ 点について検察官は,本件川遊び場所は大人でも足が届かない程深い場所が広範囲にわたって存在する危険な場所であり,参加した小学校低学年の児童らが想定外の行動に出ることが間々あることは経験則上明らかであること,本件キャンプに参加した成人スタッフの過半数は初参加者であり,参加スタッフの中には川の体験活動の専門家や水難救助の専門的な知識・能力を有している者はいなかったこと,本件キャンプ開始前にライフジャケットを準備して児童らに着用させることは可能であったことなどを根拠として,被告人らは,児童らが溺水するのを未然に防止するため,Eに児童らに着用させるライフジャケットを準備させ,本件川遊びの際にはこれを児童らに着用させることとし,それができないのであれば,本件川遊びの場所を深みのない場所に限定した上で,本件川遊びの際の監視態勢,児童らに対する事前の危険指導の方法,児童らの引率から入水までの手順等を定めた実施計画を策定し,これを成人スタッフ全員に周知すべきであったなどと主張する。そして,これに沿う証人Y及び同Zの公判供述などがある。しかしながら,検察官の主張する過失の訴因構成に賛同することはできない。本件における過失を考えるに当たっては,被害児童死亡の時点から時間軸を遡っていき,死亡に最も近接した時点における具体的な注意義務の内実如何を検討するのが相当である。これに従って検討すると,前記認定のとおり,被告人B及び被告人Aは,Eと協議の上,本件川遊びを例年通りの方法で行うこととし,成人スタッフ及び児童らが全員で移動して成人スタッフ全員で川遊びをする児童の監視に当たるということを決めていたことが認められる。本件において予定されていた上記のような本件川遊びの実施計画は周到なものではなく,やや漠然としたものであったことは否めないものの,平成19年度及び同20年度に実施されたH1キャンプにおいては,いずれも川遊び場所への移動はE以外の成人スタッフ全員と参加児童全員で行い,参加児童らに準備運動をさせ,成人スタッフによる監視態勢を採った上で,児童らを入水させており,平成19年度は,川遊びの場所は児童らの足が届かない深みの手前までに限定され,平成20年度は,その深みのある場所も川遊びの場所になり,そこで泳いだり,護岸ブロックの上から川面に飛び降りたりする児童もいた。その際,ライフジャケットが準備・着用されていなかったのはもとより,成人スタッフの中に水難救助の専門的な教育を受けた者はいなかったものの,成人スタッフら数名がその付近に立って監視及び救助態勢を採っており,いずれの川遊びにおいても児童らが溺水するなどの事故は生じていない。本件川遊び場所にはスライダー状の部分の出口先に水深の深い箇所があるなど,溺水事故が発生する相応の危険性があったことは明らかであるが,そこで川遊びをすれば相当高度の確率で溺水事故が発生する程の危険性があったとはいえないと思われる。もっとも,本件キャンプに参加したのは小学3年の児童が6名,4年が6名,5年が8名,6年が2名であり,スタッフにおいて児童の体力や水泳能力等の把握もできていなかったことなどを考慮すると,本件川遊びを実施するに際しては相応の溺水事故防止策を採っておく必要があったことは多言を要しない。そこで,どの程度の溺水事故防止策を採っておく必要があったかについて検討するに,参加児童が突然予想のつかない行動に出る蓋然性があったことなどを考慮しても,その年齢などに照らし,予定していた例年どおりの監視態勢が採られ,現場に居合わせた成人スタッフから監視・救助態勢が整う前に入水しないように注意されたり,入水しようとした際に制止されたりすれば,特段の事情がない限り,その注意や制止を振り切ってまで参加児童が入水するとは考え難い。このような事情に照らせば,被告人らが平成19年度及び同20年度と同様の監視・救助態勢を採る限り,被害児童が溺水するといった結果が生じる蓋然性は相当程度低くなっていたと考えられる。先に認定したとおり,本件においては,例年どおりの引率手順と監視・救助態勢を採ることが予定されていた上,本件協議会側においては溺水防止のために浮き輪を準備し,これを川遊びの際に使用するものとしていたのであり,これらの措置が滞りなくなされてさえいれば,本件の結果発生は十分防ぐことができたと考えられる。本件溺水事故が発生した原因は,平成19年度及び同20年度の川遊びの際に採られていた監視態勢すら採られず,成人スタッフが児童らを引率して集団行動すべきであるのにこれを分散させた結果,監視する成人スタッフが誰1人としていない状況下で児童らに川遊びをさせたことにほぼ尽きると考えるのが相当であり,ライフジャケットの準備・着用,川遊びの場所の限定,周到な実施計画の策定・周知がなされなかったことがそもそもの原因であったとは認め難く,このような高度な結果回避義務を被告人両名に負担させることは相当とはいえない。上記⑶に係る点について更に,検察官は,被告人らについて,上記のような周到な実施計画の策定・周知をしないのであれば,本件川遊びのプログラムの開始前に川遊び自体を中止することを協議すべきであったとも主張する。しかしながら,上記のとおり,被告人らには上記実施計画の策定・周知義務があったとはいえないから,本件川遊びを中止すべき義務があったとはいえず,これを前提とする協議すべき義務が存しないのは当然である。また,本件キャンプの開始後,本件川遊びのプログラム開始までの間に,被告人両名が,周到な実施計画が策定・周知されていないことが大きな問題であることに気付き,本件川遊びプログラムを中止しなければならないと判断する契機となるような事情の発生・変更も認められない。検察官の主張は採用することができない。5 予備的訴因について本件の予備的訴因は,要旨,被告人らには本件キャンプ当日,成人スタッフらと共に児童らに付き添って川遊び予定場所に入水するなどして川遊び中の児童が溺水しないように監視し,児童が溺水した場合には直ちに救助出来る態勢を採った上で川遊びをさせるプログラムを開始すべき注意義務があったにもかかわらず,その態勢を採らないまま本件川遊びをさせるプログラムを開始した過失があったとするものと解される。主位的訴因を検討した際に言及したとおり,本件川遊び場所の危険性の程度,参加した児童の年齢や行動傾向,平成19年度及び同20年度の監視・救助態勢の実情等に照らし,上記予備的訴因の掲げる注意義務の内容は基本的に妥当なものとして是認することができる。ところで,被告人らやC,D及びEは,平成19年度及び同20年度の川遊びにも参加したか,今回が初めての参加であるかという本件川遊び場所に関する経験値,これに伴う本件川遊びの危険性に対する認識の程度などが異なっている上,本件川遊びの企画・立案への関与にも濃淡があることに徴すると,上記内容の注意義務が被告人らやC,D及びE全員に均等に課せられるかについては,なお慎重に検討する必要があると思われる。そこで,この過失を誰が課せられるかを検討する前提として,被告人両名,C,D及びEが本件川遊びにおける成人スタッフとして果たすことが期待されていた役割について検討する。ア 検察官は,本件キャンプは本件協議会と本件倶楽部の「共催」によるものであり,被告人Aは本件倶楽部の代表者,被告人Bは実質的に代表を補佐する立場にあった旨主張し,弁護人らは,本件キャンプは本件協議会の主催によるものであって,本件倶楽部との共催ではなく,本件倶楽部は本件協議会の主導の下で行動すべき立場にあった旨主張している。ところで,予備的訴因は,上記のとおり,本件キャンプ当日において参加児童の監視・救助態勢を採らないまま本件川遊びのプログラムを開始するという過失行為に係る注意義務が問題であるところ,本件川遊びの際の監視・救助態勢の大枠は事前に定められていたものの,成人スタッフ各人が本件川遊びの当日,現地においてどのような役割を分担して果たすべきかなどの細目的事項については定められていなかったことに徴すると,現場においてこれを適宜決定して指示・指導する者がいることが必須であり,その者の指示・指導の下で状況に即した具体的な監視・救助態勢が整えられることが予定されていたというべきである。従って,ここで問題となるのは,実質的にみて本件キャンプないし本件川遊びの当日の進行を誰が責任を持って指示・主導していくべき役割を担っていたのかということであり,これは,本件協議会と本件倶楽部との形式的な関係や,各成人スタッフの各組織における役職等の地位から離れて,実質的に定められなければならない問題である。このような視点に立って前記認定の事実経過を検討すると,本件キャンプに関する両組織の関係について以下の事実が重要であると考えられる。すなわち,①本件倶楽部は,設立当初は独自のイベントの企画運営を行っていたところ,平成12年頃,z市役所からの打診を受け,一緒にイベントを行うようになったこと,②平成16年頃から始まったイベント「H2」については,z市と各地区の受入れ団体とが連携する形で行われ,市の担当者と受入れ団体との間で協議をしながらイベント内容の企画立案を行う一方,参加者の募集や申込みの受付などの事務作業についてはz市又は本件協議会の事務局が行っていたこと,③そのイベントの一つである「H1キャンプ」についても,同様に,z市側又は本件協議会側の担当者であるEと,本件倶楽部の実質的な副代表である被告人Bとの間で打合せを重ねながら企画立案をしてきたこと,④平成22年度の本件キャンプの企画立案についても,本件倶楽部側は被告人Bが担当し,本件協議会側はEが行ってきたが,プログラムの内容は従前からのプログラムを基礎に被告人Bの提案に従って決まっていったこと,⑤平成19年度及び同20年度のH1キャンプは,本件倶楽部の成人スタッフが中心となって進められ,川遊びについても,本件倶楽部のPが中心となって準備運動などを行い,z市側から参加した成人スタッフは基本的にその指示に従って監視を行うなど,本件倶楽部が主体となって行っていたこと, 本件キャンプの2日前には,上記のような経緯を前提に,Eから被告人Bに対して「地元主導でお願いします」などと伝達がされ,本件キャンプに関しても,本件倶楽部が中心となって行っていくことが確認されたことが認められる。以上によれば,本件キャンプの企画内容は,基本的には現地の状況をよく知る本件倶楽部側の担当者である被告人Bが提案したものを本件協議会側担当者のEが受け入れて作成されたものであり,また,本件キャンプ当日の進行についても,本件倶楽部の成人スタッフが中心となって進めていくことが予定されていたものであるから,本件キャンプの実施については,基本的には被告人Bを中心とした本件倶楽部側の成人スタッフが主導して行うべき立場にあったものと考えられる。もっとも,本件協議会側(本件協議会設立前はz市側)においても,本件以前からH1キャンプの参加募集や申込み等の事務を担当し,その担当者であったEにおいて,被告人Bと協議をして本件キャンプを含むキャンプの企画立案を行った上,これに2度参加して川遊びも行っていたのであるから,本件協議会が単なる参加者の募集,申込みの受付等の事務作業だけを行う立場にあったとは解されず,本件川遊びの危険性を含む本件キャンプの全体像を把握し,その企画内容や実施状況に問題があれば,その変更を促すべき立場にあったと考えるのが相当である。イ そして,各組織内における各成人スタッフの地位についてみると,まず,本件倶楽部内においては,その形式的な代表者は被告人Aであったものの,本件キャンプの企画立案は被告人Bが中心となって行っていたものであり,当日の進行も,基本的には被告人Bが中心となって行われ,被告人Aの指示で進行していた様子は窺われない。殊に本件川遊びの開始については,被告人Bが被告人Aに一切相談することがなかったばかりか,「J」の事務室で居眠りをしていた被告人Aの所在を探そうともしておらず,被告人B1人の判断で男子児童らのみをまず本件川遊び場所に連れていくことを決定し,他の成人スタッフにその旨の指示を出し,男子児童らの移動が始まったのであるから,被告人Bが主導的な立場にあり,被告人Aは被告人Bと並んで本件キャンプを主導すべき立場にあったとまではいえず,被告人Bを補佐する立場にとどまっていたと考えるのが相当である。ウ これに対し,z市役所内における各成人スタッフの関係についてみると,まず,Eについては,本件キャンプの企画立案に携わっただけでなく,これまでの参加経験から本件川遊びの危険性をも知っていたのであるから,本件川遊びを含む本件キャンプの全体像を把握し,その実施状況などに問題が生じた場合には,これに対処すべき本件協議会側の担当者であったと考えるのが相当である。実際にもEは,男子児童らのみを川に連れていくことになった際,確認及び指示を求めたD及びUに対し,男子児童らを先に連れていくよう指示し,Cに対しても本件川遊び場所への移動を指示しているのであるから,Eは,被告人Bに次いで本件キャンプを主導すべき立場にあったと認めるのが相当である。また,E以外の成人スタッフについてみると,いずれもH1キャンプには初参加であり,参加するに至った経緯も,Eからの手伝いの要請を受けたり,Cの提案で参加することになったにすぎない。また,本件キャンプ前日の打合せにおいて,Eから,本件協議会側からの参加スタッフの本件キャンプへの係り方について,本件倶楽部が主体となるのでその成人スタッフの指示に従うように説明を受け,本件キャンプ当日も,Eからの説明どおり,本件倶楽部側の成人スタッフの指示に従って行動した上,本件川遊びプログラムの開始に当たっても,被告人BとEの指示を受けて移動を始めたものである。このような事情に鑑みれば,E以外の本件協議会側の参加スタッフは本件キャンプを主導すべき立場にあったとはいえない。6 被告人Bについて⑴ 以上を前提として,まず,被告人Bの責任について検討する。前記認定のとおり,本件キャンプの計画においては,本件川遊びを行うに当たり,成人スタッフ全員と参加児童ら全員が一緒に本件川遊び場所まで移動し,準備運動をして,成人スタッフによる監視態勢を整えた上で,児童らを入水させる予定となっていた(もっとも,Eは別の用件に従事するため,本件川遊びには移動開始当初からではなく途中から参加する予定であった。)ところ,本件川遊びプログラム開始の前に,アイスクリームを食べ終わった男子児童らが川遊びに気が向き,水着に着替えたり,走り回って騒いだりし始めたことなどから,被告人BがPやD,T及びUに対し,男子児童らを先に連れていくように指示をしたが,その際,女子児童らを迎えに戻るDとその先導を依頼したP以外の現場に残る成人スタッフに対し,自分や他の成人スタッフが揃うまで,本件川遊び場所で男子児童らを待機させておくように指示することなく,男子児童らを本件川遊び場所へ連れていくように指示した上,自らは川遊び場所へ向かわずに自宅に川遊び場所の範囲を限定・明示するために使うロープを取りに帰っている。その結果,Dは,Eからも承諾を得た上で,Tと共に男子児童らを2台のワゴン車に乗せ,児童らを本件川遊び場所に連れて行き,到着して男子児童らを車から降ろした後は,Pと共にそれぞれ車に乗ってその場を離れることになり,その場に残ったTと続いて到着したC及びUは,本件川遊び場所に移動するように指示されただけで,本件倶楽部のスタッフらが既に本件川遊び場所にいるものと思い込み,その三者で浮き輪を膨らませ始めるなどし,これらの結果,被害児童は成人スタッフが誰も見ていない状況下で川に入水し,被害児童が溺水するに至ったものである。以上のような事実経過からすれば,被害児童が溺水するに至った主要な要因は,被告人Bが全員で移動するという当初の予定を変更して男子児童らのみを本件川遊び場所に連れていくこととし,成人スタッフが全員揃わない状況でDやTのみに指示して男子児童らを本件川遊び場所へ連れて行かせたことにあると認められる。そして,本件予備的訴因の掲記する被告人Bの業務上の注意義務の内容は「成人スタッフらと共に児童らに付き添って川遊び予定場所に入水するなどして川遊び中の児童らが溺水しないように監視し,児童らが溺水するなどした場合には直ちに救助できる態勢を採り,児童らの溺水を防止すべき」ものとされているところ,被告人Bは,先に説示したとおり本件キャンプ全体やそのプログラムの1つである本件川遊びを主導すべき立場,すなわち,自らが川遊びをする児童が溺水しないように監視し,溺水した場合には救助に当たるだけではなく,児童らの溺水を防止するための監視・救助態勢を採るように他の成人スタッフに指示すべき立場にあったものである。それにもかかわらず,被告人Bは,男子児童らを本件川遊び場所に出発させた時点において,自分は本件川遊び場所へ直ちには行かなかったばかりか,Dは「J」に戻るため,Pはその迂回路の道案内のため,いずれも男子児童らを本件川遊び場所に連れて行った後,そこを一度離れることになる指示を行い,本件倶楽部の他の成人スタッフであるV,W及びXに関しては,その行動を把握していなかったものである。被告人Bにおいて,男子児童らを先に本件川遊び場所へ出発させるに当たっては,男子児童らと共に現地に向かう成人スタッフに成人スタッフが揃うまで男子児童らが川に入水しないように監視しておく旨指示をしなければ,あるいは,本件倶楽部の他の成人スタッフを男子児童らと一緒に現地に向かわせ,男子児童らが入水しないように監視しておくよう指示をしなければ,本件川遊び場所において成人スタッフの監視がない状態が生じ,男子児童らが監視,救助態勢のない状態で川に入水する可能性があることは十分に予見し得たと考えられる。従って,被告人Bが上記指示をして本件川遊びプログラムを開始するに当たっては,監視・救助態勢を採って児童の溺水を防止すべき注意義務の一環として,本件川遊び場所に残る成人スタッフに対して男子児童らが入水しないように監視しておくよう指示すべき注意義務,あるいは,本件倶楽部の成人スタッフに対し,男子児童らと共に川遊び場所に移動し,その場で男子児童らが入水しないように監視しておくように指示すべき注意義務があったというべきである。被告人Bは上記注意義務に反して監視・救助態勢を採らないまま本件川遊びプログラムを開始したものであり,その結果,被害児童が溺水したのであるから,被告人Bが本件の責任を負うことは明らかである。これに対し,被告人Bの弁護人らは,被害児童の溺水は,本件川遊び場所においてC,T及びUが児童らから目を離したなどの異常な行為によって発生したものであるから,被告人Bの上記行為の危険性が現実化したものとはいえず,因果関係が認められないなどと主張する。しかしながら, 前記認定のとおり,被告人Bは,男子児童らを先に連れていくように指示したものの,Cに対しては,何らその計画の変更について伝えていない。そのため,Cは,「J」から本件川遊び場所に移動するに当たり,計画が変更されて男子児童らだけを先に移動させるということは知らず,男子児童らだけでなく女子児童らを含めた児童全員が移動したものと考えており,また,「J」ではEとUを除き,他の成人スタッフを見ておらず,既に本件倶楽部の成人スタッフも一緒に移動したものと考えていたのであり,本件の証拠上も,本件川遊び場所のスロープ付近において一緒に浮き輪を膨らませていたTやUから,男子児童らだけが移動したという話や,成人スタッフが現地に着いていないという話を聞いていたというような事情も窺われない。また,Cは,浮き輪を膨らませている途中,児童らが気になり,本件川遊び場所を確認するために一度下流の方に状況を見に行っており,その際,児童らの状況をきちんと把握せず,元の場所に戻って再び浮き輪を膨らませる作業に入っているが,上記のとおり,Cは,本件キャンプ当日は,本件倶楽部の成人スタッフの指示を受けるべき立場にあり,その成人スタッフからの指示は一切なく,むしろ,救助用に用意した浮き輪を早く膨らませないといけないと考え,それを行っていたのである。同様に本件倶楽部の成人スタッフの指示を受ける立場にあったT及びUについても,スタッフからの指示は一切なく,むしろ,本件キャンプ実施において主導的立場にある被告人Bの指示に従って本件川遊び場所に移動し,他に本件倶楽部の成人スタッフからの指示を一切受けないまま,Cと共に救助用に用意した浮き輪を膨らませることに没頭していたものである。結局,C,T及びUの行動は,被告人Bの指示,すなわち,成人スタッフ及び児童らに分散行動をさせ,監視・救助態勢を採らないまま本件川遊びプログラムを開始するという指示によって誘発されたものであり,本件の被害児童の溺水,死亡という結果は被告人Bの上記行為の危険性が現実化したものと認められるから,上記行為と結果との間に因果関係があることは明らかである。本件川遊びは成人スタッフと参加児童が全員で移動し,被告人Bの指示・指導の下,成人スタッフ全員で監視・救助態勢を採ることが予定されていたものであり,その前提を覆して本件川遊びプログラムを開始した被告人BがCら3名のみで児童の監視態勢を採ることを期待し,被害児童が溺水する事故が発生したのはCら3名が児童を放置して監視していなかったからであるなどと言い募るのは責任転嫁を図るものと言わざるを得ない。7 被告人Aについて次に,被告人Aについて検討する。先に検討したとおり,被告人Aは,形式的には本件倶楽部の代表者の地位にあったものの,本件キャンプや本件川遊びの指示・指導の面に関しては被告人Bを補佐する立場にあったにとどまっており,現に本件キャンプ当日,被告人B及びEが男子児童らのみを川遊び場所に向けて「J」から出発させることを決めるまでの時点において,被告人Bから何ら相談を受けていない。被告人Aは,監視・救助態勢が整わないまま本件川遊びプログラムを開始することに何ら関与しておらず,「J」の事務室で転寝をしていた被告人Aが目を覚ました時点においては,既に男子児童らは「J」から本件川遊び場所に移動していたものである。このような事実経過に鑑みれば,被告人Aが予備的訴因に掲げられたように,「本件川遊びプログラムを開始した」ものとみることは困難であり,被告人Aの過失責任を問うことはできない。(法令の適用)罰 条 平成25年法律第86号附則14条により同法による改正前の刑法211条1項前段刑種の選択 罰金刑を選択宣告刑の決定 罰金70万円労役場留置 刑法18条訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文(量刑の理由)本件は,8歳の児童が自然の川の深みで溺れ,その生命を失うに至ったという事案である。
事案の概要
平成29年5月29日
佐賀地方裁判所 刑事部
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