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カテゴリー > 総合裁判例集 (東京地方裁判所 ; アーカイブ : 平成31年2月 ; 降順 ; 裁判年月日で整列)

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事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[知財] [民事] 平成29(ワ)27741  170ViewsMoreinfo
損害賠償請求事件(著作権・民事訴訟)
平成29(ワ)27741
本件は,原告が,自ら制作した別紙・タイプフェイス目録1及び2記載の各タイプフェイス(以下「本件タイプフェイス」という。)につき著作権を有するところ,被告において配給上映した映画の予告編やパンフレット,ポスター,ポストカード,Tシャツ等に本件タイプフェイスの一部の文字を無断で利用したことが,25上記著作権(支分権としては複製権の主張と解される。)の侵害に当たると主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償金400万円(966万2000円の一部請求)及びこれに対する不法行為後の平成29年1月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
事案の概要
平成31年2月28日
東京地方裁判所
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[知財] [民事] 平成30(ワ)19731  209ViewsMoreinfo
発信者情報開示請求事件(著作権・民事訴訟)
平成30(ワ)19731
本件は,原告が,自身の両脚を撮影した2枚の写真について著作権及び著作者人格権を有するところ,氏名不詳者により,インターネット上の電子掲示板に,当該2枚の写真を複製した画像のアップロード先であるURLが無断で投稿されたことにより,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたことが明らかであると主張して,特定電気通信役務提供25者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項の開示関係役務提供者である被告に対し,同項に基づき,その保有する発信者情報の開示を求める事案である。
事案の概要
平成31年2月28日
東京地方裁判所
詳細/PDF
HTML/TEXT
[知財] [民事] 平成29(ワ)16958  253ViewsMoreinfo
損害賠償請求事件(著作権・民事訴訟)
平成29(ワ)16958
本件は,原告が,被告による別紙被告DVD目録記載のパッケージ内のDVD5(以下「被告DVD」という。)の作成,配布等が,主位的には,映画の著作物又は編集著作物である,別紙原告DVD目録記載のパッケージ内のDVD(以下「原告DVD」という。)に関して原告が有する複製権及び翻案権並びに同一性保持権を侵害すると主張し,予備的には,言語の著作物である,原告DVDのスクリプト部分(音声で流れる言語の部分)に関して原告が有する複製権,翻案権及び10譲渡権並びに同一性保持権を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条に基づく損害賠償金及び遅延損害金の支払を求める事案である。
事案の概要
平成31年2月28日
東京地方裁判所
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[下級] 平成29(行ウ)568  235ViewsMoreinfo
損害賠償請求権行使請求事件
平成29(行ウ)568
本件は,東京都知事である小池百合子(以下「小池知事」という。)が,平成28年8月31日,同年11月7日に予定されていた東京都中央卸売市場築地市場(当時。以下「築地市場」という。)を東京都中央卸売市場豊洲市場(以下「豊洲市場」という。)に移転することを延期する旨を表明した結果,東京都が築地市場を改良するための費用として同月8日から平成29年4月20日までの間に6197万6232円を支出することとなった(以下,上記の支出に係る支出命令を総称して「本件各支出命令」という。)ところ,豊洲市場への移転を延期した小池知事の判断は,合理的な根拠がなくその裁量権を逸脱した違法なものであって,東京都に対する不法行為を構成するものであり,上記の支出は,予定どおり築地市場を豊洲市場に移転していれば不必要な費用であったから,東京都は小池知事に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらずこれを行使することを怠っているとして,原告らが,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づき,被告が小池知事に対して6197万6232円及びこれに対する上記の金員に係る最終の支出があった日である平成29年4月20日の翌日である同月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう義務付けることを求める事案である。
事案の概要
平成31年2月26日
東京地方裁判所
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[知財] [民事] 平成29(ワ)15776  127ViewsMoreinfo
商標権侵害行為差止等請求事件(商標権・民事訴訟)
平成29(ワ)15776
本件は,別紙原告商標権目録記載の商標(以下「原告商標」という。)の商標権(以下「原告商標権」という。)を有する原告が,別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)に付された別紙被告標章目録記載の被告標章1(1)及び 1(2)並びに被告標章2(以下,被告標章1(1)及び(2)を併せて「被告標章1」といい,これらと被告標章2を併せて「被告各標章」という。)15が原告商標と類似することから,被告が被告商品を販売等する行為は,原告商標権を侵害すると主張して,被告に対し,商標法36条1項に基づき,被告各標章を付した腕時計(主位的請求)又は被告商品(予備的請求)の販売等の差止めを求めるとともに,民法709条,商標法38条3項に基づき,損害賠償金55万3486円(実施料相当額5万3486円及び弁護士費用50万円の20合計額)及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年3月1日(被告商品販売終了日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
事案の概要
平成31年2月22日
東京地方裁判所
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HTML/TEXT
[知財] [民事] 平成30(ワ)6962  227ViewsMoreinfo
不正競争行為差止請求事件(不正競争・民事訴訟/イヤーパッド及び該パッドを具えたイヤホーン)
平成30(ワ)6962
本件は,別紙2物件目録記載の製品(以下「原告製品」という。)を製造,販売20又は使用(以下,併せて「製造等」という。)をする原告が,被告において,原告の製造等に係る原告製品につき,被告が保有し,又は保有していた別紙3特許権目録記載1及び2の各特許権並びに別紙4意匠権目録記載の意匠権を侵害する旨を告知し,又は流布しているとし,この行為は,不正競争防止法2条1項15号に定める不正競争に該当すると主張して,被告に対し,同法3条1項による差止請求権に基づき,上記25の行為の差止めを求める事案である。
事案の概要
平成31年2月20日
東京地方裁判所
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[知財] [民事] 平成29(ワ)10909等  219Views
損害賠償等請求事件(本訴),損害賠償請求反訴事件(反訴)(著作権・民事訴訟)
平成31年2月15日
東京地方裁判所
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[知財] [民事] 平成30(ワ)37538  193ViewsMoreinfo
発信者情報開示請求事件(著作権・民事訴訟)
平成30(ワ)37538
本件は,別紙レコード目録に係る各レコードの送信可能化権を有すると主張する原告らが,氏名不詳者が上記各レコードを圧縮して複製したファイルをコンピュータ内の記録媒体に記録して蔵置し,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して自動公衆送信し得る状態にした行為により上記送信可能化権を侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信20者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。
事案の概要
平成31年2月12日
東京地方裁判所
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HTML/TEXT
[知財] [民事] 平成28(ワ)26612等  205ViewsMoreinfo
パブリシティ権侵害等差止等請求事件,著作権侵害差止等請求事件(その他・民事訴訟)
平成28(ワ)26612等
本件ブランドの日本における成功は,被告の努力によるものであって,原告ジルの氏名の顧客吸引力によるものではなく,原告ジ15ルの肖像等は,被告の有する商標と離れた独自の顧客吸引力は有しない。イ 被告表示1及び2は,商品等の広告として使用するものではなく,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものということはできない。被告表示1及び2は,被告ウェブサイトのCONCEPTページに掲載されていたものであるが,同ページは本件ブランドの来歴を示すものであり,原20告ジルの顧客吸引力の利用を目的とするものではない。実際に,被告表示1~4を被告ウェブサイトから削除した前後で被告の売上げに変化はないことからしても,被告表示1~4に特段の価値がないことが明らかである。なお,被告英語版ウェブサイトは,被告ウェブサイトの管理のために利用するためのものであって,広告を目的とするものではない。25(2) 争点1-2(原告らによる同意,承諾の有無等)について(被告の主張)原告らは,平成27年9月に本件仮処分を申し立てるまで,被告が被告表示1~4を使用することを許諾していた。被告は,平成9年3月の日本1号店の開店に先立ち,伊藤忠ファッションシステムを介して,原告側から,被告表示3の経歴部分のベースとなった原告ジ5ルの英文の経歴と,被告表示3の括弧で引用された2つのコメントを含む英文のコメントを,原告ジルの写真とともに受領し,これらを積極的に使用するよう伝えられた(乙80)。被告は,それ以降,被告表示1,3及び4を用いて本件ブランドの経緯の説明を行ってきた。平成14年10月18日付けの期限付き商標権譲渡契約書(甲14)及び乙107及び19の終了合意書においては,被告の広告及び販売促進活動についてトラストが承認する権利はなく,被告がトラスト等に対して将来的に支払わなければならないのは期限付き商標権譲渡契約の対価のみであることが確認されている。期限付き商標権譲渡契約の対価には,被告ウェブサイトにおいて被告表示1,3及び4を用いて本件ブランドの経緯を説明するなど,被告の広告及15び販売促進活動において原告ジルの肖像等を使用する対価や,個々の被告商品のデザインについて原告ジルが現在でも関与又は推奨していると消費者が理解するような表示をすることの対価が含まれている。また,被告表示2に関し,被告は,平成15年に,原告会社代表者である甲から同表示2に係る写真をポジフィルムとともに手交され,本件ブランドの経20緯を説明する際に使用する原告ジルの肖像写真の差替えを求められたことから,同表示を用いるようになった(甲83,乙23~25,80)。乙7及び19の終了合意後に被告表示2の写真が被告に提供されたことは,原告らが被告製造商品について原告ジルの紹介を行うことを自ら求めていたことを示している。25被告前代表者乙(以下「乙」という。)は,平成17年頃に甲に会った際,本件ブランドの日本語のウェブサイトを開設する意向であることを伝え,了承を得て,平成18年に同サイトを開設した。甲によるウェブサイト開設の了承には,被告ウェブサイトに原告ジルの経歴とコメントを掲載することについての承諾が含まれている。その後,平成19年4月13日に商標権譲渡契約が締結され,被告は,トラ5ストから,本件ブランドの関連商標をこれに関連するグッドウィルとともに譲り受けた。被告はそれ以前から被告ウェブサイトにおいて被告表示1~4を使用していたにもかかわらず,同契約の際に同各表示の使用に関する規定は何ら置かれなかったことによれば,原告らが被告表示1~4を使用することについて同意又は承諾をしていたことは明らかである。10トラストは,米国訴訟1において,被告ウェブサイト上のバナーに記載されていたヤシの木の柄の利用を問題としていたから,被告ウェブサイトを継続的に確認していたことが明らかである。にもかかわらず,原告らは,本件仮処分命令申立てに至るまで,一度も被告表示1~4を問題視したことはなかった。以上によれば,少なくとも本件仮処分命令の申立てに至るまでは,原告らは15被告による被告表示1~4の使用を許諾していたということができる。(原告らの主張)原告ジルは被告に対して被告表示1~4の使用を承諾したことはない。原告らは,被告に直接被告表示3~5を交付していないし,被告が指摘する乙7及び乙19の終了合意書は,伊藤忠ファッションシステムが契約関係から20離脱して従前の金銭支払を清算する目的で締結されたものであり,被告が指摘する条項は,原告ジルの肖像等の利用許諾とは関係がない。被告表示2に関し,甲は,原告ジル自身を紹介する目的で同表示に係る肖像写真を付与したものであり(そのため,他のマスメディアにも交付され,利用されていた(甲83)。),被告商品の広告及び販売促進のために交付したも25のではない(甲77)。そもそも,原告らが被告表示2の写真を提供した平成15年に被告ウェブサイトは存在していなかったから,被告表示1及び2を被告ウェブサイトで使用することは当事者双方とも想定していなかった。被告は,平成19年2月頃,基本合意書に基づき原告会社等と本件ブランド全体の買取りを交渉したにもかかわらず,あえて商標権譲渡契約により特定の商標権等に限定して譲り受けることにしたのであるから,原告ジルの肖像等の5利用許諾権など,それ以外のものは譲渡対象から意識的に除外されているものである。原告ジルのようなセレブリティを宣伝広告に起用する場合,多額のライセンス料を規定する契約を締結するのが一般であるから,こうした契約が締結されていないことは,原告らが被告に原告ジルの肖像等の利用を許諾していないことを示している。10そして,甲は,被告と良好な関係にあることを前提として,被告表示2の写真を被告に提供し,個人デザイナーとしての原告ジルに言及することや,個人デザイナーとしての原告ジルの経歴を公表することに使用する権原を被告に与えたにすぎない(甲77)。甲は,被告と原告らの関係が解消した後に使用する権原を付与したものではないので,被告による被告表示1及び2の使用は15その交付目的及び許諾範囲を逸脱する。被告が指摘する米国訴訟2における主張に関しては,修正サービス契約が有効であることを前提としていたため,被告による被告表示1~4の使用行為に異議を唱えることを控えていただけであって,それを黙認した事実はない。原告らは,被告各表示の使用を黙認したことはなく,継続的に被告の行為を問題20としてきた。被告は,修正サービス契約の終了によって,原告ジルが自己の肖像等を何らの関与もしていない被告商品の広告に使用することを許容する意思を有しないことを当然に知り,又は知り得べきであった。このため,仮に原告ジルによる許諾があったとしても,同契約の終了により,その許諾は終了した(甲38)。25なお,原告らは,被告に対し,商標権譲渡契約に基づく譲渡対象商標を単に商標として使用する行為につき,異議を唱えるものではない。2 争点2(品質等誤認惹起行為該当の有無)について(原告らの主張)原告ジルの氏名及び肖像写真は,日本の新聞,雑誌等に頻繁に取り上げられるなどして(甲8,10,27~34),日本でも著名であるから,被告表示1~54が被告ウェブサイトで表示されれば,消費者等は,原告ジルが被告商品のデザイン等に関与又は推奨していると認識する。また,被告表示5の内容からして,これに接した消費者等は,被告表示1~4もあいまって,原告ジルや原告会社が被告と提携関係を有しており,被告商品のデザイン等に関与又は推奨していると認識する。10被告は,平成25年2月26日をもって修正サービス契約を解除し,同日以降,原告らと被告との間には提携関係を含む何らの契約関係もないのであるから,被告表示1~5は事実に反するものである。そして,被告商品のようなブランド商品は,誰のいかなるデザイン等によるものであるか,あるいは誰に推奨されているかなどの点が,商品価値に関し極めて重要性を有するから,被告表示1~5の15意味内容が事実に反することは,被告商品の品質,内容について高い商品価値を有するものであるかのように消費者等に誤認させる表示であるといえる。したがって,被告表示1~5は,いずれも,消費者等に対し,被告商品の品質,内容について誤認させるような表示であるから,被告が被告ウェブサイトで被告商品の広告に被告表示1~4を使用し,被告商品に被告表示5を付し又は被告表20示5を付した被告商品を販売等する行為は,不競法2条1項14号の不正競争行為に該当する。(被告の主張)原告が主張する被告の行為は,不競法2条1項14号の不正競争行為に該当しない。25被告表示1の使用方法には様々な態様があり得るのであり,消費者等が同表示により原告ジルが被告商品のデザイン等に関与又は推奨していると認識するとは考えられず,CONCEPTページが本件ブランドの来歴を示すためのものにすぎないことは前記のとおりである。また,消費者等は,被告表示5により,被告商品が原告らの企画・製造でなく,被告の企画・製造に係る製品であることを正しく認識するにすぎない。5原告ジルは,我が国において著名なわけではなく,消費者等は原告らの関与・推奨があるから被告商品を購入するということはないから,被告表示1~5は,公的機関による品質・内容の保証のような場合とは異なり,消費者等に商品の品質につき誤認を生じさせるものとはいえない。3 争点3(信義則違反ないし権利濫用の成否)について10(被告の主張)修正サービス契約の解除と被告表示1~5の使用には関連性がないが,仮に何らかの関連があるとしても,被告が同契約を解除したのは,同契約に基づいて提供されるべきサンプルが原告らから提供されなかったことに起因するのであり,また,第1事件の訴訟は,インポート商品の品質が悪く,原告らが手掛けるビジ15ネスが成功していないため,原告らが被告に金銭の無心をするために提起したものであるから,原告らが同契約の終了を理由として被告表示1~5の使用の差止めや損害賠償等を求めることは,信義則に反し,権利濫用に当たる。(原告らの主張)被告は,自ら修正サービス契約を解除しておきながら,原告会社が同契約の終20了に基づく効果を主張することが信義則に反し,権利濫用に当たるなどと主張するが,失当である。原告会社は,世界20か国以上で事業を展開し,多額の売上げを上げているから,被告に金銭の無心などするはずもない。原告会社は,原告ジルが発信する各シーズンのデザイン作品を軸として,統一的なブランドイメージ戦略の下で世界各国において事業を展開しており,ブランドイメージを維持し25保護する責任を負っていることから,被告の権利侵害行為を看過することができず,やむなく本訴の提起に及んだのである。4 争点4(差止めの可否及び必要性)について(原告らの主張)(1) 営業上の利益の侵害の存否被告の不正競争行為により,原告らの営業上の利益が侵害された。5品質等誤認惹起行為により営業上の利益を侵害される者とは,当該行為者の直接の具体的な競業者に限定されず,消費者保護の観点から請求権の適切な行使を期待し得るような,同業者も含め実質的な営業上の利害関係を有する者をも広く含むと解すべきである。商品のデザインは,ファッションデザイナーにとって核となる極めて重要な10要素であり,自己がデザイン等に関与していない商品について関与したと誤解されること自体が深刻な損害であり,これにより原告らの営業上の信用は毀損(希釈化)された。とりわけ,被告が平成27年5月15日,同年8月末頃に子供服に関する被告ブランド3を含む9つのブランド事業を廃止する旨の発表をしたこと(甲2153~25,39)により,本件ブランド関連事業の縮小・廃止に原告ジル本人が関係しているかのような誤解を生ぜしめたことによる営業上の信用毀損の程度は大きかった。原告らの営業上の利益が侵害されたことは,消費者アンケート(甲130の47頁図表D11)の結果に照らしても,明らかである。(2) 差止めの必要性20被告は,本件仮処分決定後も被告表示5を商品タグに付した被告商品を店舗に陳列,販売し,また,被告を主要事業子会社とする株式会社TSI(以下「TSI」という。)は,被告表示1を表示する英語版被告ウェブサイトを継続するなど,本件仮処分決定に実質的に違背する行為を公然と行っている。また,被告は,被告表示1及び2により原告ジルのパブリシティ権を侵害したこと及25び被告表示1~5により原告らの営業上の利益を侵害する品質等誤認惹起行為を行ったことをいまだに争っているのであるから,現在においても,被告が上記各行為を行うおそれがある。(被告の主張)(1) 営業上の利益の侵害の存否品質等誤認惹起行為により営業上の利益を侵害される者であるというため5には,当該行為をする者の同業者(競争事業者)であることが必要とされるが,原告らは,トラストを介して本件ブランドに関する商標権等を被告に譲渡しており,日本において被告商品と競合する製品についての営業をしていないから,被告表示1~5により原告らの営業上の利益が侵害されることはなく,原告らの営業活動に関する経済上の社会的評価が低下したことを示す証拠もない。10被告は,原告ジルの氏名に係る商標を譲り受け,これを使用することができるのであるから,仮に被告がそれらを使用することによって被告と原告らとの結びつきに関して消費者等に誤解が生じたとしても,原告らはそのことを許容しているというべきであるから,被告表示1~5の使用によって原告らの営業上の信用が毀損されることはない。上記アンケートは,調査方法が不適切であ15るから,証拠とはなり得ない。(2) 差止めの必要性ア 被告表示5の使用等の差止請求に関し,被告は,本件執行により執行官保管されている商品タグ及び同商品タグを付した被告商品の廃棄については認諾しており,本件執行官保管に係る商品タグ以外に,被告表示5を付した20商品タグや,同商品タグを付した被告商品は存在しない。被告表示5は,平成9年頃に伊藤忠ファッションシステムを介して原告側から記載するよう求められたもので,本件仮処分申立てまでの間,原告側から修正を求められたことがなかったために継続使用していたにすぎない。被告表示5は,本来被告には不要な表示であって,既にこれを削除する対応を25取っており,被告が,コストをかけて再度被告表示5を使用することはあり得ない。このため,被告が被告表示5を継続して使用するおそれはない。イ 被告表示1の使用の差止請求に関し,被告は,被告ウェブサイトにおいて,本件ブランドの由来を説明するのに必要な範囲で同表示を使用する可能性があるものの,それ以外の態様で使用する意向はない。5原告らの前記第1の1(1)の差止請求が認容されるためには,被告ウェブサイト及び被告英語版ウェブサイトのいずれの場所に被告表示1を掲示した場合でもパブリシティ権侵害に該当することを主張立証しなければならないが,被告表示1のみでパブリシティ権侵害が生じるとはいえないことは明らかである。被告表示1のみを切り離し,そのウェブサイトにおける使用10を一律に禁止するとすれば,被告が正当に保有する商標の使用との実質的区別が困難となってしまい相当でない。(3) 請求適格原告会社は,パブリシティ権の利用許諾を受けた者にすぎないから,パブリシティ権に基づく固有の差止請求権を有しない。155 争点5(被告の故意,過失の有無)について(原告らの主張)被告は,原告ジルがデザインした高級織布を使用し,また,原告らから正式なデザインの供給や承認を受ける場合には,修正サービス契約に従い正規の適正な費用を支払う手続が必要であることを十分に認識していたにもかかわらず,原告20会社との修正サービス契約を解約することによって原告らと何ら事業上の関係がなくなった後も,被告表示1~4を被告ウェブサイトに表示して被告商品の宣伝広告を行い,また,被告表示5を被告商品に付して全国的に販売活動を展開していたのであるから,被告は,故意に又は意図的に,原告ジルのパブリシティ権を侵害し,不正競争行為を行ったことは明らかであるし,少なくとも被告に過失25が認められる。(被告の主張)否認する。修正サービス契約の解除と被告表示1~5の使用の可否とは無関係である。被告に対し被告ウェブサイト等において原告ジルの紹介をするように求め,被告表示5を商品タグに付すことを求めたのは原告らであり,被告は,本件仮処分の申立てに至るまで被告表示1~5の使用の停止を求められたことはな5かったのであるから,被告にはパブリシティ権侵害や不正競争行為についての故意はもとより過失もない。6 争点6(原告らの損害及び損害額)について(原告らの主張)(1) パブリシティ権侵害に基づく使用料相当損害10ア 損害の内容原告らは,パブリシティ権としての肖像等の利用につき許諾を与える排他的権限を有するから,被告による被告表示1及び2の無断使用により,原告ジルの肖像等のパブリシティ価値(顧客吸引力)に係る営業上の利益が害され,その使用料相当の損害を被った。15イ 使用料相当損害額の算定方法パブリシティ権侵害による損害額の算定には著作権法114条3項が類推適用され,原告らは,原告ジルのパブリシティ権を侵害したことに基づく損害賠償として,被告に対し,使用料相当損害額を請求することができる。使用料相当額の算定は,原則として侵害品の売上高に実施料率を乗じて算定20するのが相当であるので,本件における使用料相当損害額は,被告の売上高に相当使用料率を乗じて算定されるべきである。ウ 被告の売上高の対象及び期間被 告 の 「 JILLSTUART 」 ブ ラ ン ド , 「 JILLSTUART White 」 及 び「JILLSTUART/NEWYORK」ブランドに関する被告の売上高は,年間約40億円25であるから,修正サービス契約終了日である平成25年2月26日から平成28年2月5日の本件仮処分申立事件の審尋期日までの約3年間の売上高は120億円を下らず,また,被告のパブリシティ権侵害行為が一応中断された上記審尋期日から平成29年12月31日までの約2年間の売上高は,80億円を下らない。被告ウェブサイトにおける原告ジルのパブリシティによる被告商品への5広告効果は,被告ブランド1に係る商品はもちろん,被告ブランド2に係る商品や被告ブランド3に係る子供用ファッション分野の各種商品にも及び,これら全ての売上高が考慮されるべきである。また,原告ジルのパブリシティの無断使用の結果,消費者等に原告らが被告と提携しているなどの誤認が生じたことによる広告又は需要喚起の効果10は,その性質上当然に,かかる行為が一応中断された後であっても,打消し表示の効果が生じるまで,相当期間安定的に存続する。このため,売上高の対象期間には,パブリシティ権侵害行為が一応中断された後の期間も含めるべきである。エ 相当使用料率15本件においては米国におけるパブリシティ・ライセンス契約所定のロイヤリティ料率の例に徴して相当使用料率を算定するのが合理的であるところ,米国におけるセレブリティ・エンドースメント・ライセンシングにおけるロイヤリティ料率の中間値は,安定的に5%であるとされている(甲131)。そして,いわゆる侵害プレミアムを十分に考慮すべきであることや,被告の20パブリシティ権侵害行為が一応中断された後は,広告効果が時間の経過とともに漸減するとも考え得るため,パブリシティ権侵害行為が継続されていた期間における相当使用料率の半分程度をもって相当使用料率とするのが合理的であることを併せ考慮すれば,本件の相当使用料率を,平成25年2月26日から平成28年2月5日頃までの間は6%,同日頃から平成29年1252月31日までの間は3%とするのが相当である。オ 使用料相当損害額以上によれば,平成25年2月26日から平成28年2月5日頃までの期間の損害額は7億2000万円(=120億円×0.06),同日頃から平成29年12月31日までの損害額は2億4000万円(=80億円×0.03)となり,損害額合計は9億6000万円であるが,本訴では,このう5ち5億9353万9980円を請求する。この損害賠償債権は,原告らの不真正連帯債権となる。(2) 積極損害原告らは,被告のパブリシティ権侵害行為及び不正競争行為(前記のとおり,原告らには被告の不正競争行為により営業上の利益が侵害された。)により,10以下のとおり,合計3654万4020円の積極損害を被ったので,そのうち654万4020円を請求する。この損害賠償債権も,原告らの不真正連帯債権となる。ア 侵害調査費用 12万9060円(ア) 本件仮処分申立てに当たり購入した被告商品代 1万8900円(甲1158,19)(イ) 本件仮処分申立てが認容される見込みが強くなった平成27年末に,証拠の保全のために購入した被告商品代 10万7460円(甲70)(ウ) 本件仮処分決定直後に被告の遵守状況を調査した際,被告の違反行為に係る証拠の保全のために購入した被告商品代 2700円(甲88)20イ 本件執行費用 8万4000円(甲92,93)ウ 消費者アンケート調査報告費用・評価報告費用 633万0960円(甲186)(ア) 消費者アンケート調査報告費用 492万4800円(甲186)原告らは,本件訴訟において,被告の不正競争行為による原告らの営業25上の利益の侵害の発生,被告のパブリシティ権侵害行為及び不正競争行為の故意性や意図性,被告のパブリシティ権侵害における相当使用料率,原告らのパブリシティ価値の毀損や営業上の信用の毀損等について,被告が争ったため,これらを客観的かつ具体的に立証するため,消費者アンケート調査(以下「原告アンケート調査」という。甲130)を実施せざるを得なかったから,これは,被告のパブリシティ権侵害行為や不正競争行為5と相当因果関係のある積極的損害に当たる。(イ) 被告のアンケートの評価報告費用 140万6160円(甲187)原告は,原告アンケート調査に対する反対証拠として被告が提出した衣類・服飾雑貨に関するアンケート調査(以下「被告アンケート調査」という。乙78,81)に対し,更に反証するため,しかるべき調査機関の検10討を委託して評価報告書(甲158)を提出せざるを得なかったから,これも,被告のパブリシティ権侵害行為や不正競争行為と相当因果関係のある積極的損害に当たる。(3) 弁護士報酬相当額 3000万円(4) 消滅時効について15被告の消滅時効の成立の主張は争う。修正サービス契約締結終了前後において,原告らが被告表示1及び2が使用されていることを認識していたことの立証はない。なお,原告らは,予備的に,上記損害賠償債権額と同額の不当利得返還請求を主張する。20(被告の主張)(1) パブリシティ権侵害に基づく損害について全て争う。ア 損害の内容について使用料相当損害に加えてパブリシティ価値毀損による損害が認められる25ためには,使用料相当損害額では損害が填補できないといった事情が必要である。被告による被告表示1及び2の使用は,もともとは原告側が同意していたものであって,原告ジルの肖像等の顧客吸引力を毀損するような使用態様ではないから,パブリシティ価値毀損による損害は認められない。イ 使用料相当損害について被告は,本件ブランドに係る商標の商標権者であり,被告における本件ブ5ランドの売上げは,被告の商標及び被告が企業努力により築き上げたブランドを源泉としているものであって(第2乙82),原告ジルのパブリシティ権を源泉とするものではないから,無権原者による権利侵害と同視し得るものではなく,パブリシティ権侵害に基づく損害賠償額は,被告の売上高をベースとして算定すべきものではない。また,原告らが各自損害賠償請求をす10ることができる根拠も不明である。原告ジルの認知度は,東京及び名古屋で1%弱,大阪に至っては0%であること(第2乙78,81)等からして,原告ジルのパブリシティ権侵害が仮に認められたとしても,その損害額は極めて少額となる。(2) 積極的損害について15全て争う。原告らの不真正連帯債権となる根拠も不明である。ア 侵害調査費用について原告らが10点もの商品を購入する必然性はないし,原告らはこれらの商品を保有しているから,購入代金全額を損害と解すべきではない。イ 執行費用について20執行費用のうち,予納金(甲92)は,そこから実際に出費があって初めて損害となり得るものである。また,原告らは,本件仮処分命令が発令されたことから,被告が各店舗の従業員に被告表示5の除去を指示する対応を取ったことを知りながら,千葉そごうの店舗の従業員が商品の一部につき被告表示5の除去を失念したことを知り,わざわざ店舗の営業時間中に男性7名,25女性1名という構成で執行に及んだもので,必要な保全執行ではなかった。ウ 消費者アンケート調査報告費用・評価報告費用について原告ら主張のような高額なアンケート費用の請求は不相当である。(3) 弁護士報酬相当額について原告主張額は高額に過ぎ,不相当である。(4) 消滅時効5第1事件の訴え提起は平成28年8月9日であるところ,原告らは,修正サービス契約終了前後の時点において,被告が被告表示1~5を使用していることを認識していたから,損害及び加害者を知っていたということができる。そこで,平成25年8月9日以前の損害賠償債務につき,消滅時効を援用する。7 争点7(謝罪広告又は訂正広告の要否)について10(原告らの主張)被告のパブリシティ権侵害行為や不正競争行為によって毀損された原告らのパブリシティ価値や営業上の毀損の程度は深刻である上,その性質上,その損害額の正確な算定は困難であり,損害賠償のみでそれらを完全に回復させることもできない。したがって,著作権法115条の類推適用又は不競法14条に基づき,15被告に対し,損害賠償に代えて,別紙広告目録記載第1の謝罪広告を同記載第2の要領で掲載させる必要がある。仮に,謝罪広告の掲載が認められないとしても,同目録記載第3の訂正広告を同記載第4の要領で掲載させることは最低限必要である。(被告の主張)20著作権法115条は,人格的利益が侵害された場合の規定であるのに対し,原告ら主張のパブリシティ価値の毀損とは顧客吸引力を低下させることであるから,本件における原告ら主張のパブリシティ権侵害に関し,同条を類推適用すべき根拠となる事情はなく,同条類推適用により謝罪広告又は訂正広告を求める原告らの請求は失当である。25また,著作権法115条は,権利侵害に加えて社会的声望名誉が毀損された事実があって初めて適用されるものであるが,このような事実はなく,不競法14条に基づく請求については,原告らの営業上の信用が毀損されたことの立証がない。加えて,使用料相当損害に加えてパブリシティ価値毀損による損害が認められるためには,使用料相当損害額では損害が填補できないといった事情が必要であるが,本件においてそのような事情が存在するとは認められない。5さらに,被告表示1~5の使用により原告ジルのパブリシティ価値や原告らの営業上の信用が毀損されることはないこと,被告は,平成28年2月頃以降,被告表示1~4を被告ウェブサイトに表示しておらず,被告表示5を商品タグに表示してもいないこと,英語で統一された被告ウェブサイトのトップページ(乙61)に別紙広告目録記載の長文の日本語を掲示することは本件ブランドイメージ10に甚大な損害をもたらすものであることなどに照らすと,謝罪広告や訂正広告は不必要かつ不相当である。8 争点8(誤認防止表示の要否)について(原告らの主張)謝罪広告又は訂正広告がなされたとしても,こうした広告の掲載は一定期間に15限定されるから,原告らが被告と提携している等の誤認を解消し,将来的に同様の誤認を生じさせないためには,著作権法115条類推適用又は不競法14条に基づく信用回復措置として,別紙誤認防止表示目録記載第1の説明文を同記載第2の要領で表示させる必要がある。原告らのパブリシティ価値の毀損及び営業上の信用毀損の各損害を実効的に回復するためには,上記誤認を直接的に解消する20ための措置として,消費者等がアクセスする被告ウェブサイト及び被告商品の商品タグに,被告をして,誤認防止表示を行わせるのが相当である。(被告の主張)争う。前記7(被告の主張)と同様の理由により,誤認防止表示は不必要かつ不相当である。25【第2事件について】9 争点9(原告写真の著作権の所在)について(原告会社の主張)原告写真の著作権は,元々JSインターナショナルが保有し,原告会社がJSインターナショナルから譲渡を受けたものである。(1) 米国著作権法において,被用者がその職務の範囲内で職務著作物を作成した5場合,使用者(雇用主)その他当該著作物を作成させる者が著作者とみなされ,当事者間に署名した書面による反対の明示的な合意がない限り,その使用者(雇用主)等が当該著作権に含まれる全ての権利を有する(同法101条(1),201条(b))。また,特別に注文又は委託を受けた者(インディペンデント・コントラクター)が個別の契約に基づいて作成する場合,同条(2)に規定され10たカテゴリーのいずれかに使用するためのものであって,かつ,当事者が署名した書面において当該著作物を職務著作物とする旨の明示的な合意がなされている場合に職務著作物とみなされる(同法101条(2))。原告写真は,ファッションイメージ写真であり,ディレクターがフォトグラファー,モデルその他の人材を用いて創作するものである。原告写真1~4815は,JSインターナショナル(甲)の依頼により,丙 & Co.(以下「丙社」という。)の丙(以下「丙」という。)が創作したものであり,原告写真49~126は,同様に,デザイン事務所Buero New York(以下「Buero事務所」という。)に所属する丁(以下「丁」という。)が創作したものである(甲100,第2甲48,97,98)。20同法101条(1)の「被用者」は厳密な意味での雇用関係に限定されないことからすると,原告と丁及び丙との関係は同項に該当し,書面による反対の明示的な合意はないので,原告写真の著作権は原告会社に帰属し,仮に同項の要件を充足しない場合であっても,同条(2)の規定するカテゴリーの一つである補足的著作物(supplementary work)に当たるので,職務著作物として原告会25社に帰属する(第2甲69)。以上は,カメラマンとディレクターとの間の著作権の帰属についても同様であり,原告写真は職務著作物に当たるので,カメラマンに著作権が帰属することはない。本件において,丁,丙社の代表者は,いずれも,原告写真が職務著作として創作され,原告に著作権が帰属することをその陳述書等(第2甲48,50,97,98)において認めている。また,ファッション雑誌に掲載されたファ5ッションイメージ写真を用いた被告自身が行った宣伝広告(第2甲72~94)においても,JSインターナショナルの著作権表示として「©JSI○○○(発行年)」が明記されている。以上のとおり,原告写真の著作権はJSインターナショナルが元々保有していたものである。10(2) 原告会社は,JSインターナショナル,ジル・スチュアート(ジャパン)エル・エル・シー(以下「JSジャパン」という。),原告会社及び原告ジルとの間で締結された平成17年(2005年)5月16日付け契約書(第2甲47)により,本件ブランド及び個人としての原告ジルの全ての広告及び宣伝用資料についてアジア領内における全ての所有権(保有権)及び使用権を取得し15た。したがって,原告会社が原告写真の著作権を有する。(被告の主張)原告写真の著作権が原告会社に帰属することは争う。原告会社やその関係会社とディレクターの間や,ディレクターとカメラマンの20間に実質的に雇用関係があったことの証拠はなく,当事者が署名した文書によって職務著作物として扱うことに明示的に同意したことや,原告ジルのデザインに係る洋服が著作物性を有することも含め,原告写真が補足的著作物に当たることについての立証もないから,原告写真が職務著作物とは認められない。また,著作権の譲渡があったことについても具体的な主張立証はない。米国著25作権法204条(a)が定める著作権者が署名する書面(第2乙83)が提出されないことは,著作権譲渡の不存在を強く推認させる事実であるし,仮に著作権譲渡が存在したとしても,その効力は生じない。なお,被告が雑誌に掲載した写真に「©JSI」と記載があること(第2甲72~94)については,原告会社の要請に従ってそのような記載をしていたにすぎず,原告側の権利関係の確認を行っていたものではないし,原告会社が裁判上行使し得る著作権を有していることを認5めたものではない。10 争点10(原告写真の利用許諾の目的及び期間等)について(被告の主張)被告は,以下のとおり,原告会社から写真の提供を受ける際に,過去の広告の紹介等として事後的に利用することも含め,その利用について許諾を得ており,10同写真の使用許諾は,修正サービス契約の解除により終了していない。被告が平成9年の被告1号店の開店当初から,原告会社からファッションイメージ写真を年2回受領し,使用していたが,こうした写真は,各シーズンに雑誌やポスターに使用すると,その価値はほとんどなくなる。そのため,かかる写真については,過去の広告の紹介等として事後的に利用されることも含めて使用許15諾がされているということができる。平成17年9月2日締結のサービス契約3条では,同日以降の広告制作の業務の対価として,被告が原告側に年間広告制作費を支払うと明記されるにとどまり,その使用態様,期間についても同日より前に提供済みのファッションイメージ写真の取扱いについての記載はない(乙30)。20その後,被告は,甲によるコンテンツの確認を経た上で,遅くとも平成18年7月1日には過去の広告の紹介ページを含む被告ウェブサイトの一般公開をした(第2乙84)。そして,平成19年4月13日には修正サービス契約が締結されたが,同契約においても,同日以降の広告制作業務の対価として被告が原告側に金銭を支払う25と明記されているのみであり,同日より前に提供済みのファッションイメージ写真の取扱いについての記載はない(甲15)。被告は,修正サービス契約締結時においては,当事者双方が,上記金額を一時払いすることにより永久的な利用権が付与されると認識しており,実際のところ,原告会社は,被告ウェブサイトにおける被告写真の使用継続を認識しながら,我が国における裁判手続に入るまで異議を唱えていない。5こうした経緯からすれば,遅くとも,当時の被告代表者であった乙がウェブサイトの内容を事前に甲に説明し,確認を受けた時点で使用許諾が成立している。ファッションイメージ写真である原告写真の被告への利用許諾は,修正サービス契約の終了と無関係であって,それによる影響を受けるものではなく,同契約の終了によっても利用許諾を終了し得ない。10なお,万一,同契約の終了により利用許諾を終了することができるとしても,かかる許諾の撤回の通知がない限り利用許諾は終了しないから,被告が被告ウェブサイトへの被告写真の掲載を取りやめた後にされた第2事件訴状の送達によって,被告の損害賠償責任が生じることはない。(原告会社の主張)15被告は,原告写真を利用できる根拠が利用許諾であることを自認しているが,利用許諾は,期間及び目的が特定・限定されるのが通常であり,ファッションイメージ写真の本来的な用途や利用目的に照らすと,被告に対する利用許諾は,カタログや雑誌に掲載する目的で,該当するシーズンに限定するものであった。実際,修正サービス契約3条においては,ファッションイメージ写真の利用目的を20「見開き広告(雑誌)用,1ページ広告用及びポスター用に使用される」と特定し,利用期間についても該当するシーズンに限定するものと定められているし,原告らが同様に宣伝広告用写真を提供している他の企業のウェブサイト(第2甲51,52)においても,過去の写真は掲載されていない。したがって,少なくとも修正サービス契約終了後の被告ウェブサイトにおける25原告写真の利用行為は,許諾期間外及び目的外の利用である。11 争点11(信義則違反ないし権利濫用の成否)について(被告の主張)仮に原告写真の利用許諾と修正サービス契約の終了との間に何らかの関連性があるとしても,原告会社が,自ら修正サービス契約を違反して本件解除を招来したこと,本件訴訟は,原告会社が被告に金銭を無心しようとして提起したもの5であること(乙58,66~72)からして,同契約の終了を理由として原告写真の利用が許されないなどと主張することは,信義則に反し,また,権利の濫用に当たる。(原告会社の主張)ファッションイメージ写真は,非常に高い価値を有し,シーズンごとの宣伝広10告物,ファッション雑誌等に広くされて利用される著作物である。被告の行為は,このような貴重な写真を許諾の時期及び目的を超えて無断で利用するものであるから,原告会社は,著作権者として,やむなく訴訟を提起したものであり,原告会社の権利行使が信義則に反し,権利濫用に当たるなどということはない。12 争点12(差止めの必要性等)について15(原告会社の主張)たとえ被告が被告ウェブサイトから被告写真を削除したのだとしても,それは一時的な訴訟対応であり,被告が原告写真の著作権の帰属や権利侵害について強く争い続けている以上,再度利用するおそれがある。なお,被告英語版ウェブサイトについても,同サイトが被告ウェブサイトを内部から管理する目的で制作さ20れたウェブサイトである以上,同ページに被告写真が掲載されていたことが推認されるから,被告写真の使用の差止め及び削除を求める必要がある。(被告の主張)被告は,平成27年秋に,被告ウェブサイトからGALLERYページを削除したから(第2乙1),被告写真は削除されているし,被告英語版ウェブサイト25に被告写真が掲載されたと認めるに足りる証拠はないから,これらのウェブサイトから被告写真の削除を求める原告会社の請求は失当である。13 争点13(被告の故意,過失の有無)について(原告会社の主張)被告は,修正サービス契約を自ら解約し,本件ブランドのファッションイメージ写真を利用する権限がなくなったにもかかわらず,被告ウェブサイトで継続し5て表示し,被告商品の宣伝広告を行っているから,被告は,故意に原告会社の著作権を侵害しているというべきであり,少なくとも過失がある。このことは,原告側から被告にファッションイメージ写真を提供する際に必ず付されていたJSインターナショナルのコピーライト表示(第2甲48添付資料10~12,同50添付資料2,同72~94)が無断で全て除去されている(第2甲19)こ10とからも明らかである。(被告の主張)ファッション業界において過去の広告の紹介はしばしば行われるものであり,各シーズンに制作するファッションイメージ写真をシーズン終了後に過去の広告のアーカイブとしてウェブサイトに掲載することについて別途ライセンス料15の追加支払を行う実務は存在しない(乙72)。また,サービス契約や修正サービス契約には提供された広告用材料の使用期間及び使用目的を限定する規定はなく,その対価も多額である上,原告会社は,被告が被告ウェブサイトに被告写真を過去の広告の紹介として掲載していることを認識しながら,原告会社は異議を唱えてこなかった。さらに,修正サービス契約の終了とファッションイメージ20写真の利用の可否は連動せず,被告は,本件仮処分命令申立書を受領した後に被告写真の掲載を中止している。以上の事情に照らすと,被告には著作権侵害に関する故意も過失も認められない。14 争点14(原告会社の損害額)について25(原告会社の主張)(1) 利用料相当損害ア 損害の内容被告の著作権侵害により,原告写真の利用及びその許諾について排他的・独占的権利を有する原告会社には,利用料相当額の損害が発生した。被告は,各シーズンの広告用の写真はシーズン終了後には無価値となると主張する5が,被告がGALLERYページにおいて被告写真を掲載していたこと自体が,シーズン終了後の写真に価値があることを示している。イ 利用料相当損害額の算定方法原告会社と被告の間における修正サービス契約においては,利用料の算定方法として,長年にわたり,1シーズン(春夏シーズン又は秋冬シーズン),101セット当たり所定の金額の利用料(広告製作サービス業務料)が規定されていたので,使用料相当損害金は,被告写真の単位(1シーズン・1セット)当たりの相当利用料額に利用数量(シーズン数・セット数)を乗じて算出するのが相当である。修正サービス契約に定められた1シーズン・1セット当たりの利用料は,15本件解除による終了日の翌年度である平成25年度(2013年度)からは約8万9062ドル(17万8125ドル/年の半額)であり,平成27年度(2015年度)からは9万3750ドル(18万7500ドル/年の半額)である。これに侵害プレミアムを考慮すると,被告写真の単位(1シーズン・1セット)当たりの相当利用料額は,8万9062ドル(938万円)20を下らない。上記利用料は,被告商品の雑誌広告及び広告ポスターに使用する権利を付与することの対価であって,被告ウェブサイトのGALLERYページに掲載することの対価ではない。しかし,被告の侵害態様は,コピーライト表示の無断削除を伴い,パブリシティ権侵害行為や不正競争行為ともあいまった25広告戦略的なもので,故意又は意図的に消費者等への誤信を生じさせて需要を喚起しようとするものである。また,被告ウェブサイトは,誰でもアクセス可能であり,デジタルデータでの高画質による掲載により,無限に複製することが可能であった。そうすると,無断で被告商品を雑誌広告等に利用した場合と比較して,原告写真の広告的・商業的な利用の程度や利用価値の毀損(希釈化)の程度は実質的に異ならないから,原告会社の損害を算出する5に際しては,上記基準を採用すべきである。ウ 被告の利用数量(シーズン数・セット数)被告は,平成25年2月26日の修正サービス契約終了日から7シーズン,又は,少なくとも本件仮処分申立事件に係る平成28年2月5日の審尋期日までの約3年間(少なくとも6シーズン),平成9年(1997年)の春夏10シーズン用から平成24年(2012年)の春夏シーズン用までの合計33セットを被告ウェブサイトに継続的に掲載して利用していた。エ 利用料相当損害金額以上によれば,著作権侵害に係る利用料相当損害金額は,主位的には21億6678万円(=8万9062ドル(938万円)×33セット×7シー15ズン),予備的には18億5724万円(=8万9062ドル(938万円)×33セット×6シーズン)となるが,主位的請求に係る上記金額の一部である19億1350万6207円を請求する。(2) 証拠収集費用 1万5800円(甲193)原告会社は,被告が原告会社の著作権の帰属等につき争った結果,客観的か20つ具体的に立証するため,JSインターナショナルのコピーライト表示が付された原告写真を掲載した過去の被告の雑誌広告(第2甲72~94)を証拠として収集,提出せざるを得ず,その費用として1万5800円を要したが,これは,被告の著作権侵害行為と相当因果関係のある積極的損害に当たる。(3) 弁護士報酬相当額 5000万円25(4) 消滅時効について被告は消滅時効が成立すると主張するが,原告会社が,修正サービス契約締結終了前後において,被告が被告写真を使用していることを認識していなかった。なお,原告らは,予備的に,上記損害賠償債権額と同額の不当利得返還請求を主張する。5(被告の主張)全て争う。(1) 利用料相当損害についてファッションイメージ写真は撮影されたシーズンにおいて広告用材料としての価値があるのであり,シーズン終了後に過去の広告のアーカイブとしてウ10ェブサイトに掲載することにつき,別途ライセンス料の追加の支払をするような実務は存在しない(乙72)。そして,原告写真は,被告のために,年間15万ドル程度の制作費を被告が全額負担して原告側に委託して制作させたものであること,無権利者による権利侵害の事案とは異なることなどからして,シーズン終了後の利用料は,無償か,少なくとも低額(せいぜい1枚当たり数15千円~4万円程度)となるべきである。原告会社の主張によると,修正サービス契約期間中においても,被告は,新たに制作するファッションイメージ写真への対価のみならず,その当時に被告が被告ウェブサイトにおいてアーカイブ的に使用していた過去のファッションイメージ写真にも,1セットそれぞれに8万9062ドルを支払わなければ20ならなかったこととなり,不合理である。なお,修正サービス契約3条(b)は,広告用材料を被告に提供しなければならない時期を定めたものにすぎず,その使用期間を限定するものではないし,平成27年11月には被告は被告ウェブサイトからギャラリーページを取り下げている(乙87)。25(2) 証拠収集費用について原告会社から提供された原告写真にコピーライト表示は付されていなかったから,被告の雑誌広告を証拠として収集する必要はなかった。(3) 弁護士費用について原告主張の弁護士報酬相当額は高額に過ぎる。(4) 消滅時効5第2事件の訴え提起は平成28年8月9日であるところ,原告会社は,修正サービス契約終了前後の時点において,被告が被告ウェブサイトに被告写真を掲載していることを認識していたから,損害および加害者を知っていたといえる。そこで,平成25年8月9日以前の損害賠償債務につき,消滅時効を援用する。10第4 当裁判所の判断1 認定事実前記前提事実に加え,後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を認めることができる。(1) 原告ジルは,平成5年(1993年)のニューヨーク・コレクションにおい15て正式にデビューし,同年以降,毎年ニューヨーク・コレクションに出展している。被告1号店が平成9年に開店して以降,原告ジルの氏名,肖像写真又はインタビュー写真は,日本国内のファッション誌,新聞等において,単独であるいは被告及びその他の原告らのライセンシー(株式会社コーセー,鳴海製陶株式会社等)の商品の紹介とともに,多数回にわたり,掲載されている。(甲201,27~35,83,84,113~115,162,216~470)(2) 被告は,平成9年頃,原告側から,伊藤忠ファッションシステムを介して,本件ブランドに関する事業を行うに当たって原告ジルを紹介するための資料として,原告ジルの肖像写真(被告表示2の写真とは異なるもの),被告表示3の経歴部分のベースとなった原告ジルの英文の経歴及び被告表示3で引用25されているコメント(英文)を受領したが,これらの資料を使用することについて,原告側に対価を支払うことはなかった。また,被告は,その頃から,伊藤忠ファッションシステムを介して原告側から広告宣伝用の写真素材も受領して,ライセンス料とは別に広告費用として1000万円以上の費用を原告側に支払うようになった。(乙66,80,被告代表者)(3) 被告は,被告1号店の開店後,原告側から,伊藤忠ファッションシステムを5介して,被告製造商品に被告表示5を付すように求められたため,開店当初から,被告製造商品の商品タグに被告表示5を付し,インポート商品の商品タグに「輸入品につき,サイズをご確認の上,お買い上げください。」との表示を付してこれらを販売していた。(乙80,被告代表者)(4) 甲は,平成15年頃,被告前代表者の乙に対し,原告ジルの紹介やその経歴10を公表する際に使用するためのものとして,被告表示2に係る写真及びそのポジフィルムを交付し,今後はこの写真を使用してほしいと要請した。(甲77,乙23~25,80)(5) 乙は,平成17年頃には甲にウェブサイト設立の意向を口頭で伝え,被告は,平成18年頃,甲に公開前のウェブサイトを示し,その了解を得て,被告ウェ15ブサイトを立ち上げた。被告は,被告ウェブサイトにおいて,原告ジルの紹介をするページを設けて被告表示1~4を表示するなどした。(乙80,被告代表者)(6) 本件仮処分申立てまでの間,原告側が,被告に対し,被告表示1~4の被告ウェブサイトにおける使用や,被告商品タグへの被告表示5の表示について,20パブリシティ権侵害等に当たる等,何らかの警告や指摘をしたことはなかった。(甲87,乙33,弁論の全趣旨)2 争点1(原告ジルのパブリシティ権侵害による不法行為の成否)について(1) 争点1-1(原告ジルのパブリシティ権の侵害の有無)についてア 原告ジルの肖像等の顧客吸引力の有無25(ア) 前記認定事実(上記1(1))によれば,原告ジルは,平成5年以降毎年ニューヨーク・コレクションに出展している世界的に有名なファッションデザイナーであって,原告ジルの氏名,肖像写真等が,単独又は被告や他のライセンシーの商品との関連で,我が国の新聞や雑誌等で多数回にわたり取り上げられ,服飾のみならず,化粧品,陶器,時計など多くの種類の商品が本件ブランドの商品として販売されていることに照らすと,原告ジル5の肖像等は,被告商品を含むファッション関係の商品について,その販売等を促進する顧客吸引力を有するものと認められる。したがって,原告ジルは,これらの商品に関し,その顧客吸引力を排他的に利用する権利であるパブリシティ権を有する。(イ) これに対し,被告は,被告アンケート調査の結果(乙78,81)に基10づいて原告ジルの認知度が低いと主張するが,同アンケート調査は,原告ジルの肖像写真(被告表示2の写真)のみを示して当該写真の人物の認知度を調べるものであり,同調査においてその名前まで知っている回答者が少なかったとしても,そのことをもって,原告ジルの肖像等の顧客吸引力を否定することはできない。また,同調査においても,原告ジルの名前の15付いた本件ブランドの認知度は8割を超えており,このことは原告ジルの知名度が高いことを示すものということができる。イ 被告表示1及び2の使用目的等(ア) 平成27年頃の被告ウェブサイトの構成は,前記前提事実(第2の3(5))記載のとおりであるところ,被告ウェブサイト上においては被告商品の紹20介及び販売等がされていたのであるから,被告ウェブサイトの目的が,被告商品を宣伝広告し,その販売を促進することにあるのは明らかである。そして,被告表示1及び2は,被告ウェブサイトの一部であるCONCEPTページに,被告表示3及び4とともに表示されていたものであって,同ページ自体は原告ジル個人の肖像等や言動,経歴等を紹介する内容を主25とするものではあるものの,他のウェブページと一体となって,本件ブランドのイメージを向上させ,ひいては,被告商品の宣伝広告や販売促進を企図するものであるということができる。そうすると,被告は,被告ウェブサイトにおいて,専ら原告ジルの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的として,被告表示1及び2を被告商品の広告に使用していたと認めるのが相当である。被告英語版ウェブサイト5のCONCEPTページについても,これと同様に解することができる。(イ) これに対し,被告は,CONCEPTページは本件ブランドの来歴を示すもので,原告ジルの顧客吸引力を利用する目的のものではなく,実際のところ被告表示1~4の有無で被告の売上げに変化はないと主張する。しかし,肖像等の使用が専ら顧客吸引力の利用を目的としているかどうかは,10肖像等の使用態様,使用目的等を総合的に考慮して判断されるべきであり,前記判示の事情によれば,被告表示1~4の有無により売上げの変動が認められなかったとしても,上記結論に影響を及ぼすものではないというべきである。(2) 争点1-2(原告らによる同意,承諾の有無)について15被告は,修正サービス契約の解除(本件解除)の前後を問わず,被告が被告ウェブサイトに被告表示1~4を使用することについて原告らが同意,承諾をしていたと主張する。ア 本件解除までの間について(ア) そこで検討するに,本件においては,前記認定(上記1(2)~(4))のと20おり,①被告は,被告1号店の開店に先立ち,伊藤忠ファッションシステムを介して原告側から,被告表示3の経歴部分のベースとなった原告ジルの英文の経歴,コメント及び原告ジルの写真の交付を受けたこと,②被告の前代表者の乙は,平成15年,原告会社の代表者である甲から被告表示2の写真等を手交されたこと,③乙は平成18年に被告ウェブサイトを開25設するに先立ち,事前に甲にその内容を見せるなどして,その了承を得ていることなどの事実が認められる。これによれば,原告ジルの肖像写真,経歴,コメントなどを選定し被告に使用するように積極的に慫慂したのは原告側であり,原告らは,被告が提供した原告ジルの肖像写真等が被告商品の宣伝広告に利用されることを十分に認識し,これを承諾していたというべきである。そして,甲は被告5ウェブサイトの開設及びその内容について事前に被告側から説明を受けていたのであるから,被告表示1及び2を被告ウェブサイトに掲載することについても承諾していたものと認めるのが相当である。(イ) これに対し,原告らは,被告表示2の写真は被告商品の宣伝広告及び販売促進のために交付したものではなく,また,同写真を交付した当時被告10ウェブサイトは存在しなかったのであるから,被告ウェブサイトに被告表示1及び2を掲載することも承諾していないと主張する。しかし,前記判示のとおり,修正サービス契約の終了以前においては,被告が原告らと協力しつつ本件ブランド事業を展開していたことに照らすと,原告らが被告に原告ジルの経歴,写真等を交付したのは,被告商品15の広告や販売促進を支援し,本件ブランド事業を推進するためであったと考えるのが自然である。また,甲が被告表示2の写真を交付した平成15年には,既にウェブサイトを利用した企業等の宣伝広告が一般的になされていたのは公知の事実であるから,甲が有用な宣伝広告ツールであるウェブサイトをあえて除外又は禁止していたとは考え難く,甲が被告ウェブサ20イトの開設時に特に異議を述べていないことは前記のとおりである。したがって,原告らの主張は理由がない。イ 本件解除後について被告は,本件解除後も,原告らは被告表示1及び2の使用を許諾していたと主張する。25しかし,被告表示2が原告ジル個人の肖像写真であり,事業に利用されるものとはいえ,協力関係や取引関係にない相手に対してもその使用を無限定に許諾するとは考えにくい性質のものであることも考え併せると,原告らは,原告らと被告が本件ブランド事業を協力して推進していることを前提にして,その期間において原告ジルの肖像写真等の使用を許諾したもの,すなわち,当事者の合理的意思解釈としては,その許諾期間を原告らと被告との協5力関係又は取引関係が解消されるまでとする旨の黙示の合意があったと認めるのが相当である。前記認定のとおり,原告らと被告との間の修正サービス契約は,本件解除により平成25年2月26日をもって終了し,原告側と被告との取引関係は解消され,両者間の信頼関係も損なわれるに至っていたのであるから,被告10表示1及び2の使用許諾も本件解除により終了したものというべきである。これに対し,被告は,本件仮処分命令申立てに至るまで,原告らが被告表示1~4の使用について問題視したことはなかったことなどを指摘する。しかし,被告が本件仮処分命令の申立てに至るまで被告表示1~4の使用について異議を唱えなかったとしても,同各表示の内容及び性質に照らすと,そ15のことから直ちに本件解除後に同各表示の使用を承諾していたと推認することはできず,他に原告側が本件解除後も同各表示の使用を許諾していたことを示す証拠はない。ウ 以上によれば,被告が本件解除による修正サービス契約の終了後に被告ウェブサイトのCONCEPTページに被告表示1及び2を表示していた行20為は,原告ジルのパブリシティ権を侵害するものであるということができる。3 争点2(品質誤認惹起行為該当の有無)について(1) 被告表示1~4について前記のとおり,被告表示1~4が掲載された被告ウェブサイトのCONCEPTページは他のウェブページと一体となって,被告商品を宣伝広告等するも25のであると認められるところ,被告表示1~4の内容に照らすと,被告ウェブサイトのCONCEPTページを見た一般の消費者等は,原告ジルが被告商品のデザイン等に関与しているか,少なくとも被告商品を推奨していると認識し,理解するということができる。しかるに,本件解除以降,原告らが被告商品のデザイン等に一切関与していないことは明らかであるから,本件解除後における被告ウェブサイトにおける5被告表示1~4は,全体として,広告における商品の品質,内容を誤認させるような表示に当たるということができる。(2) 被告表示5について被告表示5の記載内容は,「この商品は,米国ジル・スチュアート社との提携により,株式会社サンエー・インターナショナルが企画・製造したものです」10というものであるから,被告商品の商品タグに付された被告表示5を見た消費者等は,当該商品が,米国ジル・スチュアート社との提携関係の下で製造等されたものと認識,理解するものということができる。しかるに,本件解除以降,被告が原告側と提携しているという事実はないから,被告商品の商品タグに付された被告表示5は,同商品の品質,内容を誤認15させるような表示に当たると認められる。(3) これに対して,被告は,CONCEPTページは本件ブランドの来歴を示すためのものにすぎず,また,被告表示1~4は,公的機関による品質・内容の保証のような場合と異なり,消費者等に商品の品質に誤認を生じさせるものではないなどと主張する。20しかし,CONCEPTページが被告商品の宣伝広告の一環をなすものであり,単に本件ブランドの来歴を示すものにすぎないということができないことは前記判示のとおりであり,被告商品のようなブランド商品において,そのデザインを誰が行っているか,また誰に推奨されているかは,消費者等が当該商品を購入する上での重要な要素であるから,この点について事実に反する表示25を行うことは商品の品質に誤認を生じさせるものであるということができる。4 争点3(信義則違反ないし権利濫用の成否)について被告は,本件解除の原因は原告らの債務不履行にあることや,原告らが被告に金銭を無心しようとして第1事件訴訟を提起したものであることなどを理由として,原告らが被告に対し差止めや損害賠償等を求めることは,信義則に反し,権利濫用に当たると主張する。5しかし,原告らがその請求に根拠がないことを認識しながら被告に金銭の支払を要求したと認めるに足りる証拠はなく,また,本件解除の原因のいかんにかかわらず,原告らが修正サービス契約の終了を前提として被告に被告表示1~5の差止めや損害賠償を求めることが信義則違反又は権利濫用に該当すると解すべき理由はない。10したがって,被告の上記主張は理由がない。5 争点4(差止めの可否及び必要性)について(1) パブリシティ権に基づく請求についてア 原告会社についてパブリシティ権は人格権に由来する権利であるから(最高裁平成21年15(受)第2056号同24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照),原告ジルの肖像等の商業的利用につき独占的利用権及び許諾権を有しているにすぎない原告会社は固有の差止請求権を有しない。したがって,原告会社が原告ジルのパブリシティ権に基づき被告ウェブサイト等への被告表示1の表示の差止請求は理由がない。20イ 原告ジルについて原告ジルは,前述のとおり,人格権に由来する権利であるパブリシティ権を有するから,これを侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して差止請求をし得ると解すべきである。そして,原告ジルは,被告に対し,被告表示1及び2の被告ウェブサイト等における表示の差止めを求めていたとこ25ろ,被告は,同表示2に関する請求は認諾したので,以下では,原告ジルの氏名を表す被告表示1の被告ウェブサイト等における表示の差止請求について検討する。この点について,原告ジルは,被告は,被告英語版ウェブサイトにおいて被告表示1の表示を継続するなどしているのであるから,差止めの必要性があると主張する。しかし,前記認定のとおり,被告は,平成28年2月頃に5は被告ウェブサイトからCONCEPTページを削除し,第1事件の訴状受領後には,被告英語版ウェブサイトについても外部から閲覧できないようにするなどの措置を講じている上,被告が被告ウェブサイト等における被告表示2~4の表示の差止請求を認諾していることや,被告が原告側から別紙商標権目録記載の商標権等を譲り受けており,原告との紛争リスクを抱えなが10らあえて同様のウェブページを再度開設する必要性に乏しいことなどを考慮すると,今後,被告が再度CONCEPTページを復活させるなどして被告表示1を表示するとは考え難い。また,被告が商標権譲渡契約に基づき原告会社等から譲り受けた「JS商標」に係る全ての権利には,「ジルスチュアート」,「JILL STUA15RT」の文字などを含む登録商標権が含まれており,被告がこれらの権利を行使することが妨げられるものではないことを考慮すると,被告が被告ウェブサイト等において被告表示1を表示したからといって,それが当然に原告ジルのパブリシティ権を侵害することになるものではない。そうすると,被告ウェブサイト等における被告表示1の表示位置や態様等を特定せずにそ20の表示の差止めを認めることは,過剰な差止めというべきである。以上のとおり,原告ジルの被告に対する被告表示1に関する差止請求は理由がない。(2) 不競法に基づく請求についてア 被告表示1について25不競法に基づく被告表示1の表示の差止請求については,上記(1)イで判示したとおり,今後,被告が再度CONCEPTページを復活させるなどして被告表示1を表示するとは考え難いことから,被告表示1を今後も継続して使用するおそれがあると認めることはできない。イ 被告表示5について不競法に基づく被告表示5の表示の差止請求については,被告が,本件執5行官保管に係る被告表示5の表示を付した商品タグの廃棄を求める部分に係る請求の認諾をしているので,その余の部分についての差止請求の可否が問題となる。この点,原告らは,本件仮処分決定後も被告が被告表示5を商品タグに付した被告商品を店舗に陳列,販売していたことを考慮すると差止めの必要が10あると主張するが,被告は,本件執行により執行官保管されている商品タグ及び同商品タグを付した被告商品の廃棄については認諾しており,本件執行官保管に係る商品タグ以外に,被告表示5を付した商品タグや,同商品タグを付した被告商品が存在するとはうかがわれない。そうすると,被告が被告表示5を今後も継続して使用するおそれはあると15いうことはできず,不競法に基づく差止請求についても理由がない。6 争点5(被告の故意,過失の有無)について被告は,故意又は過失はないと主張するが,被告は,修正サービス契約の解除後も原告らに確認するなどの必要な対応をすることなく,被告表示1~4を被告ウェブサイト等に表示して被告商品の宣伝広告を行い,また,被告表示5を被告20商品に付して販売していたのであるから,被告には,原告ジルのパブリシティ権の侵害及び不正競争行為について過失があるというべきである。7 争点6(原告らの損害額)について(1) パブリシティ権侵害に基づく使用料相当損害についてア 原告らは,被告による被告表示1及び2の使用により,使用料相当の損害25を被ったと主張し,使用料相当損害額の算定方法としては,著作権法114条3項の類推適用により,売上高に相当な実施料率を乗じる方法によることが相当であると主張する。しかし,前記判示のとおり,本件は,被告らが原告に無断で個々の商品に原告ジルの肖像等を表示するなどして被告商品を販売したという事案ではなく,原告らが,修正サービス契約の終了までの間は,被告表示1及び2を5被告ウェブサイトに掲載して使用することを許諾していたものの,同許諾は修正サービス契約の終了(平成25年2月26日)とともに終了したため,同日以降も同各表示の掲載を継続したことについてパブリシティ権侵害が成立するという事案である。
事案の概要
平成31年2月8日
東京地方裁判所
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[知財] [民事] 平成30(ワ)13092  206ViewsMoreinfo
プログラム著作権確認請求並びに著作権侵害差止請求事件(著作権・民事訴訟)
平成30(ワ)13092
本件は,別紙対象プログラム目録記載1及び2の各プログラムにつき著作権を有すると主張する原告らが,①主位的には上記各プログラムの全てにつき著作権を有することの確認を,予備的には上記各プログラムのうち,後記1⑵ウの登録20済みプログラムに係るものを除いた残部(以下「非登録プログラム」という。)につき著作権を有することの確認を求めるとともに(前記第1の1),②被告において被告製品を販売する行為が,原告らの上記著作権を侵害すると主張して,著作権法112条1項,2項に基づき,被告に対し,被告製品の販売差止め・廃棄等を求める(前記第1の2ないし5)事案である。
事案の概要
平成31年2月5日
東京地方裁判所
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[知財] [民事] 平成28(ワ)28925等  184Views
損害賠償請求事件(本訴),使用料規程無効確認請求事件(反訴)(著作権・民事訴訟)
平成31年2月1日
東京地方裁判所
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