事件番号平成22(行ウ)230
事件名選挙権剥奪違法確認等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成25年2月6日
事案の概要本件は,原告が,公職選挙法11条1項2号が憲法に違反していることの確認及び原告が次回の衆議院議員の総選挙において選挙権を有していることの確認を求めるとともに,選挙権を違法に否定されたことにより精神的苦痛を受けたとして,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償を請求した事案である。
判示事項公職選挙法11条1項2号の合憲性
判示事項の要旨禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまでの者の選挙権を認めない公職選挙法11条1項2号の規定が憲法に違反しないとして受刑中に投票できなかった原告の国家賠償請求が棄却された事例
裁判要旨選挙権の欠格条項を定めるに当たっては,憲法の定めに照らして自ずと限度があるものの,一定の範囲で国会の裁量が認められるというべきであり,国会の定めるところが合理性を欠き,その裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものと認められる場合に,当該立法が選挙権を侵害するものとして違憲となると解するのが相当であるところ,公職選挙法11条2項によって選挙権が否定される禁錮以上の刑に処せられた者は,その効果として,一般社会から隔離された刑事施設において処遇を受けることとなるのであるから,その刑の性質に照らし,受刑中の社会参加が一定の範囲で禁止,制限されることはやむを得ず,禁止すべき社会参加の範囲に選挙権の行使を含めることは,一定の正当性が認められるというべきであり,また,適正な選挙権行使の基礎,前提ともいうべき社会や政治情勢等に関する情報の入手が制限され,社会の構成員としての各種の社会参加活動が禁止されることになり,選挙権を適正に行使できる環境が実質的に保障できないおそれがあるといわざるを得ず,以上の点を考慮すれば,一定の刑に処せられたことを選挙権の欠格条項として定めることは,それが合理的な範囲内にとどまる限り,憲法上許容されるものと解するのが相当であるとした上で,禁錮以上の刑に処せられた者は,法秩序に対する違反の程度が著しいということができるから,選挙権の行使を制限する範囲として不当に広汎であるとはいえず,選挙権が否定される期間は,その刑の執行を受け終わるまでの期間であり,選挙権の欠格事由を定めるに際しては,画一的な基準とする必要性があることも考慮すれば,禁錮以上の刑に処せられた者全てについて受刑期間中の選挙権を否定することが,前記の観点から定める欠格事由の範囲及び欠格期間として,合理的な範囲を逸脱したものとは認められないとされた事例
事件番号平成22(行ウ)230
事件名選挙権剥奪違法確認等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成25年2月6日
事案の概要
本件は,原告が,公職選挙法11条1項2号が憲法に違反していることの確認及び原告が次回の衆議院議員の総選挙において選挙権を有していることの確認を求めるとともに,選挙権を違法に否定されたことにより精神的苦痛を受けたとして,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償を請求した事案である。
判示事項
公職選挙法11条1項2号の合憲性
判示事項の要旨
禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまでの者の選挙権を認めない公職選挙法11条1項2号の規定が憲法に違反しないとして受刑中に投票できなかった原告の国家賠償請求が棄却された事例
裁判要旨
選挙権の欠格条項を定めるに当たっては,憲法の定めに照らして自ずと限度があるものの,一定の範囲で国会の裁量が認められるというべきであり,国会の定めるところが合理性を欠き,その裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものと認められる場合に,当該立法が選挙権を侵害するものとして違憲となると解するのが相当であるところ,公職選挙法11条2項によって選挙権が否定される禁錮以上の刑に処せられた者は,その効果として,一般社会から隔離された刑事施設において処遇を受けることとなるのであるから,その刑の性質に照らし,受刑中の社会参加が一定の範囲で禁止,制限されることはやむを得ず,禁止すべき社会参加の範囲に選挙権の行使を含めることは,一定の正当性が認められるというべきであり,また,適正な選挙権行使の基礎,前提ともいうべき社会や政治情勢等に関する情報の入手が制限され,社会の構成員としての各種の社会参加活動が禁止されることになり,選挙権を適正に行使できる環境が実質的に保障できないおそれがあるといわざるを得ず,以上の点を考慮すれば,一定の刑に処せられたことを選挙権の欠格条項として定めることは,それが合理的な範囲内にとどまる限り,憲法上許容されるものと解するのが相当であるとした上で,禁錮以上の刑に処せられた者は,法秩序に対する違反の程度が著しいということができるから,選挙権の行使を制限する範囲として不当に広汎であるとはいえず,選挙権が否定される期間は,その刑の執行を受け終わるまでの期間であり,選挙権の欠格事由を定めるに際しては,画一的な基準とする必要性があることも考慮すれば,禁錮以上の刑に処せられた者全てについて受刑期間中の選挙権を否定することが,前記の観点から定める欠格事由の範囲及び欠格期間として,合理的な範囲を逸脱したものとは認められないとされた事例
このエントリーをはてなブックマークに追加