事件番号平成25(行フ)2
事件名文書提出命令申立て一部認容決定に対する許可抗告事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日平成25年4月19日
裁判種別決定
結果破棄自判
原審裁判所広島高等裁判所
原審事件番号平成22(行タ)1
原審裁判年月日平成24年11月16日
事案の概要本件の経緯等は,次のとおりである。(1) 本件の本案訴訟は,広島県内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けている相手方らが,同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)の数次の改定により,原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため,保護基準の上記改定は憲法25条1項,生活保護法3条,8条,9条,56条等に反する違憲,違法なものであるとして,上記福祉事務所長らの属する地方公共団体を被告として上記各保護変更決定の取消し等を求める事案である。
判示事項全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書が民訴法231条において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たるとされた事例
裁判要旨全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書は,個人の特定に係る事項が一定の範囲で除外されていても,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,民訴法231条において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たる。
(1) 基幹統計調査である全国消費実態調査においては,被調査者の任意の協力による真実に合致した正確な報告が行われることが極めて重要であり,調査票情報の十全な保護を図ることによって被調査者の当該統計制度に係る情報保護に対する信頼を確保することが強く要請される。
(2) 上記準文書に記録された情報は,被調査者の家族構成や居住状況等に加え,月ごとの収入や日々の支出等の家計の状況,年間収入,貯蓄現在高や借入金残高等の資産の状況など,個人及びその家族の消費生活や経済状態等の委細にわたる極めて詳細かつ具体的な情報であって,金額等の数値もその大半が細目にわたり報告の内容のまま記録されている。
(3) 上記準文書が訴訟において提出されると,被調査者との関係等を通じて被調査者に係る上記(2)の情報の一部を知る者などの第三者において,被調査者を特定してこれらの情報全体の委細を知るに至る可能性がある。
(補足意見がある。)
事件番号平成25(行フ)2
事件名文書提出命令申立て一部認容決定に対する許可抗告事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日平成25年4月19日
裁判種別決定
結果破棄自判
原審裁判所広島高等裁判所
原審事件番号平成22(行タ)1
原審裁判年月日平成24年11月16日
事案の概要
本件の経緯等は,次のとおりである。(1) 本件の本案訴訟は,広島県内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けている相手方らが,同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)の数次の改定により,原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそれぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため,保護基準の上記改定は憲法25条1項,生活保護法3条,8条,9条,56条等に反する違憲,違法なものであるとして,上記福祉事務所長らの属する地方公共団体を被告として上記各保護変更決定の取消し等を求める事案である。
判示事項
全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書が民訴法231条において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たるとされた事例
裁判要旨
全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書は,個人の特定に係る事項が一定の範囲で除外されていても,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,民訴法231条において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たる。
(1) 基幹統計調査である全国消費実態調査においては,被調査者の任意の協力による真実に合致した正確な報告が行われることが極めて重要であり,調査票情報の十全な保護を図ることによって被調査者の当該統計制度に係る情報保護に対する信頼を確保することが強く要請される。
(2) 上記準文書に記録された情報は,被調査者の家族構成や居住状況等に加え,月ごとの収入や日々の支出等の家計の状況,年間収入,貯蓄現在高や借入金残高等の資産の状況など,個人及びその家族の消費生活や経済状態等の委細にわたる極めて詳細かつ具体的な情報であって,金額等の数値もその大半が細目にわたり報告の内容のまま記録されている。
(3) 上記準文書が訴訟において提出されると,被調査者との関係等を通じて被調査者に係る上記(2)の情報の一部を知る者などの第三者において,被調査者を特定してこれらの情報全体の委細を知るに至る可能性がある。
(補足意見がある。)
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