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2017/07/05 11:00 更新

事件番号平成21(ワ)4426
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所 民事第3部
裁判年月日平成26年3月27日
結果その他
事案の概要本件は,D(以下「亡D」という。)が,平成20年2月,北海道虻田郡豊浦町字新富(以下「新富地区」という。)の北海道道(以下「道道」という。)新富神里線(以下「新富神里線」という。)において,小型貨物自動車(以下「D車」という。)を運転中,吹雪による雪の吹きだまりに,D車ごと埋まってしまい,一酸化炭素中毒により死亡した事故(以下「本件事故」という。)について,亡Dの父母である原告らが,新富神里線を設置,管理していた被告道及び被告道から新富神里線の維持補修業務及び除排雪業務の委託を受けていた被告会社に対し,被告道については国家賠償法(1条1項又は2条1項)に基づき,被告会社については不法行為に基づき,それぞれ損害の賠償及び本件事故日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求している事案である (以下,平成20年2月中の日については,年及び月の表記を省略し,北海道の地名については,道及び郡の表記を省略する。)。1 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに掲記の各証拠及び弁論の全趣旨より容易に認められる事実)(1)原告A(昭和**年*月*日生)は,亡Dの父であり,原告B(昭和**年*月**日生)は,亡Dの母である(甲26)。(2)亡D(昭和**年*月*日生)は,本件事故当時,28歳で,妻及び子はおらず,原告ら及び祖母(原告Aの母)E(大正**年*月**日生)とともに,原告らの肩書住所地の自宅(以下「原告宅」という。)に居住し,平成19年5月1日から,a町b番地c所在のF株式会社(以下「F」という。)に,重機オペレ-タ-として勤務していた(甲13,14,26,27)。(3)新富神里線は,豊浦町字新富を起点とし,真狩村字神里を終点とする路線の延長が約27.6㎞の一般道道で,起点側(西側)で道道豊浦ニセコ線(以下「豊浦ニセコ線」という。)に接続し,路線の途中(東側)で道道美和豊浦停車場線(以下「豊浦停車場線」という。)に接続している(以下,新富神里線の豊浦ニセコ線と接続する部分から豊浦停車場線に接続する部分までを「本件道路」という。)。本件道路は,豊浦町の市街地方面と蘭越町方面とを結ぶ道路となっており,これらの位置関係は,別紙1の室蘭土木現業所洞爺出張所管内図表示のとおりである(乙11,12,13,68)。(4)本件道路には,本件事故当時,本件道路の北側に沿って,概ね別紙2の図面の紫色の表示のとおり防雪柵(以下「本件防雪柵」という。)が設置されており,本件防雪柵の種類は,吹き払い柵であった(乙13,68)。(5)被告道は,新富神里線を道道として設置,管理し,室蘭土木現業所(以下「室蘭土現」という。)洞爺出張所(以下「洞爺出張所」という。)が管理を担当していた。(6)洞爺出張所は,伊達市,豊浦町,洞爺湖町及び壮瞥町(以下「胆振西部」と いう。)を所管区域として,新富神里線を含む道路(道道),河川等の維持管理を行っており,職員数は,本件事故当時,出張所長のGをはじめとする合計33名であった(乙1,20)。(7)被告道は,本件事故当時,洞爺出張所管内の道道について,西胆振道路環境事業協同組合(以下「本件組合」という。)と,以下の業務委託契約を締結しており,被告会社は,本件組合の組合員で,新富神里線を含む8路線を担当していた(乙2,3,6,7)。ア 道路の維持補修業務の委託契約(以下「本件維持補修契約」という。)イ 道路の除排雪業務の委託契約(以下「本件除排雪契約」という。)。(8)23日から24日にかけて,日本海で発達した低気圧(以下「本件低気圧」という。)が,津軽海峡付近を通って三陸沖に進み,北海道内に暴風雪(以下「本件暴風雪」という。)をもたらして,交通網等に大きな影響を与えた(甲1,2,6)。(9)亡Dは,24日午後6時11分ころ,豊浦町字新富d番地e先の本件道路上(以下「本件事故現場」という。)において,吹雪による雪の吹きだまり(以下「本件吹きだまり」という。)に埋まったD車の運転席で発見されたが,心・肺停止状態で,一酸化炭素中毒により死亡していた(死亡推定時刻は,24日午前4時ころである。)(本件事故)(甲5)。(10)亡Dの労災保険年金等は,労働者災害補償保険法16条の2に基づき,亡Dの祖母Eが受給した(甲15の1~3,24の1~3)。2 争点(1)被告道の国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任(2)被告道の国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任(3)被告会社の不法行為に基づく損害賠償責任(4)本件事故による損害及び額(5)本件事故前の亡Dの行動(過失相殺) 3 争点についての当事者の主張(1)争点(1)(被告道の国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任)についてア 原告ら被告道は,原告らに対し,以下のとおり,国家賠償法2条1項に基づき,損害賠償責任を負う。(ア)本件防雪柵の設置の瑕疵a 設置の適用条件を満たしていない防雪柵の設置にあたっては,防雪柵の種類による特徴を踏まえた上で,目的と対象,気象条件,道路構造,立地条件,環境条件,設置費,維持管理費等に留意して総合的に判断することになっているが,本件事故現場は,吹き払い柵設置の適用条件を満たしておらず,本件事故現場への本件防雪柵(吹き払い柵)の設置は,瑕疵に該当する。本件事故現場付近は,相当量の積雪があり,吹雪がひどくなる地域として有名で,吹雪くと大きな吹きだまりが発生する場所であったから,防雪柵を設置するにあたっては,吹きだまり対策を重視したものでなければならなかった。ところが,本件防雪柵は,吹き払い柵であり,吹きだまり対策には適さないものであったし,以下のとおり,本件事故現場は,吹き払い柵の設置に適さない場所であった。(a)気象条件本件事故現場を含む新富地区の最大積雪深は,少なくとも114㎝はあり,実際にはその1.5倍程度に達していた可能性さえ考えられる。そして,最深積雪が100ないし150㎝の場合,吹き払い柵の設置は,検討が必要とされている。最深積雪量が多ければ,吹き払い機能の維持に必要とされる,防雪柵の一番下の防雪板から道路の路面ま での間の空間(以下「下部間隙」という。)が,埋没する可能性が高くなるからである。また,新富地区における冬期間の卓越風向は北西であり,本件事故現場付近に東西方向に設置された本件防雪柵に対して,斜め45度の角度となる。そして,風向と防雪柵の角度が45度となる場合には,吹き払い柵の設置は,検討が必要とされている。吹き払い効果の及ぶ範囲は,車線全てをカバーできるようにしなければならないのに,吹き払い柵を通った風が斜めに吹くのでは,これが短くなって,吹き払い効果の及ぶ範囲が車線全体をカバーできないからである。(b)道路構造本件事故現場の道路構造は,切土である。切土の場合,吹き払い柵は適していないとされている。なお,被告道は,本件事故現場の道路構造を低盛土である旨主張するが,強いていうなら片切盛土であり,片切盛土であっても,吹き払い柵は適していないとされている。仮に,本件事故現場に吹き払い柵を設置するのであれば,風上側にある土手を解消し,風が吹き抜けるようにすべきであった。(c)立地条件用地取得や借地が困難な場合は,吹き払い柵は適しているとされているが,本件事故現場付近については,被告道は,吹きだまり対策に適している吹きだめ柵の設置の可能性を検討すべきであった。ところが,被告道は,本件事故現場付近について,吹きだめ柵設置のために周辺の土地を取得したり借用したりすることについて,検討すらしていないのである。(d)以上のとおり,本件事故現場は,吹き払い柵の設置に適さない場所 であり,被告道が,本件事故現場に,本件防雪柵(吹き払い柵)を設置したことは,瑕疵に該当する。b 予見可能性及び結果回避可能性国家賠償法2条1項所定の営造物の設置の瑕疵とは,営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい,これに基づく賠償責任については,過失の存在を必要としないから,予見可能性や結果回避可能性は要求されない。また,仮に予見可能性や結果回避可能性を要求する見解に立ったとしても,本件においては,以下のとおり,いずれも存在した。すなわち,本件事故現場において,交通の安全を阻害する吹きだまりが発生することは,通常容易に予測することができたから,本件事故現場に本件防雪柵(吹き払い柵)を設置したときに,本件事故発生の予見可能性は十分にあった。そして,本件事故現場付近では,本件道路に吹きだめ柵を設置するために,民地を借用できた可能性が相当程度あったもので,本件事故現場付近の本件防雪柵を,違う種類の防雪柵(吹きだめ柵)とすることは容易だったのであって,結果回避可能性も十分にあったのである。したがって,予見可能性及び結果回避可能性を要求する見解に立ったとしても,本件防雪柵について,国家賠償法2条1項所定の設置の瑕疵が存在したもので,被告道の責任が認められるべきである。(イ)本件防雪柵の管理の瑕疵a 吹き払い柵は,柵の下部間隙から吹き抜ける強い風で,道路の路側や路面の雪を吹き払う防雪柵であるから,柵の機能を維持するためには,常に下部間隙を空けておくことが非常に重要であり,下部間隙が塞がっていると,防雪効果が失われ,かえって大きな吹きだまりの形成の原因となる。 本件事故現場付近は,最大積雪深が少なくとも114㎝以上はあると推測されたのであるから,吹き払い柵を設置した場合は,吹き払い柵の維持・管理において,下部間隙が埋没しないよう,下部間隙の除排雪をしなければならず,被告道は,委託業者に対し,本件防雪柵(吹き払い柵)の管理を徹底する義務があった。しかし,本件防雪柵の下部間隙は,雪で塞がれていることが多かったのであり,本件防雪柵の下部間隙は1m弱であるところ,本件事故当時には,少なくとも65㎝の積雪が下部間隙に積もっていた。また,吹き払い柵の下部間隙を確保するためには,防雪柵の裏側に回って除雪をすることが必要である。ところが,被告道と本件組合との間の本件除排雪契約の委託業務処理要領(乙6)においても,防雪柵の下部間隙の除雪を予定した規定は存在しない。そして,下部間隙の除雪は,引き継ぎ事項や研修の内容にもなっていなかったし,被告道から委託業者である被告会社に対する指導や,被告道による下部間隙の除雪の実態調査等も一切行われていなかったのである。さらに,本件事故現場を含む新富神里線においては,本件防雪柵の下部間隙の除雪が行われた場合であっても,ショベルカーで道路側からのみ行うという,非常に杜撰で不十分な方法でしかされていなかったのである。しかも,被告らは,日常的に,除雪した雪を防雪柵の背後に吹き飛ばしていたもので,本件防雪柵(吹き払い柵)の下部間隙を流れる風を阻害し,管理上逆効果となる行為をしていたのである。したがって,本件防雪柵の管理に瑕疵があったことは明らかである。b 予見可能性及び結果回避可能性国家賠償法2条1項所定の営造物の管理の瑕疵に基づく賠償責任については,前記(ア)bのとおり,予見可能性及び結果回避可能性は要求されないが,仮にこれらを要求する見解に立ったとしても,本件におい ては,いずれも存在したものである。すなわち,本件事故現場付近では,大雪の発生を十分予見し得たもので,下部間隙の除排雪を十分に行い,常に下部間隙を空けておかなければ,吹きだまり発生等の災害が発生する危険があることは,通常予測することができるものであったから,本件事故発生の予見可能性は十分にあった。そして,本件防雪柵の裏側に回って除雪するなどして,下部間隙の確保を行うことは現実的にも可能であったから,結果回避可能性も十分にあったのである。したがって,予見可能性及び結果回避可能性を要求する見解に立ったとしても,本件防雪柵について,国家賠償法2条1項所定の管理の瑕疵が存在したもので,被告道の責任が認められるべきである。(ウ)本件道路の管理の瑕疵a 本件事故の発生時,本件事故現場の積雪深は142㎝であったと推定されており,交通の障害となることが明らかである。したがって,被告道は,本件道路について,自ら異常時パトロールを行うか,被告会社に対して異常時巡回の指示を出すか,あるいは通行止め等の交通規制をしなければならなかったのであり,これを怠ったことは,管理の瑕疵にあたる。b 予見可能性及び結果回避可能性国家賠償法2条1項所定の営造物の管理の瑕疵に基づく賠償責任については,前記(ア)bのとおり,予見可能性及び結果回避可能性は要求されないが,仮にこれらを要求する見解に立ったとしても,本件においては,いずれも存在したものである。すなわち,23日の北海道は,全体的に大荒れで,翌日の24日にかけて天候が悪化する一方であった。そして,本件事故発生直前には,道 央を中心に大荒れの天気で,強風や大雪,吹きだまりなどによる通行止め,事故発生の情報が出されていたのであるから,吹雪や大雪による交通災害の発生が十分予見可能な状況であった。さらに,本件事故現場は,行政区域が胆振管内であるが,後志管内に近く,羊蹄山麓が近いところ,23日は,後志地方で暴風雪警報,羊蹄山麓や後志西部では大雪警報が出されていたのであるから,本件事故現場周辺の天候が大荒れになり,暴風雪に見舞われることは,容易に推測できた。そして,本件における亡Dの死亡推定時刻は24日午前4時ころであるところ,被告道は,23日のうちに巡回し,交通規制を行うことができたのであるから,結果回避可能性も十分に存在した。(エ)因果関係被告道が,前記(ア)ないし(ウ)のような設置又は管理の瑕疵なく,本件道路及び本件防雪柵を設置,管理していれば,本件事故は発生せず,亡Dが死亡することはなかった。(オ)以上のとおり,被告道は,原告らに対し,国家賠償法2条1項に基づき,本件事故による損害を賠償する義務がある。イ 被告道原告らの前記アの主張は,いずれも否認ないし争う。国家賠償法2条1項所定の責任が認められるためには,営造物が通常有すべき安全性を欠いていたこと,結果発生につき予見可能性があったこと及び結果回避可能性があったことが必要であるが,本件においては,以下のとおり,いずれも認められない。そして,本件事故は,亡Dが,危険を十分に分かっていながら,猛吹雪の中を敢えてUターンして,本件事故現場に戻るという,通常予測できない行動によって生じたものであるから,被告道の責任はない。 (ア)営造物が通常有すべき安全性を欠いていないことa 本件防雪柵の設置について原告らは,防雪柵として吹き払い柵を設置することは,気象条件や地形等から不適切であり,本件防雪柵(吹き払い柵)を設置するにあたっても風上側にある土手を解消し,風が吹き抜けるようにすべきであったなどと主張する。しかし,吹き払い柵の設置は,新編防雪工学ハンドブック(乙25)によるものとされているところ,本件道路は,以下のとおり,その基準に適合しているし,「道路吹雪対策マニュアル(案)防雪柵編」(乙14)の基準にも適合している。(a)新富神里線の路線全体としての積雪深については,最も近い観測所である大岸アメダスのデータを用いることになるが,本件防雪柵設置前の8年間(昭和58年から平成2年まで)の最大積雪深が114㎝であることから,本件防雪柵は,積雪深1.5m以下に適応している。(b)同様に,新富神里線から最も近い観測所である大岸アメダスのデータを用いると,吹き払い柵設置前の10年間(昭和56年から平成2年まで)の冬期の主風向は北となっており,東西方向の本件防雪柵に対して,風向が北であるから,適している。なお,原告らは,本件事故現場付近においては,本件防雪柵に対して,風向が北西であると主張する。しかし,防雪柵の設置において冬期の主風向を問題とする理由は,防雪柵と直角に風を当てることにより,飛雪を吹き払う効果のある範囲を,道路全体に及ぼすことにあるのであって,直角に風を当てなければ,吹き払う風力が弱まるわけではないのだから,仮に冬期の主風向が斜め45度であったとしても問題はない。そして,吹き払い効果のある領域は,路面の除雪がなされている場 合,柵の高さの約2.5倍と算定できるところ,本件防雪柵の柵の高さは3.3mであるから,本件防雪柵の吹き払い効果のある領域は,最低でも約8.2mである。本件道路の吹き払いが必要な領域は,本件事故現場の道幅が5.5mで,本件防雪柵から車線端までが1.3m(合計6.8m)であるから,仮に冬期の主風向が北西斜め45度であっても,道路の路面に対する吹き払い効果は十分有効であり,何ら問題はない。(c)新富神里線の路線全体としての吹きだまり量は20~40㎥/mであり,吹きだまり量が60㎥/m以下であるから吹き払い柵の適用が可能である。(d)吹き払い柵は,平坦地では適しているとされており,本件事故現場付近は,基本的に風上から風下にかけて平坦であるから,適応している。なお,本件事故現場付近の本件防雪柵の裏側にある道路面よりも地盤が高くなっている部分は,原告らが主張するような土手ではなく,本件事故現場地点においてはわずか0.51m程度高くなっているにすぎない。また,その場所は,本件防雪柵から4.17m離れており,地形的に本件防雪柵の下部間隙から風が吹き抜けることが可能であるから,吹き払い効果を期待することができる。(e)以上のとおり,被告道が,本件事故現場に本件防雪柵を設置したことに瑕疵はない。b 本件防雪柵の管理について(a)本件防雪柵の種類は吹き払い柵であるが,原告らは,吹き払い柵の効果は,下部間隙の確保に大きく左右され,吹き払い柵の下部間隙が雪で塞がれると,防雪効果が失われ,かえって大きな吹きだまり形成の原因となるため,下部間隙が塞がれていないかを常に点検し,除排 雪等を速やかに行わなければならないなどと主張する。しかし,吹き払い柵は,複数の防雪板が風下側へ傾けて設置されており,複数の防雪板の間隙から吹き抜ける強い風で道路の路側や路面の雪を吹き払う仕組みとなっているのであり,吹き払い柵の一番下の下部間隙が埋まっている場合であっても,上部の各防雪板の間隙からも風が吹き抜ける構造となっている。そして,本件防雪柵は,4枚の防雪板で構成された吹き払い柵であるから,下部間隙が埋まっている場合であっても,上部の防雪板の間隙が雪で塞がれない限り,吹き払い効果はある。したがって,下部間隙の状況を常に点検し,除排雪等を速やかに行わなければならない旨の原告らの主張は理由がない。(b)また,原告らは,被告道は,委託業者に対し,本件防雪柵の管理を徹底する義務があるところ,本件事故現場においては,本件防雪柵の下部間隙が雪で塞がれていることが多く,適切な管理が行われていなかった旨主張する。しかし,新富神里線においては,降雪等の自然状況から吹き払い効果に支障が生じるおそれのある場合は,平日,土日祭日を問わず,洞爺出張所の指示により,被告会社が吹き払い効果を高めるための排雪等を行っている。そして,被告会社は,本件事故現場付近の排雪等を,本件事故発生前の19日に実施した。なお,被告会社は,23日にも下部間隙の除雪を行っていたが,除雪作業中に積雪が10㎝に達したため,新雪除雪に切り替えただけである。新富神里線における吹きだまりによる交通障害は,片側1車線が通行できなくなる程度のものであり,本件防雪柵が設置されて以来,視程障害などの発生は少なくなり,大きな障害は生じていなかった。 また,新富神里線において,吹雪を原因とした通行止めの規制がなされたのは,本件防雪柵が設置された平成2年度から平成19年度までの間に3回だけであった。したがって,委託業者への本件防雪柵の管理の徹底が行われず,本件防雪柵の下部間隙が雪で塞がれていることが多かったなどという事実はない。(c)以上のとおり,被告道の本件防雪柵の管理に瑕疵はない。(イ)予見可能性がなかったことa 23日から24日にかけての本件事故現場周辺の気象状況は,過去に経験したことがないほどの異常気象であり,本件事故は,稀にみる異常気象によって引き起こされた局地的な暴風雪によって,本件吹きだまりのような大規模な吹きだまりが形成され,交通障害が発生した事案である。
判示事項の要旨原告らの子が,小型貨物自動車を運転中,吹雪による雪の吹きだまりに同車ごと埋まり一酸化炭素中毒により死亡した事故について,当該事故が発生した道路を管理していた被告北海道及び被告北海道から同道路の維持補修業務及び除排雪業務の委託を受けていた被告会社に責任があるとして,相続人である原告らが,被告らに対し,損害賠償を求めた事案であるが,被告北海道については,国家賠償法2条1項に基づく損害賠償請求を一部認容し,被告会社については,不法行為に基づく損害賠償請求を棄却した事例

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