事件番号 | 平成25(ネ)2334 |
---|---|
事件名 | 損害賠償,民訴260条2項に基づく仮執行の原状回復及び損害賠償請求事件 |
裁判所 | 大阪高等裁判所 第13民事部 |
裁判年月日 | 平成26年2月27日 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 大阪地方裁判所 |
原審事件番号 | 平成18(ワ)6122 |
事案の概要 | 本件は,亡甲田太郎(以下「太郎」という )の相続人である第1審原告。らにおいて,太郎が鉄道高架下に設置された貸建物内で稼働中,建物内部に吹き付けられたアスベストの粉じんに曝露したため,悪性胸膜中皮腫に罹患し,自殺を余儀なくされたと主張して,①第1審被告に対しては,<ア>民法415条に基づく建物賃貸借契約に付随する建物安全性確保義務違反の債務不履行責任,<イ>民法709条に基づく不法行為責任,<ウ>民法717条1項に基づく工作物責任を選択的に主張し,②D株式会社(以下「D社」という )に対しては,<ア>民法415条に基づく建物賃貸借契約に付随する建。物安全性確保義務違反の債務不履行責任,<イ>民法709条に基づく不法行為責任を選択的に主張して,以下のとおりの損害額及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年6月22日から支払済みまで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 |
判示事項 | 1 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物が遅くとも昭和63年2月頃には通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになったとされた事例 2 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の所有者兼賃貸人が民法717条1項にいう「占有者」に当たるとされた事例 |
裁判要旨 | 1 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物で昭和45年から平成14年まで勤務していた者が勤務中にアスベスト粉じんにばく露したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患した場合において,昭和62年中に全国紙が相次いで吹付けアスベストの危険性を報道し,これに呼応して各地で吹付けアスベストの除去工事が行われるようになったこと,建設省が同年11月に建築基準法令の耐火構造の指定から吹付けアスベストを削除したこと,環境庁・厚生省が昭和63年2月に都道府県に対し,吹付けアスベストの危険性を公式に認め,建物所有者への指導を求める通知を発したことその他判示の事実関係の下においては,遅くとも上記通知が発せられた昭和63年2月頃の時点では,上記建物は通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった。 2 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の賃借人の従業員として同建物で勤務していた者が勤務中にアスベスト粉じんにばく露したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患した場合において,同建物の所有者兼賃貸人が,賃貸借契約において,管理上必要があるときに同建物に立ち入り,必要な措置を執る権限を認められる一方,同建物の維持管理に必要な修繕義務を負っていたことその他判示の事実関係の下においては,所有者兼賃貸人は,賃借人の従業員に対する関係において,民法717条1項に基づく責任を負うべき同建物の「占有者」に当たる。 |
事件番号 | 平成25(ネ)2334 |
---|---|
事件名 | 損害賠償,民訴260条2項に基づく仮執行の原状回復及び損害賠償請求事件 |
裁判所 | 大阪高等裁判所 第13民事部 |
裁判年月日 | 平成26年2月27日 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 大阪地方裁判所 |
原審事件番号 | 平成18(ワ)6122 |
事案の概要 |
---|
本件は,亡甲田太郎(以下「太郎」という )の相続人である第1審原告。らにおいて,太郎が鉄道高架下に設置された貸建物内で稼働中,建物内部に吹き付けられたアスベストの粉じんに曝露したため,悪性胸膜中皮腫に罹患し,自殺を余儀なくされたと主張して,①第1審被告に対しては,<ア>民法415条に基づく建物賃貸借契約に付随する建物安全性確保義務違反の債務不履行責任,<イ>民法709条に基づく不法行為責任,<ウ>民法717条1項に基づく工作物責任を選択的に主張し,②D株式会社(以下「D社」という )に対しては,<ア>民法415条に基づく建物賃貸借契約に付随する建。物安全性確保義務違反の債務不履行責任,<イ>民法709条に基づく不法行為責任を選択的に主張して,以下のとおりの損害額及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年6月22日から支払済みまで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 |
判示事項 |
1 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物が遅くとも昭和63年2月頃には通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになったとされた事例 2 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の所有者兼賃貸人が民法717条1項にいう「占有者」に当たるとされた事例 |
裁判要旨 |
1 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物で昭和45年から平成14年まで勤務していた者が勤務中にアスベスト粉じんにばく露したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患した場合において,昭和62年中に全国紙が相次いで吹付けアスベストの危険性を報道し,これに呼応して各地で吹付けアスベストの除去工事が行われるようになったこと,建設省が同年11月に建築基準法令の耐火構造の指定から吹付けアスベストを削除したこと,環境庁・厚生省が昭和63年2月に都道府県に対し,吹付けアスベストの危険性を公式に認め,建物所有者への指導を求める通知を発したことその他判示の事実関係の下においては,遅くとも上記通知が発せられた昭和63年2月頃の時点では,上記建物は通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった。 2 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の賃借人の従業員として同建物で勤務していた者が勤務中にアスベスト粉じんにばく露したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患した場合において,同建物の所有者兼賃貸人が,賃貸借契約において,管理上必要があるときに同建物に立ち入り,必要な措置を執る権限を認められる一方,同建物の維持管理に必要な修繕義務を負っていたことその他判示の事実関係の下においては,所有者兼賃貸人は,賃借人の従業員に対する関係において,民法717条1項に基づく責任を負うべき同建物の「占有者」に当たる。 |