事件番号平成23(ワ)15422
事件名損害賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第12民事部
裁判年月日平成27年5月8日
事案の概要本件は,株式会社武富士(後の更生会社TFK株式会社。以下「武富士」という。)と継続的な金銭消費貸借取引を行ってきた原告らが,武富士の代表取締役であったA,取締役であった被告Y2及び代表取締役であった被告Y1(A,被告Y2及び被告Y1を併せて以下「Aら」という。)が,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を適法に収受できるための法令遵守体制を構築すべき職務上の義務等を怠って,原告らに対し制限超過部分の支払を続けさせ,また,Aらがその他多数の任務懈怠により武富士を倒産に至らせ,原告らに過払金元利金相当額の損害を負わせたと主張して,被告Y2及び被告Y1に対し,会社法429条1項(同法施行前の行為については平成17年法律第87号による改正前の商法266条の3第1項。以下同じ。)に基づき,武富士の会社更生手続開始決定日の前日である平成22年10月30日の時点で原告らに生じていた過払金元利金合計額及びこれに対する訴状送達の日の翌日(第1事件についてはいずれの被告も平成23年12月29日,第2事件についてはいずれの被告も平成24年4月4日)から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,原告X5及び原告X11を除く原告らが,Aの会社法429条1項に基づく損害賠償債務を被告らが相続したと主張して,被告らに対し,A死亡時の直前の取引日の過払金元利金合計額のうち被告らの法定相続分(被告Y3は2分の1,被告Y2及び被告Y1はそれぞれ13分の1)に応じて分割した金額及びこれに対する前記各訴状送達の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨利息制限法の制限利率を超える利率により顧客と継続的に金銭消費貸借取引を行っていた会社の取締役が,最高裁判所平成18年1月13日判決(民集60巻1号1頁)言い渡し後,相応の検討を経た後に,約定利率による借入残高と利息制限法所定の制限利率に基づく引き直し計算後の借入残高が相違する可能性があることを顧客に告知する体制を整備することなく,同社をして顧客に対して貸金の返還を請求させるなどしたことが,取締役としての任務懈怠にあたり,その任務懈怠は重過失によるものであるとして,会社法429条1項(旧商法266条の3第1項)の責任を肯定し,同社からの請求等に応じて支払義務のない金員を支払った顧客の損害賠償請求を一部認めた事例
事件番号平成23(ワ)15422
事件名損害賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第12民事部
裁判年月日平成27年5月8日
事案の概要
本件は,株式会社武富士(後の更生会社TFK株式会社。以下「武富士」という。)と継続的な金銭消費貸借取引を行ってきた原告らが,武富士の代表取締役であったA,取締役であった被告Y2及び代表取締役であった被告Y1(A,被告Y2及び被告Y1を併せて以下「Aら」という。)が,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を適法に収受できるための法令遵守体制を構築すべき職務上の義務等を怠って,原告らに対し制限超過部分の支払を続けさせ,また,Aらがその他多数の任務懈怠により武富士を倒産に至らせ,原告らに過払金元利金相当額の損害を負わせたと主張して,被告Y2及び被告Y1に対し,会社法429条1項(同法施行前の行為については平成17年法律第87号による改正前の商法266条の3第1項。以下同じ。)に基づき,武富士の会社更生手続開始決定日の前日である平成22年10月30日の時点で原告らに生じていた過払金元利金合計額及びこれに対する訴状送達の日の翌日(第1事件についてはいずれの被告も平成23年12月29日,第2事件についてはいずれの被告も平成24年4月4日)から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,原告X5及び原告X11を除く原告らが,Aの会社法429条1項に基づく損害賠償債務を被告らが相続したと主張して,被告らに対し,A死亡時の直前の取引日の過払金元利金合計額のうち被告らの法定相続分(被告Y3は2分の1,被告Y2及び被告Y1はそれぞれ13分の1)に応じて分割した金額及びこれに対する前記各訴状送達の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
利息制限法の制限利率を超える利率により顧客と継続的に金銭消費貸借取引を行っていた会社の取締役が,最高裁判所平成18年1月13日判決(民集60巻1号1頁)言い渡し後,相応の検討を経た後に,約定利率による借入残高と利息制限法所定の制限利率に基づく引き直し計算後の借入残高が相違する可能性があることを顧客に告知する体制を整備することなく,同社をして顧客に対して貸金の返還を請求させるなどしたことが,取締役としての任務懈怠にあたり,その任務懈怠は重過失によるものであるとして,会社法429条1項(旧商法266条の3第1項)の責任を肯定し,同社からの請求等に応じて支払義務のない金員を支払った顧客の損害賠償請求を一部認めた事例
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