事件番号平成25(行ウ)689
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成27年3月12日
事案の概要本件は,平成22年9月に破綻したA銀行株式会社(平成24年9月10日の解散後の商号はB株式会社。以下「本件銀行」という。)の取締役兼代表執行役であった原告が,平成22年10月20日に保有していた本件銀行の株式(以下「本件株式」という。)3100株を1株1円(合計3100円)で譲渡し(以下,この譲渡を「本件株式譲渡」という。),これにより株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)の計算上損失が生じたとして,同年分の所得税の確定申告及び修正申告を行ったところ,中野税務署長から,本件株式譲渡を株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)の計算の基礎に含めることはできないとの見解に立って,平成24年1月31日付けで更正(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて,「本件各処分」という。)を受けたことから,本件更正処分のうち修正申告額を超える部分及び本件賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項極めて多額の債務超過状態に陥っていて預金保険法74条1項の規定する管理を命ずる処分を受けた株式会社の株式が所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当しないとされた事例
裁判要旨株式会社が株式譲渡の前後を通じて極めて多額の債務超過状態に陥っていたため,当該株式会社の株主は,利益配当請求権,残余財産分配請求権等の自益権を現実に行使し得る余地がなくなっており,また,預金保険法74条1項所定の管理を命ずる処分がされたため,当該株式会社の株主は,一般的に株主総会における議決権等の共益権を現実に行使し得る余地を失っており,しかも,当該株式会社が後に解散して清算されることが予定されていたことからすると,株式譲渡の時点において,当該株式会社の株式は,一般的に,自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,その後に自益権及び共益権を行使することができるようになる蓋然性も認められなかったといえるから,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しない。
事件番号平成25(行ウ)689
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成27年3月12日
事案の概要
本件は,平成22年9月に破綻したA銀行株式会社(平成24年9月10日の解散後の商号はB株式会社。以下「本件銀行」という。)の取締役兼代表執行役であった原告が,平成22年10月20日に保有していた本件銀行の株式(以下「本件株式」という。)3100株を1株1円(合計3100円)で譲渡し(以下,この譲渡を「本件株式譲渡」という。),これにより株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)の計算上損失が生じたとして,同年分の所得税の確定申告及び修正申告を行ったところ,中野税務署長から,本件株式譲渡を株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)の計算の基礎に含めることはできないとの見解に立って,平成24年1月31日付けで更正(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて,「本件各処分」という。)を受けたことから,本件更正処分のうち修正申告額を超える部分及び本件賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項
極めて多額の債務超過状態に陥っていて預金保険法74条1項の規定する管理を命ずる処分を受けた株式会社の株式が所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当しないとされた事例
裁判要旨
株式会社が株式譲渡の前後を通じて極めて多額の債務超過状態に陥っていたため,当該株式会社の株主は,利益配当請求権,残余財産分配請求権等の自益権を現実に行使し得る余地がなくなっており,また,預金保険法74条1項所定の管理を命ずる処分がされたため,当該株式会社の株主は,一般的に株主総会における議決権等の共益権を現実に行使し得る余地を失っており,しかも,当該株式会社が後に解散して清算されることが予定されていたことからすると,株式譲渡の時点において,当該株式会社の株式は,一般的に,自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,その後に自益権及び共益権を行使することができるようになる蓋然性も認められなかったといえるから,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しない。
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