事件番号平成25(行ウ)17
事件名国有林野使用許可処分無効確認等,開発行為許可処分無効確認請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日平成29年5月22日
事案の概要本件は,十勝地方の自然環境の保護活動。をその目的とする権利能力なき社団である原告協会,エゾナキウサギ(以下「ナキウサギ」という )の研究者である原告A,ナキウサギの保護活動をそ。の目的とする組織の代表者である原告Bが,佐幌岳の北斜面の国有林野はナキウサギの重要な生息地であるところ,上記のスキー場の建設によって,その重要な生息地が破壊されるのであり,本件各許可は「生物の多様性に関する条約 (平成5年条約第9号。以下「生物多様性条約」という )に違反する違」 。法かつ無効なものであると主張し,東大雪支署長の所属する国及び北海道知事の所属する北海道を被告として,本件各許可の無効確認を求めるとともに,併せて,国家賠償法1条1項の規定により,被告らそれぞれに対し,50万円の国家賠償(慰謝料)及びこれに対する訴えの追加的変更申立書の送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨リゾート事業を営んでいるX社が,佐幌岳の北斜面の国有林野に新たなスキー場の建設をすることを計画し,東大雪支署長から国有財産法の規定による国有林野の使用許可処分を,北海道知事から北海道自然環境保全条例の規定による特定の開発行為(スキー場の建設)の許可処分を,それぞれ受け,その後,前記各許可に係るスキー場の建設を開始したことに関して,自然環境の保護活動を目的とする原告協会らが,佐幌岳の北斜面の国有林野はエゾナキウサギの重要な生息地であるところ,前記開発行為によって,その重要な生息地が破壊されるのであり,前記各許可は生物多様性条約に違反する違法かつ無効なものであるとして,国及び北海道を被告として,前記各許可の無効確認等を求めたが,前記各許可の処分要件によれば,生物多様性が保全された良好な自然環境を享受する利益が,不特定多数の者の利益として,保護すべきものとされていると解することができるものの,前記各許可を定めた各行政法規が,この不特定多数の者の利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むものと解することはできないのであって,前記の利益は(自己の)法律上保護された利益に当たるものでないとして,前記各許可の無効確認を求める訴えを却下した事例
事件番号平成25(行ウ)17
事件名国有林野使用許可処分無効確認等,開発行為許可処分無効確認請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日平成29年5月22日
事案の概要
本件は,十勝地方の自然環境の保護活動。をその目的とする権利能力なき社団である原告協会,エゾナキウサギ(以下「ナキウサギ」という )の研究者である原告A,ナキウサギの保護活動をそ。の目的とする組織の代表者である原告Bが,佐幌岳の北斜面の国有林野はナキウサギの重要な生息地であるところ,上記のスキー場の建設によって,その重要な生息地が破壊されるのであり,本件各許可は「生物の多様性に関する条約 (平成5年条約第9号。以下「生物多様性条約」という )に違反する違」 。法かつ無効なものであると主張し,東大雪支署長の所属する国及び北海道知事の所属する北海道を被告として,本件各許可の無効確認を求めるとともに,併せて,国家賠償法1条1項の規定により,被告らそれぞれに対し,50万円の国家賠償(慰謝料)及びこれに対する訴えの追加的変更申立書の送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
リゾート事業を営んでいるX社が,佐幌岳の北斜面の国有林野に新たなスキー場の建設をすることを計画し,東大雪支署長から国有財産法の規定による国有林野の使用許可処分を,北海道知事から北海道自然環境保全条例の規定による特定の開発行為(スキー場の建設)の許可処分を,それぞれ受け,その後,前記各許可に係るスキー場の建設を開始したことに関して,自然環境の保護活動を目的とする原告協会らが,佐幌岳の北斜面の国有林野はエゾナキウサギの重要な生息地であるところ,前記開発行為によって,その重要な生息地が破壊されるのであり,前記各許可は生物多様性条約に違反する違法かつ無効なものであるとして,国及び北海道を被告として,前記各許可の無効確認等を求めたが,前記各許可の処分要件によれば,生物多様性が保全された良好な自然環境を享受する利益が,不特定多数の者の利益として,保護すべきものとされていると解することができるものの,前記各許可を定めた各行政法規が,この不特定多数の者の利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むものと解することはできないのであって,前記の利益は(自己の)法律上保護された利益に当たるものでないとして,前記各許可の無効確認を求める訴えを却下した事例
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