事件番号平成28(ネ)796
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日平成29年9月14日
原審裁判所津地方裁判所
原審事件番号平成27(ワ)460
原審結果棄却
事案の概要本件は,D市議会議員で教育民生委員会に所属する控訴人が,同委員会において計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対意見を述べ,欠席願いを提出した上,同視察旅行を欠席したところ,D市議会運営委員会(以下「議会運営委員会」という。)が控訴人に対して同欠席について厳重注意処分を決定し,A議長(以下「A議長」という。)が多数の新聞記者のいる議長室で上記処分の事実を公表するという名誉棄損行為によって精神的苦痛を被ったと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,被控訴人に対し,慰謝料500万円及びその遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨本件は,市議会の教育民生委員会に所属していた議員が,同委員会において計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対し,同視察旅行を欠席したところ,市の議会運営委員会が同議員には同旅行への出席義務があったことを前提として厳重注意処分を決定し,議長が複数の新聞記者のいる面前において,公務である上記視察旅行に正当な理由なく欠席した旨記載された厳重注意処分通知書を朗読して手交したことから,これが名誉棄損に当たると主張して,市に対して国家賠償法1条1項に基づき慰謝料の支払を求めた事案である。本判決は,本件請求が一般市民法秩序において保障されている移動の自由や思想信条の自由という重大な権利侵害を問題とするものであるとして司法審査の対象となることを認め,かつ,上記厳重注意処分において摘示された事実が議員として社会的評価の低下をもたらすものと認定した上で,一般に地方議会の委員会が実施する視察旅行は反対議員に出席義務を生じさせ得るものとは認められず,しかも,本件視察旅行は,委員会条例に基づく議決を欠き,その決定手続が条例に違反するものであるから,同視察旅行に参加する義務は生じないとして,上記事実の真実性及び真実相当性を否定し,慰謝料請求を一部認容した。
事件番号平成28(ネ)796
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日平成29年9月14日
原審裁判所津地方裁判所
原審事件番号平成27(ワ)460
原審結果棄却
事案の概要
本件は,D市議会議員で教育民生委員会に所属する控訴人が,同委員会において計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対意見を述べ,欠席願いを提出した上,同視察旅行を欠席したところ,D市議会運営委員会(以下「議会運営委員会」という。)が控訴人に対して同欠席について厳重注意処分を決定し,A議長(以下「A議長」という。)が多数の新聞記者のいる議長室で上記処分の事実を公表するという名誉棄損行為によって精神的苦痛を被ったと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,被控訴人に対し,慰謝料500万円及びその遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨
本件は,市議会の教育民生委員会に所属していた議員が,同委員会において計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対し,同視察旅行を欠席したところ,市の議会運営委員会が同議員には同旅行への出席義務があったことを前提として厳重注意処分を決定し,議長が複数の新聞記者のいる面前において,公務である上記視察旅行に正当な理由なく欠席した旨記載された厳重注意処分通知書を朗読して手交したことから,これが名誉棄損に当たると主張して,市に対して国家賠償法1条1項に基づき慰謝料の支払を求めた事案である。本判決は,本件請求が一般市民法秩序において保障されている移動の自由や思想信条の自由という重大な権利侵害を問題とするものであるとして司法審査の対象となることを認め,かつ,上記厳重注意処分において摘示された事実が議員として社会的評価の低下をもたらすものと認定した上で,一般に地方議会の委員会が実施する視察旅行は反対議員に出席義務を生じさせ得るものとは認められず,しかも,本件視察旅行は,委員会条例に基づく議決を欠き,その決定手続が条例に違反するものであるから,同視察旅行に参加する義務は生じないとして,上記事実の真実性及び真実相当性を否定し,慰謝料請求を一部認容した。
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