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カテゴリー > 行政事件裁判例集 (大阪地方裁判所 ; 降順 ; 裁判年月日で整列)

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事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[下級] 平成27(行ウ)325  168ViewsMoreinfo
納入告知処分取消請求事件
平成27(行ウ)325
本件は,大阪市道築港深江線(以下「築港深江線」という。)及び大阪府道15高速大阪東大阪線(阪神高速道路。以下「本件高速道路」という。)の各高架の下に位置する船場センタービル(地下2階,地上2~4階建て鉄筋コンクリート造のビル10棟。以下「本件ビル」と総称する。)の区分所有者の団体の管理者である原告が,主位的に,被告が原告に対してした,本件ビルを占用物件とする大阪市中央区船場中央1~4先(本件高速道路高架下)の占用に係る,20平成26年度から平成30年度までの各占用料の納入告知(以下,それぞれ「平成26年度納入告知」等といい,これらを総称して「本件各納入告知」という。)が,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決,決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)」に該当する旨主張し,同条2項所定の処分の取消しの訴えとして,25その取消しを求め,予備的に,不当利得返還請求権に基づき,原告が被告に支払った平成26年度から平成30年度までの占用料,延滞金及び督促手数料の合計額に相当する7355万0253円及びこれに対する本件各納入告知の取消しを求める訴えを提起し,又は請求を追加する書面が被告に送達された日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
事案の概要
令和元年7月31日
大阪地方裁判所 第2民事部
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[下級] 平成30(行ウ)75  233ViewsMoreinfo
保有個人情報不開示決定処分取消請求事件
平成30(行ウ)75
本件は,原告らが,本件各情報は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)12条1項所定の「自己を本人とする保有個人情報」に当たるから,本件各不開示決定はいずれも違法であると主張して,本25件各不開示決定の取消しを求める事案である。
事案の概要
令和元年6月5日
大阪地方裁判所 第2民事部
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[下級] 平成29(行ウ)25  257ViewsMoreinfo
行政文書不開示処分取消請求事件
平成29(行ウ)25
本件は,大阪府豊中市の市議会議員である原告が,近畿財務局長に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)3条に基づき,国有財産である大阪府豊中市野田町1501番所在の土地(以下「本件土地」という。)を学校法人森友学園(以下「森友学園」という。)に売却する旨の売買契約書(以下「本件文書」という。)の開示請求をしたところ,近畿財務局長から,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当することを理由に,本件文書のうち別紙「不開示部分」欄記載の各部分を不開示とし,その余を開示する旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたため,上記不開示とした部分のうち契約相手方の印影及び署名を除く部分(以下「本件不開示部分」という。)を不開示としたことは違法であるとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料11万円及びこれに対する本件処分の日の翌日である平成28年9月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
事案の概要
令和元年5月30日
大阪地方裁判所 第7民事部
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[下級] 平成27(行ウ)491  129ViewsMoreinfo
療養費用給付等不支給処分取消請求事件
平成27(行ウ)491
本件事案の概要10本件は,原告らが,大阪中央労働基準監督署長(以下「処分行政庁」という。)に対し,原告らの子であるA(以下「亡A」という。)が,勤務していたホストクラブにおいて飲酒による急性アルコール中毒により死亡したのは,勤務先の業務に起因するものであると主張して,労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)に基づく療養補償給付たる療養の費用(療養費用給付),遺族15補償給付及び葬祭料の各請求をしたところ,処分行政庁は,これらをいずれも支給しない旨の処分(以下「本件各処分」という。)をしたことから,被告に対し,本件各処分の取消しを求める事案である。
事案の概要
令和元年5月29日
大阪地方裁判所 第5民事部
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[下級] 平成29(行ウ)34  187ViewsMoreinfo
遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
平成29(行ウ)34
本件は,原告が,被告に対し,本件各処分の取消しを求める事案である。
事案の概要
令和元年5月15日
大阪地方裁判所 第5民事部
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[下級] 平成29(行ウ)220  204ViewsMoreinfo
障害基礎年金支給停止処分取消請求事件
平成29(行ウ)220
1 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分が,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例
2 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受け,同法36条2項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた,支給停止を解除しない旨の処分が,行政手続法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例
判示事項の要旨
平成31年4月11日
大阪地方裁判所 第2民事部
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[下級] 平成27(行ウ)250  101ViewsMoreinfo
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
平成27(行ウ)250
本件は,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」という。)1条の被爆者である原告らが,厚生労働大臣に対し,被爆者援護法11条1項の規定による厚生労働大臣の認定(以下「原爆症認定」という。)の申請をしたが,同大臣がこれらの申請をいずれも却下したため,被告を相手に,同各却下処分の取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づき,それぞれ100万円及びこれに対する平成27年8月28日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
事案の概要
平成31年2月28日
大阪地方裁判所 第7民事部
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[下級] 平成27(行ウ)240  175ViewsMoreinfo
地位確認等請求事件
平成27(行ウ)240
本件事案の概要⑴ア 先天性の知的障害及び自閉症を有する原告は,平成22年12月1日,15任用期間を6か月として被告職員に任用されたところ,任用期間中である平成23年4月19日に保佐開始の審判を受けた。被告は,任用期間満了後である平成23年6月1日以降の原告の任用を行わなかった(以下「第一次不再任用」という。)。イ 原告は,その後,保佐開始の審判の取消し及び補助開始の審判を受けた20ところ,被告は,平成23年12月1日,任用期間を6か月として原告を任用したが(以下「平成23年任用」という。),その期間満了日(平成24年5月31日)以降の任用を行わなかった(以下「第二次不再任用」という)。⑵ 本件は,原告が,被告に対し,主位的請求として,被告の職員としての権25利を有する地位の確認,並びに平成24年6月分から本判決確定の日までの賃金及びうち平成27年7月分以降の賃金に対する各支払日の翌日から支払済みまで民法所定の5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,予備的請求として,第一次不再任用による就労継続の権利の侵害等又は第二次不再任用による任用継続に対する期待権侵害を理由として,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,損害賠償金(慰謝料3005万円及び弁護士費用50万円)及びこれに対する第二次不任用の日の翌日である平成24年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
事案の概要
平成31年2月13日
大阪地方裁判所 第5民事部
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[下級] 平成28(行ウ)74  197ViewsMoreinfo
職務上義務不存在確認等請求事件
平成28(行ウ)74
本件事案の概要本件は,被告が設置していた地方公営企業である大阪市交通局(以下「交通局」という。)の職員として地下鉄運転業務に従事していた原告らが,被告に対し,原告らは,ひげを剃って業務に従事する旨の被告の職務命令又は指導に従わなかったために,平成25年度及び平成26年度の各人事考課において低25評価の査定を受けたが,上記職務命令等及び査定は,原告らの人格権としてのひげを生やす自由を侵害するものであって違法であるなどと主張して,①任用関係に基づく賞与請求として,上記査定を前提に支給された各賞与(勤勉手当)に係る本来支給されるべき適正な額との差額及びこれらに対する各支給日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,②国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害賠償として,それぞれ慰謝5料及び弁護士費用の合計220万円並びにこれに対する不法行為の日の後(平成26年度の人事考課における評価対象期間の終期)である平成27年3月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。
事案の概要
平成31年1月16日
大阪地方裁判所 第5民事部
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[行政] 平成29(行ウ)11  152ViewsMoreinfo
運転免許取消処分取消等請求事件
平成29(行ウ)11
本件は,平成26年8月11日に交通事故(以下「本件事故」という。)を起こした原告が,平成27年8月5日付けで,大阪府公安委員会から,「危険運転致傷等(治療期間30日以上)」の違反行為があったとして,原告の運転免許を取り消す処分(以下「本件取消処分」という。)及び同日から6年間を運転免許を受けることができない期間(以下「欠格期間」という。)として指定する処分(以下「本件指定処分」といい,本件取消処分と併せて「本件各処分」という。)を受けたことから,原告の行為は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転死傷処罰法」という。)2条6号の危険運転致傷罪には該当せず,仮に該当するとしても本件各処分は重きに失するなどと主張して,被告を相手に,本件各処分の取消しを求める事案である。
事案の概要
平成30年11月8日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成26(行ウ)247  172ViewsMoreinfo
平成26(行ウ)247
本件は,薬剤師である原告が,大阪府知事から平成22年7月6日付けで一般用医薬品(うち第一類医薬品)及び医療用医薬品のインターネットを利用した販売を中止することなどを内容とする業務改善命令(以下「本件業務改善命令」という。)を受けたにもかかわらず,上記医薬品のインターネットを利用した販売をし,もって本件業務改善命令に違反したとして,薬事法(平成2520年法律第84号による改正前の薬事法をいう。以下,特に断らない限り同じ。)違反の罪により罰金20万円に処せられ,薬剤師法5条3号に該当することとなったことを理由に,厚生労働大臣から,平成26年10月27日付けで同年11月10日から3か月間の業務停止命令(厚生労働省発薬食〇第〇号。以下「本件業務停止命令」という。)を受けたため,被告を相手に,主位的に本件25業務停止命令の取消しを求め,予備的にその無効確認を求める事案である。
事案の概要
平成30年9月6日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成27(行ウ)513  240Views
税理士懲戒処分取消請求事件
平成30年8月2日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成29(行ウ)130  161ViewsMoreinfo
損害賠償請求事件(住民訴訟)
平成29(行ウ)130
本件は,C市の住民である原告が,同市が平成22年に実施したD小学校E号15館(以下「本件校舎」という。)の耐震補強工事(以下「本件工事」という。)は十分な補強をすることができないことがあらかじめ判明していたにもかかわらず行われたものであり,本件工事に係る公金の支出は違法であるなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件工事の当時C市長であった補助参加人A及び教育長であった補助参加人Bに損害賠償として前記第1記載の20とおりの金員の支払請求をすることを被告に対して求める住民訴訟の事案である(遅延損害金の起算日はいずれも被告に対する本件訴状送達の日の翌日である。)。これに対し,被告及び被告補助参加人らは,本件訴えは適法な監査請求の前置を欠く不適法な訴えであるとして,これを却下する旨の裁判を求めるとともに,25原告の請求をいずれも棄却する旨の裁判を求めた。1 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠等により容易に認定することができる事実。以下,書証番号は特記しない限り各枝番を含む。)⑴ 当事者等ア 原告は,C市の住民である。イ 被告は,C市長である。5ウ 補助参加人Aは,平成22年当時,C市長の職にあった者であり,補助参加人Bは,同年当時,C市教育委員会教育長の職にあった者である。⑵ 本件工事に係る公金の支出の経緯等ア C市は,平成21年度事業として,本件校舎を含む市内の3校4棟の耐震補強工事を実施することとし,同年8月20日,Fとの間で,上記4棟10の耐震診断及び補強設計業務を委託する旨の委託契約(甲2)を締結した。しかし,平成22年1月20日,Fから,本件校舎については補強設計が困難と判断したとして作業を中止する旨の業務変更報告書(以下「F報告書」という。甲3)が提出され,C市とFとは,同月28日付けで,上記作業の中止に伴い委託金額を減額する旨の変更契約(甲4)を締結した。15イ C市は,平成22年2月9日,Gとの間で,履行期を同年3月31日まで,委託金額を354万9000円として,本件校舎の耐震診断及び補強設計業務(以下「本件設計等業務」という。)を委託する旨の業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。甲6)を締結した。同契約は,随意契約の方法により締結されたものであり(甲5),契約書において,発注者20名は,「C市代表者C市長A」と記載されている。また,C市は,同契約の締結に当たり,Gとの間で,本件設計等業務は本件校舎のコンクリートの最低強度が財団法人日本建築防災協会の「2001年改訂版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準同解説」(以下「耐震診断基準」という。)に記載された最低強度を下回ることを前提とすることなどを内容とする25同日付け覚書(以下「本件覚書」という。甲7)を取り交わした。ウ その後,Gにより,本件設計等業務が実施され,これに基づく委託料354万9000円は,平成22年5月14日に,C市からGに支払われた(乙1)。エ C市は,平成22年6月30日,Hとの間で,工期を同年9月30日まで,請負代金を2551万1850円として,Gによる設計に基づく本件5校舎の補強工事(本件工事)の請負契約(以下「本件請負契約」といい,本件業務委託契約と併せて「本件各契約」という。甲8の1)を締結した。本件請負契約の契約書において,発注者名は,「C市教育委員会教育長B」と記載されている。本件請負契約については,その後,同月27日付けで,工期を同年1110月30日まで,代金額を456万0150円増額する旨の変更契約(甲8の2)が締結された。オ その後,Hにより本件工事が実施され,本件請負契約に基づく請負代金3007万2000円は,うち1020万円が平成22年8月25日に,うち1987万2000円が同年12月24日に,それぞれC市からHに15支払われた(乙2,3)。⑶ 本件校舎の閉鎖に至る経緯C市が,平成27年12月,大阪府に対し,建築物の耐震改修の促進に関する法律(以下「耐震改修促進法」という。)に基づき,同市内の校舎の耐震診断の結果を報告したところ,平成28年3月,大阪府から,C市に対し,20本件校舎については,コンクリート強度が公的基準に達していないため,このままでは耐震補強を実施したと判断することはできないとの指摘があり,同年10月,C市は,本件校舎を閉鎖した(乙5,11)。⑷ 本件訴えに至る経緯ア 原告は,平成29年5月1日,C市監査委員に対し,本件工事に係る公25金の支出が違法・不当であるなどとして監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。なお,本件監査請求は,本件工事に係る公金の支出から地方自治法242条2項本文の定める監査請求期間である1年を経過した後にされたものである。イ C市監査委員は,平成29年6月28日付けで本件監査請求を棄却し,5その頃,これを原告に通知した(甲9)。ウ 原告は,平成29年7月26日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。2 争点⑴ 原告が監査請求期間を徒過したことにつき地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」(以下,単に「正当な理由」という。)があるか(本10案前の争点)⑵ 被告補助参加人らの損害賠償責任の有無3 争点に対する当事者の主張⑴ 争点⑴(原告が監査請求期間を徒過したことにつき正当な理由があるか)について15(原告の主張)ア 本件工事に係る公金の支出の違法性については,平成29年4月17日に,I新聞のニュースサイトに「市教委は設計業者から『コンクリート強度が弱くて耐震工事は困難』と指摘されたのに,別の業者に頼んで工事を済ませ,6年間校舎を使っていた。」との記事が掲載されて初めて一般の住20民の知り得るところとなったのである。したがって,本件工事に係る公金の支出について,C市の「住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時」(最高裁判所平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁)は,上記記事が掲載された平成29年254月17日であったというべきである。そして,原告は,同日から14日後の同年5月1日に本件監査請求をしたのであるから,上記の時から相当な期間内に監査請求をしたということができる。したがって,原告が監査請求期間を徒過したことについては正当な理由があったというべきである。5イ 被告は,本件各契約及びこれらに基づく委託料等の支払並びにその経緯等に関する公文書がC市情報公開条例(平成10年C市条例第10号)による情報公開請求(以下,単に「公開請求」という。)の対象となっていたなどとして,正当な理由がない旨主張する。しかし,特段の事情や契機となる端緒がないにもかかわらず,住民が公開請求をしなければならないと10解するのは相当でない。本件工事後も本件校舎が耐震診断基準を満たしていないことが公表されていなかったことなどからすると,上記特段の事情や契機となる端緒はなかったのであり,被告の上記主張は的を射ないものである。また,被告は,D小学校E号館耐震補強設計に係る第三者委員会(以下15「本件委員会」という。)の設置要綱(乙6の1)が公表された時には,C市の住民は相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができた旨主張するが,平成29年4月17日に上記記事が掲載されるまでに,本件委員会の設置が広報誌に掲載されたなどの事情はなく,一般住民が上記設置要綱に接す20る契機はなかった。また,仮に,上記設置要綱に接することがあったとしても,本件委員会において検証等が行われることとなったのであるから,これを知った住民としては,行政の自浄作用に期待し,その結果が報告されるまでは監査請求を控えるのが自然かつ合理的である。したがって,被告の上記主張も,的を射ないものである。25(被告及び被告補助参加人らの主張)ア 住民が相当の注意力をもってする調査については,マスコミ報道や広報誌等によって受動的に知った情報だけに注意を払っていれば足りるものではなく,住民であれば誰でもいつでも閲覧できる情報等については,それが閲覧をすることができる状態に置かれれば,その頃には住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて知ることができるものというべ5きである(最高裁判所平成14年9月17日第三小法廷判決・集民207号111頁参照)。そして,本件各契約及びこれらに基づく委託料等の支払並びにその経緯等に関する公文書(原告が本件訴訟において証拠として提出した各文書を含む。)は,いずれも当該文書の作成日以降,公開請求の対象となっていた10のであって,この時期以降,C市の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件工事に係る公金の支出の存在及び内容を知ることができたというべきである。本件監査請求は,上記各文書の公開請求をすることができた時から,6年4か月以上も経過した後にされたものであるから,正当な理由は認めら15れない。イ 仮に,上記各文書の公開請求をすることができた時をもって,C市の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件工事に係る公金の支出の存在及び内容を知ることができた時に該当するといえないとしても,その後,本件工事に関しては,平成2028年9月14日に開催されたC市議会第3回定例会において複数の議員から質問があり,C市教育部長から詳細な説明がされ,その会議録が同年12月26日に市役所庁舎1階の資料コーナー及び同4階の情報公開コーナーに据え置かれるとともに,同市議会のホームページにも掲載された。また,本件校舎の耐震補強設計に関して検証等を行うための第三者委25員会(本件委員会)の設置要綱が同年11月7日に施行され,同日,C市公告式条例(昭和25年C市条例第11号)に基づき同条例2条2項の定める掲示場に掲示して公表され,同年12月22日にはC市のホームページに掲載されている。これらの経緯に照らせば,遅くとも,本件委員会の設置要綱が適式に公表された同年11月7日の時点,又は,更に譲って,C市議会の上記会議録が公開された同年12月26日の時点では,本件工5事に係る公金の支出に問題があるとされていることを誰でも知ることができたということができ,この時点をもって,C市の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件工事に係る公金の支出の存在及び内容を知ることができた時に該当するというべきである。10そして,本件監査請求は,上記設置要綱の公表の時から6か月近く,上記会議録の公開の時から4か月以上を経過した後にされたものであるから,いずれにせよ,正当な理由は認められない。⑵ 争点⑵(被告補助参加人らの損害賠償責任の有無)について(原告の主張)15ア 本件校舎については,Fから補強設計が困難であることが明確に示されたのであるから,補強ではなく建て替えを検討すべきであった。それにもかかわらず,被告補助参加人らは,こうした検討を一切せずに,漫然と,最低強度を下回ることを前提とする耐震設計をGに委託した上で,Hに本件工事を発注したが,結局,大阪府からの指摘を受けて,本件校舎の閉鎖20を余儀なくされた。被告補助参加人らは,必要かつ最少の限度を超えて支出をしないよう事務を処理すべき法的義務(地方自治法2条14項,地方財政法4条 1 項)を負っていたにもかかわらず,上記のとおり,漫然と無駄な本件工事を実施し,公金の支出をしたのであり,この点に,義務違反がある。25イ 本件業務委託契約は,地方自治法施行令167条の2第1項2号に基づき随意契約の方法により締結されたものであるが,最低強度を下回ることを前提とする設計であるからといって,その性質又は目的が競争入札に適しないとはいえず,同号の要件を満たさないから,この点においても違法がある。また,C市教育委員会に対する事務委任規則(昭和49年C市規則第252号)によれば,500万円未満の業務委託の契約は教育委員会に委任されているにもかかわらず,本件業務委託契約は市長名で締結されており,この点においても違法がある。被告補助参加人らは,適法な手続を慎重に実施すべき義務をも怠り,漫然と無駄な本件工事を実施し,公金の支出をしたのであり,義務違反があ10る。ウ 以上のとおり,被告補助参加人らには義務違反があるところ,これにより,C市は本件業務委託契約に係る委託料額(354万9000円)及び本件請負契約の代金額(3007万2000円)相当の損害(合計3362万1000円)を被った。15よって,補助参加人AはC市に対し3362万1000円及びこれに対する遅延損害金の損害賠償責任を,補助参加人Bは同市に対し3007万2000円及びこれに対する遅延損害金の損害賠償責任を負う。(被告及び被告補助参加人らの主張)本件工事に係る公金の支出に違法な点はなく,被告補助参加人らがこれに20ついてC市に対する損害賠償責任を負うことはない。第3 当裁判所の判断1 争点⑴(原告が監査請求期間を徒過したことにつき正当な理由があるか)について⑴ 正当な理由の有無についての判断枠組み25普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである5(前記最高裁判所平成14年9月12日第一小法廷判決)。⑵ 認定事実前記前提事実に加え,証拠(甲1~4,6~9,乙1~3,5~8,11)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。ア 本件工事に係る公金の支出の経緯等は,前記前提事実⑵アからオまでの10とおりであるところ,その過程においては,本件校舎の補強設計が困難であるため設計作業を中止する旨のF報告書(甲3),Gとの間の本件業務委託契約の契約書(甲6)及び本件覚書(甲7),同契約に基づく委託料に係る支出命令書(乙1),Hとの間の本件請負契約の契約書(甲8の1)並びに同契約に基づく請負代金に係る支出命令書(乙2,3)が作成ないし取15得され,これらの公文書(以下「本件各公文書」という。)は,いずれも,その作成・取得の時点以降,C市情報公開条例に基づく公開の対象となり,C市の住民であれば誰でも,公開請求をし,その内容を了知することができた。もっとも,本件工事が,本件校舎のコンクリートの最低強度が耐震診断基準に記載された最低強度を下回ることを前提に行われたものであ20るとの事情(以下「本件事情」という。)について,C市から積極的に公表されたことはなかった。イ 前記前提事実⑶のとおり,平成28年3月,耐震改修促進法に基づくC市からの報告に対し,大阪府は,本件校舎については,コンクリート強度が公的基準に達していないため,このままでは耐震補強を実施したと判断25することはできないとの指摘をした。その後,同年7月までの間,C市と大阪府との間で協議等が行われたが,最終的に,大阪府から耐震補強済みとの判断ができない旨の回答があった。ウ C市は,平成28年8月,D小学校PTA実行委員会に本件事情等について報告した後,保護者説明会を実施した。エ 平成28年9月14日に開催されたC市議会第3回定例会において,J5議員及びK議員から,本件工事についての質問がされたのに対し,O教育部長は,「平成21年度に耐震診断及び補強設計業務を委託した設計業者が建物のコア抜きを実施し,耐震設計可能な強度未満であったため補強設計が困難と判断し,中止の申し入れがあったことと,市単費でコンクリート強度不足を前提として,大地震時における校舎の倒壊を防止することを10目的に,別の設計事務所に耐震診断及び補強設計業務を委託し,その設計書に基づき,建設会社が耐震補強工事を実施したことが判明いたしました。」などと本件事情等についての説明をした。上記定例会の会議録(乙5)は,平成28年12月26日に市役所庁舎1階の資料コーナー及び同4階の情報公開コーナーに据え置かれるととも15に,同市議会のホームページに掲載された。オ C市教育委員会は,本件校舎の「耐震補強設計に関して,公正中立かつ客観的な検証等を行うため」本件委員会を設置することとして,「D小学校E号館耐震補強設計に係る第三者委員会設置要綱」(乙6の1)を定めたところ,同要綱は,平成28年11月7日に施行され,同日,C市公告式条20例に基づき同条例2条2項の定める掲示場に掲示して公表され,同年12月22日にはC市のホームページ(乙6の3)に掲載された。本件委員会は,同月28日及び平成29年2月7日に会議を開催したところ,本件委員会の会議は原則として公開するものとされ(上記設置要綱5条4項),あらかじめ上記各会議の開催を告知する文書が同市のホームペ25ージに掲載されていた。本件委員会は,同年3月13日付けで報告書を取りまとめ,同報告書は,その頃,同市のホームページに掲載されるなどして公表された。カ 平成29年4月17日,I新聞のニュースサイトに,本件工事の経緯等に関し,「校舎閉鎖 耐震補強も強度不足で 大阪・C市教委」と題する記事(甲1)が掲載された。5キ 原告は,平成29年5月1日,C市監査委員に対し,本件工事は設計業者から本件校舎のコンクリート強度が弱く耐震工事をすることは困難である旨の指摘を受けていたにもかかわらず行われたものであり,本件工事に係る公金の支出は地方自治法2条14項,地方財政法4条 1 項に照らして違法・不当であるとして,本件監査請求をした。10⑶ 判断ア 上記認定事実によれば,本件工事は一定の規模を有する公共施設に対する耐震補強工事であり,その工期も約5か月に及んでいたことなどからすると,本件工事が行われていたこと自体は,その当時から,地域住民にとって,客観的・外形的に明らかであったということができる。そうすると,15本件工事が行われていることが客観的・外形的に明らかになった時点において,本件工事の請負契約(本件請負契約)のみならず,本件工事を施工するために当然に必要となる設計契約(本件業務委託契約)についても,契約の締結その他の財務会計上の行為の存在自体は,D小学校周辺の地域住民にとっては明らかであったということができる。そして,C市が本件20校舎を含む市内3校4棟の耐震補強工事を実施していたことのほか,C市の規模等に鑑みれば,D小学校の周辺住民に限らず,C市の住民が,相当の注意力をもって調査すれば,本件工事に係る公金の支出の存在を知ることができたことは明らかというべきである。また,上記認定事実によれば,本件工事に係る公金の支出に関しては,25F報告書及び本件覚書を含む本件各公文書が作成ないし取得され,その作成・取得の時点以降,C市の住民であれば誰でも,公開請求により,その内容を了知することができたというのであるから,本件各公文書につき上記請求をすれば,本件各契約の内容等の形式的事情のみならず,本件工事がFから本件校舎の補強設計をすることは困難である旨の指摘を受けた後にコンクリート強度が弱いこと等を前提に施工されたとの事情(本件事情)5を知ることもできたと考えられる。もっとも,本件監査請求は,補強設計をすることが困難である旨の指摘を受けていたにもかかわらず本件工事が行われたことを問題とするものであるところ,このような事情(本件事情)は,本件各契約に係る契約書や支出命令書のみを調査しただけでは判明しないものであって,更にF報告10書や本件覚書の公開請求をするなどして,その詳細な経緯まで調査しなければ,本件監査請求をするに足りる程度に当該行為の内容を知ることはできなかったものというべきである。そして,特段の情報や契機もないのに,上記のような特殊な事情があることを考慮に入れて調査をすることは相当に困難であると考えられ,本件各契約に係る契約書や支出命令書を調査す15ることについては,住民による合理的な調査として一般的に期待することができるとしても,それを超えて詳細な経緯を調査することまで住民に期待するのは酷な面があるといわざるを得ない(公開請求に係る情報を「本件工事に係る情報一切」などとして公開請求をすれば,F報告書や本件覚書も公開されたと考えられるものの,特段の情報もないのに,このような20包括的・網羅的な公開請求をすることまでを期待するのが相当であるとはいい難い。)。そうすると,被告の内部において本件各公文書が作成ないし取得されたとしても,本件事情は,C市の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても知ることが困難であったものということができる。以上によれば,本件工事に係る公金の支出について,被告の内部におけ25る本件各公文書の作成ないし取得の時点において,C市の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて本件監査請求をするに足りる程度にその内容を知ることができたと解することはできない。イ しかしながら,上記認定事実によれば,平成28年8月にはD小学校において保護者説明会が実施されたほか,同年9月14日にはC市議会定例会において教育部長から本件事情等についての詳細な説明がされ,さらに,5同年11月7日には本件委員会の設置要綱が施行されて公表されたというのである。これらの経緯に照らせば,遅くとも,本件委員会の設置要綱が公表された同年11月7日頃には,C市の住民が相当の注意力をもって調査すれば本件事情を知ることができたと解するのが相当である。しかるに,上記認定事実によれば,原告が本件監査請求をしたのは上記10の時から5か月以上が経過した平成29年5月1日であるから,原告が上記の時から相当の期間内に監査請求をしたとは到底いえない。ウ 以上に対し,原告は,本件委員会の設置が広報誌に掲載されたなどの事情はなく,平成29年4月17日に上記認定事実カの記事が掲載されるまでは,一般住民が本件事情を知ることはできなかった旨主張する。しかし,15上記認定事実によれば,本件工事については,平成28年8月にはD小学校で保護者説明会が開催されていたというのであるから,少なくとも同校周辺の地域においては,住民の知るところとなっていたと考えられる上,その後,同年9月には,市議会でも複数の議員から質問がされていたのであり,そのような事情の下で本件委員会が設置され,その設置要綱が適式20に公表されたというのであるから,本件事情の下で本件工事が行われたことについて問題があるとされていることは,C市の住民が相当の注意力をもって調査すれば容易に知り得る状態になっていたというべきである。加えて,「相当の注意力」をもってする調査については,単にマスコミ報道や広報誌等によって受動的に知った情報等だけに注意を払っていれば足り25るというものではないことからしても,原告の上記主張は採用することができない。また,原告は,本件委員会において検証等が行われることとなったのであるから,本件委員会の設置を知った住民としては,その結果が報告されるまでは監査請求を控えるのが自然かつ合理的である旨主張するが,第三者委員会が設置されたからといって,必ずしもその結果を待って監査請求5を控えるのが自然かつ合理的であるとはいい難いし,仮に,この点を措くとしても,原告自身が本件委員会による検証等の結果を待って,あえて相当の期間内に監査請求をしなかったというわけでもない以上,原告の上記主張は,その前提を欠くものといわざるを得ず,採用することができない。エ 以上によれば,原告が監査請求期間を徒過したことにつき正当な理由が10あるということはできない。したがって,本件訴えは,適法な監査請求の前置を欠く不適法な訴えである。
事案の概要
平成30年7月26日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成27(行ウ)436  147ViewsMoreinfo
怠る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟)
平成27(行ウ)436
本件は,高槻市の住民である原告が,同市交通部芝生営業所及び緑が丘営業所(以下,併せて「本件各営業所」という。)において,職員の遅刻を有給休暇に振り替える等の取扱い(以下「本件取扱い」という。)が行われてきたことに関し,平成22年4月以降,①高槻市自動車運送事業管理者(以下「本件事業管理者」という。)の職にあったA,B及びC(以下,併せて「歴代管理者」という。),②25「職員の出勤状況を把握し,出勤表を整理すること」及び「定例的な給与等の支給並びに所得税その他法令に基づく事務を処理すること」について専決権限を有する総務課長又は総務企画課長の職にあったD及びE(以下,併せて「歴代課長」という。)並びに③「所属職員の休暇,早退及び欠勤を許可し,又は承認すること」について専決権限を有する本件各営業所の所長の職にあったF,G,H,I,J及びK(以下,併せて「歴代所長」という。)は,高槻市に対し,それぞれ不法行5為に基づく損害賠償責任又は地方自治法243条の2第1項の賠償責任を負っているなどと主張して,同法242条の2第1項3号及び4号に基づき,前記第1記載のとおり,被告が歴代管理者,歴代課長及び歴代所長に対し損害賠償請求又は賠償命令を怠ることが違法であることの確認を求めるとともに,被告に対する当該損害賠償請求又は賠償命令の義務付けを求める住民訴訟の事案である(各10請求における遅延損害金の起算日は被告に対する本件訴状送達の日の翌日である。)。1 関係法令等の定め⑴ 地方公営企業法等ア 地方公営企業法8条1項本文は,管理者は,同項各号に掲げる事項を除15くほか,地方公営企業の業務を執行し,当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表する旨規定し,同法9条は,管理者は,同法8条の規定に基づいて,地方公営企業の業務の執行に関し,おおむね同法9条各号に掲げる事務を担任する旨規定し,同条2号は,職員の任免,給与,勤務時間その他の勤務条件,懲戒,研修及びその他の身分取扱に関する事項を掌理す20ることを掲げる。同法10条は,管理者は,法令又は当該地方公共団体の条例若しくは規則又はその機関の定める規則に違反しない限りにおいて,業務に関し管理規程(以下「企業管理規程」という。)を制定することができる旨規定する。地方公営企業法38条は,企業職員(管理者の権限に属する事務の執行25を補助する職員をいう。以下同じ。同法15条1項参照。)の給与は,給料及び手当とする旨(1項),企業職員の給与は,その職務に必要とされる技能,職務遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるものであり,かつ,職員の発揮した能率が充分に考慮されるものでなければならない旨(2項),企業職員の給与は,生計費,同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与,当該地方公営企業の経営の状況その5他の事情を考慮して定めなければならない旨(3項),企業職員の給与の種類及び基準は,条例で定める旨(4項)を各規定する。イ 地方公営企業法36条は,企業職員の労働関係については,地方公営企業等の労働関係に関する法律(以下「地公労法」という。)の定めるところによる旨規定する。10地公労法7条は,職員に関する,賃金その他の給与,労働時間,休憩,休日及び休暇に関する事項(同条1号)並びに昇職,降職,転職,免職,休職,先任権及び懲戒の基準に関する事項(同条2号)は,団体交渉の対象とし,これに関し労働協約を締結することができ,ただし,地方公営企業等の管理及び運営に関する事項は,団体交渉の対象とすることができな15い旨規定する。同法8条1項本文は,地方公共団体の長は,地方公営企業において当該地方公共団体の条例に抵触する内容を有する協定が締結されたときは,その締結後10日以内に,その協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該地方公共団体の議会に付議して,その議決を求めなければならない旨規定し,同条4項は,同条120項の協定は,同項の条例の改正又は廃止がなければ,条例に抵触する限度において,効力を生じない旨規定する。同法9条は,地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関は,地方公営企業において,当該地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関の定める規則その他の規程に抵触する内容を有する協定が締結されたときは,速やかに,その協定が規則その他の25規程に抵触しなくなるために必要な規則その他の規程の改正又は廃止のための措置をとらなければならない旨規定する。なお,地方公務員法は,3章4節(24条から26条の3まで)において,給与,勤務時間その他の勤務条件について規定し,そのうち24条5項は,職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は条例で定める旨規定するところ,地方公営企業法39条1項は,企業職員については,上記各規定5は適用しない旨規定している。⑵ 高槻市公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例(昭和41年高槻市条例第689号。以下「給与条例」という。)給与条例1条は,同条例は地方公営企業法38条4項の規定に基づき,企業職員の給与の種類及び基準を定めるものとする旨規定し,同条例2条1項10は,企業職員で常時勤務を要するもの(臨時に雇用された者及び嘱託を除く。)及び地方公務員法28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員(以下,同条例において「職員」という。)の給与の種類は,給料及び手当とする旨規定し,同条2項は,給料は,正規の勤務時間による勤務に対する報酬であって,手当を除いた全額とする旨規定し,同条例14条は,勤勉手15当は,6月及び12月に在職する職員に対して,その勤務成績に応じ,かつ,その他の事情を考慮して支給する旨規定する。給与条例16条1項は,職員が正規の勤務日又は勤務時間中に勤務しないときは,その勤務しないことにつき管理者の承認があった場合を除くほか,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当たりの給与額をその者に支給す20べき給与の額から減額する旨規定する。給与条例19条は,同条例の施行に関し必要な事項は,当該労働組合と協議して定める旨規定する。⑶ 高槻市自動車運送事業職員就業規則(平成2年高交管理規程第10号。以下,単に「本件就業規則」という。甲6)25ア 本件就業規則10条1項は,職員(地方公営企業法15条の規定に基づき,本件事業管理者が高槻市自動車運送事業の一般職の職員として任命した者をいう。以下,本件就業規則において同じ。本件就業規則2条。)は疾病その他の事故により欠勤しようとするときは,事前にその事由及び日数を所属長に届け出なければならず,ただし,予測し難い事由で欠勤するときは,事後速やかに届け出なければならない旨規定する。本件就業規則151条は,職員は,遅刻した場合又は勤務時間中に発病その他やむを得ない事由により早退しようとするときは,所属長に届け,又は承認を受けなければならない旨規定する。イ 本件就業規則25条1項本文は,年次有給休暇の承認を受けようとする職員は,あらかじめ本件事業管理者に請求しなければならない旨規定し,10同条2項は,職員は,同条1項の規定にかかわらず,病気,災害その他やむを得ない事由により定められた時期までに請求できなかった場合には,その理由を付して事後において承認を求めることができる旨規定する。2 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠等により容易に認定することができる事実。以下,書証番号は特記しない限り各枝番を含む。)15⑴ 当事者等ア 原告は,高槻市の住民であり,高槻市議会の議員である。イ 高槻市は高槻市自動車運送事業の設置等に関する条例(昭和41年高槻市条例第681号。以下「設置条例」という。)により自動車運送事業(地方公営企業法2条1項4号)を設置しており,被告はその管理者(同法720条)である。ウ(ア) Aは平成19年7月12日から平成23年6月19日まで,Bは同月20日から平成25年5月31日まで,それぞれ本件事業管理者の職にあった。Cは,同年6月1日から本件事業管理者の職にあり,本件訴えの提起25の当時もその職にあった。(イ) Dは,平成21年4月1日から平成27年7月31日まで総務課長の職(ただし,平成24年4月1日から平成25年3月31日の間は総務企画課長の職)にあった。Eは,平成27年8月1日から総務課長の職にあり,本件訴えの提起の当時もその職にあった。5(ウ) Fは,平成22年度及び平成23年度において,芝生営業所の所長の職にあった。Gは,平成22年度及び平成23年度において,緑が丘営業所の所長の職にあり,平成24年度において芝生営業所の所長の職にあった。Hは,平成24年度において緑が丘営業所の所長の職にあった。10Iは,平成25年度,平成26年度及び平成27年度において,芝生営業所の所長の職にあった。Jは,平成25年度及び平成26年度において,緑が丘営業所の所長の職にあった。Kは,平成27年度において,緑が丘営業所の所長の職にあった。15⑵ 高槻市自動車運送事業に係る事務処理のための組織等ア(ア) 高槻市には本件事業管理者の権限に属する事務を処理させるため交通部(以下,単に「交通部」という。)が置かれている(設置条例3条)。(イ) 交通部には総務課及び企画運輸課が置かれている(高槻市自動車運送事業事務分掌規程(昭和45年高自管理規程第5号。甲2)2条1項)20が,総務課は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間,総務企画課と称されていた(以下,この期間を含め,単に「総務課」という。)。(ウ) 交通部企画運輸課には本件各営業所が置かれている(高槻市交通部営業所規程(昭和46年高自管理規程第5号。以下,単に「営業所規程」25という。甲4)1条,2条)。営業所の分掌する事務には,運輸主任,主任及び乗務員の勤務並びに配車に関すること(同規程3条2号),乗務記録に関すること(同条5号)が含まれる。イ(ア)本件事業管理者は,高槻市自動車運送事業事務決裁規程(平成元年高交管理規程第7号。以下,単に「決裁規程」という。甲3)により,労働組合との労働協約の締結に関すること(同規程5条4号),企業管理規5程その他重要な例規の制定,改廃及び令達をすること(同条7号)等について,自ら決裁を行うこととされている。(イ) 総務課長は,決裁規程により,職員の出勤状況を把握し,出勤表を整理すること(同規程6条2項,別表第2の1⑷),定例的な給与等の支給並びに所得税その他法令に基づく事務を処理すること(同項,同別表の101⒁)等について,専決することができることとされている。平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間の総務企画課長についても,同様であった(弁論の全趣旨)。平成24年11月8日,高槻市自動車運送事業職員の賠償責任に関する規程(平成24年高交管理規程第12号。乙12)が施行されたことに15より,総務課長については,同日より,地方公営企業法34条の準用する地方自治法243条の2第1項後段に定める賠償命令の対象となる者(同項後段各号に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則又は企業管理規程で指定したもの)に該当することとなった。20(ウ) 営業所の所長(以下,単に「所長」という。)は,企画運輸課長の命を受けて営業所の所管事務を掌理し,所属職員を指揮監督する(営業所規程4条3項)ところ,所属職員の休暇,早退及び欠勤を許可し,又は承認することは,本件事業管理者の権限に属する事務のうち所長が専決することができる事務とされている(同規程5条4号)。25⑶ 本件取扱いの概要ア 交通部においては,平成22年度以前から,①職員による遅刻のうち,始業から30分未満であるなど一定の条件を満たすものについては,2回目までは遅刻として取り扱わず,3回目に有給休暇を半日分取得したこととする取扱い(3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱い)がされていたほか,②30分を超える遅刻であっても有給休暇を半日分取得した5こととする取扱い(1回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱い)がされていた。そして,これらの取扱いがされた場合も,遅刻した職員は,出勤後にそのままバス乗務等の勤務に従事し,遅刻による減給や処分を受けることはなかった(弁論の全趣旨)。イ 休暇届表の記載10(ア) 3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いの場合,休暇届表の裏面の「遅刻・早退」欄に遅刻した時間等が記載され,これが3回目になると同表の表面の「半休」欄に3回目に遅刻した日付が記載され,その備考欄に「遅刻3回」等と記載されることとなっていた。また,1回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いの場合,休暇届表の表面の15「半休」欄の備考欄に「遅刻」との記載や遅刻した時間等が記載されることとなっていた。(以上につき,甲7参照。)(イ) 平成22年4月から平成27年8月までの間の本件各営業所所属の職員らの休暇届表の記載を取りまとめると別表のとおりとなるところ,同表によれば,上記の期間に,少なくとも,延べ445名の職員(同表の20番号1から449までの職員。ただし,18,40,41及び317は欠番。)が本件取扱いを受けたこととなる(弁論の全趣旨)。⑷ 本件訴えの提起までの経緯ア 原告は,平成27年8月10日,高槻市監査委員に対し,本件取扱いについて,「本来認められない有給休暇を承認するなどして,遅刻を欠勤とし25て扱わず,減給することなく給与を支給してきたことは違法不当であり,それによって交通部は損害を被ってきた。」などとして,監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした(甲9)。イ 高槻市監査委員は,平成27年10月8日付けで,本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分につき,地方自治法242条2項本文の監査請求期間を徒過したものとして監査の対象外と5する一方,上記日以降に支給された給与に係る部分につき,原告の主張する給与の支給が違法又は不当な公金の支出に当たるかどうかを監査対象事項とした上で,「請求人が求める欠勤による給与の減額を行わずに公金を支出したことについて,市の損害として,関係職員らに不当利得又は損害賠償の請求を求める措置の必要は認められない」との監査結果を原告に10通知した(甲10)。ウ 原告は,平成27年11月6日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。3 争点⑴ 本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分が監査請求期間を徒過した不適法なものか(本案前の争点)(争点①)15⑵ 歴代所長の責任ア 歴代所長による本件取扱いの違法性(争点②)イ 歴代所長の故意・過失(争点③)⑶ 歴代課長の責任ア 歴代課長による遅刻をした職員に対する給与の支出命令の違法性(争点20④)イ 歴代課長の故意・過失(賠償命令については重過失)(争点⑤)⑷ 歴代管理者の責任ア 歴代管理者による歴代所長及び歴代課長に対する指揮監督上の義務の懈怠の有無(争点⑥)25イ 歴代管理者の故意・過失(争点⑦)⑸ 損害の有無及び額(争点⑧)4 争点に対する当事者の主張⑴ 争点①(本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分が監査請求期間を徒過した不適法なものか)について(原告の主張)5ア 原告の主張する違法な財務会計行為の内容と地方自治法242条2項の適用の有無について(ア) 歴代所長に係る請求は,歴代所長による本件取扱いが不法行為であり,当該不法行為に基づく損害賠償請求を怠る事実の違法を主張するものである。したがって,歴代所長に係る請求は,地方自治法242条2項10の適用のない,いわゆる真正怠る事実(以下,単に「真正怠る事実」という。)に係る請求である。歴代課長に係る請求は,歴代課長による遅刻した職員に対する給与の支出命令が違法であり,違法な財務会計上の行為をした職員に対する損害賠償請求又は賠償命令を怠る事実の違法を主張するものである。した15がって,歴代課長に係る請求は,地方自治法242条2項の適用のある,いわゆる不真正怠る事実(以下,単に「不真正怠る事実」という。)に係る請求である。歴代管理者に係る請求は,歴代管理者が歴代所長に対する指揮監督を怠ったことが不法行為であり,当該不法行為に基づく損害賠償請求を怠20る事実の違法を主張するものと,歴代課長による支出命令の本来的権限者に対する損害賠償請求を怠る事実の違法を主張するものである。したがって,歴代管理者に係る請求のうち,前者は真正怠る事実に係る請求であり,後者は不真正怠る事実に係る請求である。(イ) 被告は,歴代所長の行為は,総務課長が行う財務会計上の行為の準備25行為又は補助行為に当たるとして,歴代所長に係る請求及び歴代管理者に係る請求のうち歴代所長に対する指揮監督を怠ったことを不法行為とする部分は不真正怠る事実に係る請求である旨主張するが,所長は所属職員の休暇,早退及び欠勤を許可し,又は承認する専決権限を独自の権限として有する以上,所長の行為が給与の支払の準備行為であるとか補助行為であるとかいうことはできない。5イ 地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」について(ア) 上記アのとおり,歴代課長に係る請求及び歴代管理者に係る請求のうち歴代課長による支出命令の本来的権限者に対する損害賠償請求を怠る事実の違法を主張する部分は不真正怠る事実に係る請求であるから,そのうち,平成26年8月10日前に支出された給与に係る部分は,そ10の前提となる本件監査請求が,地方自治法242条2項本文の定める監査請求期間を徒過したものであるということとなる。しかし,本件取扱い及びこれに基づく給与の支出命令は,交通部内部で行われていたものであり,純粋に内部での問題であることから,一般住民はもちろん,市議会議員である原告においても,その問題を知るこ15とはできなかった。そして,原告は,平成27年5月頃,頻繁に遅刻している職員がいるとのうわさを聞いたことから,同月27日,情報公開請求をしたところ,休暇届表が公開され,同書面の「半休」欄の備考欄に「遅刻3回」等の記載があることに気付いた。そこで,原告は,交通部に問い合わせるなどし,最終的に,同年7月16日に市議会における20被告の答弁により,本件取扱い及びこれに基づく違法な給与の支出について知ったのである。原告は,その約1か月後である同年8月10日に本件監査請求をした。これらの事情に照らせば,上記請求の前提となる本件監査請求について,監査請求期間を徒過したことには,地方自治法242条2項ただし25書の「正当な理由」があるというべきである。(イ) 被告は,原告が本件監査請求において「正当な理由」について主張せず,監査対象外とされた以上,本訴において「正当な理由」を主張・立証したとしても遡って本件監査請求が適法になるものではない旨主張する。しかし,住民監査請求において「正当な理由」について主張したが監査委員にこれを認められなかった場合と,「正当な理由」について主5張せずに監査委員が「正当な理由」なしと判断した場合とで,結論が異なるものではない。また,住民訴訟段階で「正当な理由」の主張を補充することを禁ずる旨の規定もない。したがって,被告の上記主張は失当である。被告は,原告が平成25年にも情報公開請求により休暇届表を取得し10ていたことを根拠に「正当な理由」がないと主張するところ,当時の休暇届表に「遅刻3回」との記載があったか否かについて記憶していない。仮に,そのような記載があったとしても,その記載のみから本件取扱いの存在及び内容を知ることはできないし,何らかの問題があるのではないかとの疑問を持つこともできない。したがって,原告は,平成25年15当時,本件取扱いについて知らなかったし,知ることもできなかったのであって,被告の上記主張は失当である。ウ 結論よって,本件監査請求は,平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分も含め,適法であり,本件訴えは,適法な監査請求を経た適法な20訴えである(最高裁判所平成10年12月18日第三小法廷判決・民集52巻9号2039頁参照)。(被告の主張)ア 地方自治法242条2項の適用の有無について原告は,歴代所長に係る請求及び歴代管理者に係る請求のうち歴代所長25に対する指揮監督を怠ったことを不法行為とする部分は真正怠る事実に係る請求である旨主張する。しかし,各職員につき休暇,早退及び欠勤の決裁をした休暇届表を作成し,それらを含む勤務実績を総務課に報告するという歴代所長の行為は,財務会計上の行為ではない事実行為であるものの,職員に対する給与の支払の前提行為であり,後に続く財務会計上の行為たる支出命令と一体のも5のというべきである。そうすると,歴代所長の上記行為については,総務課長が行う財務会計上の行為たる支出命令の準備行為又は補助行為に当たるというべきであるから,上記各請求も,不真正怠る事実に係る請求であるというべきである(最高裁判所平成14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁参照)。10イ 地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」について(ア) 本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分は,不適法なものとして監査の対象外とされていること原告は,本件監査請求において「正当な理由」について主張しなかったため,本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与15に係る部分は,監査委員によって,監査の対象外とされている。監査請求において,請求人が「正当な理由」について疎明したにもかかわらず,監査委員が判断を誤ってこれを不適法なものとした場合には,監査請求前置の要件を満たすものとして住民訴訟の審理が行われるべきであるが,そもそも,請求人が監査請求において「正当な理由」の主20張さえしていない場合には,当該監査請求は不適法なものといわざるを得ないのであって,このような場合にまで住民訴訟の審理を行うことは,実質的に監査請求を経ずに住民訴訟を許すこととなり,監査請求前置主義を採用した地方自治法の趣旨に反する。したがって,たとえ本訴において「正当な理由」の主張・立証がされたとしても,原告が本件監査請25求において「正当な理由」の主張すらしていなかった以上,本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分は不適法なものといわざるを得ない。(イ) 本件監査請求について「正当な理由」が認められないこと原告は,平成25年6月11日,情報公開請求により,平成24年度の休暇届表を取得しており,その「半休」欄の備考欄に「遅刻3回」の5記載がされているものもあったのであるから,その頃には,原告は,本件取扱いがされていることを認識することができた。加えて,原告は,高槻市議会の議員であるから,休暇届表を取得した時点で,市議会議員として相当の注意力をもって調査等をすれば,休暇届表の内容及び記載の趣旨のほか,原告が主張するところの本件取扱いの違法原因等につい10て容易に知ることができたというべきである。したがって,原告は,平成25年中には,本件取扱いについて,監査請求をするに足りる程度にその行為の存在及び内容を知ることができたというべきであり,その後,相当期間内に監査請求をしたということはできない。したがって,本件監査請求について「正当な理由」は認め15られない。ウ 小括よって,本件訴えのうち,平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分は,適法な監査請求を経ていない不適法な訴えとして,却下されるべきである。20⑵ 争点②(歴代所長による本件取扱いの違法性)について(原告の主張)ア 給与は勤務に対する対価であり,勤務なくして給与を支払うことはできない(ノーワーク・ノーペイの原則)ところ,交通部の職員についても,上記原則から,職員が勤務しない時間については,本件事業管理者の承認25があった場合を除き,所定の勤務時間当たりの給与額を減額して給与を支給しなければならない旨の規定が設けられている(給与条例16条1項)。本件取扱いの下において,職員は,遅刻した時間の分だけ勤務していないにもかかわらず,遅刻した時間も勤務したものとして給与が支給されている。しかし,本件取扱いにおいて,上記規定にいう承認が適法にされているとはいえない。5また,「労働者自身が休暇をとること(すなわち,就労しないこと)によって始めて,休暇の付与が実現される」(最高裁判所昭和48年3月2日第二小法廷判決・民集27巻2号210頁参照)とされているところ,本件取扱いの下では,職員は実際には遅刻した後に勤務している以上,有給休暇を取得したことにはならないはずである。本件取扱いは,遅刻による減10給等の不利益を受けるのが嫌なら半日分の有給休暇を消化したことにせよと迫っているに等しく,常習的に遅刻している職員を除けば,本人の自由意思に基づく休暇取得とはいえない。以上のとおり,本件取扱いは,ノーワーク・ノーペイの原則に反するとともに,有給休暇制度の趣旨を没却する違法なものである。15イ(ア) 被告は,3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いについては,高槻市交通労働組合(以下,単に「本件組合」という。)との間の労働協約である,平成7年12月27日付け覚書(以下「本件覚書」という。乙1)に基づくものであると主張するが,そのような合意がされたということ自体が疑わしい。20この点を措くとしても,このような合意は,上記のとおり,ノーワーク・ノーペイの原則に反するとともに,有給休暇制度の趣旨を没却する違法なものであるし,市民感覚に照らしても著しく合理性を欠くものであるから,このような労働協約が締結されたとしても,無効なものというほかない。25(イ) 被告は,本件取扱いには必要性があった旨主張するが,乗務員が欠勤した場合のために待機職員が存在するのであって,待機人数を上回る遅刻者が日々存在するとは考え難い。また,仮に遅刻してでも出勤してもらうことにメリットがあるとしても,僅かの時間の遅刻のために有給休暇半日分に振り替えた上で乗務させる必要まではなく,有給休暇制度の趣旨を損なうことなく,かつ交通部の特殊性を踏まえた上で,市バスの5定時運行を可能にする方策はあったはずである。実際,交通部においても,平成27年には1時間単位での有給休暇の取得が可能となり,本件覚書による取扱いは廃止されている。ウ 以上によれば,歴代所長による本件取扱いは,違法である。(被告の主張)10ア 本件取扱いの内容交通部職員の遅刻を有給休暇に振り替える取扱いの具体的な内容は,以下のとおりであった。いずれの場合も,遅刻した職員は,出勤後にそのままバス乗務等の勤務に従事し,遅刻による減給や処分はしていない。(ア) 3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱い15交通部においては,本件組合との間で締結された本件覚書に基づき,交通部職員の遅刻について,次のとおり,取り扱うこととされていた。a 基本的取扱いとして,出勤時刻以降の勤務時間内出勤は,職務命令違反・部分欠勤に当たり,当該欠勤時間に応じて賃金カット等の対象とする。20b 職員救済の立場から,本人からの申請と上司の承認を経て,始業から30分未満の遅刻(乗務員については,始業から30分未満で,かつ,出庫時刻までの遅刻)については,有給休暇との振替措置を行う。c 遅刻3回を有給休暇半日分と振り替えることとし,振替の限度日数は有給休暇2日分相当までとする。そして,端数(2回以内の遅刻)25の振替はしない。(イ) 1回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱い始業から30分を過ぎた遅刻(乗務員については,出庫時刻を過ぎた遅刻を含む。)については,本件覚書の対象外である。ただし,このような場合であっても,遅刻した職員から,有給休暇として処理してほしいとの申請があれば,本件就業規則25条2項に基づ5き,遅刻扱いとせず,半日の有給休暇として処理している。イ 3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いの適法性(ア) 上記のとおり,3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いは,本件覚書に基づくものであるところ,本件覚書は有効に成立した労働協約である。そして,その内容は,職員の一定の範囲の遅刻について,事10前かつ包括的に,給与条例16条1項の勤務しないことについての承認をすることとしたものであるということができるから,地公労法8条1項の「条例に抵触する内容を有する協定」には該当しない。したがって,上記取扱いを違法とする理由はない。(イ) また,交通部では,平日と休日とを併せて300通りにも及ぶ仕業に15ついて,輪番制により毎日異なる仕業を割り当てられるという勤務形態の特殊性があり,一定数の乗務員が遅刻をするという事態が生じていたところ,市バスの定時運行の確保という公共交通機関としての事業目的に照らせば,乗務員には出勤時刻に間に合わない場合でも有給休暇を取得するのではなく,遅刻してでも出勤して業務に就くべきことが要請さ20れていた。本件覚書は,このような事情の下で,本件組合との交渉の結果として締結されたものであって,交通部における事業を遂行するために極めて合理性のある制度であったというべきであり,この点からも,上記取扱いは適法であるといえる。ウ 1回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いの適法性251回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える取扱いは,本件覚書に基づくものではなく,本件就業規則25条2項に基づき事後に有給休暇の承認をしているものであるところ,上記イのとおりの事情の下では,同項にいう「やむを得ない事由」が認められる。したがって,上記取扱いは適法である。エ 原告の主張に対する反論5原告は,本件取扱いが著しく合理性を欠くなどと主張するが,交通部における上記事情を理解しない机上の空論にすぎない。また,原告は,本件取扱いの下では,職員は遅刻した後に勤務している以上,有給休暇を取得したことにはならないなどと主張するが,有給休暇の法的効果は,当該稼働日における就労義務が消滅することに尽きるから,10当該稼働日に業務に従事したからといって,その取扱いが虚偽であるとか無効であるとかいうことはできない。⑶ 争点③(歴代所長の故意・過失)について(原告の主張)歴代所長は,本件取扱いの下において違法に休暇の承認をしており,故意15が認められる。本件覚書は,平成27年6月24日に廃止されたというのであるから,少なくとも,同廃止後の同年8月13日にされた休暇の承認については,明らかに故意がある。仮に,故意が認められないとしても,歴代所長は,本件取扱いが民間企業等では考え難い措置であり,市民感情に照らしても理解を得難いものである20こと,また,他に合理的な方策があることも容易に認識することができた。したがって,本件取扱いにつき,慣習や労使間の合意があったとしても,それが違法・無効であることを容易に認識することができたというべきであるから,歴代所長には過失が認められる。(被告の主張)25仮に本件取扱いが違法であったとしても,歴代所長は,本件覚書及び本件就業規則25条2項に基づき,本件取扱いをしていたのであるから,故意はない。また,本件取扱いは,本件覚書及び本件就業規則25条2項に基づき,継続的に行われてきたことであり,また,これらの処理が違法であるなどと問題提起がされたことも全くなかったのであるから,歴代所長に,その違法性5を認識し得る素地自体がないというべきであり,具体的な予見可能性も結果回避可能性もなく,過失は認められない。⑷ 争点④(歴代課長による遅刻をした職員に対する給与の支出命令の違法性)について(原告の主張)10上記⑵のとおり,本件取扱いは著しく合理性を欠くものであるところ,歴代課長による遅刻をした職員に対する給与の支出命令は,違法な有給休暇の承認を前提としたものであって,同様に違法である。被告は,専決権限を有する所長の判断で有給休暇の承認がされている以上,総務課長の独自の判断で給与を減額することはできないと主張するが,総務15課長は,職責上,所長よりもその地位は上であり,職員の出勤状況を把握し,出勤表を整理することについて専決権限を有している以上,所長が承認した全ての有給休暇の正確性について判断し,誤りがあれば,これを是正することができるというべきである。(被告の主張)20総務課長は,給与の支出命令をするに当たっては,所長が決裁した休暇や時間外勤務等を前提として,総務課において計算した給与の金額について決裁をしているのであり,所長が承認した全ての有給休暇の正確性について判断することは現実的に不可能である。専決権者である所長の判断で有給休暇が承認されている以上,これに対して給与を支出することは,本来の権限を25有する本件事業管理者及び専決権者である総務課長の義務というべきであり,独自の判断で減額することはできない。原告は,本件取扱いが違法であるから,歴代課長による給与の支出命令も違法である旨主張する。しかし,先行行為の違法により後行行為たる財務会計上の行為が違法となるのは,先行行為が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合に限られ5るところ(最高裁判所平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2753頁),上記⑵で述べたところからすれば,少なくとも,本件取扱いが著しく合理性を欠くといえないことは明らかである。したがって,歴代課長による遅刻をした職員に対する給与の支出命令は,違法ではない。10⑸ 争点⑤(歴代課長の故意・(重)過失)について(原告の主張)歴代課長は,違法に遅刻をした職員に対する給与の支出命令をしており,故意が認められる。本件覚書は,平成27年6月24日に廃止されたというのであるから,少なくとも,同廃止後の同年8月13日に休暇の承認を受け15た職員に対する給与の支出命令については,明らかに故意がある。仮に,故意が認められないとしても,歴代課長は,本件取扱いが民間企業等では考え難い措置であり,市民感情に照らしても理解を得難いものであること,また,他に合理的な方策があることも容易に認識することができた。したがって,本件取扱いにつき,慣習や労使間の合意があったとしても,そ20れが違法・無効であることを容易に認識することができたというべきであるから,歴代課長には重過失が認められる。なお,仮に,歴代課長が,本件取扱いがされていることを知らなかったとすれば,その職責を全うしていなかったのであり,重過失が認められる。(被告の主張)25仮に本件取扱いが違法であったとしても,歴代課長は,歴代所長による休暇の承認等を前提に支出命令をしたのであるから,故意はない。また,歴代所長と同様に,過失も認められない。⑹ 争点⑥(歴代管理者による歴代所長及び歴代課長に対する指揮監督上の義務の懈怠の有無)について(原告の主張)5歴代管理者は,本件取扱いを廃止し,歴代所長及び歴代課長の違法行為を阻止すべき指揮監督上の義務があったにもかかわらず,違法にこれを怠った。(被告の主張)本件取扱いは違法ではないから,歴代管理者に原告が主張するような指揮監督上の義務違反はない。10⑺ 争点⑦(歴代管理者の故意・過失)について(原告の主張)歴代所長による本件取扱い及び歴代課長による給与の支出命令が許されないことは明らかであったから,これを阻止する義務を果たさなかった歴代管理者には故意又は過失が認められる。15(被告の主張)歴代管理者に故意・過失はない。⑻ 争点⑧(損害の有無及び額)(原告の主張)ア 損害の発生20本件取扱いの下では,遅刻をした時間についても給料が支給されているが,本来遅刻をした時間分は稼働していない以上,給料が支払われてはならない。また,遅刻の有無や回数は勤務態度に直結するから期末手当及び勤勉手当の額も減額されるはずであるが,本件取扱いの下では,これらの減額はされていない。そうすると,交通部には,それだけの損害が生じた25ことになる。また,遅刻の有無や回数は,本来,昇進や昇給にも影響するはずであるが,本件取扱いにより,本来,昇進・昇給させるのが妥当でない者が昇進・昇給されていたと考えられ,この点においても,交通部には損害が生じている。イ 損害額高槻市自動車運送事業職員給与支給規程(昭和33年高自管理規程第85号。以下「給与支給規程」という。乙4)等によれば,勤勉手当は欠勤がない期間が5か月15日以上6か月未満の場合は5%減額されるところ,平成28年4月公表の「高槻市の給与・定員管理等について」(甲11)によれば,交通部職員の勤勉手当が1.5月分,平均基本給が月額28万7064円である。そうすると,本件取扱いにより遅刻した職員は勤勉手当10を5%分減額されるべきであったはずであり,その金額は,平均で2万1529円となる。(計算式:28万7064円 × 1.5 × 5% ≒ 2万1529円)したがって,遅刻者一人当たり,少なくとも,年間1万円の損害が生じたということができる。15ウ 請求額前記前提事実⑶イ(イ)のとおり,平成22年4月から平成27年8月までの間に延べ445名の職員が本件取扱いにより遅刻を有給休暇に振り替える取扱いを受けたところ,歴代管理者,歴代課長及び歴代所長は,それぞれ,別紙の各金額及びこれに対する遅延損害金につき,不法行為に基づ20く損害賠償責任又は地方自治法243条の2第1項の賠償責任を負うこととなる。なお,Dは,平成24年度については,同年11月8日までは不法行為に基づく損害賠償責任を負い,その後は地方自治法243条の2第1項の賠償責任を負うので,同年度に係る損害金87万円を12分(7か月分と255か月分)し,その7を前者の損害とし,その5を後者の損害として計上した。また,別表の番号7,17及び141の各職員については,Fが所長であった時の遅刻とGが所長であった時の遅刻とがあるため,いずれも,損害を5000円ずつに分けて計上した。(被告の主張)争う。本件取扱いによって,高槻市に損害は生じていない。5第3 当裁判所の判断1 争点①(本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分が監査請求期間を徒過した不適法なものか)について⑴ 歴代所長に係る監査請求について前記前提事実⑷ア及び弁論の全趣旨によれば,本件監査請求は,本件取扱10いに関し,歴代所長が,職員の遅刻を欠勤として取り扱わず,有給休暇を半日分取得したとの取扱いをしたことが不法行為に該当するとし,被告が歴代所長に対する当該不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものということができる。そして,前記前提事実⑵イ(ウ)によれば,歴代所長は,その専決権限に基づいて,遅刻した職員につき有15給休暇の承認等をしていたものであるところ,歴代所長による有給休暇の承認等の行為自体は財務会計上の行為ではないから,本件監査請求のうち上記の部分は,真正怠る事実に係る監査請求であるということができる。これに対し,被告は,歴代所長の上記行為は財務会計上の行為たる給与の支出命令の準備行為又は補助行為に当たるから,本件監査請求のうち上記の20部分は,不真正怠る事実に係る監査請求である旨主張する。しかし,所長による有給休暇の承認等の行為は,それ自体が,人事の管理等を目的とする独立した一つの事務であって,給与の支出命令と一体として捉えられるべきような性質の行為ではないというべきである。したがって,歴代所長の上記行為は給与の支出命令の準備行為又は補助行為に当たるということはできず,25被告の上記主張は採用することができない。よって,本件監査請求のうち歴代所長に係る部分は,平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分も含め,適法な監査請求である。⑵ 歴代課長に係る監査請求に係る「正当な理由」の有無についてア(ア) 前記前提事実⑷ア及び弁論の全趣旨によれば,本件監査請求は,歴代課長による遅刻をした職員に対する給与の支出命令を対象に含むもの5ということができるところ,前記前提事実⑷アのとおり,本件監査請求は平成27年8月10日にされたものであるから,歴代課長に係る監査請求のうち,平成26年8月10日前にされた給与の支出命令を対象とする部分は,地方自治法242条2項本文の監査請求期間を経過しており,同項ただし書にいう「正当な理由」がない限り,不適法である。10(イ) この点に関し,被告は,原告が本件監査請求において上記「正当な理由」について主張すらせず,その結果として,本件監査請求のうち平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分が不適法なものとして却下されている以上,たとえ本訴において上記「正当な理由」の主張・立証がされたとしても,本件監査請求のうち上記部分が不適法であるこ15とに変わりはなく,このような場合にまで住民訴訟の審理を行うことは監査請求前置主義を採用した地方自治法の趣旨に反する旨主張する。しかし,上記「正当な理由」の有無を含め監査請求が適法なものであるかどうかは客観的に決せられるべき事柄であって,監査請求期間を徒過した請求人が,一般的に,上記「正当な理由」についての主張・立証20の義務を負うとまでいうべき合理的理由は見いだし難い。他方で,地方自治法上,請求人が上記「正当な理由」について主張しない限り,監査委員において,これを認めることができないとされているものではなく,むしろ,監査委員は,請求人の主張の有無にかかわらず,上記の点を含めて,必要な監査をすべきものと解される。そうすると,監査委員が請25求人に対して上記「正当な理由」についての主張等を求めたにもかかわらず請求人がこれを拒否したために,監査委員においてこの点についての判断を誤ったなどの特別の事情がある場合は別異に解する余地があり得るとしても,単に,監査請求において請求人が上記「正当な理由」の主張をしなかったからといって,当該監査請求が不適法なものに確定するなどということはできず,本訴において上記の点についての主張・5立証をすることが禁じられるものでもないと解するのが相当である。そうであるところ,証拠(甲10)及び弁論の全趣旨によれば,本件監査請求について上記特別の事情があったことをうかがわせる事情は見当たらない。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。10イ(ア) 普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記15の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかにより判断すべきである(最高裁判所平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁)。(イ) もっとも,当該普通地方公共団体の一般住民が相当の注意力をもって20調査したときに客観的にみて上記の程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなくても,監査請求をした者が上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される場合には,上記正当な理由の有無は,そのように解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁判所平成14年10月1255日第三小法廷判決・集民208号157頁)。ウ(ア) 前記前提事実⑷ア及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件監査請求において,遅刻が欠勤として取り扱われず本来すべき減額をせずに給与が支給されてきたことが違法・不当である旨主張していたものであるところ,高槻市における有給休暇の承認等に関する取扱いは,専ら同市の内部的な事務処理上の事項であることなどからすると,遅刻をした職員5に対し何らの減額もされずに給与が支給されていたことは,同市の一般住民にとっては通常知り得ない事情であるということができる。そうすると,平成26年8月10日前にされた給与の支出命令については,「普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知10ることができなかった場合」に該当するというべきである。そうであるところ,前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成27年5月頃,頻繁に遅刻している職員がいるとのうわさを聞いたことから,同月27日,情報公開請求をしたところ,同年6月26日,職員らの休暇届表が公開されたこと,原告は,公開された休暇届表の「半15休」欄の備考欄に「遅刻3回」等の記載があることに気付いたことから,同記載の意味を議会で質問すべく,交通部に対し質問原稿を送付したところ,同年7月8日から同月10日にかけて,3回の遅刻を有給休暇半日分に振り替える制度があったことなどを説明する内容の答弁案が送付されてきたこと,原告は,同年7月16日に市議会において上記記載20の意味等について質問をしたところ,被告から上記答弁案のとおりの答弁がされ,これにより遅刻をした職員に対し何らの減額もされずに給与が支給されていたことを知ったこと,原告は,その後,同年8月10日に本件監査請求をしたことが認められる。以上の事実によれば,原告は,情報公開の手続や議会での質問をする25ことにより遅刻をした職員に対し何らの減額もされずに給与が支給されていたことを知ってから,1か月程度のうちに本件監査請求をしたというのであるから,原告は,監査請求をするに足りる程度に遅刻をした職員に対する給与の支出命令の内容を知ることができた時から相当な期間内に監査請求をしたものということができる。(イ) これに対し,被告は,原告は平成25年6月11日に平成24年度の5休暇届表を取得しており,これに基づいて本件取扱いがされていることを知ることができたなどとして,上記相当な期間内に監査請求をしたとはいえない旨主張するところ,確かに,証拠(乙13)及び弁論の全趣旨によれば,原告が上記日に公開を受けた職員の休暇届表にも「遅刻3回」等の記載がされていたことが認められる。しかし,他に特段の情報10も持ち合わせていないにもかかわらず,公開された休暇届表の上記記載に注目すること自体が困難であるといえるほか,同記載のみから遅刻をした職員について違法・不当な事務の取扱いが行われているのではないかとの疑いを持つことも相当に困難であるといわざるを得ない(なお,原告自身は,当時,祭祀休暇について問題意識を有して調査していたこ15とがうかがわれる。)。そうすると,原告が平成25年6月11日に休暇届表の公開を受けていたからといって,その頃に,原告において遅刻をした職員に対する給与の支出命令に違法又は不当な点があると考えて監査請求をするに足りる程度にその内容を知ることができたということはできない。20よって,被告の上記主張は,採用することができない。エ 以上によれば,歴代課長に係る監査請求のうち,平成26年8月10日前にされた給与の支出命令を対象とする部分については,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」が認められ,適法な監査請求であるということができる。25⑶ 歴代管理者に係る監査請求についてア 前記前提事実⑷ア及び弁論の全趣旨によれば,本件監査請求は,歴代管理者が歴代所長に対する指揮監督を怠ったことが不法行為に該当するとし,被告が歴代管理者に対する当該不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものということができるところ,上記⑴で述べたところと同様に,本件監査請求のうち上記の部分は,真正5怠る事実に係る監査請求であるということができる。したがって,歴代管理者に係る監査請求のうち,上記の部分については,平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分も含め,適法な監査請求である。イ 前記前提事実⑷ア及び弁論の全趣旨によれば,本件監査請求は,歴代管10理者が歴代課長に対する指揮監督を怠ったことが不法行為に該当するとし,被告が歴代管理者に対する当該不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものということができるところ,この点について監査を遂げるためには,監査委員は,歴代課長による遅刻をした職員に対する給与の支出命令の違法性等について判断をしなけれ15ばならないから,本件監査請求のうち上記の部分は,不真正怠る事実に係る監査請求であるというべきである。そうすると,歴代管理者に係る上記監査請求のうち,平成26年8月10日前にされた給与の支出命令を対象とする部分は,地方自治法242条2項本文の監査請求期間を経過していることとなるが,上記⑵で述べたところと同様に,同項ただし書にいう「正20当な理由」が認められるから,結局,上記部分についても,適法な監査請求であるということができる。⑷ 小括以上によれば,本件監査請求は,平成26年8月10日前に支給された給与に係る部分も含め,全体として適法な監査請求であるということができる。25したがって,本件訴えは,適法な監査請求を前置した適法な訴えである。
事案の概要
平成30年7月12日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成28(行ウ)145  135ViewsMoreinfo
遺族厚生年金不支給処分取消等請求事件
平成28(行ウ)145
本件は,老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給権者であったAことB(以下「亡B」という。)が死亡したことから,亡Bの配偶者である原告が,厚生労働大臣に15対し,国民年金法(以下「国年法」という。)及び厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)に基づき,遺族厚生年金(以下「本件遺族厚生年金」という。)の裁定並びに亡Bの老齢基礎年金に係る未支給年金及び老齢厚生年金に係る未支給保険給付(以下,併せて「本件未支給年金等」という。)の支給を請求したところ,厚生労働大臣が,本件遺族厚生年金を支給しない旨の決定(以下「本件遺族厚生年20金不支給処分」という。)及び本件未支給年金等を支給しない旨の決定(以下「本件未支給年金等不支給処分」といい,本件遺族厚生年金不支給処分と併せて「本件各処分」という。)をしたため,被告を相手に,本件各処分の取消しを求める事案である。
事案の概要
平成30年6月21日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成30(行ク)84  159ViewsMoreinfo
執行停止の申立て事件
平成30(行ク)84
本件は,精神科医師である申立人が,厚生労働大臣から,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)18条1項所定の精神保健指定医(以下「指定医」という。)の指定を取り消す旨の処分(以下「本件指定取消処分」という。)を受け,さらに,医師法4条4号に規定す20る医事に関し不正の行為があったとして,同法7条2項2号に基づき,1箇月間医業の停止を命ずる旨の処分(以下「本件医業停止処分」という。)を受けたため,本件医業停止処分の取消しの訴え(本案事件)を提起した上,本案事件の第1審判決言渡しの後60日を経過するまでの間,本件医業停止処分の効力を停止することを求める事案である。
事案の概要
平成30年6月19日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成29(行ウ)206  113ViewsMoreinfo
旅館業法に関する地位確認請求事件
平成29(行ウ)206
本件は,原告が,大阪市α区に所在するマンションの専有部分である別紙物件目録記載1の不動産において別紙「民泊実施計画1」記載の実施方法により,同市β区に所在するマンションの専有部分である同目録記載2の不動産15(以下,同不動産と同目録記載1の不動産とを併せて「本件各不動産」という。)において別紙「民泊実施計画2」記載の実施方法により,それぞれ反復継続して有料で宿泊場所を提供すること(以下「本件民泊提供行為」という。)を検討し,被告に対して,宿泊料を受けて反復継続して住宅に人を宿泊させる行為(以下「民泊提供行為」という。)について旅館業法(同法は,平20成29年法律第84号により改正されたが,同改正法の施行日は平成30年6月15日である。)3条1項の許可(以下「営業許可」ということがある。)を要するか否かを問い合わせたところ,民泊提供行為を行うには営業許可を受けることを要する旨の見解が示されたことから,本件民泊提供行為には旅館業法の適用はなく,本件民泊提供行為について営業許可を受ける必要はないなど25と主張して,被告に対し,行政事件訴訟法4条の規定する公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴えとして,原告が本件民泊提供行為について営業許可を受ける義務を負わないことの確認を求める事案である。
事案の概要
平成30年5月30日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成27(行ウ)16  152ViewsMoreinfo
る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟)
平成27(行ウ)16
本件は,α市の住民である原告らが,α市の執行機関である被告を相手に,地方自治法242条の2第1項3号及び4号に基づき,(1) α市の実施したα市立市民会館(以下「市民会館」という。)別館2階ホール増築他建築工事に係る事後審査型制限付一般競争入札(以下「本件入札」20という。)において,本件入札に参加したP6株式会社(以下「P6」という。),株式会社P7(以下「P7」という。),被告補助参加人(以下「補助参加人」といい,上記2社と併せて「P6ほか2社」という。)がP6を受注予定者とする談合を行ったため,適正な競争入札が行われた場合の代金額に比して高額の請負契約(以下「本件原契約」という。)が締結され,α市がその差額に25相当する5594万4000円の損害を被ったことにより,P6ほか2社に対して,不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP6ほか2社に対してそれぞれ上記損害賠償請求をしないことが違法であることを確認するとともに,「怠る事実の相手方」であるP6ほか2社に対し,それぞれ上記損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう求め,5(2) α市長であるP1,副市長であるP2,α市職員であるP3及びP4(P2及びP3と併せて「P2ら」という。)がP6ほか2社による談合を知り,あるいは知り得たにもかかわらず,本件入札を実施し,その結果,適正な一般競争入札が行われた場合の代金額に比して高額の本件原契約が締結され,α市がその差額に相当する5594万4000円の損害を被ったことにより,10P1及びP2らに対して,不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP1及びP2らに対してそれぞれ上記損害賠償請求をしないことが違法であることを確認するとともに,「怠る事実の相手方」であるP1及びP2らに対し,それぞれ上記損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう求め,15(3) P1,P2ら及びα市職員であるP5が追加で工事が必要となることを隠して,本件入札を行い,議会の議決を得て,本件原契約を締結したという一連の不法行為により,高額な本件原契約及びそれを変更する契約(以下「本件変更契約」という。)が締結され,α市が5594万4000円の損害を被ったことにより,P1,P2ら及びP5に対して,不法行為に基づく損害賠20償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP1,P2ら及びP5に対してそれぞれ上記損害賠償請求をしないことが違法であることを確認するとともに,「怠る事実の相手方」であるP1,P2ら及びP5に対し,それぞれ上記損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう求めた,25住民訴訟の事案である。
事案の概要
平成30年5月24日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成27(行ウ)112  150ViewsMoreinfo
補助金返還請求事件(住民訴訟)
平成27(行ウ)112
本件は,大阪市の住民である原告らが,大阪市α区A地域活動協議会(以下「本件地活協」という。)に概算払の方法により交付された大阪市α区地域活動協議会補助金429万円(以下「本件補助金」という。)のうち,本件地活協のカラオケ事業(以下「本件カラオケ事業」という。)に充てられた56万5747円(以下「本件カラオケ補助金」という。)につき,本件カラオケ補助金が本件地活協により不適正使用されているにもかかわらず,被告が本件地活協に対し同補助金の返還を求めないのは違法であるなどと主張して,被告を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,以下の各請求をする住民訴訟の事案である。
事案の概要
平成30年5月10日
大阪地方裁判所
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[行政] 平成27(行ウ)229  185ViewsMoreinfo
政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
平成27(行ウ)229
本件は,茨木市の住民である原告らが,平成25年度における茨木市議会の15政務活動費(以下「本件政務活動費」という。)に関し,別紙2の1の「請求一覧表(会派)」の各「相手方」欄記載の各茨木市議会会派(以下「本件相手方会派ら」という。)及び別紙2の2の「請求一覧表(議員)」の各「相手方」欄記載の各茨木市議会議員(以下「本件相手方議員ら」といい,本件相手方会派らと併せて「本件相手方ら」という。なお,本件相手方らは,全て,本件訴えに20補助参加している。)は,本件政務活動費の一部を茨木市議会政務活動費の交付に関する条例(以下「本件条例」という。)6条に反して違法に支出したから,同市は本件相手方らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権を有するにもかかわらず,同市の執行機関である被告がその行使を怠っていると主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基25づき,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還の請求として,本件政務活動費に関する支出のうち違法に支出されたものである旨主張する額に相当する金員及びこれに対する平成27年7月22日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による不法行為に基づく損害賠償請求に係る遅延損害金又は不当利得返還請求に係る利息の支払を本件相手方らに請求することを求める住民訴訟である。
事案の概要
平成30年4月27日
大阪地方裁判所
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