裁判所判例Watch

カレンダー

メニュー

カテゴリー

アーカイブ

データベース検索

8月21日取得の新着裁判例

法律新刊書籍

カテゴリー > 8月21日取得の新着裁判例 (降順 ; 裁判年月日で整列)

裁判年月日順 | データ登録日順 | 参照数順

1

前のページ | 次のページ

事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[下級] [刑事] 平成30(わ)180Moreinfo  up!
関税法違反,消費税法違反,地方税法違反
平成30(わ)180
本件は,被告人が,共犯者らと共謀の上,無許可で金地金を輸入するとともに不正の行為により消費税及び地方消費税を免れようとしたが,税関職員に金地金を発見されたために未遂に終わったという事案である。
事案の概要
平成30年7月13日
名古屋地方裁判所 刑事第5部
詳細/PDF
HTML/TEXT
[下級] [民事] 平成28(ネ)3038Moreinfo  up!
平成28(ネ)3038
本件は,第1審原告が,第1審被告に対し,第1審被告から物流ターミナル等の建設を目的として原判決別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び同2の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件不動産」という。)を代金848億円(本件土地について785億円,本件建物について63億円。いずれも消費税込み)で買い受けたが(以下,同売買に係る契約を「本件売買契約」という。),本件土地から広範囲にわたって発見されたスレート片(以下「本件スレート片」という。)が石綿を含有していたと主張して,本件売買契約に基づく瑕疵除去義務の不履行又は本件売買契約上の瑕疵担保責任に基づく損害賠償として,本件スレート片の撤去及び処分費用,物流ターミナルの建設工事が遅れたことに伴う追加費用,逸失利益,弁護士費用の合計85億0509万5193円及びうち72億5421万8500円に対しては同請求に係る請求書に示された支払期限の翌日である平成23年10月30日から,うち1億3061万9469円に対しては訴状送達の日の翌日である平成24年5月10日から,うち11億2025万7224円に対しては訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成26年1月28日から,各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である(以下,略語については原判決の表記に従う。)。原審は,① 本件スレート片は,石綿含有産業廃棄物に当たるため,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)にのっとった厳格な処理が求められるところ,本件土地の地中には,本件売買契約の締結当時,第1審原告に知らされていなかった本件スレート片が大量に混入していたのであるから,そのために多額の費用を必要とし,本件土地の交換価値が損なわれていることは明らかであり,売主である第1審被告は,買主である第1審原告に対し,本件売買契約9条2項に基づいてその除去義務を負い,これを拒否した第1審被告は,第1審原告に対し,債務不履行に基づく損害賠償義務を負うほか,本件土地には「隠れたる瑕疵」があるとして,本件売買契約11条2項に基づき,損害賠償義務を負う,② 本件新築工事において元々予定されていた掘削深度(原設計値)よりも深く掘削したことは本件土地の利用目的に照らし通常予定された範囲を超えたものであるから,本件スレート片の撤去及び処分費用の上記掘削深度(原設計値)を超えた追加掘削部分に係るものについて損害賠償を求めることはできないし, 清水建設が外部から搬入した建設残土に石綿を含有したスレート片等の産業廃棄物が混入していたことを認めるに足りる的確な証拠はなく,同部分に係る撤去及び処分費用についても損害賠償を求めることはできないが, 本件スレート片発見前に鹿島建設が既に搬出済みの土壌(本件既搬出土)にも本件土地と同様に本件スレート片が大量に混入していたものと認められるなどとして,第1審原告が鹿島建設に対して支払った土壌の撤去及び処分費用63億3171万円のうち,上記 及びにより掘削等した土量に応じて按分した額を控除した42億3819万1379円,本件新築工事の遅延に伴う追加費用及び第1審原告の逸失利益のうち同様に上記 及び に対応する額を控除した13億2993万2637円,弁護士費用5000万円の合計56億1812万4016円の損害が生じたものと認められるとして,この限度で第1審原告の請求を認容した。これに対し,第1審原告及び第1審被告の双方が,それぞれ原判決のうち敗訴部分を不服として,本件各控訴を提起した。2 前提事実前提事実は,次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の1(原判決2頁23行目から7頁24行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。(原判決の補正)原判決4頁1行目の末尾に「この代金額は,本件土地の土壌に本件スレート片が混入しているという事実を考慮せずに算定され合意されたものであった。」を加える。同頁24行目の「という。)。」の後に「本件新築工事においては,本件土地を広範囲にわたって掘削することが予定されていた。」を,同行目の「甲8」の後に「,58の2,乙3,弁論の全趣旨」を,それぞれ加える。同7頁2行目の「第」を削り,3行目の「東京都環境確保条例第」を「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に改める。3 争点第1審被告の債務不履行責任又は瑕疵担保責任の成否第1審原告に生じた損害4 争点 (第1審被告の債務不履行責任又は瑕疵担保責任の成否)に関する当事者の主張(第1審原告の主張)本件においては,本件売買契約の「売主要達成事項」として,「本件土地の地中障害物その他の瑕疵(土壌汚染を除く。)を除去し又は修補すること」が定められ,売主である第1審被告が本件土地賃貸借契約の期間満了までにこれを遂行することが「本件売買契約に基づく第1審被告の義務を構成する」ものとして,売買当事者間で特に合意されていた(本件売買契約9条2項)。これは,本件土地の利用を妨げ,ひいては本件土地の交換価値を下げることが明らかなものの除去義務を売主に課し,買主に不測の損害を与えることを回避しようとするものである。そうであるとすると,上記「瑕疵」を物理的に本件土地の利用を妨げるものに限定すべき理由はなく,法令において環境基準が定められた有害物質による土壌汚染の場合を除き,売買契約当時に明らかではなかった本件土地の交換価値を損なう事情を広く含むものと解するのが相当であって,このように解することが当事者の合理的な意思に合致するものというべきである。また,本件売買契約には,「第1審原告は,本件不動産に隠れたる瑕疵がある場合には,第1審被告に対して損害賠償を請求することができる。」との規定も置かれているところ(本件売買契約11条1項),この規定は,民法570条の瑕疵担保責任を売買契約の内容に取り込んだものというべきであり,取引の通念からみて売買の目的物に何らかの欠陥がありその瑕疵が取引上一般に要求される程度の注意をしても発見できない場合に売主が負うべき責任を定めたものであると解するのが相当である。本件土地の地中に第1審原告に知らされていなかった建材の破片が混入していた場合においても,その物の性質や量にかんがみ,特別の取扱いが義務付けられそのための費用がかかることによって本件土地の交換価値が損なわれているときは,売主である第1審被告は,買主である第1審原告に対し,本件売買契約9条2項に基づき,その除去義務を負うほか,本件土地には「隠れたる瑕疵」があるものとして,本件売買契約11条2項に基づき,損害賠償義務を負う。次のとおり,本件売買契約締結当時,既に石綿の危険性に対する社会的認識が高まり,石綿に対する種々の規制及び通達等がされている状況にあった。本件土地には本件スレート片がまんべんなく散乱,混入していたのであるから,本件売買契約当時の取引観念をしんしゃくしても,本件土地には瑕疵があったものというべきである。ア 石綿の危険性に対する社会的認識石綿は,これを吸入した場合,中皮腫,肺がん,じん肺の一種である石綿肺,良性石綿胸水,びまん性胸膜肥厚等の疾患を生じることがある物質である。株式会社クボタは,平成17年に自社の石綿含有製品と関わりのあった従業員75名が石綿に関連する疾患により死亡していたことを公表し,これを契機として石綿関連疾患に対する社会的な関心が高まり,経済産業省は,同年7月15日に「アスベスト(石綿)による健康被害の実態調査の結果について」を公表し,石綿含有製品の製造企業における石綿関連疾患による死亡者が374名に上ることを明らかにした。このような中,石綿に対する規制が強化され,平成18年の労働安全衛生法施行令の改正により石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する全ての物の製造,輸入,提供又は使用が禁止され,この改正は同年9月1日に施行された。また,廃棄物処理法施行令及び同法施行規則の改正により,工作物の新築,改築又は除去に伴って生じた産業廃棄物であって,石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものを「石綿含有産業廃棄物」とする産業廃棄物の処理基準が新設され,この改正は同年10月1日に施行された。石綿の危険性に対する社会的認識の高まりは,不動産取引の現場にも影響を及ぼし,国土交通省は,平成17年9月,不動産業関係団体を通じて不動産業者に対し,「不動産業における石綿(アスベスト)問題への対応について」と題する通知を発し,「不動産の購入者等のアスベストに対する関心も急速に高まっていることから,不動産業者として購入者等の不安や疑問に適切に対応することが期待されている」として,「購入者等からのアスベストの使用に関する問い合わせに対し建築時の工事業者又は建築士,売主等にアスベストの使用の有無を問い合わせた結果を伝えるなど,できる限り購入者等の不安や疑問に適切に応えること」等を周知徹底するように要請した。イ 行政の取扱い環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部が平成19年11月5日に発出した「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」において,石綿含有成形板とは,セメント,けい酸カルシウム等の原料に,石綿を補強繊維として混合し,成形されたもののうち,石綿含有率が0.1重量%を超えるものをいうと定義され,石綿含有成形板では繊維強化セメント板が種類も多く,建築用に広く使用されてきており,石綿含有スレート(波形,ボード),石綿含有パーライト板,石綿含有けい酸カルシウム板,石綿含有スラグせっこう板がそれに相当するものと解説されている。また,石綿含有成形板が廃棄物になったものは,主に産業廃棄物の「工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」(がれき類)(廃棄物処理法施行令2条9号)又は「ガラスくず,コンクリートくず(工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶磁器くず」(同条7号)に該当するものと解説されている。このような状況が存在したことからも,本件売買契約締結当時の一般的な取引観念としても,売買当事者間の共通認識としても,厳密な意味での法令適合性や人体に対する具体的な危険性の有無にかかわらず,本件土地についてはアスベスト又はアスベストを含む物が混入しているべきではない(つまり,その存在は「瑕疵」に該当する。)という認識が共有されていたことは明らかである。このことは,本件売買契約の重要事項説明書に「既存建物の石綿使用状況」がわざわざ特記され,「売主は,本契約明渡しまでに,本件既存建物を解体撤去します」と明記されていることにも表れている。本件スレート片は,「工場の新築,改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」(廃棄物処理法施行令2条9号)又は「コンクリートくず(工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたものを除く。)」(同条7号)に該当し,廃棄物処理法上の「産業廃棄物」に該当するところ(同法2条4項1号),石綿の一種であるクリソタイルを重量比で1.7~11.4%含有していることから,「石綿含有産業廃棄物」に該当する(同法施行令6条1項1号ロ,同法施行規則7条の2の3)。したがって,本件スレート片については,収集運搬の際には,破砕することがないよう,またその他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して収集運搬しなければならないこと(廃棄物処理法施行令6条1項1号ロ,3条1号ホ),積替えや保管の際には,産業廃棄物の保管に関する一般的事項に従うほか,石綿が飛散しないような方法で保管しなければならないこと(同法施行令6条1項1号ハ,ニ及びヘ,3条1号ヘ及びト),埋立処分を行う際には,産業廃棄物の埋立処分に関する一般的事項に従うほか,最終処分場のうちの一定の場所において,本件スレート片が分散しないように埋立処分をし,埋立地の外に飛散し,流出しないように,その表面を土砂で覆うなど必要な措置を講じなければならないこと等の規制を受ける(同法施行令6条1項3号柱書,ヨ,3条1号イ及びロ,同条3号ニ及びホ)。そして,これらに違反した場合,都道府県知事から改善命令(廃棄物処理法19条の3),措置命令(同法19条の5以下)を受けるおそれがあり,これらの命令に違反した場合,罰則の対象となる(同法26条2号,25条1項5号等)。実際,清水建設も,平成20年に既存建物の解体工事を行った際,本件スレート片を石綿含有産業廃棄物として処理しており,第1審被告自身,本件スレート片が発見されて以降,これが発見された区画の土壌を産業廃棄物として取り扱い,第1審被告の責任で調査,依頼の上「きれいにする」方法を策定する旨を表明していた。第1審原告は,本件土地を物流ターミナル及び地元住民に提供するための公園等の建設のために利用する目的で購入しており,将来的に転売する可能性もあったが,前記のとおり本件土地には本件スレート片がまんべんなく散乱,混入しており,本件土地は上記目的に沿う性状を有しているとはいえない。第1審原告は,本件土地に広範囲にわたって石綿を含有するスレート片が散在している状況を認識しておらず,本件土地の価額(785億円)は本件スレート片の処理を第1審原告において行うことを前提とした価額ではない。そして,第1審原告は,本件スレート片が混入等していた土壌の撤去及び処分費用として後記5(第1審原告の主張)のとおり多額の費用を要したものであり,売買契約における等価性が失われている。これに対し,第1審被告は,「石綿含有スレート片が混入している土砂は一般的に埋戻し土として流通している」ので,分量にかかわらず石綿含有産業廃棄物が混入していることが明らかになっている土壌が「有用物」とはならないとの第1審原告の主張に根拠がないと主張する。しかしながら,混入してはならない石綿含有産業廃棄物が混入した土壌を廃棄物処理法上の「有用物」と評価することはできない。石綿含有スレート片を大量に含んでいると分かっている土砂を,それと認識しながら黙殺して通常残土として流通させることは一般常識としてあり得ないし,土壌が石綿含有スレート片を含むこと及びその危険性を知っていれば,それを進んで通常残土として受け入れる業者は市場に存在しない。現に,再生砕石に石綿含有建材が混入している事例が存在することが明らかになっただけで,石綿含有建材が含まれるか不明な再生砕石も売れなくなり,石綿含有建材以外のがれき類の処分ルートそのものすら減少するのではないかとの懸念が示されているところである(甲144)。したがって,「石綿含有スレート片が混入している土砂は一般的に埋戻し土として流通している」などという事実はなく,第1審被告の上記主張は失当である。以上によれば,本件土地には瑕疵があったものというべきであり,売主である第1審被告は,買主である第1審原告に対し,本件売買契約9条2項に基づき,その除去義務を負うほか,本件土地には「隠れたる瑕疵」があるとして,本件売買契約11条2項に基づき,損害賠償義務を負う。(第1審被告の主張)本件売買契約11条1項は,「買主は,本物件に隠れたる瑕疵がある場合には,売主に対して損害賠償を請求することができる。」と定め,本件売買契約9条2項が,売主が重要事項説明書において約束した事項は本件売買契約に基づく売主の義務を構成すると規定しているところ,重要事項説明書の特記事項(以下単に「特記事項」ともいう。)4.① は,売主の義務として,「土間コンクリートまたは地中障害物(杭を含む。以下同じ。)等,本件土地2の地中障害物(以下総称して「地中障害物等」という)その他の瑕疵(土壌汚染を除く。)を除去しまたは修補すること」を定めている。そして,「土壌汚染」については,特記事項1.②Cが同B.に従い決定された環境基準を超過する有害物質等が検出された土壌(汚染土壌)を当該環境基準に適合させるために必要な有害物質等の除去につき合理的な方法による土地改良工事(土壌汚染等除去工事)を行う義務を売主に課すとともに費用負担について定めており,特記事項1.④において「地中埋設物・埋設管」については,特記事項4.に規定する売主要達成事項のとおりとされ,これを受けて,特記事項4.① が規定されており,他に土壌中の物質・物体に関する規定は特記事項には存在しない。以上の規定に従えば,特記事項は,1.②に定める有害物質と4.① に定める物理的障害物を除いては,売主に特段の除去義務を課したものではないとみるのが相当であり,本件売買契約は,これら以外の要因については本件売買契約における「瑕疵」から除外することとして,「瑕疵」の範囲を具体的に画したものと解されるべきである。そして,石綿であっても,石綿含有スレート片等といった非飛散性の状態では,健康障害を起こすことはないと考えられており,環境基本法,土壌汚染対策法,大気汚染防止法,都民の健康と安全を確保する環境に関する条例等の環境法令上,土壌中の石綿含有スレート片を規制する規定は存在せず(なお,後記のとおり,廃棄物処理法上,土壌中の石綿含有スレート片を石綿含有産業廃棄物として処理する必要はない。),石綿含有スレート片は,特記事項1.②が定める法定環境基準の対象となるものではないし,地中障害物等のように物理的に本件土地の利用の障害となるものでもない。したがって,本件スレート片が本件土地に混入していたことは,本件売買契約11条1項及び特記事項4.① のいずれの「瑕疵」にも該当しない。仮に,本件売買契約における「瑕疵」が民法570条における「瑕疵」の概念を取り込んだものであるとしても,「瑕疵」に当たるか否かは,人の健康に係る被害を生ずるおそれがあると認識されていた物質が人の健康を損なう限度を超えて土壌に含まれているかどうかによって判断すべきであるし,ある特定の物質が土壌に含まれていないことや,売買契約締結当時に有害性が認識されていたか否かにかかわらず,人の健康に係る被害を生ずるおそれのある一切の物質が土壌に含まれていないことが特に予定されていた場合には,当該物質が含まれているか否かによって判断すべきである(最高裁平成21年 第17号,同年 第17号同22年6月1日第三小法廷判決・民集64巻4号953頁参照)。本件では,まず,本件売買契約に係る売買契約書及び重要事項説明書には,本件土地にスレート片その他の建材の破片が含まれていないことについて何も合意されていない。また,土壌中の石綿や石綿含有スレート片の存在について法令上の規制はなく,法定環境基準も定められていないし,そもそも,石綿含有スレート片は非飛散性であり,破砕等をしなければ石綿繊維の飛散のおそれはなく,本件土地に存在しているだけでは人の健康に係る被害を生ずるおそれはない(乙4)。しかも,当事者間においては,物流ターミナル等の建物を建設する目的で本件売買契約を締結することが前提となっていたところ,本件スレート片は他のスレート片やれんが片などと同様,物流ターミナル等の建物の建設に当たって地中障害物となるような大きさでも量でもないし,鹿島建設が本件土地に埋戻し土として搬入した土砂にも石綿含有スレート片が含まれていたとおり(乙54,55,57ないし64),石綿含有スレート片が混入していることは建物建設を含む本件土地の利用の障害となるものではない。このように,本件売買契約において,石綿含有スレート片が本件土地に混入しないことは特に予定されておらず,かつ,石綿含有スレート片は,人の健康に係る被害を生ずるおそれのあるものでもなく,本件土地に建物を建設する上で支障となるものでもない。第1審原告が入札に当たり参照した資料も,本件土地に石綿含有スレート片が含まれていないことについては何ら保証するものではなかった(甲1)。したがって,かかる点からも,本件土地に本件スレート片が混入していることは,本件売買契約上,「瑕疵」に該当しない。これに対し,第1審原告は,本件売買契約締結当時の一般的な取引観念としても,あるいは本件売買契約当事者間の共通認識としても,本件土地にアスベスト又はアスベストを含む物が混入しているべきではないという認識が共有されていたと主張するが,本件売買契約の当事者間の認識としても,本件売買契約締結当時の一般的な取引観念としても,本件土地に石綿含有スレート片が混入してはならないことは求められていなかった。すなわち,まず,前記 のとおり,石綿含有スレート片は,土壌汚染対策法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例並びにこれらに関連する法令及び告示等に示される基準(法定環境基準)において何ら規制対象となっていない。法定環境基準以外の有害物質等の除去については,買主が希望する場合に限り,合意環境基準として買主の費用負担で調査・除去することになっていたが,第1審原告は,合意環境基準について何ら希望を述べることはなかったのであるから,当時,本件土地にアスベスト又はアスベストを含む物が混入しているべきではないという認識を有していなかったことは明らかであって,当事者間の認識として,本件土地に石綿含有スレート片が混入してはならないことは求められてはいなかった。本件土地のように石綿含有スレート片が混入している土地は広く日本中に一般的に存在しているところ,仮に,取引観念上,土地に石綿含有スレート片が含まれていないことが求められるのであれば,不動産鑑定の場面において石綿含有スレート片の有無は当然考慮されるはずであるにもかかわらず,裁判所の競売物件において不動産鑑定士は石綿含有スレート片について何も言及していないし,国土交通省の作成する不動産鑑定評価基準においても価格形成要因として記載されていない(乙126)。また,契約締結当時も現在においても,実務上,石綿含有スレート片の有無は価格形成要因に該当するとは考えられていない(乙280,281)。銀行員,ファイナンシャルプランナー,建築士,不動産鑑定士等が行う不動産調査においても,土地について,石綿含有スレート片の有無は調査項目として挙げられていない(乙282)。さらに,鹿島建設が本件土地南側植栽帯に搬入した土砂には,100㎡あたり21.17個と,本件土地の9倍以上もの石綿含有スレート片が含まれており,このような土砂が一般的に流通していたことからも明らかなとおり,石綿含有スレート片混じりの土砂は一般的に流通しており,有価物として取引されている。このように,土砂に石綿含有スレート片が含まれていることを知らないままに,すなわち,取引当事者によって関心が払われないままに土砂が流通している事実こそが,土砂の取引において,取引の目的物である土砂に石綿が含まれているか否かが取引の減額要因となっていないことを示している。これらを踏まえれば,本件売買契約締結当時における取引観念として,土地に石綿含有スレート片が混入してはならないことが求められていなかったことは明らかである。第1審原告は,東京都環境局が第1審原告や鹿島建設に対し,石綿含有スレート片の全量撤去を事実上指示していたなどと主張するが,事実に反する。すなわち,東京都環境局廃棄物対策部産業廃棄物対策課(現・資源循環推進部産業廃棄物対策課)には,「本件土地における石綿含有スレート片を土壌ごと全量撤去するよう指示若しくは行政指導をしたこと,又は,本件土地..から石綿含有スレート片を土壌ごと全量撤去しない場合には改善命令,措置命令等の行政処分をする可能性があると警告したこと」に関する記録は存在..せず(乙283),公法上の行政指導に限らず,事実上の指示も警告もなかったことは明らかである。このことは,東京都環境局担当者が,第1審原告らに対し,「我々今日は指導している立場じゃないので。」(乙121)と述べていることとも合致する。第1審原告は,本件スレート片は産業廃棄物に該当するなどと主張するが,本件スレート片が混入した土砂は産業廃棄物に該当せず,通常の土砂として処理すれば足りるものであり,特別の取扱いが義務付けられそのために費用がかかるものではない。すなわち,廃棄物処理法において,「廃棄物」とは,ごみ,粗大ごみ,燃え殻,汚泥,ふん尿,廃油,廃酸,廃アルカリ,動物の死体その他の汚物又は不要物であつて,固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう(同法2条1項)。そして,「不要物」とは,自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい,これに該当するか否かは,その物の性状,排出の状況,通常の取扱い形態,取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して判断すべきであるとされる(最高裁平成9年 第105号同11年3月10日第二小法廷判決・刑集53巻3号339頁)。これを建物の破片についてみると,破片が土壌から特段分離された状態にはなく,また建材の破片が集積しておらず土地の利用を妨げていない場合には,占有者は,建材の破片が混在した土壌それ自体を有用なものであると判断するのが普通であり,わざわざ手間をかけて分離すれば「不要物」であるが,土壌から特段分離しなければ「有用物」のまま存在する。本件においても,鹿島建設が本件土地に埋戻し土として新規に搬入した土砂において石綿含有スレート片が混入していたことが確認されているとおり,取引通念上,土壌中に建材の破片が含まれていたとしても土砂としての有用性は何ら失われていないばかりか,そのような土砂も現に取引の対象となっており,埋戻し土として世の中で利用・活用されているのであるのであって,石綿含有スレート片をわざわざ土壌から分離して取り出した状態で「廃棄物」該当性を判断するべきではなく,土壌と一体の物として「廃棄物」該当性の有無を判断するのが相当である。また,廃棄物処理法は,事業者が所有する土地の中に産業廃棄物が混入しているとしても,直ちにそれを掘り起こして処理すべき義務まで当該事業者に負わせておらず,当該土地の利用に当たり地中から掘削された産業廃棄物を運搬又は処分を行う場合に初めて,同法に従った処理を義務付けている。したがって,廃棄物該当性の判断においても,運搬又は処分を行う物を対象に判断すべきであるところ,スレート片は,本件土地と一体となって存在し,運搬又は処分されるのであるから,土壌と一体の物として「廃棄物」該当性の有無が判断されるべきである。以上を踏まえ,石綿含有スレート片が混入した本件土地の土砂の廃棄物該当性について検討するに,まず,石綿含有スレート片は,本件土地に点在していただけであり,地中障害物として本件土地の利用を妨げるものではないし,石綿含有スレート片から石綿が流出することもなければ,環境法令上の規制対象になっていたわけでもない。また,建設廃材であっても,もっぱら土地造成の目的となる土砂に準じた物は廃棄物から除かれており(甲55,乙103),鹿島建設自身,石綿含有スレート片以外のスレート片やがれき片については,廃棄物として処理をしていないし,第1審原告も,第1審被告に撤去を求めたり,撤去費用の支払を請求したりしておらず,建材の破片が含まれた土砂を有用物と判断していた。加えて,鹿島建設が埋戻し土として搬入した土砂にも石綿含有スレート片が含まれていることからも明らかなとおり,スレート片が混入した土砂は埋戻し土として現に利用・活用されており,市場においても流通し,取引価値がある物である。そして,本件土地の土壌中に石綿含有スレート片が存在していたとしても,本件土地周辺の石綿の大気中濃度調査及び本件土地における石綿繊維による土壌への影響調査の結果(乙3ないし7)から明らかなように,それらが地中において安定的に存在している限り,石綿繊維が大気中に飛散することはなく,かつ,土壌中に流出することもなく,人の健康を害するものでもないのであって,生活環境の保全及び公衆衛生に悪影響を及ぼすおそれはなく,地中の石綿含有スレート片をわざわざ除去すべき特段の事情も存在しない。したがって,石綿含有スレート片を土壌中に含む本件土地の土砂は,埋戻し土としても現に活用され得る有用性がある物であり,廃棄物処理法上,その物の性状,排出の状況,通常の取扱い形態,取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して見る限り,「自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物」(不要物)に該当せず,したがって,「廃棄物」にも該当しないのであって,本件土地の土壌内の本件スレート片は,石綿含有産業廃棄物として処理する必要のないものであった。これに対し,第1審原告は,再生砕石に石綿含有建材が混入している事例を挙げるなどして,分量にかかわらず石綿含有スレート片が混入した土砂を「有用物」と評価することはできず,廃棄物処理法上,石綿含有スレート片が混入した土砂については石綿含有産業廃棄物として処理すべきであるなどと主張する。しかしながら,第1審原告が指摘する再生砕石の事案は,本件売買契約締結後のものであり,本件売買契約締結時の取引観念を示すものではない(なお,再生砕石中に石綿含有建材が混入していること自体に違法性はない(乙145)。)。そして,鹿島建設が本件土地に埋戻し土として搬入した土砂に石綿含有スレート片が混入していたことからも明らかなとおり,石綿含有スレート片が混入している土砂は一般的に埋戻し土として流通しており,第1審原告の上記主張は,実際に鹿島建設が本件土地に埋戻し土として搬入した土砂に石綿含有スレート片が混入していた事実を無視するものであって,失当である。第1審原告は,本件土地には本件スレート片がまんべんなく散乱,混入していたなどと主張するが,客観的証拠上,そのような事実は認定できず,本件土地のスレート片及び石綿の量は土壌量全体に比べてわずかであるし,発見されたスレート片全てに石綿が含まれているわけでもない。すなわち,まず,第一次調査の結果,本件土地を10m四方(約60畳分)の単位区画に区切り,アスファルト舗装されていた区画や鉄板の下に採石が敷かれている区画等を除外した区画934区画のうち,スレート片が発見されなかった区画は200区画(約25%),1個~4個見つかった区画は686区画(約70%),5個~10個見つかった区画はたったの48区画(約5%)であり,本件土地のほとんどの区画(約95%)で,スレート片は約60畳当たりで全く見つからないか,見つかっても1~4個しか発見されていない。なお,この際発見されたスレート片に石綿が含まれていたかは,調査されていない(乙3)。本件土地の10区画において,それぞれ2m四方の深さ50㎝までの範囲の土壌(合計10地点)をサンプリング調査(第二次調査)し,その結果,合計992個のスレート片が発見されているが,このうち,石綿含有を分析・確認したスレート片は25個(約2.5%)のみであり,他は分析されていないし,含有が確認されたものも,スレート片を破砕して採取した一次分析試料の重量に対する含有率1.7~11.4%の石綿が確認されたものであって,平均で重量に対する含有率は約6.4%である。なお,目開き20㎜のふるいを用いてふるいがけを行ってスレート片を収集しており,20㎜四方(1円玉大)程度の小さなスレート片も1個のスレート片として数えられているし,一次分析試料はスレート片を粉砕した分析試料を目開き500μmのふるいによりふるい分けした結果得られたものであり,上記含有率はスレート片そのものに対する含有率ではない(第三次調査においても同じ。)。さらに,東京環境測定センターが平成23年3月28日から同年4月7日にかけて行った第三次調査では,第二次調査においてスレート片が特に多く確認された2地点(50cmの深度で224個と262個が発見された地点)及び埋土が最も厚く堆積していることが確認された1地点の計3地点につき,それぞれ1m四方を調査対象として,30cmごとに土壌を掘削し,ふるいをかけ,目視により土砂と「スレート片」に分け個数及び重量の計測を行ったところ,前者2地点について,深度1.15mあるいは1.3mまでに発見されたスレート片の合計個数は,第二次調査の結果に,それぞれ181個と136個を加えるものとなったのに対し,埋土の堆積層が一番厚かった地点については,地表面から深度1.5mまで計測して87個しかスレート片が見つからなかった。また,定性・定量分析の結果,スレート片を破砕して採取した一次分析試料の重量に対する含有率2.1%から13.2%の石綿が確認された。土壌との重量比でみると,サンプリングされた土量は,第1審原告がスレート片除去のために搬出した土壌全体量である約13万6000㎥のわずか0.0147%である。そして,そのサンプリングされた土量のうち収集されたスレート片の重量はわずか0.067%であり,仮にそのスレート片の全てが平均約6.4%の石綿を含有していたとしても,その石綿の量は,サンプリングされた土壌全体量のわずか0.0042%である(乙4,124)。このように,本件土地で発見されたスレート片の量も,スレート片から発見された石綿の量も,調査対象となった土壌全体からみればごくわずかな量に過ぎない。しかも,本件土地で発見されたスレート片のうち,石綿が含まれていることが確認されているのは,鹿島建設アスベスト対策チーム専任次長Aが発見したスレート片4個(甲9,10),本件土地の10区画中9区画における2m四方の深さ50㎝までの範囲の土壌(合計9地点)中から発見されたスレート片のうち25個(乙4),及び上記10区画のうち特にスレート片が多く発見された2区画を含む3区画における1m四方の深さ1.5mまでの範囲の土壌(合計3地点)中から発見されたスレート片のうち10個(乙113)のみである。しかも,第二次調査の対象となった区画は,本件土地の他の場所よりもスレート片の個数が多いところが選ばれており,サンプル数も少ないため,統計学上,第二次調査の結果に基づき,単純比例計算によってスレート片の個数を計算して本件土地に大量にスレート片が存在していると認定することはできない(乙116,147)。以上のとおり,証拠上認定できる石綿含有スレート片の量はごくわずかに過ぎない。第二次調査で発見されたスレート片は992個であるが,石綿含有スレート片とそうでないコンクリート片ないし石片は,外観がよく似ており,わずか25個の分析結果をもって,本件土地に存在する全てのスレート片についても,石綿が含まれていると推認することはできない。また,念のため,発見されたスレート片が全て石綿含有であると仮定したとしても,その量は,他の土地で発見された石綿含有スレート片の量より少ないか同程度にとどまる。本件土地の地表面では,100㎡当たり2.24個しかスレート片が発見されておらず,ほとんどの地表で100㎡(約60畳)に0~4個の密度でしか見つかっていない(乙98,100)。これに対し,例えば,I公園では,地表面から合計102個のスレート片が発見されているが(乙72,100,101),これは100㎡当たり平均で8.37個という比率であり,本件土地の4倍近くの割合でスレート片が存在している。第1審原告は,本件土地におけるスレート片の重量割合が相当の高割合であることの根拠として,鹿島建設のB証人等の証言を引用する。しかしながら,B証人等は石綿含有スレート片の重量割合について何も証言していない。鹿島建設の従業員であるC証人や東京環境測定センターのD証人は,スレート片が石綿を含有するか否かを目視で見分けることができないと明確に証言している。仮に,破断面のけば立ちから石綿含有スレート片であることが見分けられるとしても,スレート片の中には破断面のけば立ちが確認できないものも相当数含まれており,本件土地に存在したスレート片の全てについて破断面のけば立ちが確認されているわけではないし,そもそも,破断面にけば立ちがあるスレート片であっても,石綿が含有されていないものも存在するのであり(乙162・添付2のスレート片⑥参照),破断面のけば立ちから石綿含有スレート片であることは見分けられない。さらに,E証人は,第一次調査ないし第三次調査という限られた範囲の調査時における印象論として証言しているだけであるし,B証人の証言についても,B証人が掘削を行った本件土地を全て確認したかどうかは明らかではない上,本件土地以外でこのように多数のスレート片が工事現場の土から発見されたことは「今まで一度も経験しておりません。」と証言しながら,B証人は,他者から指摘されるまで特段異常だという認識はなかったものであって,本件土地に広くまんべんなくスレート片が存在していたという証言は信用できない。以上のとおり,これらの証言から本件土地に広くまんべんなく大量に石綿含有スレート片が存在したという事実を認定することはできない。したがって,本件土地に広くまんべんなく大量に石綿含有スレート片が混入していたとは認定できないし,本件土地は他の土地と比べて異常に多くのアスベスト含有スレート片が含まれている土地ということもできない。前記のとおり,石綿含有スレート片を含む土地は一般的に存在し,本件土地は,スレート片の存在状況や含有密度からして,何ら特殊な事例でもなければ,危険な土地でもないにもかかわらず,原判決が是認され,第1審原告が主張するように,石綿含有スレート片が存在することによって本件土地が瑕疵がある土地として扱われ,廃棄物処理法に従ってスレート片の全てを撤去しなければならないとすると,石綿含有スレート片を含む他の土地についても石綿含有スレート片の土中からの分別を強制され,仮に分別できないのであれば,石綿含有スレート片が混入した土砂を石綿含有産業廃棄物として除去しなければならないことを強制されることになる。本件において第1審原告が約13万6000㎥の土壌を撤去処分したように,仮に,地中にわずかなスレート片が存在した場合に土壌まで全て撤去することとなれば,本件土地と同じ状況の土地が10個もあれば東京ドーム1つ分の容積に相当する土砂が搬出され,それだけ自然の土が削られ,環境破壊が進むことになる(乙124)。東京23区の公園等の土地だけでみても,東京ドーム853個分,東京都の宅地面積では東京ドーム7785個分もの土砂の撤去が必要であり,その分の自然土が削られ(乙147),少なくとも2兆536億円といった,2020年に予定されている東京オリンピックの開催費用の推定額と同程度の多額の廃棄物処理費用が必要となる。東京都の宅地も含めると,18兆7000億円を超える費用が必要となるが,これは平成28年度一般会計歳入予算における所得税収入17兆9750億円と同程度という莫大な金額である(乙147)。さらに,処理業者の能力を超える処理量が発生することで,処理が追いつかないといった社会問題を引き起こす可能性すらもある。このように,原判決の結論を維持することにより社会経済に悪影響を与えることは明らかである。5 争点 (第1審原告に生じた損害)に関する当事者の主張(第1審原告の主張)第1審原告は,以下のとおり,合計85億0509万5193円の損害を被った。なお,第1審被告は,過失相殺により損害の減額が図られるべきであるなどと主張するが,第1審原告には過失と評価される行為はないし,そもそも,瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求に過失相殺は適用されないから,第1審被告の上記主張は失当である。本件スレート片の撤去及び処分費用 57億6785万9528円本件スレート片の撤去及び処分の作業内容及びその費用の額は,原判決別紙「工事内容詳細」のうち,本件既搬出土の撤去及び処分費用分を除いた部分の各欄記載のとおりであり,その合計額は,54億9319万9550円となるところ,第1審原告は,同額に5%の消費税額を加算した57億6785万9528円の支払を余儀なくされた。その詳細は,次のとおりである。ア 撤去及び処分の概要本件スレート片は,一定の場所や深さに特定されることなく,本件土地の全体に,表面から深さ数mにかけて散在していたため,自然の地山でない埋土部分を掘削対象とすることとし,ボーリング調査等の結果から埋土部分の深さを推定した上,掘削した。掘削後,目視で埋土部分の掘削完了(地山への到達)及び本件スレート片の有無を確認して,本件スレート片が発見されなかった区画は掘削完了と判断し,発見された区画については更に掘削を行った。イ 前記アの工事方法を選択した理由本件土地においては,調査の結果,土地の表面及び地中にわたって広く本件スレート片が混入していることが予想されたこと,本件スレート片と土壌は不可分一体にからみついていた上,本件スレート片の大きさにばらつきがあり,ふるい等によってこれらをより分けて処分することが困難であったことから,土壌ごと本件スレート片を処分するよりほかなかった。また,人工物である本件スレート片が自然の地山に含まれていることは考え難い一方,本件土地においては,表面のほぼ全域において本件スレート片が発見されていたこと,地中の調査においても,50㎝程度の掘削で1区画平均約100個もの本件スレート片が発見されたこと,地中の深さと本件スレート片の混入量に一定の法則がなかったこと,第1審被告が本件土地上において従前より複数回建物の建築,解体を行っていたことなどから,建物の建築工事等において土地の掘削を行った際,本件スレート片が土壌中に混入,撹拌されたものと推測され,したがって,人の手の入った埋土部分には本件スレート片が混入している可能性が高いと推測されたことから,埋土部分には本件スレート片が混入しているものとして,埋土部分の全ての処分,撤去を行う方針を採ったものである。実際,撤去の際には大量の本件スレート片が掘り出され,当初想定した掘削深度を超えた深度においても本件スレート片が発見されていた。そして,第1審原告及び鹿島建設は,本件スレート片を含む土壌の撤去範囲が相当であることの客観性を担保するため,第三者たる専門機関である東京環境測定センターの立会いの下で本件スレート片の有無を確認しながら作業を進めていた。以上のとおり,埋土全体に本件スレート片が含まれるとして埋土自体を撤去及び処分の対象としたことは,合理的かつ相当な方法である。これに対し,第1審被告は,本件土地の隣接地(以下単に「隣接地」という。)における鹿島建設の対応が本件土地における対応と異なるなどと批判するが,本件土地は,埋土部分にスレート片が広くまんべんなく混入していたという極めて特殊な瑕疵ある土地だったのであり,隣接地とは全く異なる。また,本件土地と隣接地では,工事を行うに当たっての様々な状況や条件が異なるのであるから,両者の工事方法を比較することも無意味である。また,本件売買契約締結後の平成21年10月に「廃棄物混じり土対応マニュアル」(甲111,乙105。以下「本件マニュアル」という。)が策定される以前は,破棄物混じり土から廃棄物を取り除いたものを「分別土」とする概念自体が存在せず(甲145),技術的に土壌と廃棄物の分別が可能な場合も廃棄物混じり土全体を一括して廃棄物として取り扱うことが当然であり,関係業界においては,そのように処理しなければならないと苦慮していたものである。ウ 追加掘削部分について本件スレート片は,前記4(第1審原告の主張) のとおり,石綿含有産業廃棄物に該当するから,当初予定していた掘削部分に含まれない部分であったとしても,地中にある石綿含有産業廃棄物の存在を認識した以上は,これを適切に処理しなければならない(廃棄物処理法3条1項,12条1項)。仮に法律上残置が可能であるとしても,第1審原告及び鹿島建設は,本件土地のうち当初掘削する予定のなかった部分について本件スレート片を掘削することなく残置することができないかを検討した上,東京都の担当部署にもかけあったが,東京都からは,産業廃棄物である以上は撤去する必要があり「封じ込め」の措置も認められないとの見解が示され,第1審原告らとしては,東京都の意見に従うよりほかなかった。また,「封じ込め」の措置については,廃棄物処理法の趣旨に照らすと,保管基準や最終処分場の埋立処分に準じた措置,具体的には「非飛散性アスベスト廃棄物の保管場所である」旨の表示をするなどの必要があると解されるが,それでは第1審原告が予定していた物流ターミナルの建設や公園といった利用方法と相容れず,実際には採り得ない方法であった。したがって,当初掘削を予定していなかった部分について追加して掘削したことも当然であり,追加部分の掘削は,必要かつ合理的な措置であって,これに要した費用も本件土地の「瑕疵」によって生じた損害というべきである。原判決が同費用を損害額から控除したのは不当である。エ ピットの埋戻し部分について清水建設は,本件土地上に存在した既存建物を撤去する工事を施工した際,建物のピット(地下水槽)を4つ撤去し(以下「ピット1」などという。),その後にできたくぼみを埋めるために外部から建設残土1万1040㎥を搬入して埋戻工事をしていた。鹿島建設は,この埋戻部分についても,一部を残して土壌を撤去して処分したところ,原判決が清水建設が外部から搬入した建設残土に石綿を含有したスレート片等の産業廃棄物が混入していたことを認めるに足りる的確な証拠はないなどとして本件スレート片の撤去・処分費用のうち上記土壌(推定土量8099.75㎥)に対応する額を損害額から控除したのは不当である。まず,ピット3の埋戻しに外部搬入土が用いられておらず場内発生土が使用されたことについては,当事者間に争いがない。次に,ピット1の埋戻しに4086㎥の外部搬入土が使用されたところ,ピット1のうち「3分の1強」の部分についてはオープン工法が採られて外部搬入土による埋戻しがされたが,崩れた場内発生土との境界がはっきりせず,また掘削された場内発生土も外部搬入土と共に再び埋戻しに使われたと合理的に考えられ,残り「3分の2弱」の部分については全旋回工法が採られてそもそも外部搬入土による埋戻しは行われておらず,さらに,どこか所在不明な箇所に少なくとも約325㎥の場内発生土が埋戻しに用いられており,しかも,地表の均し作業においても場内発生土と外部搬入土の混合が行われたというのであるから,ピット1の外部搬入土と場内発生土は客観的に渾然一体となっており,鹿島建設が当時それを分別して処理することは不可能であったし,実際に鹿島建設によって掘削・撤去された土壌のうちいかなる量が外部搬入土だったのかを事後的に推定することも不可能である。また,ピット2及び4の埋戻しにはそれぞれ5614㎥,1339㎥の外部搬入土が使用されたところ,これらのピットでは全面的にオープン工法が採られて外部搬入土による埋戻しがされたが,崩れた場内発生土との境界がはっきりせず,また掘削された場内発生土も外部搬入土と共に再び埋戻しに使われたと合理的に考えられ,地表の均し作業においても場内発生土と外部搬入土の混合が行われたというのであるから,外部搬入土と場内発生土は客観的に渾然一体となっており,鹿島建設が当時それを分別して処理することは不可能であったし,実際に鹿島建設によって掘削・撤去された土壌のうちいかなる量が外部搬入土だったのかを事後的に推定することも不可能である。さらに,第1審原告も鹿島建設も,ピット1から4の三次元上の位置を知り得なかったし(甲142),ピット1から4の埋戻しに外部搬入土が使われたという情報を知り得なかった。以上のとおり,① ピットの埋戻しに使われたという外部搬入土は,場内発生土と不可分に渾然一体となっていたし,② 第1審原告や鹿島建設がスレート片の撤去・処分作業の際にそれを分別することは,第1審原告らが得ていた情報にかんがみても不可能であったし,③ 鹿島建設が実際に撤去・処分した外部搬入土の量を推定することもできないから,その撤去・処分費用を損害額から控除すべきではない。オ 健全土埋戻し工事について原判決別紙「工事内容詳細」の「健全土埋め戻し工事」の欄にある「鋤取りレベル以深 埋め戻し」とは,本件スレート片を撤去した後の地盤面から「SAVE施工地盤レベル」まで埋戻しをした工程を指す。元来,本体工事においては,① 「SAVE施工地盤レベル」まで土壌のすき取りを行い,② 地盤改良工事を行った上で,③ さらに,建物の基礎を作るのに必要な深さまで土壌を掘削する工程が予定されていたところ,計画掘削部分には,上記③の工程で行う掘削工事の深さまでが含まれている。「鋤取りレベル以深 埋め戻し」により実際に埋め戻された土壌には計画掘削部分と追加掘削部分が混在しているが,それぞれの容量を正確に測定することは困難であるから,計画掘削部分と追加掘削部分に按分計算によって割付けを行うことが合理的である(甲142)。この点,第1審被告は,本件スレート片を撤去するために原設計値よりも深くまで掘削したのであれば,SAVE施工地盤レベルを当初の予定よりも低くし,埋戻し量を少なくするなどの損害軽減措置を採るべきであったのにこれを怠ったとして,過失相殺すべきであるなどと主張する。しかしながら,本件スレート片の撤去工事において原設計値よりも深くまで掘削したのは,あくまで一部の箇所のみであって,他の箇所では原設計値よりも浅くまでしか掘削しておらず,本件スレート片の撤去工事を行った段階で原設計値との関係では浅くなっているところと深くなっているところが混在していたのであるから,一部の箇所が深く掘られているからといって,SAVE施工地盤レベルを一律に下げることは全く合理的でない。第1審被告の主張には「SAVE施工地盤レベルを地点ごとに柔軟に変えられる」という前提があるように見受けられるが,SAVE施工地盤レベルは,建物の基礎を作る前工程として,広範に地盤改良及び杭を行うための施工地盤の高さを決めるものであり,基本的に平らであるべきものであって,地点によって異なる高さとすることは現実的でなく,上記前提がそもそも誤りである。また,原判決別紙「工事内容詳細」の「健全土埋め戻し工事」の欄にある「埋め戻し」及び「盛土」の工事は,いずれも本体工事において行われることを予定していたが,本件土地に本件スレート片が存在していたことで,本件土地の場内発生土をこれらの「埋め戻し」及び「盛土」に転用することができなくなり,工事費用が増加した項目であり,本件スレート片の撤去・処分工事の代金として支払われているのは,この増加分の差額のみである。すなわち,これらの「埋め戻し」及び「盛土」は,新たな増加後の工事費により計上される一方で,元々の本体工事で計上されていた費用相当額については,「既契約分」として本件スレート片の撤去・処分工事費用から控除されている(甲80の1(14枚目。6・7番目の「埋め戻し」及び「盛土」のマイナス金額での計上が「既契約分」である。),甲142)。なお,場内発生土の転用により費用が減じられた分については,甲91の1の「前回計上金額との調整金」によって調整済みである。カ 石綿含有汚染土壌処理費用の割付けについて第1審被告は,「石綿含有汚染土壌処理工事」の費用は,原判決にいう搬出予定部分(A-1)及び埋戻等予定部分のうち産廃土になった部分(A-2)のみならず,追加掘削部分(B)にも割り付ける必要があると主張する。しかしながら,「石綿含有汚染土壌」とは,石綿を含有する本件スレート片を含む土壌であって,自然由来汚染土(本件土地に存在していた自然的由来のヒ素及びフッ素が法定基準値を超えて検出された土壌)に該当するものをいい,当初から掘削が予定されていた部分(計画掘削部分)に含まれていた土壌であって,このことは,原審においては,争いがなかった。第1審被告は,乙93の合意書第2条 の「搬出すべき汚染土壌のうち,石綿含有スレート片の混入が確認された土壌(括弧内省略)の量は7,678㎥」との記載が石綿含有汚染土壌処理工事で処理された本件スレート片を含む自然由来汚染土の土量約1万8622.6㎥と一致しないことを根拠に,自然由来汚染土が追加掘削部分に存在することも考えられると主張するようであるが,上記「7,678㎥」との記載が錯誤によるものであることは明確である。したがって,第1審被告の上記主張は失当である。本件既搬出土の撤去及び処分費用 5億6385万0472円鹿島建設は,平成22年12月25日から平成23年1月7日にかけて,本件新築工事に伴って生じた残土1万2457.7㎥をa処分場に搬出していた。本件土地において本件スレート片が発見されたことに伴い,搬出先であるa処分場においても搬出土砂の調査を行ったところ,本件スレート片が発見されたことから,第1審原告は,本件既搬出土についても撤去・処分を行うこととした。したがって,a処分場への搬出土砂の撤去及び処分に要した費用も,本件土地の「瑕疵」によって生じた損害というべきである。同作業の内容及び処分費用の額は,原判決別紙「工事内容詳細」のうち,既出残土産廃土処理工事(追加Ⅰ期分を含む。)欄記載のとおりであり,その合計額は,5億3700万0450円となるところ,第1審原告は,同額に5%の消費税額を加算した5億6385万0472円の支払を余儀なくされた。本件新築工事の遅延に伴う追加費用 20億6849万1348円本件スレート片の撤去及び処分を行っている間,本件新築工事を行うことができず,その完成が遅延した。第1審原告は,当初,平成24年11月から物流ターミナルを供用開始する予定であったが,上記遅延により,物流ターミナルに移転予定であった第1審原告の支店の移転が11か月間遅れた。これに伴い,第1審原告は,重機の待機損料,仮設材等損料,設備保管費用,人件費等諸経費の追加費用として,平成25年11月29日,鹿島建設に対して14億9331万円,株式会社日建設計(以下「日建設計」という。)に対して1億5319万5000円をそれぞれ支払い,平成26年3月10日,日本電気株式会社(以下「日本電気」という。)に対して7507万5000円,シネティックソーティング株式会社(以下「シネティック」という。)に対して1411万2000円,村田機械株式会社(以下「村田機械」という。)に対して189万円をそれぞれ支払った。また,第1審原告は,東京都品川区bc丁目所在のd駅構内のコンテナ複合施設及びコンテナ複合駐車場を甲支店として賃借し,東京都大田区df丁目所在の事務所及び倉庫を乙支店として賃借していたところ,平成24年11月までには本件土地上に完成される物流ターミナルに移転する予定であったが,その竣工が遅れたため,移転も遅れ,このため,本来支払う必要のなかった同月から平成25年9月分までの賃料合計3億3090万9348円の支払を余儀なくされた。これらの合計20億6849万1348円は,いずれも建設工事が遅れたことに伴って不可避的に発生したものであるから,損害となる。逸失利益 1039万3845円前記 のとおり,物流ターミナルの建設が遅れたため,当該施設の一角を賃借する予定であったコンビニエンス・ストア及び託児所の開業も平成25年10月に遅れ,このため,第1審原告は,平成24年11月分から平成25年9月分までの11か月分の賃料収入を得ることができなかった。11か月分の賃料収入は,コンビニエンス・ストア分として合計185万9550円,託児所分として合計853万4295円になる。弁護士費用 9450万円第1審原告は,本件訴訟の提起のための弁護士費用として9450万円を支出しているところ(甲37),かかる費用も賠償請求の範囲に含まれる損害というべきである。(第1審被告の主張)仮に,石綿含有スレート片が含まれていたことが本件土地の「瑕疵」に該当し得るとしても,その損害は相当因果関係のあるものに限定されるべきであるところ,次に述べるとおり,第1審原告の請求は不当に過大である。第1審原告は,第一次調査(乙3)と第二次調査(乙4)の調査結果から本件土地の埋土層全域にわたって石綿含有スレート片が散在する可能性が高いと評価して,埋土層を全部撤去する方法を採用したと主張する。しかし,本件土地は10万㎡を超える広大な土地であるところ,本件土地の地表面の第一次調査(乙3)では石綿含有の有無は明らかでない上,そのほとんどの場所で,1区画10m×10mの100㎡,すなわち約60畳分当たり0個から4個のスレート片が点在していたに過ぎない。本件土地の土壌の第二次調査(乙4)においても,本件土地の土壌に占めるスレート片の重量比に注目すれば,スレート片の重量は調査対象となった土壌の重量のわずか0.067重量%に過ぎず,土壌に占める石綿含有量でみれば,0.0042%に過ぎない。第1審原告は,このようにわずかな量しか発見されていない状況であり,しかも,次に述べるとおり,土地とスレート片の分別(乙106の2)や土砂の一部搬出(甲125)による方法も十分に検討可能であったにもかかわらず,合計で約13万6000㎥の土壌撤去を断行したのであり,不当に過剰な撤去といわざるを得ず,その処理義務と費用負担を第1審被告に課すことが不合理であることは明らかである。また,第1審原告や鹿島建設は,埋土全部の掘削処分以外の搬出方法であれば,より損害を軽減できることを認識しながら,そのような対策方法を十分検討せず,埋土全部の掘削処分を行うこととし,その結果,多額の工事費用の損害を生じさせているが,このような損害を全部第1審被告に負担させるのは公平の観点から相当でなく,第1審原告には損害の拡大を防止するために,他の対策方法を十分検討することが求められるというべきである。それにもかかわらず,第1審原告が別の対策方法を十分に検討しなかったことは,損害の拡大を防止するために相当と認められる措置を講じなかったものであり,過失相殺により損害の減額が図られるべきである。第1審原告や鹿島建設の採った処分方法が過剰であり,これによる費用等が瑕疵と相当因果関係がある損害とは認められないこと,あるいは,過失相殺の対象となることにつき,更に個別に検討すると,次のとおりである。本件土地の表層の本件スレート片だけを撤去すれば足りたものであり,土壌内の本件スレート片を撤去するまでの必要はなかった。すなわち,東京環境測定センターによる2回の調査の結果,石綿による土壌及び大気の汚染は確認されておらず(乙3,4),周辺への健康被害のおそれはなく,本件土地の利用にも支障はない。廃棄物処理法は,石綿含有産業廃棄物の処理方法として「埋め立てる石綿含有産業廃棄物が埋立地の外に飛散し,及び流出しないように,その表面を土砂で覆う等必要な措置を講ずること」としており(同法施行令第6条第3号ヨ),地中にある限り石綿含有産業廃棄物が飛散のおそれがないことを前提として,地中から取り出すよりは地中に置くことを推奨しているといえる。実際,地中のスレート片混じりの土砂まで産業廃棄物として処理する法規制は存在せず,鹿島建設や東京環境測定センターの担当者も検査義務がないことを認めているし,建設発生土の流通の現場において土砂にスレート片が含まれているかを検査,調査する実務は存在せず,実務上,地中のスレート片は除去の対象とされていない。そして,本件土地のほとんどの区画(約60畳分)で,スレート片は0~4個しか見つかっておらず,本件土地の表層のスレート片を集めることに支障はなく,表層のスレート片の撤去は容易である。このように,本件土地については,表層のスレート片だけを撤去すれば足りたものであり,これに要する費用である2858万7908円(乙150の1及び2,151の1及び2)を超える費用は相当因果関係を欠き,認められない。仮に,地中のスレート片混じりの土壌を土壌ごと撤去処分するとしても,人が直接土地に触れる可能性のない公園以外の土地の土砂まで処分する必要はなかった。すなわち,本件土地は工業専用地域であるところ,本件土地の3%が公園として開放されることが予定されていたものの,それ以外の土地には,建物が建てられ,基本的に土地に触れる形での人の立入りは予定されていない土地であった(甲3)。第1審原告は,地表面に存在するスレート片から飛散する点を問題にしているのであるから,建物やアスファルトで覆われていたり,人の立入りが予定されていない土地の部分についてまでスレート片混じりの土壌を掘削して撤去する必要はなく,公園部分に限り,スレート片混じりの土壌を撤去処分すれば足りたものである。したがって,上記 の表層のスレート片の撤去費用は更に減額され,スレート片の拾い集めにかかる費用は全区画の場合の費用2585万2008円(乙150の2,乙151の2)の3%に当たる77万5560円で足りたはずである。これに運搬処分費用13万7000円と10%の諸経費を加えても,合計で100万3816円となり,相当因果関係のある損害はこの範囲に限られるというべきである。また,仮に,表層のスレート片だけでなく,地中のスレート片混じりの土砂まで撤去処分することとし,かつ,追加掘削部分を含めるとしても,第1審原告が主張する(本件既搬出土を除く)本件土地の撤去処分費用の損害は,57億6785万9528円の3%に当たる1億7303万5785円に限られるというべきである。仮に,本件土地の土壌が石綿含有スレート片を含むこと自体が瑕疵であると認定された場合であっても,相当因果関係のある損害として認められるのは,通常損害,すなわち,売買契約締結時点で,廃棄物混じり土を処分する通常の方法による処分費用(具体的には,石綿含有スレート片を分別して処理する費用)に限られる。平成21年10月に「廃棄物混じり土対応マニュアル」(本件マニュアル)が発行される以前は,廃棄物混じり土についてどのように取り扱うか明確な基準は取り決められておらず,当然に廃棄物混じり土を一括して廃棄物処理する実務など確立されてはいない(乙215)。売買契約締結以降に瑕疵を除去する費用が発生することが顕在化した時点で,瑕疵を除去する合理的手法が示されていたにもかかわらず,これによることなく,別の手法による費用を損害として認めるのは明らかに不合理であるから,本件土地においても,本件マニュアルに従った分別処理を行う必要があった。本件マニュアルにおいて,40㎜程度以下の廃棄物が含まれる土を分別土として土質材料とする実施例(乙105)が挙げられているように,実務上,分別に当たって目視できないものまで含めて廃棄物を完全撤去しなければならないとする考えは採られておらず,目視不可能な廃棄物も含めた廃棄物と土砂の一括処理は実務以上の処理を求めるものである。
事案の概要
平成30年6月28日
東京高等裁判所
詳細/PDF
HTML/TEXT
[下級] [刑事] 平成30(わ)180Moreinfo  up!
関税法違反,消費税法違反,地方税法違反
平成30(わ)180
本件は,被告人が,共犯者らと共謀の上,無許可で金地金を輸入するとともに不正の行為により消費税及び地方消費税を免れようとしたが,税関職員に金地金を発見されたために未遂に終わったという事案である。
事案の概要
平成30年6月13日
名古屋地方裁判所 刑事第5部
詳細/PDF
HTML/TEXT
[下級] [刑事] 平成30(わ)180Moreinfo  up!
関税法違反,消費税法違反,地方税法違反
平成30(わ)180
本件は,被告人両名が,共犯者らと共謀の上,無許可で金地金を輸入するとともに不正の行為により消費税及び地方消費税を免れようとしたが,税関職員に金地金を発見されたために未遂に終わったという事案である。
事案の概要
平成30年5月29日
名古屋地方裁判所 刑事第5部
詳細/PDF
HTML/TEXT
[下級] [刑事] 平成30(わ)180Moreinfo  up!
関税法違反,消費税法違反,地方税法違反
平成30(わ)180
本件は,被告人が,共犯者らと共謀の上,無許可で金地金を輸入するとともに不正の行為により消費税及び地方消費税を免れようとしたが,税関職員に金地金を発見されたために未遂に終わったという事案である。
事案の概要
平成30年5月11日
名古屋地方裁判所 刑事第5部
詳細/PDF
HTML/TEXT

前のページ | 次のページ