事件番号平成18(ワ)255
事件名損害賠償請求事件
裁判所広島地方裁判所 民事第1部
裁判年月日平成20年2月8日
事案の概要本件は,台風14号が中国地方に接近した際,本件災害に遭った原告Aら及び原告Aらの乗車していた本件車両の所有者である原告会社が,1(1) 被告国の管理所ないし所長としては,温井ダムから放流する際に太田川の下流域が増水するおそれのある場合には,その放流に先立ち,適時,サイレンを吹鳴すべき義務があったのにこれを怠り,本件現場近くのサイレンを吹鳴せずに温井ダムから放流した(2) 被告県としては,ア 本件県道を適時交通規制すべき義務があったのにこれを怠り,原告Aらが本件車両で進入するまでに,その交通規制をしなかったイ 本件県道を交通規制するのに先立ち,要救助者の存否を確認し,要救助者がいれば救助すべき義務があったのにこれを怠り,要救助者の存否すら確認せず,漫然と本件県道を交通規制した(3) 被告市としては,ア 本件現場近くの住民,通行人等に対し,その覚知することのできる手段により,台風14号の接近に伴う大雨等で太田川が増水するおそれを周知すべき義務があったのにこれを怠り,そのような周知をしなかったイ 本件県道を適時交通規制すべき義務があったのにこれを怠り,原告Aらが本件車両で進入するまでに,その交通規制をしなかったことにより,2(1) 原告Aらにおいては,救助されるまでの間,死の恐怖を感じ続ける精神的苦痛を被った(2) 原告会社においては,本件車両が毀損された上,代わりの車両を入手するまでの間,本件車両で営業していれば得られたはずの利益を失ったとして,3(1) 被告国に対しては,国家賠償法1条1項又は民法715条1項本文による損害賠償請求権に基づき,(2) 被告県に対しては,国家賠償法1条1項による損害賠償請求権に基づき,(3) 被告市に対しては,国家賠償法1条1項又は2条1項による損害賠償請求権に基づき,各自,4(1) 原告Aらにおいては,各々,慰謝料500万円及び弁護士費用50万円並びにこれらに対する不法行為の後の日である平成17年9月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金(2) 原告会社においては,本件車両及びこれに積載されていた設備等の毀損による損害金167万0405円,逸失利益140万円及び弁護士費用30万円並びにこれらに対する前記(1)と同様の遅延損害金の支払を求めている事案である。
判示事項の要旨【事案の概要】
台風14号接近時に川沿いの県道を車両で走行した際,冠水のため避難できなくなるなどした原告らが,(1) 被告国としては,ダムの下流域が増水するおそれがあったのに,ダムから放流する前に現場近くのサイレンを吹鳴すべき義務を怠った,(2) 被告県としては,県道を適時に交通規制すべき義務を怠るとともに,交通規制の前に要救助者の存否の確認等をすべき義務を怠った,(3) 被告市としては,現場近くの住民,通行人等に対し,台風の接近に伴う大雨等により河川が増水するおそれを適宜周知すべき義務を怠るとともに,県道を適時に交通規制すべき義務を怠り,その結果,救助されるまでの間,精神的苦痛を被るなどしたとして,被告らに対し,損害賠償を求めた事案
【判示事項】
1 国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使が国家賠償法1条1項の適用上違法となるか否かを判断した事例
2 道路の冠水による危険に対し,交通規制しなかったことが国家賠償法上1条1項の適用上違法となるか否かについて判断した事例
3 道路の冠水による危険に対し,交通規制しなかったことが国家賠償法上2条1項の設置管理の瑕疵になるか否かについて判断した事例
事件番号平成18(ワ)255
事件名損害賠償請求事件
裁判所広島地方裁判所 民事第1部
裁判年月日平成20年2月8日
事案の概要
本件は,台風14号が中国地方に接近した際,本件災害に遭った原告Aら及び原告Aらの乗車していた本件車両の所有者である原告会社が,1(1) 被告国の管理所ないし所長としては,温井ダムから放流する際に太田川の下流域が増水するおそれのある場合には,その放流に先立ち,適時,サイレンを吹鳴すべき義務があったのにこれを怠り,本件現場近くのサイレンを吹鳴せずに温井ダムから放流した(2) 被告県としては,ア 本件県道を適時交通規制すべき義務があったのにこれを怠り,原告Aらが本件車両で進入するまでに,その交通規制をしなかったイ 本件県道を交通規制するのに先立ち,要救助者の存否を確認し,要救助者がいれば救助すべき義務があったのにこれを怠り,要救助者の存否すら確認せず,漫然と本件県道を交通規制した(3) 被告市としては,ア 本件現場近くの住民,通行人等に対し,その覚知することのできる手段により,台風14号の接近に伴う大雨等で太田川が増水するおそれを周知すべき義務があったのにこれを怠り,そのような周知をしなかったイ 本件県道を適時交通規制すべき義務があったのにこれを怠り,原告Aらが本件車両で進入するまでに,その交通規制をしなかったことにより,2(1) 原告Aらにおいては,救助されるまでの間,死の恐怖を感じ続ける精神的苦痛を被った(2) 原告会社においては,本件車両が毀損された上,代わりの車両を入手するまでの間,本件車両で営業していれば得られたはずの利益を失ったとして,3(1) 被告国に対しては,国家賠償法1条1項又は民法715条1項本文による損害賠償請求権に基づき,(2) 被告県に対しては,国家賠償法1条1項による損害賠償請求権に基づき,(3) 被告市に対しては,国家賠償法1条1項又は2条1項による損害賠償請求権に基づき,各自,4(1) 原告Aらにおいては,各々,慰謝料500万円及び弁護士費用50万円並びにこれらに対する不法行為の後の日である平成17年9月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金(2) 原告会社においては,本件車両及びこれに積載されていた設備等の毀損による損害金167万0405円,逸失利益140万円及び弁護士費用30万円並びにこれらに対する前記(1)と同様の遅延損害金の支払を求めている事案である。
判示事項の要旨
【事案の概要】
台風14号接近時に川沿いの県道を車両で走行した際,冠水のため避難できなくなるなどした原告らが,(1) 被告国としては,ダムの下流域が増水するおそれがあったのに,ダムから放流する前に現場近くのサイレンを吹鳴すべき義務を怠った,(2) 被告県としては,県道を適時に交通規制すべき義務を怠るとともに,交通規制の前に要救助者の存否の確認等をすべき義務を怠った,(3) 被告市としては,現場近くの住民,通行人等に対し,台風の接近に伴う大雨等により河川が増水するおそれを適宜周知すべき義務を怠るとともに,県道を適時に交通規制すべき義務を怠り,その結果,救助されるまでの間,精神的苦痛を被るなどしたとして,被告らに対し,損害賠償を求めた事案
【判示事項】
1 国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使が国家賠償法1条1項の適用上違法となるか否かを判断した事例
2 道路の冠水による危険に対し,交通規制しなかったことが国家賠償法上1条1項の適用上違法となるか否かについて判断した事例
3 道路の冠水による危険に対し,交通規制しなかったことが国家賠償法上2条1項の設置管理の瑕疵になるか否かについて判断した事例
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