事件番号平成18(ネ)905
事件名保険金等請求控訴事件
裁判所福岡高等裁判所 第3民事部
裁判年月日平成20年1月29日
結果破棄自判
原審裁判所福岡地方裁判所 小倉支部
原審事件番号平成17(ワ)367
原審結果棄却
判示事項の要旨1 X1が,妻X2所有の本件自動車を運転中,自損事故(本件事故)を発生させ,同車が破損するとともに,X1及び同乗していた長男X3が負傷したとして,X2がYとの間で締結していた保険契約に基づき,XらがYに対して保険金等を請求した。
  これに対し,Yは,アX1の述べる事故態様(道路左側の公園のコンクリート製防護柵をなぎ倒しながら電柱に衝突したなどとするもの)は客観的状況に反して信用できないこと,イ本件事故当夜は雨が降っていたのに,X1及びX3がわざわざごみを捨てに車で出かける必要性に乏しいこと,ウ本件自動車が融資のために度々担保に供されるなどXらの経済状況は逼迫していたこと,エX2は過剰な車両保険を掛け,本件事故前に保険金額を増額し,或いはオ本件自動車の修理費用を過大に見積もるなどしていること,カX1及びX3の受傷及び治療内容が疑わしいこと,キX1は5回の保険金受領歴があり,保険金請求に絡む詐欺前科があることなどの諸事情からすると,本件事故は,X1が故意に引き起こしたものというべきであり,保険金の支払を免責されると主張して争ったほか,控訴審において,Xらが本件事故の事故態様等に関して虚偽申告をしており,この点でも保険金支払が免責されるという主張を追加した。
2 原判決は,本件事故はX1によって故意に引き起こされたものであり,Yは保険金の支払を免責されるとして,Xらの請求をいずれも棄却した。
3 これに対し,本判決は,上記ア,オ,カは認めつつも,これらは本件事故の態様及び結果を誇張することによって過大な保険金を得ようとしたものと解する余地があり,本件事故の故意性を認める決定的な根拠とはいい難く,イ,エも反論の余地があり,ウについては,そのとおりの事実(担保提供)が認められるからXらの生活が決して楽ではなかったことは窺われるものの,その都度負債が解消され,本件自動車を含めて3台の自動車を保有・維持しているなどの事情からすれば,Xらの生活が立ち行かないような状態にあるとまでは認め難く,保険金取得を企図するような経済的状況は窺えないとし,キも決め手にはならないとして,本件事故の故意性を否定した。
  他方,X1の虚偽申告についてはこれを認め,Yの免責を肯定したが,X2及びX3についてはこれを認めず,Yに対して,X2及びX3への保険金の支払を命じた(ただし,相当程度減額した。)。
事件番号平成18(ネ)905
事件名保険金等請求控訴事件
裁判所福岡高等裁判所 第3民事部
裁判年月日平成20年1月29日
結果破棄自判
原審裁判所福岡地方裁判所 小倉支部
原審事件番号平成17(ワ)367
原審結果棄却
判示事項の要旨
1 X1が,妻X2所有の本件自動車を運転中,自損事故(本件事故)を発生させ,同車が破損するとともに,X1及び同乗していた長男X3が負傷したとして,X2がYとの間で締結していた保険契約に基づき,XらがYに対して保険金等を請求した。
  これに対し,Yは,アX1の述べる事故態様(道路左側の公園のコンクリート製防護柵をなぎ倒しながら電柱に衝突したなどとするもの)は客観的状況に反して信用できないこと,イ本件事故当夜は雨が降っていたのに,X1及びX3がわざわざごみを捨てに車で出かける必要性に乏しいこと,ウ本件自動車が融資のために度々担保に供されるなどXらの経済状況は逼迫していたこと,エX2は過剰な車両保険を掛け,本件事故前に保険金額を増額し,或いはオ本件自動車の修理費用を過大に見積もるなどしていること,カX1及びX3の受傷及び治療内容が疑わしいこと,キX1は5回の保険金受領歴があり,保険金請求に絡む詐欺前科があることなどの諸事情からすると,本件事故は,X1が故意に引き起こしたものというべきであり,保険金の支払を免責されると主張して争ったほか,控訴審において,Xらが本件事故の事故態様等に関して虚偽申告をしており,この点でも保険金支払が免責されるという主張を追加した。
2 原判決は,本件事故はX1によって故意に引き起こされたものであり,Yは保険金の支払を免責されるとして,Xらの請求をいずれも棄却した。
3 これに対し,本判決は,上記ア,オ,カは認めつつも,これらは本件事故の態様及び結果を誇張することによって過大な保険金を得ようとしたものと解する余地があり,本件事故の故意性を認める決定的な根拠とはいい難く,イ,エも反論の余地があり,ウについては,そのとおりの事実(担保提供)が認められるからXらの生活が決して楽ではなかったことは窺われるものの,その都度負債が解消され,本件自動車を含めて3台の自動車を保有・維持しているなどの事情からすれば,Xらの生活が立ち行かないような状態にあるとまでは認め難く,保険金取得を企図するような経済的状況は窺えないとし,キも決め手にはならないとして,本件事故の故意性を否定した。
  他方,X1の虚偽申告についてはこれを認め,Yの免責を肯定したが,X2及びX3についてはこれを認めず,Yに対して,X2及びX3への保険金の支払を命じた(ただし,相当程度減額した。)。
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