事件番号平成22(行ウ)42
事件名損害賠償等を求める請求事件
裁判所千葉地方裁判所
裁判年月日平成25年3月22日
事案の概要本件は,平成22年当時千葉県a市長であったA(以下「A元市長」という。)が,X鉄道株式会社(以下「X鉄道」という。)に対し補助金の支出をする旨の債務負担行為を専決処分によって行ったことには,地方自治法(平成22年法律第71号による改正前のもの。以下「法」という。)179条1項の要件を欠く違法があり,これに基づいてX鉄道と締結した贈与契約は私法上無効であり,したがって,公金の支出も違法・無効であると主張して,同市の住民である原告らが, 法242条の2第1項4号により,被告に対し,A元市長に対しては債務不履行又は不法行為に基づき,支出に係る2363万2000円及びその振込手数料の賠償とこれに対する補助金支出の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の,X鉄道に対しては不当利得に基づいて,上記支出額の返還及びこれに対する同様の法定利息の支払請求をすることを求める事案である。
判示事項鉄道会社に補助金を支出する旨の債務負担行為について元市長がした専決処分は地方自治法(平成24年法律第72号による改正前)179条1項の要件を欠き違法であるからそれに基づく支出も違法であるとして,同法242条2第1項4号に基づき,元市長に損害賠償請求をすることを市長に対して求める請求が,認容された事例
判示事項の要旨(1) 普通地方公共団体の長が補助金の支出をする旨の債務負担行為を専決処分によって行ったことにつき,その専決処分に地方自治体法179条1項の要件を欠く違法があるとして,上記専決処分をした長の不法行為責任を認めた事例  
(2) 上記専決処分に基づく贈与契約は違法ではあるが,同契約の相手方が,同契約が適法に締結されたものと信じ,そう信じることにつき正当な理由があったという事情の下では,同契約が私法上無効とまではいえないとされた事例
裁判要旨鉄道会社に補助金を支出する旨の債務負担行為について元市長がした専決処分は地方自治法(平成24年法律第72号による改正前)179条1項の要件を欠き違法であるからそれに基づく支出も違法であるとして,同法242条2第1項4号に基づき,元市長に損害賠償請求をすることを市長に対して求める請求につき,専決処分について定めた同法179条1項の「議会において議決すべき事件を議決しないとき」という要件を形式的に満たすとみえる場合であっても,普通地方公共団体の長が,議会が議決することができないような状況をことさら作出,利用して専決処分をした場合や,その案件の経過や内容等客観的な事情に照らして,議会が議決しないことが社会通念上相当なものとして是認されるべきであるのに,あえて専決処分をした場合等,専決処分の制度の趣旨を潜脱することが明らかである場合には,「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に該当せず,当該専決処分は違法となることがあるとした上で,元市長は,前記鉄道会社の運賃値下げ支援補助金を支出する旨の補正予算案を提出した時点で,議会の議長を除く議員の多数が一貫して反対しており,そのまま否決されるか,否決されないとすれば,議事の混乱により審議未了のまま会期が満了すること以外にはありえないことを承知の上で,あえて,前記補正予算案を提出し,実際に議事が混乱して会期が満了したことを利用したなどの前記専決処分に至る経緯に加え,予算の議決は議会の本来的な権限であって,前記補正予算案は突発的に発生した事態に緊急に対処するためのものでもないことも考慮すると,議会が前記補正予算案を議決しないことは社会通念上相当なものとして是認されるべき場合にあたるというべきであって,前記専決処分は,「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に該当しないにもかかわらずなされたもので違法であるとして,前記請求を認容した事例
事件番号平成22(行ウ)42
事件名損害賠償等を求める請求事件
裁判所千葉地方裁判所
裁判年月日平成25年3月22日
事案の概要
本件は,平成22年当時千葉県a市長であったA(以下「A元市長」という。)が,X鉄道株式会社(以下「X鉄道」という。)に対し補助金の支出をする旨の債務負担行為を専決処分によって行ったことには,地方自治法(平成22年法律第71号による改正前のもの。以下「法」という。)179条1項の要件を欠く違法があり,これに基づいてX鉄道と締結した贈与契約は私法上無効であり,したがって,公金の支出も違法・無効であると主張して,同市の住民である原告らが, 法242条の2第1項4号により,被告に対し,A元市長に対しては債務不履行又は不法行為に基づき,支出に係る2363万2000円及びその振込手数料の賠償とこれに対する補助金支出の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の,X鉄道に対しては不当利得に基づいて,上記支出額の返還及びこれに対する同様の法定利息の支払請求をすることを求める事案である。
判示事項
鉄道会社に補助金を支出する旨の債務負担行為について元市長がした専決処分は地方自治法(平成24年法律第72号による改正前)179条1項の要件を欠き違法であるからそれに基づく支出も違法であるとして,同法242条2第1項4号に基づき,元市長に損害賠償請求をすることを市長に対して求める請求が,認容された事例
判示事項の要旨
(1) 普通地方公共団体の長が補助金の支出をする旨の債務負担行為を専決処分によって行ったことにつき,その専決処分に地方自治体法179条1項の要件を欠く違法があるとして,上記専決処分をした長の不法行為責任を認めた事例  
(2) 上記専決処分に基づく贈与契約は違法ではあるが,同契約の相手方が,同契約が適法に締結されたものと信じ,そう信じることにつき正当な理由があったという事情の下では,同契約が私法上無効とまではいえないとされた事例
裁判要旨
鉄道会社に補助金を支出する旨の債務負担行為について元市長がした専決処分は地方自治法(平成24年法律第72号による改正前)179条1項の要件を欠き違法であるからそれに基づく支出も違法であるとして,同法242条2第1項4号に基づき,元市長に損害賠償請求をすることを市長に対して求める請求につき,専決処分について定めた同法179条1項の「議会において議決すべき事件を議決しないとき」という要件を形式的に満たすとみえる場合であっても,普通地方公共団体の長が,議会が議決することができないような状況をことさら作出,利用して専決処分をした場合や,その案件の経過や内容等客観的な事情に照らして,議会が議決しないことが社会通念上相当なものとして是認されるべきであるのに,あえて専決処分をした場合等,専決処分の制度の趣旨を潜脱することが明らかである場合には,「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に該当せず,当該専決処分は違法となることがあるとした上で,元市長は,前記鉄道会社の運賃値下げ支援補助金を支出する旨の補正予算案を提出した時点で,議会の議長を除く議員の多数が一貫して反対しており,そのまま否決されるか,否決されないとすれば,議事の混乱により審議未了のまま会期が満了すること以外にはありえないことを承知の上で,あえて,前記補正予算案を提出し,実際に議事が混乱して会期が満了したことを利用したなどの前記専決処分に至る経緯に加え,予算の議決は議会の本来的な権限であって,前記補正予算案は突発的に発生した事態に緊急に対処するためのものでもないことも考慮すると,議会が前記補正予算案を議決しないことは社会通念上相当なものとして是認されるべき場合にあたるというべきであって,前記専決処分は,「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に該当しないにもかかわらずなされたもので違法であるとして,前記請求を認容した事例
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