事件番号平成23(行ウ)63
事件名選挙権確認請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成25年3月14日
事案の概要本件は,成人の日本国民である原告が,後見開始の審判(民法7条)を受けて成年被後見人となったところ,公職選挙法11条1項1号が成年被後見人は選挙権を有しないと規定していることから,選挙権を付与しないこととされたため,上記の公職選挙法11条1項1号の規定は,憲法15条3項,14条1項等の規定に違反し無効であるとして,行政事件訴訟法4条の当事者訴訟として,原告が次回の衆議院議員及び参議院議員の選挙において投票をすることができる地位にあることの確認を求めた事案である。
判示事項公職選挙法11条1項1号の合憲性
裁判要旨憲法は,選挙権が,国民主権の原理に基づく議会制民主主義の根幹と位置付けられるものであることから,両議院の議員の選挙において投票をすることを国民の固有の権利として保障しており,「やむを得ない」場合すなわち「そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙を行うことが事実上不能ないし著しく困難である」と認められる場合以外に選挙権を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反するというべきところ,成年後見制度と選挙制度はその趣旨目的が全く異なるものであり,後見開始の審判がされたからといって,選挙権を行使するに足る能力が欠けると判断されたことにならないばかりか,成年被後見人は,その能力を一時回復することによって一定の法律行為を有効に行う能力が回復することを制度として予定しているのであるから,成年被後見人とされた者の中にも,選挙権を行使するに必要な判断能力を有する者が少なからず含まれていると解され,成年被後見人に選挙権を付与するならば選挙の公正を害する結果が生じるなど,成年被後見人から選挙権を剥奪することなしには,選挙の公正を確保しつつ選挙を行うことが事実上不能ないし著しく困難であると解すべき事実は認めがたい上,選挙権を行使するに足る能力を欠く者を選挙から排除するという目的のために,制度趣旨が異なる成年後見制度を借用せずに端的にそのような規定を設けて運用することも可能であると解されるから,そのような目的のために成年被後見人から選挙権を一律に剥奪する規定を設けることをおよそ「やむを得ない」として許容することはできないといわざるを得ず,したがって,成年被後見人は選挙権を有しないと定めた公職選挙法11条1項1号は,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反するというべきである。
事件番号平成23(行ウ)63
事件名選挙権確認請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成25年3月14日
事案の概要
本件は,成人の日本国民である原告が,後見開始の審判(民法7条)を受けて成年被後見人となったところ,公職選挙法11条1項1号が成年被後見人は選挙権を有しないと規定していることから,選挙権を付与しないこととされたため,上記の公職選挙法11条1項1号の規定は,憲法15条3項,14条1項等の規定に違反し無効であるとして,行政事件訴訟法4条の当事者訴訟として,原告が次回の衆議院議員及び参議院議員の選挙において投票をすることができる地位にあることの確認を求めた事案である。
判示事項
公職選挙法11条1項1号の合憲性
裁判要旨
憲法は,選挙権が,国民主権の原理に基づく議会制民主主義の根幹と位置付けられるものであることから,両議院の議員の選挙において投票をすることを国民の固有の権利として保障しており,「やむを得ない」場合すなわち「そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙を行うことが事実上不能ないし著しく困難である」と認められる場合以外に選挙権を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反するというべきところ,成年後見制度と選挙制度はその趣旨目的が全く異なるものであり,後見開始の審判がされたからといって,選挙権を行使するに足る能力が欠けると判断されたことにならないばかりか,成年被後見人は,その能力を一時回復することによって一定の法律行為を有効に行う能力が回復することを制度として予定しているのであるから,成年被後見人とされた者の中にも,選挙権を行使するに必要な判断能力を有する者が少なからず含まれていると解され,成年被後見人に選挙権を付与するならば選挙の公正を害する結果が生じるなど,成年被後見人から選挙権を剥奪することなしには,選挙の公正を確保しつつ選挙を行うことが事実上不能ないし著しく困難であると解すべき事実は認めがたい上,選挙権を行使するに足る能力を欠く者を選挙から排除するという目的のために,制度趣旨が異なる成年後見制度を借用せずに端的にそのような規定を設けて運用することも可能であると解されるから,そのような目的のために成年被後見人から選挙権を一律に剥奪する規定を設けることをおよそ「やむを得ない」として許容することはできないといわざるを得ず,したがって,成年被後見人は選挙権を有しないと定めた公職選挙法11条1項1号は,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反するというべきである。