事件番号平成21(行コ)213
事件名公金支出差止等請求(住民訴訟)控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第497号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成25年3月29日
事案の概要本件は,東京都の住民である控訴人らが,α1ダムのダム使用権は東京都の水道事業に不要であり,東京都はα1ダムにより治水上の利益も受けない上,α1ダムのダムサイトがダム建設に不適格でありダム湖には地すべりの危険があって,α1ダムが河川法上の河川管理施設としての性状と機能を有しておらず,また,α1ダムの建設計画が環境保護法令に違反する違法な事業であって,α1ダムに関する建設費負担金,受益者負担金,水特法負担金,基金負担金及び一般会計繰出金の各支出が違法であると主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,次の(1)(3)(4)の差止めを求め,ダム使用権設定予定者の地位が地方自治法237条の「財産」に当たり,被控訴人水道局長が,α1ダムにより東京都が治水上の利益を受けないにもかかわらずダム使用権設定申請を取り下げない行為が「財産の管理を怠る事実」に当たると主張して,地方自治法242条の2第1項3号に基づき次の(2)の違法確認を求め,東京都知事であったbが,違法な支出をしない義務を負うにもかかわらず,その義務に反して受益者負担金,水特法負担金,基金負担金,一般会計繰出金の各支出をし,東京都水道局長であったc及びdが,違法な支出をしない義務を負うにもかかわらず,その義務に反して建設費負担金,水特法負担金及び基金負担金の各支出をして東京都に損害を与えたと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被控訴人知事に対し,次の(5)アの損害賠償の請求を,被控訴人水道局長に対し,次の(5)イ,ウの損害賠償の請求をすることを求める事案である。
判示事項1 特定多目的ダム法に基づくダム使用権の設定予定者たる地位と地方自治法238条1項4号又は同項7号該当性
2 東京都が設定の申請をしたダム使用権は都の水道事業に不要であり,ダムにより都が治水上の利益を受けることもない等として,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,都水道局長に対する特定多目的ダム法7条に基づく建設費負担金の支出の差止め,都建設局総務部企画経理課長による河川法63条に基づく受益者負担金の支出命令の差止めを求める各請求が,いずれも棄却された事例
裁判要旨1 地方自治法238条1項4号の「地上権,地役権,鉱業権その他これらに準ずる権利」とは,法律上確立している用益物権,又は用益物権に類する性格を有する権利ということころ,ダム使用権の設定予定者たる地位は,手続上の地位にすぎないからこれに当たらず,多目的ダムの建設費の負担を出資ということもできないから,同項7号の「出資による権利」にも当たらない。
2 東京都が設定の申請をしたダム使用権は都の水道事業に不要であり,ダムにより都が治水上の利益を受けることもない等として,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,都水道局長に対する特定多目的ダム法7条に基づく建設費負担金の支出の差止め,都建設局総務部企画経理課長による河川法63条に基づく受益者負担金の支出命令の差止めを求める各請求につき,前記建設費負担金及び前記受益者負担金の各支出は,国土交通大臣による納付通知を原因としたものであり,同納付通知について重大かつ明白な違法ないし瑕疵があるなど,同納付通知が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正の見地から看過し得ない瑕疵があるときでない限り,これを尊重してその内容に応じてした前記各支出が違法であるということはできないところ,判示の事情に照らすと前記納付通知に重大かつ明白な違法ないし瑕疵があるとはいえない上,都水道局長によるダムの使用権の設定申請及びダム使用権認定予定者たる地位を維持することが合理性を欠くともいえないから,前記建設費負担金及び前記受益者負担金の各支出が違法であるとはいえない等として,前記各請求をいずれも棄却した事例
事件番号平成21(行コ)213
事件名公金支出差止等請求(住民訴訟)控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第497号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成25年3月29日
事案の概要
本件は,東京都の住民である控訴人らが,α1ダムのダム使用権は東京都の水道事業に不要であり,東京都はα1ダムにより治水上の利益も受けない上,α1ダムのダムサイトがダム建設に不適格でありダム湖には地すべりの危険があって,α1ダムが河川法上の河川管理施設としての性状と機能を有しておらず,また,α1ダムの建設計画が環境保護法令に違反する違法な事業であって,α1ダムに関する建設費負担金,受益者負担金,水特法負担金,基金負担金及び一般会計繰出金の各支出が違法であると主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,次の(1)(3)(4)の差止めを求め,ダム使用権設定予定者の地位が地方自治法237条の「財産」に当たり,被控訴人水道局長が,α1ダムにより東京都が治水上の利益を受けないにもかかわらずダム使用権設定申請を取り下げない行為が「財産の管理を怠る事実」に当たると主張して,地方自治法242条の2第1項3号に基づき次の(2)の違法確認を求め,東京都知事であったbが,違法な支出をしない義務を負うにもかかわらず,その義務に反して受益者負担金,水特法負担金,基金負担金,一般会計繰出金の各支出をし,東京都水道局長であったc及びdが,違法な支出をしない義務を負うにもかかわらず,その義務に反して建設費負担金,水特法負担金及び基金負担金の各支出をして東京都に損害を与えたと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被控訴人知事に対し,次の(5)アの損害賠償の請求を,被控訴人水道局長に対し,次の(5)イ,ウの損害賠償の請求をすることを求める事案である。
判示事項
1 特定多目的ダム法に基づくダム使用権の設定予定者たる地位と地方自治法238条1項4号又は同項7号該当性
2 東京都が設定の申請をしたダム使用権は都の水道事業に不要であり,ダムにより都が治水上の利益を受けることもない等として,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,都水道局長に対する特定多目的ダム法7条に基づく建設費負担金の支出の差止め,都建設局総務部企画経理課長による河川法63条に基づく受益者負担金の支出命令の差止めを求める各請求が,いずれも棄却された事例
裁判要旨
1 地方自治法238条1項4号の「地上権,地役権,鉱業権その他これらに準ずる権利」とは,法律上確立している用益物権,又は用益物権に類する性格を有する権利ということころ,ダム使用権の設定予定者たる地位は,手続上の地位にすぎないからこれに当たらず,多目的ダムの建設費の負担を出資ということもできないから,同項7号の「出資による権利」にも当たらない。
2 東京都が設定の申請をしたダム使用権は都の水道事業に不要であり,ダムにより都が治水上の利益を受けることもない等として,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,都水道局長に対する特定多目的ダム法7条に基づく建設費負担金の支出の差止め,都建設局総務部企画経理課長による河川法63条に基づく受益者負担金の支出命令の差止めを求める各請求につき,前記建設費負担金及び前記受益者負担金の各支出は,国土交通大臣による納付通知を原因としたものであり,同納付通知について重大かつ明白な違法ないし瑕疵があるなど,同納付通知が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正の見地から看過し得ない瑕疵があるときでない限り,これを尊重してその内容に応じてした前記各支出が違法であるということはできないところ,判示の事情に照らすと前記納付通知に重大かつ明白な違法ないし瑕疵があるとはいえない上,都水道局長によるダムの使用権の設定申請及びダム使用権認定予定者たる地位を維持することが合理性を欠くともいえないから,前記建設費負担金及び前記受益者負担金の各支出が違法であるとはいえない等として,前記各請求をいずれも棄却した事例
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