事件番号平成24(行コ)229
事件名法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審:東京地方裁判所平成21年(行ウ)第581号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成25年3月28日
事案の概要本件は,控訴人と租税特別措置法66条の4に規定する控訴人の国外関連者に該当するAとの間のエクアドル産バナナの輸入取引(本件国外関連取引)において,控訴人がAに支払った対価の額が同条にいう独立企業間価格を超えているとして,芝税務署長が平成11年12月期ないし平成13年12月期について,独立企業間価格と上記支払った対価の額との差額を控訴人からAに対する所得移転額であると認定し,平成11年12月期ないし平成16年12月期の法人税について,それぞれ更正処分を行うとともに,平成11年12月期,平成15年12月期及び平成16年12月期の過少申告加算税に係る各賦課決定処分(本件各賦課決定処分)をしたことに対し,控訴人が,上記各処分について,①寄与度利益分割法を用いて独立企業間価格を算定したこと,②寄与度利益分割法を用いるに当たり日本市場の特殊要因により生じた控訴人の営業損失を分割対象利益から控除しなかったこと,③控訴人とAが支出した販売費及び一般管理費(販管費)の額の割合により分割対象利益を分割したこと及び④理由付記に不備があることを理由にして,違法な行政処分であると主張し,上記各更正処分のうち確定申告に係る所得金額,納付すべき法人税額を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金額を下回る部分(本件各更正処分)の取消し並びに本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案である。
判示事項農作物の輸入及び卸売販売を目的とする株式会社が租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前)66条の4にいう国外関連者に該当する外国法人からエクアドル共和国産バナナを輸入した取引について,同条2項1号ニ,租税特別措置法施行令(平成13年政令第141号による改正前)39条の12第8項所定の寄与度利益分割法を用いて算定された独立企業間価格に基づいてされた法人税の更正処分の取消しを求める請求が,棄却された事例
裁判要旨農作物の輸入及び卸売販売を目的とする株式会社が租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前)66条の4にいう国外関連者に該当する外国法人からエクアドル共和国産バナナを輸入した取引について,同条2項1号ニ,租税特別措置法施行令(平成13年政令第141号による改正前)39条の12第8項所定の寄与度利益分割法を用いて算定された独立企業間価格に基づいてされた法人税の更正処分の取消しを求める請求につき,独立企業間価格を算定する方法について,エクアドル共和国産バナナは同国政府によって輸出業者による生産者からの買取価格及び輸出価格の下限が規制されており,この規制は「通常の利益率」に影響を及ぼすものであるから,同法66条の4第2項1号ロ所定の再販売価格基準法を適用するに当たり,当該規制の有無により通常の利益率に生じる差について調整する必要があるところ,その具体的な影響を数値化して特定することは不可能であって前記の差を調整することができないから,再販売価格基準法を用いることはできず,また, 同号イ所定の独立価格比準法及び同号ハ所定の原価基準法については,いずれも適切な比較対象取引が存在せず用いることができないから,これらの基本三法によらず寄与度利益分割法を用いたことは適法であるとした上で,寄与度利益分割法を用いて独立企業間価格を算定する場合の分割要因の選定に当たっては,国外関連取引の内容に応じて各当事者が果たす機能を分析し,その機能に差異があるときは,それぞれの機能が分割対象利益の発生に寄与する程度や性格等を考慮し,各当事者が分割対象利益の獲得に寄与した相対的な程度を推測するに足りる要因を選定すべきであるところ,販管費は,一般的に企業の営業利益の獲得に寄与する性質を有するものとして認められている費用であることに加え,前記国外関連取引に関し,前記株式会社及び前記外国法人が行った業務は,仕入販売業務及びこれを支える一般管理業務のみであり,両者がこれらの業務のために支出した費用は,販管費として計上され,その他に,両者が当該国外関連取引に関して何らかの業務を行い,そのために費用を支出したとは認められないことからすれば,両者が支出した販管費は両者が当該国外関連取引に係る営業利益の獲得に寄与した相対的な程度を推測するに足りる要因と認められるから,販管費を分割要因として寄与度利益分割法を用いて算定された独立企業間価格に基づいてされた前記処分に違法な点はないとして,前記請求を棄却した事例
事件番号平成24(行コ)229
事件名法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審:東京地方裁判所平成21年(行ウ)第581号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成25年3月28日
事案の概要
本件は,控訴人と租税特別措置法66条の4に規定する控訴人の国外関連者に該当するAとの間のエクアドル産バナナの輸入取引(本件国外関連取引)において,控訴人がAに支払った対価の額が同条にいう独立企業間価格を超えているとして,芝税務署長が平成11年12月期ないし平成13年12月期について,独立企業間価格と上記支払った対価の額との差額を控訴人からAに対する所得移転額であると認定し,平成11年12月期ないし平成16年12月期の法人税について,それぞれ更正処分を行うとともに,平成11年12月期,平成15年12月期及び平成16年12月期の過少申告加算税に係る各賦課決定処分(本件各賦課決定処分)をしたことに対し,控訴人が,上記各処分について,①寄与度利益分割法を用いて独立企業間価格を算定したこと,②寄与度利益分割法を用いるに当たり日本市場の特殊要因により生じた控訴人の営業損失を分割対象利益から控除しなかったこと,③控訴人とAが支出した販売費及び一般管理費(販管費)の額の割合により分割対象利益を分割したこと及び④理由付記に不備があることを理由にして,違法な行政処分であると主張し,上記各更正処分のうち確定申告に係る所得金額,納付すべき法人税額を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金額を下回る部分(本件各更正処分)の取消し並びに本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案である。
判示事項
農作物の輸入及び卸売販売を目的とする株式会社が租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前)66条の4にいう国外関連者に該当する外国法人からエクアドル共和国産バナナを輸入した取引について,同条2項1号ニ,租税特別措置法施行令(平成13年政令第141号による改正前)39条の12第8項所定の寄与度利益分割法を用いて算定された独立企業間価格に基づいてされた法人税の更正処分の取消しを求める請求が,棄却された事例
裁判要旨
農作物の輸入及び卸売販売を目的とする株式会社が租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前)66条の4にいう国外関連者に該当する外国法人からエクアドル共和国産バナナを輸入した取引について,同条2項1号ニ,租税特別措置法施行令(平成13年政令第141号による改正前)39条の12第8項所定の寄与度利益分割法を用いて算定された独立企業間価格に基づいてされた法人税の更正処分の取消しを求める請求につき,独立企業間価格を算定する方法について,エクアドル共和国産バナナは同国政府によって輸出業者による生産者からの買取価格及び輸出価格の下限が規制されており,この規制は「通常の利益率」に影響を及ぼすものであるから,同法66条の4第2項1号ロ所定の再販売価格基準法を適用するに当たり,当該規制の有無により通常の利益率に生じる差について調整する必要があるところ,その具体的な影響を数値化して特定することは不可能であって前記の差を調整することができないから,再販売価格基準法を用いることはできず,また, 同号イ所定の独立価格比準法及び同号ハ所定の原価基準法については,いずれも適切な比較対象取引が存在せず用いることができないから,これらの基本三法によらず寄与度利益分割法を用いたことは適法であるとした上で,寄与度利益分割法を用いて独立企業間価格を算定する場合の分割要因の選定に当たっては,国外関連取引の内容に応じて各当事者が果たす機能を分析し,その機能に差異があるときは,それぞれの機能が分割対象利益の発生に寄与する程度や性格等を考慮し,各当事者が分割対象利益の獲得に寄与した相対的な程度を推測するに足りる要因を選定すべきであるところ,販管費は,一般的に企業の営業利益の獲得に寄与する性質を有するものとして認められている費用であることに加え,前記国外関連取引に関し,前記株式会社及び前記外国法人が行った業務は,仕入販売業務及びこれを支える一般管理業務のみであり,両者がこれらの業務のために支出した費用は,販管費として計上され,その他に,両者が当該国外関連取引に関して何らかの業務を行い,そのために費用を支出したとは認められないことからすれば,両者が支出した販管費は両者が当該国外関連取引に係る営業利益の獲得に寄与した相対的な程度を推測するに足りる要因と認められるから,販管費を分割要因として寄与度利益分割法を用いて算定された独立企業間価格に基づいてされた前記処分に違法な点はないとして,前記請求を棄却した事例
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