事件番号平成24(行コ)345
事件名納付義務不存在確認等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第123号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年2月5日
事案の概要本件は,英国領バミューダ諸島(以下「バミューダ」という。)の法律に基づいて組成されたリミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」という。)であり,かつ特例パートナーシップ(以下「EPS」という。)である被控訴人が,処分行政庁から,被控訴人の平成13年4月16日から同年12月31日までの事業年度に関し,国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金(課税所得額26億7675万9136円に対する納付すべき法人税額8億0254万7700円)について法人税申告書の提出がなかったとして,法人税についての決定処分及び無申告加算税1億2038万1000円の賦課決定処分を受けた(以下,前者を「本件決定」,後者を「本件賦課決定」といい,併せて,「本件各決定」という。)ことに対し,被控訴人は,我が国の法人税法上の納税義務者に該当せず,国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金を受領した事実はないと主張して,控訴人に対し,①主位的請求として,本件各決定に係る納税義務が存在しないことの確認を求め,②予備的請求として,本件各決定の取消しを求めた事案である。
判示事項英国領バミューダ諸島の法律に基づき,無限責任を負うジェネラル・パートナー及び出資金を限度とする有限責任を負うリミテッド・パートナーから組成された事業形態であるリミテッド・パートナーシップ(LPS)が,我が国の租税法上の法人に該当しないとされた事例
裁判要旨英国領バミューダ諸島の法律(バミューダ法)に基づき,無限責任を負うジェネラル・パートナー及び出資金を限度とする有限責任を負うリミテッド・パートナーから組成された事業形態であるリミテッド・パートナーシップ(LPS)につき,外国の法令に準拠して組成された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かについては,諸外国の法制,法体系の多様性(特にいわゆる大陸法系と英米法系との法制,法体系の本質的な相違),我が国の「法人」概念に相当する概念が諸外国において形成されるに至った沿革,歴史的経緯,背景事情等の多様性に鑑みると,①当該外国の法令の規定内容をその文言に従って形式的に見た場合に,当該外国の法令において当該事業体を法人とする(当該事業体に法人格を付与する)旨を規定されているかどうかという点に加えて,②当該事業体を当該外国法の法令が規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見れば,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものといえるかどうかを検討すべきであり,前記②が肯定される場合に限り,我が国の租税法上の法人に該当すると解すべきであるとした上,バミューダ法には前記LPSに法人格を付与する旨の規定はなく,また,バミューダ法の規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見ても,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)としてLPSの設立が認められたものということはできないから,前記LPSは,我が国の租税法上の法人に該当しないとした事例
事件番号平成24(行コ)345
事件名納付義務不存在確認等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第123号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年2月5日
事案の概要
本件は,英国領バミューダ諸島(以下「バミューダ」という。)の法律に基づいて組成されたリミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」という。)であり,かつ特例パートナーシップ(以下「EPS」という。)である被控訴人が,処分行政庁から,被控訴人の平成13年4月16日から同年12月31日までの事業年度に関し,国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金(課税所得額26億7675万9136円に対する納付すべき法人税額8億0254万7700円)について法人税申告書の提出がなかったとして,法人税についての決定処分及び無申告加算税1億2038万1000円の賦課決定処分を受けた(以下,前者を「本件決定」,後者を「本件賦課決定」といい,併せて,「本件各決定」という。)ことに対し,被控訴人は,我が国の法人税法上の納税義務者に該当せず,国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金を受領した事実はないと主張して,控訴人に対し,①主位的請求として,本件各決定に係る納税義務が存在しないことの確認を求め,②予備的請求として,本件各決定の取消しを求めた事案である。
判示事項
英国領バミューダ諸島の法律に基づき,無限責任を負うジェネラル・パートナー及び出資金を限度とする有限責任を負うリミテッド・パートナーから組成された事業形態であるリミテッド・パートナーシップ(LPS)が,我が国の租税法上の法人に該当しないとされた事例
裁判要旨
英国領バミューダ諸島の法律(バミューダ法)に基づき,無限責任を負うジェネラル・パートナー及び出資金を限度とする有限責任を負うリミテッド・パートナーから組成された事業形態であるリミテッド・パートナーシップ(LPS)につき,外国の法令に準拠して組成された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かについては,諸外国の法制,法体系の多様性(特にいわゆる大陸法系と英米法系との法制,法体系の本質的な相違),我が国の「法人」概念に相当する概念が諸外国において形成されるに至った沿革,歴史的経緯,背景事情等の多様性に鑑みると,①当該外国の法令の規定内容をその文言に従って形式的に見た場合に,当該外国の法令において当該事業体を法人とする(当該事業体に法人格を付与する)旨を規定されているかどうかという点に加えて,②当該事業体を当該外国法の法令が規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見れば,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものといえるかどうかを検討すべきであり,前記②が肯定される場合に限り,我が国の租税法上の法人に該当すると解すべきであるとした上,バミューダ法には前記LPSに法人格を付与する旨の規定はなく,また,バミューダ法の規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見ても,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)としてLPSの設立が認められたものということはできないから,前記LPSは,我が国の租税法上の法人に該当しないとした事例
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