事件番号平成25(行コ)391
事件名所得税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第229号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年5月19日
事案の概要本件は,控訴人が,株式市場(A市場)に上場されている,自己の保有するB株式会社の株式(以下,同社を「B社」,その株式を「本件株式」又は「B社株式」という。)を,株式会社C(以下「C社」という。)に対し,①平成21年3月2日,112万株,②同年11月24日,31万7550株,いずれも1株当たり550円(以下「本件取引単価」という。)で,市場外における相対取引により売却し(以下,①,②を併せて「本件譲渡」という。),各譲渡価額全額を譲渡所得として平成21年分の所得税確定申告(甲1,2)をしたところ,処分行政庁である四日市税務署長において,本件譲渡に係る収入金額と,本件譲渡がされた日のA市場における本件株式の終値(以下「本件市場単価」という。①は290円,②は426円)を基に算出した評価額との差額合計3億5057万6200円(以下「本件差額」という。)は控訴人がC社から贈与を受けたものであり,譲渡所得ではなく一時所得に該当するとして,平成23年7月5日付けで更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をし(甲3),さらに,平成25年3月15日付けで再更正処分(以下「本件再更正処分」という。)をしたが(乙37),本件差額部分を控訴人の一時所得として課税したことは,所得税法の解釈適用を誤った違法な処分であると主張して,国である被控訴人に対し,本件再更正処分のうち課税総所得金額2361万7000円,還付金の額に相当する税額182万8105円を超える部分及び本件賦課決定処分の各取消しを求めた事案である。
判示事項個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,当該資産の譲渡の「対価」たる性質を有しない部分の金額が所得税法34条1項の一時所得に該当するとされた事例
裁判要旨個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,所得税法33条1項の譲渡所得として課税される対象は,当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有する金額であると解するのが相当であり,当該譲渡価額中に当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有しておらず,法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)としての性格を有する部分があると認められるときは,当該部分の金額は,同法34条1項の一時所得に係る収入金額として課税されるべきであり,当該資産が上場株式であるときは,当該株式の市場価格,当該取引の動機ないし目的,当該取引における価格の決定の経緯,当該価格の合理性などの諸点に照らして判断すべきであるとした上で,前記個人は自己の借入金の返済及び相続税の納付のために必要な一定規模の資金を調達する目的を達成するための手段として,上場株式の市場価格の水準をあえて無視して,その市場単価に一定の金額を上乗せして譲渡をしたと認めて,当該市場単価を超える部分の金額につき,一時所得に該当するとした事例
事件番号平成25(行コ)391
事件名所得税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第229号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年5月19日
事案の概要
本件は,控訴人が,株式市場(A市場)に上場されている,自己の保有するB株式会社の株式(以下,同社を「B社」,その株式を「本件株式」又は「B社株式」という。)を,株式会社C(以下「C社」という。)に対し,①平成21年3月2日,112万株,②同年11月24日,31万7550株,いずれも1株当たり550円(以下「本件取引単価」という。)で,市場外における相対取引により売却し(以下,①,②を併せて「本件譲渡」という。),各譲渡価額全額を譲渡所得として平成21年分の所得税確定申告(甲1,2)をしたところ,処分行政庁である四日市税務署長において,本件譲渡に係る収入金額と,本件譲渡がされた日のA市場における本件株式の終値(以下「本件市場単価」という。①は290円,②は426円)を基に算出した評価額との差額合計3億5057万6200円(以下「本件差額」という。)は控訴人がC社から贈与を受けたものであり,譲渡所得ではなく一時所得に該当するとして,平成23年7月5日付けで更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をし(甲3),さらに,平成25年3月15日付けで再更正処分(以下「本件再更正処分」という。)をしたが(乙37),本件差額部分を控訴人の一時所得として課税したことは,所得税法の解釈適用を誤った違法な処分であると主張して,国である被控訴人に対し,本件再更正処分のうち課税総所得金額2361万7000円,還付金の額に相当する税額182万8105円を超える部分及び本件賦課決定処分の各取消しを求めた事案である。
判示事項
個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,当該資産の譲渡の「対価」たる性質を有しない部分の金額が所得税法34条1項の一時所得に該当するとされた事例
裁判要旨
個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,所得税法33条1項の譲渡所得として課税される対象は,当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有する金額であると解するのが相当であり,当該譲渡価額中に当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有しておらず,法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)としての性格を有する部分があると認められるときは,当該部分の金額は,同法34条1項の一時所得に係る収入金額として課税されるべきであり,当該資産が上場株式であるときは,当該株式の市場価格,当該取引の動機ないし目的,当該取引における価格の決定の経緯,当該価格の合理性などの諸点に照らして判断すべきであるとした上で,前記個人は自己の借入金の返済及び相続税の納付のために必要な一定規模の資金を調達する目的を達成するための手段として,上場株式の市場価格の水準をあえて無視して,その市場単価に一定の金額を上乗せして譲渡をしたと認めて,当該市場単価を超える部分の金額につき,一時所得に該当するとした事例
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