事件番号 | 平成26(受)1310 |
---|---|
事件名 | 懲戒処分無効確認等請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判年月日 | 平成27年2月26日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄自判 |
原審裁判所 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成25(ネ)2860 |
原審裁判年月日 | 平成26年3月28日 |
事案の概要 | 本件は,上告人の男性従業員である被上告人らが,それぞれ複数の女性従業員に対して性的な発言等のセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)等をしたことを懲戒事由として上告人から出勤停止の懲戒処分(以下「出勤停止処分」という。)を受けるとともに,これらを受けたことを理由に下位の等級に降格されたことから,上告人に対し,上記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効であり,上記各降格もまた無効であるなどと主張して,上記各出勤停止処分の無効確認や上記各降格前の等級を有する地位にあることの確認等を求めている事案である。 |
判示事項 | 職場における性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた懲戒処分が懲戒権を濫用したものとはいえず有効であるとされた事例 |
裁判要旨 | 会社の管理職である男性従業員2名が同一部署内で勤務していた女性従業員らに対してそれぞれ職場において行った性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた出勤停止の各懲戒処分は,次の(1)~(4)など判示の事情の下では,懲戒権を濫用したものとはいえず,有効である。 (1) 上記男性従業員らは,①うち1名が,女性従業員Aが執務室において1人で勤務している際,同人に対し,自らの不貞相手に関する性的な事柄や自らの性器,性欲等についての極めて露骨で卑わいな内容の発言を繰り返すなどし,②他の1名が,当該部署に異動した当初に上司から女性従業員に対する言動に気を付けるよう注意されていながら,女性従業員Aの年齢や女性従業員A及びBが未婚であることなどを殊更に取り上げて著しく侮蔑的ないし下品な言辞で同人らを侮辱し又は困惑させる発言を繰り返し,女性従業員Aの給与が少なく夜間の副業が必要であるなどとやゆする発言をするなど,同一部署内で勤務していた派遣労働者等の立場にある女性従業員Aらに対し職場において1年余にわたり多数回のセクシュアル・ハラスメント等を繰り返した。 (2) 上記会社は,職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止を重要課題と位置付け,その防止のため,従業員らに対し,禁止文書を周知させ,研修への毎年の参加を義務付けるなど種々の取組を行っており,上記男性従業員らは,上記の研修を受けていただけでなく,管理職として上記会社の方針や取組を十分に理解して部下職員を指導すべき立場にあった。 (3) 上記(1)①及び②の各行為によるセクシュアル・ハラスメント等を受けた女性従業員Aは,上記各行為が一因となって,上記会社での勤務を辞めることを余儀なくされた。 (4) 上記出勤停止の期間は,上記(1)①の1名につき30日,同②の1名につき10日であった。 |
事件番号 | 平成26(受)1310 |
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事件名 | 懲戒処分無効確認等請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判年月日 | 平成27年2月26日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄自判 |
原審裁判所 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成25(ネ)2860 |
原審裁判年月日 | 平成26年3月28日 |
事案の概要 |
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本件は,上告人の男性従業員である被上告人らが,それぞれ複数の女性従業員に対して性的な発言等のセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)等をしたことを懲戒事由として上告人から出勤停止の懲戒処分(以下「出勤停止処分」という。)を受けるとともに,これらを受けたことを理由に下位の等級に降格されたことから,上告人に対し,上記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効であり,上記各降格もまた無効であるなどと主張して,上記各出勤停止処分の無効確認や上記各降格前の等級を有する地位にあることの確認等を求めている事案である。 |
判示事項 |
職場における性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた懲戒処分が懲戒権を濫用したものとはいえず有効であるとされた事例 |
裁判要旨 |
会社の管理職である男性従業員2名が同一部署内で勤務していた女性従業員らに対してそれぞれ職場において行った性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた出勤停止の各懲戒処分は,次の(1)~(4)など判示の事情の下では,懲戒権を濫用したものとはいえず,有効である。 (1) 上記男性従業員らは,①うち1名が,女性従業員Aが執務室において1人で勤務している際,同人に対し,自らの不貞相手に関する性的な事柄や自らの性器,性欲等についての極めて露骨で卑わいな内容の発言を繰り返すなどし,②他の1名が,当該部署に異動した当初に上司から女性従業員に対する言動に気を付けるよう注意されていながら,女性従業員Aの年齢や女性従業員A及びBが未婚であることなどを殊更に取り上げて著しく侮蔑的ないし下品な言辞で同人らを侮辱し又は困惑させる発言を繰り返し,女性従業員Aの給与が少なく夜間の副業が必要であるなどとやゆする発言をするなど,同一部署内で勤務していた派遣労働者等の立場にある女性従業員Aらに対し職場において1年余にわたり多数回のセクシュアル・ハラスメント等を繰り返した。 (2) 上記会社は,職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止を重要課題と位置付け,その防止のため,従業員らに対し,禁止文書を周知させ,研修への毎年の参加を義務付けるなど種々の取組を行っており,上記男性従業員らは,上記の研修を受けていただけでなく,管理職として上記会社の方針や取組を十分に理解して部下職員を指導すべき立場にあった。 (3) 上記(1)①及び②の各行為によるセクシュアル・ハラスメント等を受けた女性従業員Aは,上記各行為が一因となって,上記会社での勤務を辞めることを余儀なくされた。 (4) 上記出勤停止の期間は,上記(1)①の1名につき30日,同②の1名につき10日であった。 |