事件番号平成26(行ウ)105
事件名輸送施設使用停止命令及び運賃の変更命令差止請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成27年12月16日
事案の概要本件は,特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平成25年法律第83号による改正後の平成21年法律第64号。以下「特措法」という。)の準特定地域に指定された大阪市域交通圏において一般乗用旅客自動車運送事業(以下,特に必要がある場合を除いて「タクシー事業」といい,タクシー事業を営む者を「タクシー事業者」という。)を営む原告が,近畿運輸局長から,原告の届け出た運賃が特措法16条1項の規定により指定された運賃(以下「公定幅運賃」という。)の範囲内にないことを理由として,同法17条の3第1項に基づく輸送施設使用停止処分(以下「使用停止処分」という。)及び同法16条の4第3項に基づく運賃の変更命令(以下「運賃変更命令」という。)を受けるおそれがあり,さらに,運賃変更命令に違反したことを理由として,同法17条の3第1項に基づく使用停止処分及び一般乗用旅客自動車運送事業許可取消処分(以下「事業許可取消処分」といい,使用停止処分及び運賃変更命令と併せて「本件各処分」という。)を受けるおそれがあるなどと主張して,被告に対し,本件各処分の差止めを求める事案である。
判示事項1 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(以下「特措法」という。)16条1項に基づいて指定された運賃(以下「公定幅運賃」という。)の範囲を下回る運賃の届出をした一般乗用旅客自動車運送事業者が上記届出をしたことを理由とする同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令並びに同命令に違反したことを理由とする同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止処分及び事業許可取消処分について提起した差止めの訴えが適法であるとされた事例

2 近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとされた事例
判示事項の要旨1 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づいて指定された運賃(以下「公定幅運賃」という。)の範囲を下回る運賃の届出をした一般乗用旅客自動車運送事業者が上記届出をしたことを理由とする同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令並びに同命令に違反したことを理由とする同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止処分及び事業許可取消処分について提起した差止めの訴えが適法であるとされた事例
2 近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとされた事例
裁判要旨1 近畿運輸局長により指定された公定幅運賃の範囲を下回る運賃の届出をした一般乗用旅客自動車運送事業者が上記届出をしたことを理由とする特措法16条の4第3項に基づく運賃変更命令並びに同命令に違反したことを理由とする同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止処分及び事業許可取消処分について提起した差止めの訴えは,以下の(1)及び(2)などの事情の下においては,上記各処分がされる蓋然性があり,それらの処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれがある」と認められる適法な訴えである。
  (1) 上記の一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長からの勧告に従わず,運賃変更命令に係る弁明の機会において近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定が違法であるなどと主張し,本件訴訟において運賃変更命令がされてもこれに従わない意思であることを明らかにしていた。
  (2) 近畿運輸局長の定めた特措法に基づく処分に関する基準では,上記各処分が一連の処分として位置付けられ,原則として上記各処分が相次いでされることが予定されており,運賃変更命令がされた後,早ければ2か月程度で事業許可取消処分の手続が開始され,それから間もなく事業許可取消処分がされることとなっていた。

2 一般乗用旅客自動車運送事業者の旅客の運賃については,従前は,一定の範囲内の運賃(以下「自動認可運賃」という。)であれば個別の審査を経ずに道路運送法9条の3第2項の基準を満たすものとして国土交通大臣の認可が行われ,これを下回る運賃(以下「下限割れ運賃」という。)は個別の審査により上記の認可が行われていたが,特措法施行後,近畿運輸局長は,公定幅運賃が,自動認可運賃と異なり,その範囲を下回る運賃での営業を許さないものであるにもかかわらず,準特定地域に指定された交通圏における一般乗用旅客自動車運送事業者の旅客の運賃につき,同交通圏において下限割れ運賃で適法に営業していた一般乗用旅客自動車運送事業者の経営実態等を考慮することなく,自動認可運賃と同一範囲で公定幅運賃の範囲を指定し,その結果,上記の一般乗用旅客自動車運送事業者が下限割れ運賃で営業することができなくなったなどの事情の下においては,上記の近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定は,裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となる。
事件番号平成26(行ウ)105
事件名輸送施設使用停止命令及び運賃の変更命令差止請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成27年12月16日
事案の概要
本件は,特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平成25年法律第83号による改正後の平成21年法律第64号。以下「特措法」という。)の準特定地域に指定された大阪市域交通圏において一般乗用旅客自動車運送事業(以下,特に必要がある場合を除いて「タクシー事業」といい,タクシー事業を営む者を「タクシー事業者」という。)を営む原告が,近畿運輸局長から,原告の届け出た運賃が特措法16条1項の規定により指定された運賃(以下「公定幅運賃」という。)の範囲内にないことを理由として,同法17条の3第1項に基づく輸送施設使用停止処分(以下「使用停止処分」という。)及び同法16条の4第3項に基づく運賃の変更命令(以下「運賃変更命令」という。)を受けるおそれがあり,さらに,運賃変更命令に違反したことを理由として,同法17条の3第1項に基づく使用停止処分及び一般乗用旅客自動車運送事業許可取消処分(以下「事業許可取消処分」といい,使用停止処分及び運賃変更命令と併せて「本件各処分」という。)を受けるおそれがあるなどと主張して,被告に対し,本件各処分の差止めを求める事案である。
判示事項
1 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(以下「特措法」という。)16条1項に基づいて指定された運賃(以下「公定幅運賃」という。)の範囲を下回る運賃の届出をした一般乗用旅客自動車運送事業者が上記届出をしたことを理由とする同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令並びに同命令に違反したことを理由とする同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止処分及び事業許可取消処分について提起した差止めの訴えが適法であるとされた事例

2 近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとされた事例
判示事項の要旨
1 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づいて指定された運賃(以下「公定幅運賃」という。)の範囲を下回る運賃の届出をした一般乗用旅客自動車運送事業者が上記届出をしたことを理由とする同法16条の4第3項に基づく運賃変更命令並びに同命令に違反したことを理由とする同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止処分及び事業許可取消処分について提起した差止めの訴えが適法であるとされた事例
2 近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとされた事例
裁判要旨
1 近畿運輸局長により指定された公定幅運賃の範囲を下回る運賃の届出をした一般乗用旅客自動車運送事業者が上記届出をしたことを理由とする特措法16条の4第3項に基づく運賃変更命令並びに同命令に違反したことを理由とする同法17条の3第1項に基づく輸送施設の使用停止処分及び事業許可取消処分について提起した差止めの訴えは,以下の(1)及び(2)などの事情の下においては,上記各処分がされる蓋然性があり,それらの処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれがある」と認められる適法な訴えである。
  (1) 上記の一般乗用旅客自動車運送事業者が,近畿運輸局長からの勧告に従わず,運賃変更命令に係る弁明の機会において近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定が違法であるなどと主張し,本件訴訟において運賃変更命令がされてもこれに従わない意思であることを明らかにしていた。
  (2) 近畿運輸局長の定めた特措法に基づく処分に関する基準では,上記各処分が一連の処分として位置付けられ,原則として上記各処分が相次いでされることが予定されており,運賃変更命令がされた後,早ければ2か月程度で事業許可取消処分の手続が開始され,それから間もなく事業許可取消処分がされることとなっていた。

2 一般乗用旅客自動車運送事業者の旅客の運賃については,従前は,一定の範囲内の運賃(以下「自動認可運賃」という。)であれば個別の審査を経ずに道路運送法9条の3第2項の基準を満たすものとして国土交通大臣の認可が行われ,これを下回る運賃(以下「下限割れ運賃」という。)は個別の審査により上記の認可が行われていたが,特措法施行後,近畿運輸局長は,公定幅運賃が,自動認可運賃と異なり,その範囲を下回る運賃での営業を許さないものであるにもかかわらず,準特定地域に指定された交通圏における一般乗用旅客自動車運送事業者の旅客の運賃につき,同交通圏において下限割れ運賃で適法に営業していた一般乗用旅客自動車運送事業者の経営実態等を考慮することなく,自動認可運賃と同一範囲で公定幅運賃の範囲を指定し,その結果,上記の一般乗用旅客自動車運送事業者が下限割れ運賃で営業することができなくなったなどの事情の下においては,上記の近畿運輸局長による公定幅運賃の範囲の指定は,裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となる。
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