事件番号 | 平成25(受)2595 |
---|---|
事件名 | 退職金請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第二小法廷 |
裁判年月日 | 平成28年2月19日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄差戻 |
原審裁判所 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成24(ネ)6685 |
原審裁判年月日 | 平成25年8月29日 |
事案の概要 | 本件は,A信用組合の職員であった上告人らが,同組合と被上告人(平成16年2月16日に変更される前の名称は,B信用組合)との平成15年1月14日の合併(以下「本件合併」という。)により上告人らに係る労働契約上の地位を承継した被上告人に対し,退職金の支払を求める事案である。 |
判示事項 | 1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無についての判断の方法 2 合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断に違法があるとされた事例 |
裁判要旨 | 1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきである。 2 合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,その変更は上記組合の経営破綻を回避するための上記合併に際して行われたものであったが,上記変更後の支給基準の内容は,退職金総額を従前の2分の1以下とした上で厚生年金制度に基づく加算年金の現価相当額等を控除するというものであって,自己都合退職の場合には支給される退職金額が0円となる可能性が高かったことなど判示の事情の下で,当該職員に対する情報提供や説明の内容等についての十分な認定,考慮をしていないなど,上記署名押印が当該職員の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく,上記署名押印をもって上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断には,違法がある。 |
事件番号 | 平成25(受)2595 |
---|---|
事件名 | 退職金請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第二小法廷 |
裁判年月日 | 平成28年2月19日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄差戻 |
原審裁判所 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成24(ネ)6685 |
原審裁判年月日 | 平成25年8月29日 |
事案の概要 |
---|
本件は,A信用組合の職員であった上告人らが,同組合と被上告人(平成16年2月16日に変更される前の名称は,B信用組合)との平成15年1月14日の合併(以下「本件合併」という。)により上告人らに係る労働契約上の地位を承継した被上告人に対し,退職金の支払を求める事案である。 |
判示事項 |
1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無についての判断の方法 2 合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断に違法があるとされた事例 |
裁判要旨 |
1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきである。 2 合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,その変更は上記組合の経営破綻を回避するための上記合併に際して行われたものであったが,上記変更後の支給基準の内容は,退職金総額を従前の2分の1以下とした上で厚生年金制度に基づく加算年金の現価相当額等を控除するというものであって,自己都合退職の場合には支給される退職金額が0円となる可能性が高かったことなど判示の事情の下で,当該職員に対する情報提供や説明の内容等についての十分な認定,考慮をしていないなど,上記署名押印が当該職員の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく,上記署名押印をもって上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断には,違法がある。 |