事件番号平成27(行ウ)32
事件名標準報酬改定請求却下処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年5月17日
事案の概要本件は,原告が,厚生年金保険法の定めるいわゆる離婚時の年金分割制度に則り,家庭裁判所の審判を受けた上,年金事務所において標準報酬改定請求をしたところ,最初の請求については申請書の返還を受け,2回目の請求については請求期限(請求すべき按分割合を定めた審判が確定したときの翌日から起算して1か月)を経過したことを理由として当該請求を却下する処分を受けたことに関し,被告に対し,① 最初の請求について,上記審判の定める按分割合による標準報酬改定をすべき旨の義務付けを求め(以下「本件義務付けの訴え」という。),② 予備的に,上記却下処分の取消しを求める(以下「本件取消しの訴え」という)とともに,③ 国家賠償法1条1項に基づき,原告が上記請求に係る標準報酬改定を受けられなかったことにより得られなくなった1 年金受給額相当額の損害賠償請求をした事案である。
判示事項1 請求すべき按分割合を定めた審判の確定前に厚生年金保険法78条の2第1項(いわゆる離婚時年金分割)の規定に基づく標準報酬の改定の請求をした者が申請書類全部の返還を受けたことが,請求の取下げに当たるとされた事例
2 請求すべき按分割合を定めた審判が確定した日の翌日から起算して1月(厚生年金保険法施行規則78条の3第2項)を経過した場合にした厚生年金保険法78条の2第1項の規定に基づく標準報酬の改定の請求が,不適法とされた事例
裁判要旨1 厚生年金保険法78条の2第1項の規定に基づく標準報酬の改定の請求をした者が,申請書類全部の返還を受けたことは,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,上記請求の取下げを求める行政指導に従って,同請求を取り下げたものと認められる。
 (1) 上記請求は,請求すべき按分割合を定めた審判が未確定の段階でされた。
 (2) 上記請求を受けて,年金事務所の職員は,上記請求をした者に対し,上記審判は確定していないので上記請求を受け付けることができないこと,同審判の相手方が納得しない場合などには確定証明書がすぐに出ないケースもあること,もう一度申請する際には戸籍謄本や住民票を取り直すほうがよいことなどを説明した上で,同請求に係る申請書類の全部を返還した。
 (3) 上記請求をした者は,返還された上記申請書類を持ち帰り,上記審判手続を委任した代理人弁護士に対し,審判の確定証明書の交付を依頼するとともに,その受領後に社会保険事務所への手続を行いたい旨記載した手紙を送付した。
2 厚生年金保険法78条の2第1項の規定に基づく標準報酬の改定の請求は,同請求に先立つ請求が年金事務所の職員による行政指導に従って取り下げられた等の判示の事情があっても,厚生年金保険法施行規則78条の3第2項に規定する期間(請求すべき按分割合を定めた審判が確定した日の翌日から起算して1月)を経過した後にされたものとして,不適法というべきである。
事件番号平成27(行ウ)32
事件名標準報酬改定請求却下処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年5月17日
事案の概要
本件は,原告が,厚生年金保険法の定めるいわゆる離婚時の年金分割制度に則り,家庭裁判所の審判を受けた上,年金事務所において標準報酬改定請求をしたところ,最初の請求については申請書の返還を受け,2回目の請求については請求期限(請求すべき按分割合を定めた審判が確定したときの翌日から起算して1か月)を経過したことを理由として当該請求を却下する処分を受けたことに関し,被告に対し,① 最初の請求について,上記審判の定める按分割合による標準報酬改定をすべき旨の義務付けを求め(以下「本件義務付けの訴え」という。),② 予備的に,上記却下処分の取消しを求める(以下「本件取消しの訴え」という)とともに,③ 国家賠償法1条1項に基づき,原告が上記請求に係る標準報酬改定を受けられなかったことにより得られなくなった1 年金受給額相当額の損害賠償請求をした事案である。
判示事項
1 請求すべき按分割合を定めた審判の確定前に厚生年金保険法78条の2第1項(いわゆる離婚時年金分割)の規定に基づく標準報酬の改定の請求をした者が申請書類全部の返還を受けたことが,請求の取下げに当たるとされた事例
2 請求すべき按分割合を定めた審判が確定した日の翌日から起算して1月(厚生年金保険法施行規則78条の3第2項)を経過した場合にした厚生年金保険法78条の2第1項の規定に基づく標準報酬の改定の請求が,不適法とされた事例
裁判要旨
1 厚生年金保険法78条の2第1項の規定に基づく標準報酬の改定の請求をした者が,申請書類全部の返還を受けたことは,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,上記請求の取下げを求める行政指導に従って,同請求を取り下げたものと認められる。
 (1) 上記請求は,請求すべき按分割合を定めた審判が未確定の段階でされた。
 (2) 上記請求を受けて,年金事務所の職員は,上記請求をした者に対し,上記審判は確定していないので上記請求を受け付けることができないこと,同審判の相手方が納得しない場合などには確定証明書がすぐに出ないケースもあること,もう一度申請する際には戸籍謄本や住民票を取り直すほうがよいことなどを説明した上で,同請求に係る申請書類の全部を返還した。
 (3) 上記請求をした者は,返還された上記申請書類を持ち帰り,上記審判手続を委任した代理人弁護士に対し,審判の確定証明書の交付を依頼するとともに,その受領後に社会保険事務所への手続を行いたい旨記載した手紙を送付した。
2 厚生年金保険法78条の2第1項の規定に基づく標準報酬の改定の請求は,同請求に先立つ請求が年金事務所の職員による行政指導に従って取り下げられた等の判示の事情があっても,厚生年金保険法施行規則78条の3第2項に規定する期間(請求すべき按分割合を定めた審判が確定した日の翌日から起算して1月)を経過した後にされたものとして,不適法というべきである。
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