事件番号平成26(行ウ)498
事件名納税告知取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年7月19日
事案の概要本件は,破産者合同会社UNIKE(以下「破産会社」という。)が,同社を営業者として匿名組合員との間で締結した匿名組合契約において,匿名組合員に対して利益の分配として支払った金員につき,所轄税務署長から源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」という。)の納税の告知及び不納付加算税の賦課決定を受けたことに関し,破産会社の破産管財人である原告が,被告に対し,上記各支払は出資の払戻しであって「匿名組合契約に基づく利益の分配」に該当せず,源泉所得税の納付義務を負わないと主張して,上記告知処分等(①平成26年10月1日付け納税の告知(渋源特第○号),②同日付け納税の告知及び不納付加算税の賦課決定(渋源特第○号)のうち匿名組合契約の利益の分配金に対する部分)の各取消しを求める(①につき請求1(1),②につき請求2(1))とともに,納付済みである上記①の源泉所得税1億1241万円につき,国税通則法56条1項に基づく還付及びこれに対する同法58条に基づく還付加算金の支払(請求1(2))を求め,上記②の源泉所得税2327万円及び不納付加算税232万7000円につき,その納税義務が存在しないことの確認(請求2(2))を求める事案である。
判示事項破産するに至った営業者が匿名組合契約を締結した匿名組合員に対して利益の分配として支払をしていた金銭につき,当該支払が「匿名組合契約に基づく利益の分配」(所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)210条,161条12号,174条9号)に該当し,営業者には,同法210条,212条1項,3項の規定に基づき,源泉徴収義務があるとされた事例
裁判要旨破産するに至った営業者が匿名組合契約を締結した匿名組合員に対して利益の分配として支払をしていた金銭につき,仮に,その支払の全てが営業者により粉飾された損益計算に基づくものであり,客観的評価においては,匿名組合契約上,匿名組合員に対して利益の分配として行うことができない支払であったとしても,営業者が匿名組合員に対して出資の払戻しではなく利益の分配として金銭を交付し,匿名組合員においても利益の分配として当該金銭を受領したものと取り扱われていたことが明らかであり,また,現時点に至るまで,匿名組合契約の当事者間において,当該支払行為は利益の分配ではなく出資の払戻しとして取り扱うべきである旨の性質決定が改めて行われ,それに沿った清算処理等が行われたとの事情はうかがわれないことからすると,当該支払は「匿名組合契約に基づく利益の分配」(所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)210条,161条12号,174条9号)に該当し,営業者には,同法210条,212条1項,3項の規定に基づき,源泉徴収義務があるとされた事例
事件番号平成26(行ウ)498
事件名納税告知取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年7月19日
事案の概要
本件は,破産者合同会社UNIKE(以下「破産会社」という。)が,同社を営業者として匿名組合員との間で締結した匿名組合契約において,匿名組合員に対して利益の分配として支払った金員につき,所轄税務署長から源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」という。)の納税の告知及び不納付加算税の賦課決定を受けたことに関し,破産会社の破産管財人である原告が,被告に対し,上記各支払は出資の払戻しであって「匿名組合契約に基づく利益の分配」に該当せず,源泉所得税の納付義務を負わないと主張して,上記告知処分等(①平成26年10月1日付け納税の告知(渋源特第○号),②同日付け納税の告知及び不納付加算税の賦課決定(渋源特第○号)のうち匿名組合契約の利益の分配金に対する部分)の各取消しを求める(①につき請求1(1),②につき請求2(1))とともに,納付済みである上記①の源泉所得税1億1241万円につき,国税通則法56条1項に基づく還付及びこれに対する同法58条に基づく還付加算金の支払(請求1(2))を求め,上記②の源泉所得税2327万円及び不納付加算税232万7000円につき,その納税義務が存在しないことの確認(請求2(2))を求める事案である。
判示事項
破産するに至った営業者が匿名組合契約を締結した匿名組合員に対して利益の分配として支払をしていた金銭につき,当該支払が「匿名組合契約に基づく利益の分配」(所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)210条,161条12号,174条9号)に該当し,営業者には,同法210条,212条1項,3項の規定に基づき,源泉徴収義務があるとされた事例
裁判要旨
破産するに至った営業者が匿名組合契約を締結した匿名組合員に対して利益の分配として支払をしていた金銭につき,仮に,その支払の全てが営業者により粉飾された損益計算に基づくものであり,客観的評価においては,匿名組合契約上,匿名組合員に対して利益の分配として行うことができない支払であったとしても,営業者が匿名組合員に対して出資の払戻しではなく利益の分配として金銭を交付し,匿名組合員においても利益の分配として当該金銭を受領したものと取り扱われていたことが明らかであり,また,現時点に至るまで,匿名組合契約の当事者間において,当該支払行為は利益の分配ではなく出資の払戻しとして取り扱うべきである旨の性質決定が改めて行われ,それに沿った清算処理等が行われたとの事情はうかがわれないことからすると,当該支払は「匿名組合契約に基づく利益の分配」(所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)210条,161条12号,174条9号)に該当し,営業者には,同法210条,212条1項,3項の規定に基づき,源泉徴収義務があるとされた事例
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