事件番号 | 平成28(行コ)24 |
---|---|
事件名 | 選挙権確認等請求控訴事件 |
裁判所 | 広島高等裁判所 第3部 |
裁判年月日 | 平成29年12月20日 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 広島地方裁判所 |
原審事件番号 | 平成27(行ウ)25 |
原審結果 | 棄却 |
事案の概要 | 本件は,刑務所に収容されて,平成26年当時,懲役刑の執行を受けていた控訴人が,被控訴人に対し,公職選挙法11条1項2号(以下「本件欠格条項」ということがある。)は憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反し無効である旨主張して,次回の衆議院議員及び参議院議員の各選挙において投票することができる地位にあることの確認を求めるとともに,国会議員が本件欠格条項を制定した違法行為及び廃止しなかった違法行為により,同年12月14日に実施された衆議院議員総選挙において選挙権を行使できず,精神的苦痛を受けたとして,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償(慰謝料100万円及び弁護士費用20万円)及びこれに対する損害発生日である同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 |
判示事項の要旨 | 1 投票することができる地位にあることの確認を請求する訴えについて 控訴人は,1審判決後に刑の執行を終えて出所しており,被控訴人(国)も控訴人が次回の国政選挙において投票をすることができる地位にあることを争っていないから,確認の利益がなくなっており,同訴えは却下すべきである。 2 国家賠償請求について 公職選挙法11条1項2号が憲法に違反するものとはいえないから,同号に係る立法行為及び同号を廃止しない立法不作為に国家賠償法上の違法は認められず,国家賠償請求は理由がない。選挙権は,個人の主観的権利という性格を持つと同時に,国家機関としての選挙人団の一員としての公権力の行使及び国家意思の形成に参画する公務としての性格を併せ持つものと解される。上記の選挙権の性格と,憲法44条本文が明文で選挙人の資格を法律の定めに委ねていることからすれば,憲法は,法律が上記公務に携わることへの適格性(公務適格性)に係る合理的な理由に基づき選挙人の資格の制限(欠格事項)を定めることを許容しているものと解される。 |
事件番号 | 平成28(行コ)24 |
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事件名 | 選挙権確認等請求控訴事件 |
裁判所 | 広島高等裁判所 第3部 |
裁判年月日 | 平成29年12月20日 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 広島地方裁判所 |
原審事件番号 | 平成27(行ウ)25 |
原審結果 | 棄却 |
事案の概要 |
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本件は,刑務所に収容されて,平成26年当時,懲役刑の執行を受けていた控訴人が,被控訴人に対し,公職選挙法11条1項2号(以下「本件欠格条項」ということがある。)は憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反し無効である旨主張して,次回の衆議院議員及び参議院議員の各選挙において投票することができる地位にあることの確認を求めるとともに,国会議員が本件欠格条項を制定した違法行為及び廃止しなかった違法行為により,同年12月14日に実施された衆議院議員総選挙において選挙権を行使できず,精神的苦痛を受けたとして,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償(慰謝料100万円及び弁護士費用20万円)及びこれに対する損害発生日である同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 |
判示事項の要旨 |
1 投票することができる地位にあることの確認を請求する訴えについて 控訴人は,1審判決後に刑の執行を終えて出所しており,被控訴人(国)も控訴人が次回の国政選挙において投票をすることができる地位にあることを争っていないから,確認の利益がなくなっており,同訴えは却下すべきである。 2 国家賠償請求について 公職選挙法11条1項2号が憲法に違反するものとはいえないから,同号に係る立法行為及び同号を廃止しない立法不作為に国家賠償法上の違法は認められず,国家賠償請求は理由がない。選挙権は,個人の主観的権利という性格を持つと同時に,国家機関としての選挙人団の一員としての公権力の行使及び国家意思の形成に参画する公務としての性格を併せ持つものと解される。上記の選挙権の性格と,憲法44条本文が明文で選挙人の資格を法律の定めに委ねていることからすれば,憲法は,法律が上記公務に携わることへの適格性(公務適格性)に係る合理的な理由に基づき選挙人の資格の制限(欠格事項)を定めることを許容しているものと解される。 |