事件番号平成22(行ウ)2
事件名原子力発電所設置許可処分取消等請求事件 大間原子力発電所建設・運転差止等請求事件 原子力発電所建設・運転差止等請求事件
裁判所函館地方裁判所 民事部
裁判年月日平成30年3月19日
結果棄却
事案の概要本件は,被告電源開発が経済産業大臣の平成20年4月23日付け設置許可処分(本件設置許可処分)に基づき青森県下北郡大間町に建設に着手した大間原子力発電所(本件原発)について,原告らのうち別紙1の1から別紙1の9までの各記載第1の原告66名が,被告電源開発に対し,人格権に基づく侵害予防として,本件原発の建設及び運転の差止めを求めるとともに,原告ら1164名が,被告らに対し(ただし,別紙1の1記載第2の原告143名については,被告電源開発のみに対し),本件原発の危険性に対する不安のため甚大な精神的苦痛を受けているなどとして,被告電源開発に対しては不法行為に基づき,被告国に対しては国賠法1条1項に基づき,慰謝料各1000万円の一部請求として各3万円の連帯支払を求めた事案である。
なお,第1事件のうち本件設置許可処分の取消しの訴えに係る部分は,取下げにより終了した。
判示事項の要旨判示事項の要旨

被告電源開発が建設中の大間原子力発電所(本件原発)について,原告ら1164名が,本件原発において重大な事故が発生すれば生命,身体に重大な被害を及ぼす放射線被ばくを受ける高度の危険にさらされるなどとして,①被告電源開発に対し,人格権に基づき,建設・運転の差止めを求めるとともに,②被告国及び被告電源開発に対し,慰謝料の支払を求めた事案について,①原子力規制委員会が安全審査に用いる具体的審査基準それ自体に不合理な点がある場合は差止めが認められるべきであるが,最新の科学技術水準を踏まえ,確立された国際基準からみて,改正原子炉等規制法の施行に伴い制定された新規制基準に不合理な点は認められず,また,原子力規制委員会の安全審査が未だなされておらず,本件原発の運転開始の目途も立っていない現時点においては,重大事故発生による放射性物質の放出等の具体的危険性を認めるのは困難であり,裁判所が規制委員会に先立って安全性に係る具体的審査基準への適合性について審査することは相当ではないから,審査基準に適合しないとの理由で建設・運転の差止めを認めることはできないとし,②慰謝料請求についても,原告らの不安感は抽象的なものにとどまり,法益侵害は未だ生じていないと判断して,原告らの請求をいずれも棄却した事例。
事件番号平成22(行ウ)2
事件名原子力発電所設置許可処分取消等請求事件 大間原子力発電所建設・運転差止等請求事件 原子力発電所建設・運転差止等請求事件
裁判所函館地方裁判所 民事部
裁判年月日平成30年3月19日
結果棄却
事案の概要
本件は,被告電源開発が経済産業大臣の平成20年4月23日付け設置許可処分(本件設置許可処分)に基づき青森県下北郡大間町に建設に着手した大間原子力発電所(本件原発)について,原告らのうち別紙1の1から別紙1の9までの各記載第1の原告66名が,被告電源開発に対し,人格権に基づく侵害予防として,本件原発の建設及び運転の差止めを求めるとともに,原告ら1164名が,被告らに対し(ただし,別紙1の1記載第2の原告143名については,被告電源開発のみに対し),本件原発の危険性に対する不安のため甚大な精神的苦痛を受けているなどとして,被告電源開発に対しては不法行為に基づき,被告国に対しては国賠法1条1項に基づき,慰謝料各1000万円の一部請求として各3万円の連帯支払を求めた事案である。
なお,第1事件のうち本件設置許可処分の取消しの訴えに係る部分は,取下げにより終了した。
判示事項の要旨
判示事項の要旨

被告電源開発が建設中の大間原子力発電所(本件原発)について,原告ら1164名が,本件原発において重大な事故が発生すれば生命,身体に重大な被害を及ぼす放射線被ばくを受ける高度の危険にさらされるなどとして,①被告電源開発に対し,人格権に基づき,建設・運転の差止めを求めるとともに,②被告国及び被告電源開発に対し,慰謝料の支払を求めた事案について,①原子力規制委員会が安全審査に用いる具体的審査基準それ自体に不合理な点がある場合は差止めが認められるべきであるが,最新の科学技術水準を踏まえ,確立された国際基準からみて,改正原子炉等規制法の施行に伴い制定された新規制基準に不合理な点は認められず,また,原子力規制委員会の安全審査が未だなされておらず,本件原発の運転開始の目途も立っていない現時点においては,重大事故発生による放射性物質の放出等の具体的危険性を認めるのは困難であり,裁判所が規制委員会に先立って安全性に係る具体的審査基準への適合性について審査することは相当ではないから,審査基準に適合しないとの理由で建設・運転の差止めを認めることはできないとし,②慰謝料請求についても,原告らの不安感は抽象的なものにとどまり,法益侵害は未だ生じていないと判断して,原告らの請求をいずれも棄却した事例。
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