事件番号平成28(ワ)10395
事件名消費者契約法12条に基づく差止等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第4民事部
裁判年月日令和元年6月21日
事案の概要本件契約の申込み又は承諾行為を行っている。25本件は,適格消費者団体(消費者基本法8条,消費者契約法2条4号,13条)である原告が,被告に対し,本件契約に含まれている前記第1・1の(1)から(5)までに係る内容の各条項(以下「本件条項1」ないし「本件条項5」という。)は消費者契約法8条1項3号又は10条に規定する消費者契約の条項に該当してその効力が否定されるものであるとして,消費者契約法12条3項に基づき,本件条項1ないし5を含む消費者契約の申込み又は承諾の意思表5示の差止め(前記第1・1),本件条項1ないし5が記載された契約書用紙の廃棄(前記第1・2)及び被告従業員らに対する書面配布(前記第1・3)を求める事案である。
判示事項の要旨1 住宅等の賃貸借契約(原契約)に基づく賃料等債務に係る保証委託契約において,一定の要件の下で賃借人において賃借物件の明渡しをしたものとみなす権限を受託保証人である家賃債務保証業者に付与し,賃借人が賃借物件内に残置した動産類を賃貸人及び家賃債務保証業者が任意に搬出・保管することに賃借人が異議を述べない旨定める条項が,消費者契約法8条1項3号にいう「当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除」する条項に該当するものとされた事例
2 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者に原契約を無催告解除する権限を付与する条項が,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないものとされた事例
3 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者による原契約の無催告解除権の行使について,賃借人等に異議がないことを確認する旨定める条項が,消費者契約法8条1項3号にいう「当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除」する条項に該当せず,また同法10条にいう「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当しないものとされた事例
4 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行するに際し,賃借人に対して事前に通知する義務を免除する条項が,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないものとされた事例
5 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行した後に賃借人に対して求償権を行使する際,賃借人及びその連帯保証人において賃貸人に対して有する抗弁をもって受託保証人に対抗できないことを予め承諾する条項が,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないものとされた事例
事件番号平成28(ワ)10395
事件名消費者契約法12条に基づく差止等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第4民事部
裁判年月日令和元年6月21日
事案の概要
本件契約の申込み又は承諾行為を行っている。25本件は,適格消費者団体(消費者基本法8条,消費者契約法2条4号,13条)である原告が,被告に対し,本件契約に含まれている前記第1・1の(1)から(5)までに係る内容の各条項(以下「本件条項1」ないし「本件条項5」という。)は消費者契約法8条1項3号又は10条に規定する消費者契約の条項に該当してその効力が否定されるものであるとして,消費者契約法12条3項に基づき,本件条項1ないし5を含む消費者契約の申込み又は承諾の意思表5示の差止め(前記第1・1),本件条項1ないし5が記載された契約書用紙の廃棄(前記第1・2)及び被告従業員らに対する書面配布(前記第1・3)を求める事案である。
判示事項の要旨
1 住宅等の賃貸借契約(原契約)に基づく賃料等債務に係る保証委託契約において,一定の要件の下で賃借人において賃借物件の明渡しをしたものとみなす権限を受託保証人である家賃債務保証業者に付与し,賃借人が賃借物件内に残置した動産類を賃貸人及び家賃債務保証業者が任意に搬出・保管することに賃借人が異議を述べない旨定める条項が,消費者契約法8条1項3号にいう「当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除」する条項に該当するものとされた事例
2 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者に原契約を無催告解除する権限を付与する条項が,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないものとされた事例
3 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者による原契約の無催告解除権の行使について,賃借人等に異議がないことを確認する旨定める条項が,消費者契約法8条1項3号にいう「当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除」する条項に該当せず,また同法10条にいう「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当しないものとされた事例
4 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行するに際し,賃借人に対して事前に通知する義務を免除する条項が,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないものとされた事例
5 上記保証委託契約において,受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行した後に賃借人に対して求償権を行使する際,賃借人及びその連帯保証人において賃貸人に対して有する抗弁をもって受託保証人に対抗できないことを予め承諾する条項が,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないものとされた事例
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