事件番号平成29(行ウ)120
事件名法人税更正処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和元年12月5日
事案の概要本件は,原告が,枚方税務署長から,①平成22年3月期(平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度をいい,他の事業年度についても同様に略称する。)において,株式会社A(以下「A」という。)から受領した,広告宣伝費及び事務用品費(以下「広告宣伝費等」という。)に係る割戻し(バックリベート)を収入から除外していたことなどを理由に,平成22年3月期以降の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色申告承認取消処分」という。)を受けるとともに,②平成22年3月期から平成26年3月期までの各事業年度(以下「本件各事業年度」という。) において,Aから受領した,広告宣伝費等に係る割戻し(以下「本件リベート」という。)を雑収入として計上せず,益金の額に算入しなかったこと,平成23年3月期から平成26年3月期までの各事業年度において,株式会社B(以下「B」という。)等に対し,折り込みチラシ制作等の役務提供を受けた事実がないのに架空の広告宣伝費(以下「本件架空広告宣伝費」という。)を支払って計上し,損金の額に算入していたことなどを理由に,本件各事業年度に係る法人税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び重加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けたため,被告を相手に,本件青色申告承認取消処分の取消しを求めるとともに,本件各更正処分(ただし,平成26年3月期については,平成29年10月24日付け再更正処分により一部取り消された後のもの)のうち申告額(平成22年3月期,平成24年3月期及び平成25年3月期については確定申告による申告額,平成23年3月期及び平成26年3月期については修正申告による申告額)を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項1 法人の代表取締役が取引先から受領した広告宣伝費等に係る割戻し(バックリベート)が,同代表取締役ではなく同法人に帰属するにもかかわらず,これを帳簿書類に記載せず,雑収入として計上していなかったことが,法人税法127条1項3号所定の「その事業年度に係る帳簿書類に取引の一部を隠ぺいして記載し又は記録し」たものに該当するとして,同法人に対する青色申告の承認の取消処分が適法であるとされた事例。
2 法人の代表取締役が行った上記1記載の行為と架空の広告宣伝費の支払行為により法人が受けた損害額を損金の額に算入すると同時に,同代表取締役に対する損害賠償請求権を当該事業年度の益金の額に算入すべきであるとして,同法人に対する更正処分及び重加算税賦課決定処分が適法であるとされた事例。
裁判要旨1 不動産の売買,仲介,代理及び建売業等を業とする法人である原告において,その代表取締役が取引先から広告宣伝費等に係る割戻し(バックリベート)を受領していたところ,上記リベートは,取引先との間の取引を円滑に行うことを目的として,長期間にわたり継続的かつ定期的に授受されたものであること,上記リベートは,取引先の実質的経営者から,原告において相応の肩書ないし地位を有し,取引先に対する発注権限を有していた者に対し支払われていたものであること,上記リベートの金額は,原告が取引先に各月に支払う広告宣伝費等の金額に一定の割合を乗じる方法によって算出されていたことなど本件判示の事実関係の下では,上記リベートは同代表取締役ではなく原告に帰属するから,これを帳簿書類に記載せず,雑収入として計上していなかったことが,法人税法127条1項3号所定の「その事業年度に係る帳簿書類に取引の一部を隠ぺいして記載し又は記録し」たものに該当することを理由として原告に対してした青色申告の承認の取消処分は適法である。
2 原告において,その代表取締役が取引先から受領した広告宣伝費等に係る割戻し(バックリベート)を益金の額に算入せず,費消していたこと,また,役務提供を受けた事実がないのに架空の広告宣伝費を支払い,これを損金の額に算入していたことは横領行為又は背任行為に該当するところ,上記各不法行為は原告の業務に関して,同代表取締役の意思に基づいて行われたものであって,原告にとって損害賠償請求権の存在及び内容は明らかであり,当該不法行為に基づく損害賠償請求権の実現可能性を客観的に認識することができたといえるから,原告は,上記各不法行為による損失については当該損失が生じた本件各事業年度の損金の額に算入し,これと同時に取得する同代表取締役に対する損害賠償請求権も同事業年度の益金の額に算入すべきであったことを理由として原告に対してした法人税の更正処分及び重加算税決定処分は適法である。
事件番号平成29(行ウ)120
事件名法人税更正処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和元年12月5日
事案の概要
本件は,原告が,枚方税務署長から,①平成22年3月期(平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度をいい,他の事業年度についても同様に略称する。)において,株式会社A(以下「A」という。)から受領した,広告宣伝費及び事務用品費(以下「広告宣伝費等」という。)に係る割戻し(バックリベート)を収入から除外していたことなどを理由に,平成22年3月期以降の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色申告承認取消処分」という。)を受けるとともに,②平成22年3月期から平成26年3月期までの各事業年度(以下「本件各事業年度」という。) において,Aから受領した,広告宣伝費等に係る割戻し(以下「本件リベート」という。)を雑収入として計上せず,益金の額に算入しなかったこと,平成23年3月期から平成26年3月期までの各事業年度において,株式会社B(以下「B」という。)等に対し,折り込みチラシ制作等の役務提供を受けた事実がないのに架空の広告宣伝費(以下「本件架空広告宣伝費」という。)を支払って計上し,損金の額に算入していたことなどを理由に,本件各事業年度に係る法人税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び重加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けたため,被告を相手に,本件青色申告承認取消処分の取消しを求めるとともに,本件各更正処分(ただし,平成26年3月期については,平成29年10月24日付け再更正処分により一部取り消された後のもの)のうち申告額(平成22年3月期,平成24年3月期及び平成25年3月期については確定申告による申告額,平成23年3月期及び平成26年3月期については修正申告による申告額)を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項
1 法人の代表取締役が取引先から受領した広告宣伝費等に係る割戻し(バックリベート)が,同代表取締役ではなく同法人に帰属するにもかかわらず,これを帳簿書類に記載せず,雑収入として計上していなかったことが,法人税法127条1項3号所定の「その事業年度に係る帳簿書類に取引の一部を隠ぺいして記載し又は記録し」たものに該当するとして,同法人に対する青色申告の承認の取消処分が適法であるとされた事例。
2 法人の代表取締役が行った上記1記載の行為と架空の広告宣伝費の支払行為により法人が受けた損害額を損金の額に算入すると同時に,同代表取締役に対する損害賠償請求権を当該事業年度の益金の額に算入すべきであるとして,同法人に対する更正処分及び重加算税賦課決定処分が適法であるとされた事例。
裁判要旨
1 不動産の売買,仲介,代理及び建売業等を業とする法人である原告において,その代表取締役が取引先から広告宣伝費等に係る割戻し(バックリベート)を受領していたところ,上記リベートは,取引先との間の取引を円滑に行うことを目的として,長期間にわたり継続的かつ定期的に授受されたものであること,上記リベートは,取引先の実質的経営者から,原告において相応の肩書ないし地位を有し,取引先に対する発注権限を有していた者に対し支払われていたものであること,上記リベートの金額は,原告が取引先に各月に支払う広告宣伝費等の金額に一定の割合を乗じる方法によって算出されていたことなど本件判示の事実関係の下では,上記リベートは同代表取締役ではなく原告に帰属するから,これを帳簿書類に記載せず,雑収入として計上していなかったことが,法人税法127条1項3号所定の「その事業年度に係る帳簿書類に取引の一部を隠ぺいして記載し又は記録し」たものに該当することを理由として原告に対してした青色申告の承認の取消処分は適法である。
2 原告において,その代表取締役が取引先から受領した広告宣伝費等に係る割戻し(バックリベート)を益金の額に算入せず,費消していたこと,また,役務提供を受けた事実がないのに架空の広告宣伝費を支払い,これを損金の額に算入していたことは横領行為又は背任行為に該当するところ,上記各不法行為は原告の業務に関して,同代表取締役の意思に基づいて行われたものであって,原告にとって損害賠償請求権の存在及び内容は明らかであり,当該不法行為に基づく損害賠償請求権の実現可能性を客観的に認識することができたといえるから,原告は,上記各不法行為による損失については当該損失が生じた本件各事業年度の損金の額に算入し,これと同時に取得する同代表取締役に対する損害賠償請求権も同事業年度の益金の額に算入すべきであったことを理由として原告に対してした法人税の更正処分及び重加算税決定処分は適法である。
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