事件番号 | 平成31(行ヒ)97 |
---|---|
事件名 | 公務員に対する懲戒処分取消等請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判年月日 | 令和2年7月6日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄自判 |
原審裁判所 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成30(行コ)51 |
原審裁判年月日 | 平成30年11月9日 |
事案の概要 | 本件は,兵庫県姫路市の市立中学校(以下「本件中学校」という。)の教諭であった被上告人が,顧問を務める同校柔道部(以下,単に「柔道部」ということがある。)における部員間の暴力行為を伴ういじめの事実を把握しながら,受傷した被害生徒に対し,受診に際して医師に自招事故による旨の虚偽の説明をするよう指示したこと等を理由に,任命権者である兵庫県教育委員会(以下「県教委」という。)から停職6月の懲戒処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件処分は重きに失するなどと主張して,上告人を相手に,その取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。 |
判示事項 | 市立中学校の柔道部の顧問である教諭が部員間のいじめにより受傷した被害生徒に対し受診に際して医師に自招事故による旨の虚偽の説明をするよう指示したこと等を理由とする停職6月の懲戒処分を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例 |
裁判要旨 | 市立中学校の柔道部の顧問である教諭が,①部員間で生じた暴力行為を伴ういじめにより受傷した被害生徒に対し,受診に際して医師に自招事故による旨の虚偽の説明をするよう指示したこと,②加害生徒の大会への出場を禁止する旨の校長の職務命令に従わず同生徒を出場させたこと,及び③同部のために卒業生等から寄贈され校内に設置されていた物品に係る校長からの繰り返しの撤去指示に長期間対応しなかったことを理由として,停職6月の懲戒処分がされた場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断には,懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。 (1) 上記①に係る当該教諭の行為は,被害生徒の心情への配慮を欠くものであって,いじめを受けている生徒の心配や不安,苦痛を取り除くことを最優先として適切かつ迅速に対処すること等を求めるいじめ防止対策推進法や兵庫県いじめ防止基本方針等に反するものであり,また,重い傷害を負った被害生徒に対し誤った診断や不適切な治療が行われるおそれを生じさせるものであった。 (2) 上記②に係る当該教諭の行為は,当該いじめにおける加害生徒の行為が重大な非行であるにもかかわらず,その重大性を踏まえた適切な対応をとることなく,柔道部の活動や加害生徒の利益等を優先させるものであった。 (3) 上記③に係る当該教諭の行為は,柔道部が優秀な成績を挙げるために,学校施設の管理に関する規律や校長の度重なる指示に反したものであった。 |
事件番号 | 平成31(行ヒ)97 |
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事件名 | 公務員に対する懲戒処分取消等請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判年月日 | 令和2年7月6日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄自判 |
原審裁判所 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成30(行コ)51 |
原審裁判年月日 | 平成30年11月9日 |
事案の概要 |
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本件は,兵庫県姫路市の市立中学校(以下「本件中学校」という。)の教諭であった被上告人が,顧問を務める同校柔道部(以下,単に「柔道部」ということがある。)における部員間の暴力行為を伴ういじめの事実を把握しながら,受傷した被害生徒に対し,受診に際して医師に自招事故による旨の虚偽の説明をするよう指示したこと等を理由に,任命権者である兵庫県教育委員会(以下「県教委」という。)から停職6月の懲戒処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件処分は重きに失するなどと主張して,上告人を相手に,その取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。 |
判示事項 |
市立中学校の柔道部の顧問である教諭が部員間のいじめにより受傷した被害生徒に対し受診に際して医師に自招事故による旨の虚偽の説明をするよう指示したこと等を理由とする停職6月の懲戒処分を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例 |
裁判要旨 |
市立中学校の柔道部の顧問である教諭が,①部員間で生じた暴力行為を伴ういじめにより受傷した被害生徒に対し,受診に際して医師に自招事故による旨の虚偽の説明をするよう指示したこと,②加害生徒の大会への出場を禁止する旨の校長の職務命令に従わず同生徒を出場させたこと,及び③同部のために卒業生等から寄贈され校内に設置されていた物品に係る校長からの繰り返しの撤去指示に長期間対応しなかったことを理由として,停職6月の懲戒処分がされた場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断には,懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。 (1) 上記①に係る当該教諭の行為は,被害生徒の心情への配慮を欠くものであって,いじめを受けている生徒の心配や不安,苦痛を取り除くことを最優先として適切かつ迅速に対処すること等を求めるいじめ防止対策推進法や兵庫県いじめ防止基本方針等に反するものであり,また,重い傷害を負った被害生徒に対し誤った診断や不適切な治療が行われるおそれを生じさせるものであった。 (2) 上記②に係る当該教諭の行為は,当該いじめにおける加害生徒の行為が重大な非行であるにもかかわらず,その重大性を踏まえた適切な対応をとることなく,柔道部の活動や加害生徒の利益等を優先させるものであった。 (3) 上記③に係る当該教諭の行為は,柔道部が優秀な成績を挙げるために,学校施設の管理に関する規律や校長の度重なる指示に反したものであった。 |