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事件番号
令和1(う)1805
事件名
不正競争防止法違反
裁判所
東京高等裁判所 第10刑事部
裁判年月日
令和2年7月21日
結果
破棄自判
原審裁判所
東京地方裁判所
原審事件番号
平成30特(わ)1884
事案の概要
本件公訴事実の要旨は,要するに,火力発電システム等に係る施設又は設備を構成する機器及び装置の研究,開発等に関する業務等を目的とする A 株式会社
(以下「本件会社」という。)
が,タイ王国
(以下「タイ」という。)
ナコンシータマラート県カノム郡において遂行していた火力発電所建設工事
(以下「本件工事」という。また,本件工事現場及びその周辺を,「現地」という。)
に関して,現地に建設した仮桟橋に,火力発電所建設関連部品を積載した総トン数500tを超えるはしけ3隻
(以下「本件はしけ」という。)
を接岸させて貨物を陸揚げするに当たり,同仮桟橋は,総トン数500t以下の船舶の接岸港として建設許可されたものであったため,タイ運輸省港湾局第4地方港湾局ナコンシータマラート支局長として,同郡における桟橋使用禁止等を命ずる権限を持つ外国公務員等であった B から許可条件違反となる旨指摘され,貨物を陸揚げできなかったことから,同社の取締役常務執行役員兼エンジニアリング本部長として,同社の火力発電所建設プロジェクト等を統括していた被告人が,同社の執行役員兼調達総括部長 Y,同社の調達総括部ロジスティクス部長 Z ほか数名と共謀の上,Bに対し,正規の手続によらずに前記許可条件違反を黙認して本件はしけの仮桟橋への接岸及び貨物の陸揚げを禁じないなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に,本件会社の下請業者の従業員 C を介し,現金1100万タイバーツ
(当時の円換算3993万円相当)
を供与し,もって,外国公務員等に対し,国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために,その外国公務員等に,その職務に関する行為をさせないことを目的として,金銭を供与したというものである。
本件控訴の趣意は,要するに,⑴原判決は被告人に共謀を認定したが,原判決が説示する共謀は,本件の金銭の供与
(以下「本件供与」という。)
と因果関係がないのに,その検討を一切しておらず,原判決には理由不備の違法がある,⑵原判決には,共犯者の原審証言の信用性の判断において矛盾があり,理由齟齬がある,⑶原裁判所は,共謀の成立時期や内容に関し釈明義務に違反し,あるいは不意打ち認定をしており,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,⑷被告人には本件共謀をした事実がないのに,共謀を認めて被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるというのである。
事件番号
令和1(う)1805
事件名
不正競争防止法違反
裁判所
東京高等裁判所 第10刑事部
裁判年月日
令和2年7月21日
結果
破棄自判
原審裁判所
東京地方裁判所
原審事件番号
平成30特(わ)1884
事案の概要
本件公訴事実の要旨は,要するに,火力発電システム等に係る施設又は設備を構成する機器及び装置の研究,開発等に関する業務等を目的とする A 株式会社
(以下「本件会社」という。)
が,タイ王国
(以下「タイ」という。)
ナコンシータマラート県カノム郡において遂行していた火力発電所建設工事
(以下「本件工事」という。また,本件工事現場及びその周辺を,「現地」という。)
に関して,現地に建設した仮桟橋に,火力発電所建設関連部品を積載した総トン数500tを超えるはしけ3隻
(以下「本件はしけ」という。)
を接岸させて貨物を陸揚げするに当たり,同仮桟橋は,総トン数500t以下の船舶の接岸港として建設許可されたものであったため,タイ運輸省港湾局第4地方港湾局ナコンシータマラート支局長として,同郡における桟橋使用禁止等を命ずる権限を持つ外国公務員等であった B から許可条件違反となる旨指摘され,貨物を陸揚げできなかったことから,同社の取締役常務執行役員兼エンジニアリング本部長として,同社の火力発電所建設プロジェクト等を統括していた被告人が,同社の執行役員兼調達総括部長 Y,同社の調達総括部ロジスティクス部長 Z ほか数名と共謀の上,Bに対し,正規の手続によらずに前記許可条件違反を黙認して本件はしけの仮桟橋への接岸及び貨物の陸揚げを禁じないなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に,本件会社の下請業者の従業員 C を介し,現金1100万タイバーツ
(当時の円換算3993万円相当)
を供与し,もって,外国公務員等に対し,国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために,その外国公務員等に,その職務に関する行為をさせないことを目的として,金銭を供与したというものである。
本件控訴の趣意は,要するに,⑴原判決は被告人に共謀を認定したが,原判決が説示する共謀は,本件の金銭の供与
(以下「本件供与」という。)
と因果関係がないのに,その検討を一切しておらず,原判決には理由不備の違法がある,⑵原判決には,共犯者の原審証言の信用性の判断において矛盾があり,理由齟齬がある,⑶原裁判所は,共謀の成立時期や内容に関し釈明義務に違反し,あるいは不意打ち認定をしており,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,⑷被告人には本件共謀をした事実がないのに,共謀を認めて被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるというのである。
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