事件番号平成27(ワ)1061
事件名損害賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 堺支部 第1民事部
裁判年月日令和2年7月2日
事案の概要本件は,被告会社に雇用され,大韓民国(以下「韓国」という。)の国籍を有する原告が,被告会社及びその代表取締役会長である被告Aから,①韓国人等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された資料が職場で大量に配布されてその閲読を余儀なくされ,②都道府県の教育委員会が開催する教科書展示会へ参加した上で被告らが支持する教科書の採択を求める旨のアンケートを提出することを余儀なくされたほか,③上記①及び②が違法であるとして本件訴えを提起したところ原告の訴えを誹謗中傷する旨の従業員の感想文が職場で配布されたことにより報復的非難を受け,これらにより原告の人格権ないし人格的利益が侵害された,などと主張して,被告会社の代表取締役である被告Aに対しては,不法行為(民法709条)に基づいて,被告会社に対しては,会社法350条,労働契約の債務不履行又は不法行為(民法709条)に基づいて,いずれも損害賠償として連帯して慰謝料及び弁護士費用の合計3300万円及びこれに対する不法行為日の後(訴状送達日の翌日)である平成27年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨1 在日韓国人である原告が勤める被告会社の職場において,韓国人等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された文書等が大量に配布されたことにつき,労働契約に基づき労働者に実施する教育としては,労働者の国籍によって差別的取扱いを受けない人格的利益を具体的に侵害するおそれがあり,その態様,程度が社会的に許容できる限度を超えているとして,原告の人格的利益を侵害する違法があるとされた事例
2 被告会社において,従業員に対し,都道府県教育委員会開催の教科書展示会に参加し,被告会社等が支持する教科書の採択を求めるアンケートを提出することなどを促したことにつき,業務と関連しない政治活動に当たり,労働者である原告の政治的な思想・信条の自由を侵害する差別的取扱いを伴うものであり,原告の人格的利益を侵害する違法があるとされた事例
3 原告が本件訴えを提起したところ,被告会社の職場において,本件訴えを誹謗中傷する旨の従業員の感想文等が配布されたことにつき,原告の裁判を受ける権利を侵害するとともに,職場における自由な人間関係を形成する自由や名誉感情を侵害する違法があるとされた事例
事件番号平成27(ワ)1061
事件名損害賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 堺支部 第1民事部
裁判年月日令和2年7月2日
事案の概要
本件は,被告会社に雇用され,大韓民国(以下「韓国」という。)の国籍を有する原告が,被告会社及びその代表取締役会長である被告Aから,①韓国人等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された資料が職場で大量に配布されてその閲読を余儀なくされ,②都道府県の教育委員会が開催する教科書展示会へ参加した上で被告らが支持する教科書の採択を求める旨のアンケートを提出することを余儀なくされたほか,③上記①及び②が違法であるとして本件訴えを提起したところ原告の訴えを誹謗中傷する旨の従業員の感想文が職場で配布されたことにより報復的非難を受け,これらにより原告の人格権ないし人格的利益が侵害された,などと主張して,被告会社の代表取締役である被告Aに対しては,不法行為(民法709条)に基づいて,被告会社に対しては,会社法350条,労働契約の債務不履行又は不法行為(民法709条)に基づいて,いずれも損害賠償として連帯して慰謝料及び弁護士費用の合計3300万円及びこれに対する不法行為日の後(訴状送達日の翌日)である平成27年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
1 在日韓国人である原告が勤める被告会社の職場において,韓国人等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された文書等が大量に配布されたことにつき,労働契約に基づき労働者に実施する教育としては,労働者の国籍によって差別的取扱いを受けない人格的利益を具体的に侵害するおそれがあり,その態様,程度が社会的に許容できる限度を超えているとして,原告の人格的利益を侵害する違法があるとされた事例
2 被告会社において,従業員に対し,都道府県教育委員会開催の教科書展示会に参加し,被告会社等が支持する教科書の採択を求めるアンケートを提出することなどを促したことにつき,業務と関連しない政治活動に当たり,労働者である原告の政治的な思想・信条の自由を侵害する差別的取扱いを伴うものであり,原告の人格的利益を侵害する違法があるとされた事例
3 原告が本件訴えを提起したところ,被告会社の職場において,本件訴えを誹謗中傷する旨の従業員の感想文等が配布されたことにつき,原告の裁判を受ける権利を侵害するとともに,職場における自由な人間関係を形成する自由や名誉感情を侵害する違法があるとされた事例
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