事件番号平成30(受)1519
事件名未払時間外手当金等請求控訴,同附帯控訴事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和2年10月15日
裁判種別判決
結果棄却
原審裁判所福岡高等裁判所
原審事件番号平成29(ネ)615
原審裁判年月日平成30年5月24日
事案の概要本件は,上告人と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して勤務した時給制契約社員である被上告人が,期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している労働者(以下「正社員」という。)と被上告人との間で,夏期休暇及び冬期休暇(以下「夏期冬期休暇」という。)等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張して,上告人に対し,不法行為に基づき,上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をする事案である。
判示事項無期契約労働者に対しては夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で有期契約労働者に対してはこれを与えないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例
裁判要旨郵便の業務を担当する無期契約労働者に対して有給休暇である夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で,郵便の業務を担当する時給制契約社員である有期契約労働者に対してこれを与えないという労働条件の相違は,両者の間に職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があることを考慮しても,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たる。
(1) 上記無期契約労働者に対して上記の夏期休暇及び冬期休暇が与えられているのは,年次有給休暇や病気休暇等とは別に,労働から離れる機会を与えることにより,心身の回復を図るという目的によるものである。
(2) 上記の夏期休暇及び冬期休暇の取得の可否や取得し得る日数は上記無期契約労働者の勤続期間の長さに応じて定まるものとはされていない。
(3) 上記有期契約労働者は,契約期間が6か月以内とされるなど,繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく,業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれている。
事件番号平成30(受)1519
事件名未払時間外手当金等請求控訴,同附帯控訴事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和2年10月15日
裁判種別判決
結果棄却
原審裁判所福岡高等裁判所
原審事件番号平成29(ネ)615
原審裁判年月日平成30年5月24日
事案の概要
本件は,上告人と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して勤務した時給制契約社員である被上告人が,期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している労働者(以下「正社員」という。)と被上告人との間で,夏期休暇及び冬期休暇(以下「夏期冬期休暇」という。)等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張して,上告人に対し,不法行為に基づき,上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をする事案である。
判示事項
無期契約労働者に対しては夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で有期契約労働者に対してはこれを与えないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例
裁判要旨
郵便の業務を担当する無期契約労働者に対して有給休暇である夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で,郵便の業務を担当する時給制契約社員である有期契約労働者に対してこれを与えないという労働条件の相違は,両者の間に職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があることを考慮しても,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たる。
(1) 上記無期契約労働者に対して上記の夏期休暇及び冬期休暇が与えられているのは,年次有給休暇や病気休暇等とは別に,労働から離れる機会を与えることにより,心身の回復を図るという目的によるものである。
(2) 上記の夏期休暇及び冬期休暇の取得の可否や取得し得る日数は上記無期契約労働者の勤続期間の長さに応じて定まるものとはされていない。
(3) 上記有期契約労働者は,契約期間が6か月以内とされるなど,繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく,業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれている。
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