事件番号令和1(行コ)96
事件名
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日令和2年10月1日
事案の概要本件は,有限会社B(本件会社)の従業員であったA(亡A。昭和55年10月12日生,平成26年6月2日死亡)の配偶者である被控訴人が,亡Aが発症した疾病(急性心筋炎(劇症型)《以下「劇症型心筋炎」と表記する。》,急性心不全)及び死亡は,本件会社における長時間労働等の過重業務が原因であって業務上の事由があるとして,労災保険法に基づき,大阪中央労働基準監督署長(処分行政庁)に対し,療養補償給付及び休業補償給付並びに遺族補償年金及び葬祭料の各支給を請求したところ,処分行政庁が,平成26年12月5日に療養補償給付,遺族補償年金及び葬祭料を,同月8日に休業補償給付を,それぞれ不支給とする本件各処分を行ったので,被控訴人が控訴人に対し,本件各処分の取消しを求めた事案である。
判示事項本件は,被控訴人が控訴人に対し,被控訴人の配偶者は,①過重業務が原因で免疫力が低下し,その結果劇症型心筋炎を発症し,死亡した,②そうでなくとも,被控訴人の配偶者が過重業務により治療機会を喪失したために劇症型心筋炎を発症し,死亡したと主張して,業務起因性を認めずに療養補償給付等を不支給とした労働基準監督署長の決定の取消しを求めた事案につき,①については,過重業務による免疫力の低下が心筋炎を発症させるウイルス感染を生じさせた事情の一つとなった可能性は否定できないが,その他の事実を総合すると,被控訴人の配偶者の免疫力が低下していたものとまでは認め難いし,その上,過重業務によりウイルス性心筋炎を発症し劇症化するとの経験則が存在するとも認めることもできないから,業務起因性が認められるとする主張は採用できないとし,②についても,そもそも治療機会を喪失したとは認められないし,より早い時期に治療が開始されたとしても,劇症型心筋炎の発症を防ぎ得たと認めることはできないから,業務起因性が認められるとする主張は採用できないとして,業務起因性を認めて上記労働基準監督署長の不支給決定を取り消した原審判決を取り消した事案である。
事件番号令和1(行コ)96
事件名
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日令和2年10月1日
事案の概要
本件は,有限会社B(本件会社)の従業員であったA(亡A。昭和55年10月12日生,平成26年6月2日死亡)の配偶者である被控訴人が,亡Aが発症した疾病(急性心筋炎(劇症型)《以下「劇症型心筋炎」と表記する。》,急性心不全)及び死亡は,本件会社における長時間労働等の過重業務が原因であって業務上の事由があるとして,労災保険法に基づき,大阪中央労働基準監督署長(処分行政庁)に対し,療養補償給付及び休業補償給付並びに遺族補償年金及び葬祭料の各支給を請求したところ,処分行政庁が,平成26年12月5日に療養補償給付,遺族補償年金及び葬祭料を,同月8日に休業補償給付を,それぞれ不支給とする本件各処分を行ったので,被控訴人が控訴人に対し,本件各処分の取消しを求めた事案である。
判示事項
本件は,被控訴人が控訴人に対し,被控訴人の配偶者は,①過重業務が原因で免疫力が低下し,その結果劇症型心筋炎を発症し,死亡した,②そうでなくとも,被控訴人の配偶者が過重業務により治療機会を喪失したために劇症型心筋炎を発症し,死亡したと主張して,業務起因性を認めずに療養補償給付等を不支給とした労働基準監督署長の決定の取消しを求めた事案につき,①については,過重業務による免疫力の低下が心筋炎を発症させるウイルス感染を生じさせた事情の一つとなった可能性は否定できないが,その他の事実を総合すると,被控訴人の配偶者の免疫力が低下していたものとまでは認め難いし,その上,過重業務によりウイルス性心筋炎を発症し劇症化するとの経験則が存在するとも認めることもできないから,業務起因性が認められるとする主張は採用できないとし,②についても,そもそも治療機会を喪失したとは認められないし,より早い時期に治療が開始されたとしても,劇症型心筋炎の発症を防ぎ得たと認めることはできないから,業務起因性が認められるとする主張は採用できないとして,業務起因性を認めて上記労働基準監督署長の不支給決定を取り消した原審判決を取り消した事案である。
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