事件番号令和2(う)32
事件名殺人未遂被告事件
裁判所広島高等裁判所 第1部
裁判年月日令和2年9月1日
結果破棄自判
原審裁判所山口地方裁判所
原審事件番号平成31(わ)68
事案の概要本件控訴の趣意は,弁護人濵田隆弘作成の控訴趣意書に記載されているとおりであるから,これを引用する。論旨は,被告人は統合失調症の精神症状である作為体験により,自己の意思とは関係なく体が動いたために長女を刺したものであって,殺意及び責任能力が否定されるべきであるから,完全責任能力を肯定し殺人未遂罪の成立を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある,というのである。2 本件は,被告人が,自宅台所において,同居の長女Aに対し,殺意をもって,背後から腰背部を出刃包丁で1回突き刺した(以下「本件刺突行為」という。)が,Aに取り押さえられて未遂に終わったとされる殺人未遂の事案である。
判示事項の要旨殺人未遂の事案において,殺意をもって被害者を刺突した旨の被告人の捜査段階の供述の信用性に疑いを入れる余地はなく,刺突行為が統合失調症の症状である作為体験によるものであったとの鑑定は前提条件を異にするものであって採用できないとして完全責任能力を肯定し殺人未遂罪の成立を認めた第1審判決は,鑑定事項として検討されるべき作為体験の存否を精神鑑定の前提条件となる事実関係と位置付け,鑑定を踏まえた多面的な検討を経ずに不十分な論拠の下に捜査段階の供述の信用性を肯定し,その反面,判断過程に不合理性のない鑑定及び起訴後の供述の信用性を排斥したものであって,その判断は論理則,経験則等に照らし不合理といわざるを得ないとして,原判決を破棄した上自判し,心神喪失の疑いがあるとして無罪を言い渡した事例
事件番号令和2(う)32
事件名殺人未遂被告事件
裁判所広島高等裁判所 第1部
裁判年月日令和2年9月1日
結果破棄自判
原審裁判所山口地方裁判所
原審事件番号平成31(わ)68
事案の概要
本件控訴の趣意は,弁護人濵田隆弘作成の控訴趣意書に記載されているとおりであるから,これを引用する。論旨は,被告人は統合失調症の精神症状である作為体験により,自己の意思とは関係なく体が動いたために長女を刺したものであって,殺意及び責任能力が否定されるべきであるから,完全責任能力を肯定し殺人未遂罪の成立を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある,というのである。2 本件は,被告人が,自宅台所において,同居の長女Aに対し,殺意をもって,背後から腰背部を出刃包丁で1回突き刺した(以下「本件刺突行為」という。)が,Aに取り押さえられて未遂に終わったとされる殺人未遂の事案である。
判示事項の要旨
殺人未遂の事案において,殺意をもって被害者を刺突した旨の被告人の捜査段階の供述の信用性に疑いを入れる余地はなく,刺突行為が統合失調症の症状である作為体験によるものであったとの鑑定は前提条件を異にするものであって採用できないとして完全責任能力を肯定し殺人未遂罪の成立を認めた第1審判決は,鑑定事項として検討されるべき作為体験の存否を精神鑑定の前提条件となる事実関係と位置付け,鑑定を踏まえた多面的な検討を経ずに不十分な論拠の下に捜査段階の供述の信用性を肯定し,その反面,判断過程に不合理性のない鑑定及び起訴後の供述の信用性を排斥したものであって,その判断は論理則,経験則等に照らし不合理といわざるを得ないとして,原判決を破棄した上自判し,心神喪失の疑いがあるとして無罪を言い渡した事例
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