事件番号令和1(受)1166
事件名損害賠償等請求事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日令和3年1月12日
裁判種別判決
結果破棄差戻
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成30(ネ)4546
原審裁判年月日平成31年2月27日
事案の概要本件相続人らは,平成28年10月6日,次の内容を含む示談(以下「本件示談」という。)をした。ア 被上告人は,本件相続人らに対し,本件事故による一切の損害賠償金として合計4063万2940円の支払義務があることを認め,内金3000万1100円を速やかに支払う。イ 上記内金が支払われたときは,被上告人と本件相続人らとの間には,本件示談で定めるほか,何ら債権債務のないことを相互に確認する。(4) 本件相続人らは,平成28年10月20日頃,本件事故に関する自動車損害賠償保障法16条1項に基づく損害賠償額の支払請求権について,被上告人が自動車保険契約を締結していた保険会社から,合計3000万1100円の立替払を受けた。(5) 上告人は,上告人の本件相続人らに対する本件各請求債権に基づく請求を一部認容する旨の仮執行宣言付き判決を得て,これを債務名義として,本件各損害賠償請求権及びその遅延損害金債権のうちCのものにつき3000万円,A,D及びEのものにつき各1000万円に満つるまでの部分につき,本件相続人らを債務者,被上告人を第三債務者とする債権差押命令及び転付命令の申立てをし,平成30年3月7日,これに基づく債権差押命令及び転付命令(以下「本件差押転付命令」という。)が発令された。本件差押転付命令は,同月28日に確定した。2 本件は,上告人が,被上告人に対し,上告人が本件差押転付命令により取得した本件各損害賠償請求権に基づき,4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権は不法行為に基づく損害賠償請求権であって不法行為の時点で具体的な金額を直ちに確定することができないものであり,当該示談はその金額を損害賠償金として社会通念上相当な額に確定したものであるとして,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断には,違法がある。
事件番号令和1(受)1166
事件名損害賠償等請求事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日令和3年1月12日
裁判種別判決
結果破棄差戻
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成30(ネ)4546
原審裁判年月日平成31年2月27日
事案の概要
本件相続人らは,平成28年10月6日,次の内容を含む示談(以下「本件示談」という。)をした。ア 被上告人は,本件相続人らに対し,本件事故による一切の損害賠償金として合計4063万2940円の支払義務があることを認め,内金3000万1100円を速やかに支払う。イ 上記内金が支払われたときは,被上告人と本件相続人らとの間には,本件示談で定めるほか,何ら債権債務のないことを相互に確認する。(4) 本件相続人らは,平成28年10月20日頃,本件事故に関する自動車損害賠償保障法16条1項に基づく損害賠償額の支払請求権について,被上告人が自動車保険契約を締結していた保険会社から,合計3000万1100円の立替払を受けた。(5) 上告人は,上告人の本件相続人らに対する本件各請求債権に基づく請求を一部認容する旨の仮執行宣言付き判決を得て,これを債務名義として,本件各損害賠償請求権及びその遅延損害金債権のうちCのものにつき3000万円,A,D及びEのものにつき各1000万円に満つるまでの部分につき,本件相続人らを債務者,被上告人を第三債務者とする債権差押命令及び転付命令の申立てをし,平成30年3月7日,これに基づく債権差押命令及び転付命令(以下「本件差押転付命令」という。)が発令された。本件差押転付命令は,同月28日に確定した。2 本件は,上告人が,被上告人に対し,上告人が本件差押転付命令により取得した本件各損害賠償請求権に基づき,4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項
債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨
債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権は不法行為に基づく損害賠償請求権であって不法行為の時点で具体的な金額を直ちに確定することができないものであり,当該示談はその金額を損害賠償金として社会通念上相当な額に確定したものであるとして,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断には,違法がある。
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