事件番号令和2(ネ)559
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第7民事部
裁判年月日令和2年12月17日
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成28(ワ)5301
事案の概要控訴人A1は,被控訴人の開設する医院(被控訴人医院)において,妊娠していた5胎の胎児の一部を減胎する手術(手術Ⅰ及び手術Ⅱ。以下,併せて「本件手術」という。)を受けたが,その後,Cマタニティクリニック(CMC)において人工妊娠中絶手術を受け(本件人工流産),上記胎児らを1児も出産するに至らなかった。
本件は,①控訴人A1及びその夫である控訴人A2において,控訴人A1が人工流産をしなければならなくなったのは,上記減胎手術を執刀したD医師(以下「本件医師」といい,引用に係る原判決に「被告医師」とあるのは,いずれも「本件医師」と読み替える。)が注意義務に反し手術Ⅱの際に太い穿刺針を使い多数回の穿刺を行い,感染症対策を怠り,又は減胎対象外の胎児を穿刺するなどしたことによるものであり,これにより精神的苦痛を受けたなどと主張し,また,②控訴人A1において,本件医師から減胎手術の失敗を隠匿するために脅迫されるなどし,これにより精神的苦痛を受けたと主張して,被控訴人に対し,①については,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)715条1項による使用者責任又は診療契約上の債務不履行に基づき,②については,主位的に民法715条1項による使用者責任に基づき,予備的に診療契約上の債務不履行に基づき,損害賠償金として,控訴人A1につき合計2330万9139円の一部である1900万9139円,控訴人A2につき440万円及びこれらに対する訴状送達の日の後である平成28年7月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨妊娠していた5胎の胎児の一部を減胎する手術(減胎手術)について,執刀した医師が母体に対する危険防止のために経験上必要とされる最善の注意を尽くす義務に違反したとして,医療法人に対する損害賠償請求が認められた事例
事件番号令和2(ネ)559
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第7民事部
裁判年月日令和2年12月17日
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成28(ワ)5301
事案の概要
控訴人A1は,被控訴人の開設する医院(被控訴人医院)において,妊娠していた5胎の胎児の一部を減胎する手術(手術Ⅰ及び手術Ⅱ。以下,併せて「本件手術」という。)を受けたが,その後,Cマタニティクリニック(CMC)において人工妊娠中絶手術を受け(本件人工流産),上記胎児らを1児も出産するに至らなかった。
本件は,①控訴人A1及びその夫である控訴人A2において,控訴人A1が人工流産をしなければならなくなったのは,上記減胎手術を執刀したD医師(以下「本件医師」といい,引用に係る原判決に「被告医師」とあるのは,いずれも「本件医師」と読み替える。)が注意義務に反し手術Ⅱの際に太い穿刺針を使い多数回の穿刺を行い,感染症対策を怠り,又は減胎対象外の胎児を穿刺するなどしたことによるものであり,これにより精神的苦痛を受けたなどと主張し,また,②控訴人A1において,本件医師から減胎手術の失敗を隠匿するために脅迫されるなどし,これにより精神的苦痛を受けたと主張して,被控訴人に対し,①については,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)715条1項による使用者責任又は診療契約上の債務不履行に基づき,②については,主位的に民法715条1項による使用者責任に基づき,予備的に診療契約上の債務不履行に基づき,損害賠償金として,控訴人A1につき合計2330万9139円の一部である1900万9139円,控訴人A2につき440万円及びこれらに対する訴状送達の日の後である平成28年7月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨
妊娠していた5胎の胎児の一部を減胎する手術(減胎手術)について,執刀した医師が母体に対する危険防止のために経験上必要とされる最善の注意を尽くす義務に違反したとして,医療法人に対する損害賠償請求が認められた事例
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