事件番号令和1(わ)524
事件名傷害致死(変更後の訴因 傷害致死,保護責任者遺棄致死)被告事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年10月16日
事案の概要被告人は
第1 札幌市a区bc条de丁目f番g号Ah号室(以下「本件居室」という。)において,B(当時2歳)に対し,令和元年5月15日頃から同年6月5日頃までの間,頭部を多数回手拳又は手で殴打する暴行を加え,よって,同児に頭部全体にわたる皮下出血及び頭頂部の帽状腱膜下出血の傷害を負わせ,
第2 本件居室においてB及びその実母であるCと同居し,同年5月15日頃から同月31日頃までの間にCと共に同児に必要な食事を与えず,かつ,自己の前記第1の暴行のうち同月31日までに加えた暴行により同児に頭部全体にわたる皮下出血及び頭頂部の帽状腱膜下出血の傷害の一部を負わせたことにより,同月31日頃には,同児の生存に必要な保護を与えるべき責任があったものであるが,Cと共謀の上,同月31日頃から同年6月4日午後5時頃までの間,本件居室において,同児に対し,必要な食事を与えず,かつ,前記暴行を受けて同児が頭部に傷害を負い,また,同年5月31日頃までに同児が被告人以外の者の暴行を受けて顔面皮下出血,顔面・胸部上方・左肩部の二度の熱傷の傷害を負っていたことを知り,医師による治療等の医療措置を受けさせる必要があったにもかかわらず,これを受けさせずに放置して,もって同児の生存に必要な保護を与えず,同児を多臓器不全を伴う低栄養状態に陥らせ,よって,同年6月5日午前5時40分頃,同区ij条kl丁目m番n号D病院において,同児を衰弱により死亡させたものである。
判示事項の要旨同居の被害児(当時2歳)に対し,生存に必要な食事を与えず頭部等への暴行を加えて,その生存のため医師による医療措置等の保護を必要とする状況(要保護状況)に陥らせてその保護を与えるべき責任があったにもかかわらず,同児の母親と共謀の上,前記保護を与えずに同児を放置して衰弱死させたとして,傷害致死罪,保護責任者遺棄致死罪に問われた被告人が,前記暴行を否定するとともに,同児の死因は窒息死であり,同児は要保護状況になかったなどとして傷害致死罪,保護責任者遺棄致死罪の成立を争ったところ,同児の死期を早めた傷害を負わせる暴行を加えたのが被告人とは認められないものの,同児に要保護状況を基礎付ける傷害を負わせる暴行を加えたのは被告人であり,また,被告人らは生存のため必要な保護を与えることなく同児を衰弱死させたと認定して,傷害罪と保護責任者遺棄致死罪の成立を認め,被告人を懲役13年に処した事例。
事件番号令和1(わ)524
事件名傷害致死(変更後の訴因 傷害致死,保護責任者遺棄致死)被告事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年10月16日
事案の概要
被告人は
第1 札幌市a区bc条de丁目f番g号Ah号室(以下「本件居室」という。)において,B(当時2歳)に対し,令和元年5月15日頃から同年6月5日頃までの間,頭部を多数回手拳又は手で殴打する暴行を加え,よって,同児に頭部全体にわたる皮下出血及び頭頂部の帽状腱膜下出血の傷害を負わせ,
第2 本件居室においてB及びその実母であるCと同居し,同年5月15日頃から同月31日頃までの間にCと共に同児に必要な食事を与えず,かつ,自己の前記第1の暴行のうち同月31日までに加えた暴行により同児に頭部全体にわたる皮下出血及び頭頂部の帽状腱膜下出血の傷害の一部を負わせたことにより,同月31日頃には,同児の生存に必要な保護を与えるべき責任があったものであるが,Cと共謀の上,同月31日頃から同年6月4日午後5時頃までの間,本件居室において,同児に対し,必要な食事を与えず,かつ,前記暴行を受けて同児が頭部に傷害を負い,また,同年5月31日頃までに同児が被告人以外の者の暴行を受けて顔面皮下出血,顔面・胸部上方・左肩部の二度の熱傷の傷害を負っていたことを知り,医師による治療等の医療措置を受けさせる必要があったにもかかわらず,これを受けさせずに放置して,もって同児の生存に必要な保護を与えず,同児を多臓器不全を伴う低栄養状態に陥らせ,よって,同年6月5日午前5時40分頃,同区ij条kl丁目m番n号D病院において,同児を衰弱により死亡させたものである。
判示事項の要旨
同居の被害児(当時2歳)に対し,生存に必要な食事を与えず頭部等への暴行を加えて,その生存のため医師による医療措置等の保護を必要とする状況(要保護状況)に陥らせてその保護を与えるべき責任があったにもかかわらず,同児の母親と共謀の上,前記保護を与えずに同児を放置して衰弱死させたとして,傷害致死罪,保護責任者遺棄致死罪に問われた被告人が,前記暴行を否定するとともに,同児の死因は窒息死であり,同児は要保護状況になかったなどとして傷害致死罪,保護責任者遺棄致死罪の成立を争ったところ,同児の死期を早めた傷害を負わせる暴行を加えたのが被告人とは認められないものの,同児に要保護状況を基礎付ける傷害を負わせる暴行を加えたのは被告人であり,また,被告人らは生存のため必要な保護を与えることなく同児を衰弱死させたと認定して,傷害罪と保護責任者遺棄致死罪の成立を認め,被告人を懲役13年に処した事例。
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