事件番号令和1(わ)525
事件名保護責任者遺棄致死被告事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年11月20日
事案の概要被告人は,札幌市 a 区 bc 条 de 丁目 f 番 g 号Ah号室(以下「本件居室」という。)において,長女であるBを養育していたものであるが,令和元年5月15日頃(以下の月日は特に記載のない限り平成31年又は令和元年のものである。)から同月31日頃までの間に,同居していたCと共に,4月下旬頃から体重が減り始めていた同児(当時2歳)にその体重を維持するのに必要な食事を与えず同児の栄養状態を悪化させ,かつ,5月15日頃から同月31日頃までの間に,BがCから暴行を受けてその頭部等に傷害を負うなどしていたのであって,5月31日頃には,被告人及びCにおいて,同児の生存に必要な食事を与え,その生存に必要な医師による治療等の医療措置を受けさせるという保護を与えることが求められる状況にあった。それにもかかわらず,被告人は,Cと共謀の上,5月31日頃から6月4日午後5時頃までの間,本件居室において,Bに対し,その生存に必要な食事を与えず,かつ,その生存に必要な医師による治療等の医療措置を受けさせずに放置し,もって同児の生存に必要な保護を与えず,同児を多臓器不全(全身の様々な諸臓器の生命維持に必要な機能の低下した状態)を伴う低栄養により衰弱した状態に陥らせ,よって,同月5日午前5時40分頃,同区 ij 条 kl 丁目 m 番 n 号D病院において,同児を衰弱により死亡させたものである。
判示事項の要旨生存に必要な食事を与えられず,また,被告人の交際男性による暴行を受けて頭部等に傷害を負うなどして,その生存のため医師による医療措置等の保護を必要とする状況(要保護状況)に陥った長女(当時2歳)に対し,その保護を与えるべき責任があったにもかかわらず,前記交際男性と共謀の上,前記保護を与えずに同児を放置して衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた被告人が,同児の死因は窒息死であり,同児は要保護状況になかったなどとして同罪の成立を争ったところ,被告人らは生存のため必要な保護を与えることなく同児を衰弱死させたと認定して,同罪の成立を認め,被告人を懲役9年に処した事例。
事件番号令和1(わ)525
事件名保護責任者遺棄致死被告事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年11月20日
事案の概要
被告人は,札幌市 a 区 bc 条 de 丁目 f 番 g 号Ah号室(以下「本件居室」という。)において,長女であるBを養育していたものであるが,令和元年5月15日頃(以下の月日は特に記載のない限り平成31年又は令和元年のものである。)から同月31日頃までの間に,同居していたCと共に,4月下旬頃から体重が減り始めていた同児(当時2歳)にその体重を維持するのに必要な食事を与えず同児の栄養状態を悪化させ,かつ,5月15日頃から同月31日頃までの間に,BがCから暴行を受けてその頭部等に傷害を負うなどしていたのであって,5月31日頃には,被告人及びCにおいて,同児の生存に必要な食事を与え,その生存に必要な医師による治療等の医療措置を受けさせるという保護を与えることが求められる状況にあった。それにもかかわらず,被告人は,Cと共謀の上,5月31日頃から6月4日午後5時頃までの間,本件居室において,Bに対し,その生存に必要な食事を与えず,かつ,その生存に必要な医師による治療等の医療措置を受けさせずに放置し,もって同児の生存に必要な保護を与えず,同児を多臓器不全(全身の様々な諸臓器の生命維持に必要な機能の低下した状態)を伴う低栄養により衰弱した状態に陥らせ,よって,同月5日午前5時40分頃,同区 ij 条 kl 丁目 m 番 n 号D病院において,同児を衰弱により死亡させたものである。
判示事項の要旨
生存に必要な食事を与えられず,また,被告人の交際男性による暴行を受けて頭部等に傷害を負うなどして,その生存のため医師による医療措置等の保護を必要とする状況(要保護状況)に陥った長女(当時2歳)に対し,その保護を与えるべき責任があったにもかかわらず,前記交際男性と共謀の上,前記保護を与えずに同児を放置して衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた被告人が,同児の死因は窒息死であり,同児は要保護状況になかったなどとして同罪の成立を争ったところ,被告人らは生存のため必要な保護を与えることなく同児を衰弱死させたと認定して,同罪の成立を認め,被告人を懲役9年に処した事例。
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