事件番号平成31(ワ)626
事件名地位確認等請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年3月17日
事案の概要本件は,原告が,「A B」に従業員として採用されたが,①Aは被告の一部門にすぎず,その個人事業につき法人格否認の法理と同様の法理が適用される結果,被告に対して雇用契約上の権利を主張し得る,②被告との間で黙示に雇用契約が成立している,③Aの従業員を被告が承継する旨の合意がAと被告との間でされたと主張して,被告に対し,次のことを求める事案である。
判示事項の要旨1 法人の従業員や取締役であるが業務委託を受けて従業員の研修業務を行っている者を相手方として雇用契約を締結している場合において,個人事業の開業,必要な行政手続を済ませ行政官庁により実在が確認された,事故の名義,計算により事業に関する金銭を区分けして管理等しているといった事実関係の下では,上記の者の事業が当該法人の事業と実質的に同一で,実態が形骸化しているとみることはできない。
2 採否についての関与,指揮命令の外形的事情から法人において労働者を使用して給与を支払う意思が表明されているとは直ちに評価し得ないこと,労働者においても,研修期間中は当該法人との契約でないと説明を受けて採用の申し出に応じることなどにより,研修期間中の契約の相手方及び給与の支給者が法人でないことを理解して雇用契約を締結したこと,その後も,研修期間が続き,正社員になった場合には法人が雇用することになるとの認識でおり,法人との契約を締結したとの認識があったといえないことといった事実関係の下では,労働者と法人との間で黙示の雇用契約が成立しているとみることはできない。
事件番号平成31(ワ)626
事件名地位確認等請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年3月17日
事案の概要
本件は,原告が,「A B」に従業員として採用されたが,①Aは被告の一部門にすぎず,その個人事業につき法人格否認の法理と同様の法理が適用される結果,被告に対して雇用契約上の権利を主張し得る,②被告との間で黙示に雇用契約が成立している,③Aの従業員を被告が承継する旨の合意がAと被告との間でされたと主張して,被告に対し,次のことを求める事案である。
判示事項の要旨
1 法人の従業員や取締役であるが業務委託を受けて従業員の研修業務を行っている者を相手方として雇用契約を締結している場合において,個人事業の開業,必要な行政手続を済ませ行政官庁により実在が確認された,事故の名義,計算により事業に関する金銭を区分けして管理等しているといった事実関係の下では,上記の者の事業が当該法人の事業と実質的に同一で,実態が形骸化しているとみることはできない。
2 採否についての関与,指揮命令の外形的事情から法人において労働者を使用して給与を支払う意思が表明されているとは直ちに評価し得ないこと,労働者においても,研修期間中は当該法人との契約でないと説明を受けて採用の申し出に応じることなどにより,研修期間中の契約の相手方及び給与の支給者が法人でないことを理解して雇用契約を締結したこと,その後も,研修期間が続き,正社員になった場合には法人が雇用することになるとの認識でおり,法人との契約を締結したとの認識があったといえないことといった事実関係の下では,労働者と法人との間で黙示の雇用契約が成立しているとみることはできない。
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