事件番号平成30(あ)10
事件名不正競争防止法違反被告事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和3年3月1日
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所大阪高等裁判所
原審事件番号平成28(う)598
原審裁判年月日平成29年12月8日
事案の概要被告人Aは,横浜市内に本店を置きコンピュータのソフトウェアの開発及び販売等を業とする株式会社Cの代表取締役(当時)として,その業務全般を統括する者,被告人Bは,同社にプログラムソフト販売責任者として勤務する者であるが,被告人両名は,同社のプログラマーと共謀の上,株式会社Dが,E形式ファイルにより電子書籍の影像を配信するに当たり,営業上用いている電磁的方法により上記影像の視聴及び記録を制限する手段であって,視聴等機器が,同社が提供する影像表示・閲覧ソフトであるD電子書籍ビューア(以下「本件ビューア」という。)による変換を必要とするよう,上記影像を変換して送信する方式によるもの(以下「本件技術的制限手段」という。)により,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューア以外では視聴ができないように上記影像の視聴及び記録を制限しているのに,不正の利益を得る目的で,法定の除外事由がないのに,平成25年9月10日頃及び同年11月23日頃,顧客2名に対し,Windows対応版の本件ビューアに組み込まれている影像の記録・保存を行うことを防止する機能を無効化する方法で本件技術的制限手段の効果を妨げることにより,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューア以外でも上記影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムである「F3」を,上記の用途に供するため,東京都内のサーバコンピュータから電気通信回線を通じて上記顧客らのパーソナルコンピュータにそれぞれダウンロードさせて提供し,もって不正競争を行った。
判示事項不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たるとされた事例
裁判要旨技術的制限手段が,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされたビューアによる復号が必要となるよう影像を暗号化して送信し,影像の視聴等を制限するものであり,同ビューアには,復号後の影像の記録・保存を防止する機能を有し,同ビューア以外での影像の視聴ができないよう影像の視聴等を制限するプログラムである「G」が組み込まれており,Gは同ビューアを構成するプログラムの一つとして,同ビューアと同時にインストールされ,Gのない状態では,同ビューアは起動せず,ライセンスの発行を受けることも送信された影像の視聴もできないようにされていたところ,「F3」はGの上記機能を無効化し,復号後の影像を記録・保存することにより,同ビューア以外での影像の視聴を可能とするプログラムであったという本件事実関係の下では,Gの上記機能により得られる効果は技術的制限手段の効果に当たり,これを無効化するF3は,不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たる。
事件番号平成30(あ)10
事件名不正競争防止法違反被告事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和3年3月1日
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所大阪高等裁判所
原審事件番号平成28(う)598
原審裁判年月日平成29年12月8日
事案の概要
被告人Aは,横浜市内に本店を置きコンピュータのソフトウェアの開発及び販売等を業とする株式会社Cの代表取締役(当時)として,その業務全般を統括する者,被告人Bは,同社にプログラムソフト販売責任者として勤務する者であるが,被告人両名は,同社のプログラマーと共謀の上,株式会社Dが,E形式ファイルにより電子書籍の影像を配信するに当たり,営業上用いている電磁的方法により上記影像の視聴及び記録を制限する手段であって,視聴等機器が,同社が提供する影像表示・閲覧ソフトであるD電子書籍ビューア(以下「本件ビューア」という。)による変換を必要とするよう,上記影像を変換して送信する方式によるもの(以下「本件技術的制限手段」という。)により,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューア以外では視聴ができないように上記影像の視聴及び記録を制限しているのに,不正の利益を得る目的で,法定の除外事由がないのに,平成25年9月10日頃及び同年11月23日頃,顧客2名に対し,Windows対応版の本件ビューアに組み込まれている影像の記録・保存を行うことを防止する機能を無効化する方法で本件技術的制限手段の効果を妨げることにより,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューア以外でも上記影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムである「F3」を,上記の用途に供するため,東京都内のサーバコンピュータから電気通信回線を通じて上記顧客らのパーソナルコンピュータにそれぞれダウンロードさせて提供し,もって不正競争を行った。
判示事項
不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たるとされた事例
裁判要旨
技術的制限手段が,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされたビューアによる復号が必要となるよう影像を暗号化して送信し,影像の視聴等を制限するものであり,同ビューアには,復号後の影像の記録・保存を防止する機能を有し,同ビューア以外での影像の視聴ができないよう影像の視聴等を制限するプログラムである「G」が組み込まれており,Gは同ビューアを構成するプログラムの一つとして,同ビューアと同時にインストールされ,Gのない状態では,同ビューアは起動せず,ライセンスの発行を受けることも送信された影像の視聴もできないようにされていたところ,「F3」はGの上記機能を無効化し,復号後の影像を記録・保存することにより,同ビューア以外での影像の視聴を可能とするプログラムであったという本件事実関係の下では,Gの上記機能により得られる効果は技術的制限手段の効果に当たり,これを無効化するF3は,不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう「技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラム」に当たる。
このエントリーをはてなブックマークに追加