事件番号平成30(ワ)1235
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年2月4日
事案の概要本件は,優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの。以下同じ。)に基づく不妊手術(生殖線を切除することなしに,生殖を不能にする手術。以下「優生手術」という。)及び人工妊娠中絶手術(以下,優生手術と併せて「優生手術等」という。)を受けたとするB(以下「原告1」という。)と,その夫である被承継人A(以下単に「被承継人」という。)が有した本件に係る損害賠償請求権を相続したC(以下「原告2」という。)が,優生保護法が憲法13条,14条1項,24条及び36条等に反しているにもかかわらず,①国会議員が,昭和23年に優生保護法を制定し,その後平成8年まで廃止する措置を講じなかったこと,②厚生大臣が,同法の施行下において,同法に基づく優生手術等を行わせないように通達・指導を発したり,同法改正のための法律案を提出したりしなかったこと,③国会議員が,平成19年3月以降,優生手術等の被害者を救済する立法を制定しなかったこと,④厚生労働大臣が,平成19年3月以降,優生手術等による被害回復のための措置を講じなかったことがいずれも違法であるなどと主張して,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害の賠償として,原告1について合計1925万円(原告1固有の損害賠償請求権の一部請求として1100万円〔慰謝料1000万円,弁護士費用100万円〕を求めるものと,被承継人の損害賠償請求権のうち,原告1が相続した損害賠償請求権の一部請求として825万円を求めるものとの合計額。)及び原告2について275万円(被承継人の損害賠償請求権のうち,原告2が相続した損害賠償請求権の一部請求。)並びにこれらに対する訴状送達の日の翌日である平成30年8月31日から民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払をそれぞれ求めている事案である。
判示事項の要旨優生保護法3条1項に基づく優生手術及び同法14条1項1号に基づく人工妊娠中絶手術を受けたとする原告1及びその夫の相続人が,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,合計2200万円と遅延損害金の支払を求めた事案につき,原告1に対し,優生保護法3条1項に基づく優生手術が実施されたと認めるには足りず,また,原告1が人工妊娠中絶手術を受けたことは認められるものの,これが精神薄弱であることを理由としたものであったと認めるには足りないとされた事例。
事件番号平成30(ワ)1235
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年2月4日
事案の概要
本件は,優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの。以下同じ。)に基づく不妊手術(生殖線を切除することなしに,生殖を不能にする手術。以下「優生手術」という。)及び人工妊娠中絶手術(以下,優生手術と併せて「優生手術等」という。)を受けたとするB(以下「原告1」という。)と,その夫である被承継人A(以下単に「被承継人」という。)が有した本件に係る損害賠償請求権を相続したC(以下「原告2」という。)が,優生保護法が憲法13条,14条1項,24条及び36条等に反しているにもかかわらず,①国会議員が,昭和23年に優生保護法を制定し,その後平成8年まで廃止する措置を講じなかったこと,②厚生大臣が,同法の施行下において,同法に基づく優生手術等を行わせないように通達・指導を発したり,同法改正のための法律案を提出したりしなかったこと,③国会議員が,平成19年3月以降,優生手術等の被害者を救済する立法を制定しなかったこと,④厚生労働大臣が,平成19年3月以降,優生手術等による被害回復のための措置を講じなかったことがいずれも違法であるなどと主張して,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害の賠償として,原告1について合計1925万円(原告1固有の損害賠償請求権の一部請求として1100万円〔慰謝料1000万円,弁護士費用100万円〕を求めるものと,被承継人の損害賠償請求権のうち,原告1が相続した損害賠償請求権の一部請求として825万円を求めるものとの合計額。)及び原告2について275万円(被承継人の損害賠償請求権のうち,原告2が相続した損害賠償請求権の一部請求。)並びにこれらに対する訴状送達の日の翌日である平成30年8月31日から民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払をそれぞれ求めている事案である。
判示事項の要旨
優生保護法3条1項に基づく優生手術及び同法14条1項1号に基づく人工妊娠中絶手術を受けたとする原告1及びその夫の相続人が,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,合計2200万円と遅延損害金の支払を求めた事案につき,原告1に対し,優生保護法3条1項に基づく優生手術が実施されたと認めるには足りず,また,原告1が人工妊娠中絶手術を受けたことは認められるものの,これが精神薄弱であることを理由としたものであったと認めるには足りないとされた事例。
このエントリーをはてなブックマークに追加