事件番号令和2(う)827
事件名傷害,傷害致死,暴行,強要
裁判所東京高等裁判所 第8刑事部
裁判年月日令和3年3月4日
結果棄却
原審裁判所千葉地方裁判所
原審事件番号平成31(わ)425
事案の概要1 原判決がその挙示する証拠により認定した罪となるべき事実の要旨は,次のとおりである,
すなわち,被告人は,千葉県野田市内のアパート(被告人方)で妻のC,長女のD(以下「被害児」ともいう。)及び次女と4人で生活する中で,
⑴ 平成29年11月上旬頃,被告人方において,被害児(当時9歳)に対し,その頭部を手で殴るなどの暴行を加え(被害児に対する暴行。原判示第1)
⑵ 平成30年7月30日,被告人方において,被害児(当時9歳)がかねてから虐待を受けていたため被告人を極度に畏怖していたことに乗じ,もしその要求に応じなければ被害児の身体に更にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示すなどして被害児を怖がらせ,被害児に命じ,被告人方浴室で,トイレの便器を用いないでした大便を右手に持たせて,被告人のカメラ機能付き携帯電話機の被写体にさせ,もって被害児に義務のないことを行わせ(被害児に対する強要。原判示第2)
⑶ 平成30年12月30日頃から平成31年1月3日頃までの間,被告人方において,被害児(当時10歳)に対し,その両手首をつかんで,身体を引きずった上,身体を引っ張り上げた後に,その両手首を離して床に打ち付けさせたほか,その顔面及び胸部を圧迫し又は打撃するなどの暴行を加え,よって,被害児に全治約1か月間を要する顔面打撲及び胸骨骨折の傷害を負わせ(被害児に対する傷害。原判示第3)
⑷ 平成31年1月1日頃,被害児に対する暴行を見かねたC(当時31歳)がこれを制止しようとしたことに憤慨し,被告人方リビングにおいて,Cの胸倉をつかんでその顔面を平手で殴り,Cを押し倒してその身体に馬乗りになり,さらに,立ち上がったCの大腿部を足で蹴る暴行を加え(Cに対する暴行。原判示第4)
⑸ 同月5日頃,被害児(当時10歳)が被告人を極度に畏怖していたことに乗じ,被告人方リビングにおいて,被害児に対し,「立てよ。行けよ。何やってんだよ。風呂場行けよ。行けっ」などと語気鋭く申し向け,もしその要求に応じなければ被害児の身体に更にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示して被害児を怖がらせ,着衣をつかんで被告人方廊下に引っ張り出す暴行を加え,さらに,Cに助けを求める被害児に対し,「やることあんだ行けよ,邪魔だから。行けっつってんだよ。行けよ早く」などと前同様に語気鋭く申し向けながら自己の身体を更に近づけて被害児を怖がらせ,被告人方浴室に行かせて,同所及び被告人方脱衣所で立たせ続けるなどし,もって被害児に義務のないことを行わせ(被害児に対する強要。原判示第5)
⑹ 同月22日午後10時頃から同月24日午後11時8分頃までの間,被害児(当時10歳)を飢餓状態にするとともに強度のストレスにより著しく衰弱させても構わないと考え,被告人方において,被害児に対し,食事を与えず,長時間,被告人方リビング及び被告人方浴室に立たせ続けたり肌着のみの状態で暖房のない被告人方浴室に放置したりするなどして,十分な睡眠を取らせなかったほか,その間の同月24日午後1時頃には,被告人方浴室において被害児の身体に冷水を繰り返し浴びせかけ,同日午後4時頃には,被告人方リビングの床にうつ伏せにした被害児の背中に座り,その両足をつかんで身体を反らせるなどし,同日午後9時50分頃には,「寝るのはだめだから」などと申し向けて被害児を被告人方浴室に連れ込み,シャワーでその顔面に冷水を浴びせ続けるなどの暴行を加え,これらの一連の行為による飢餓状態及び強度のストレス状態に起因するケトアシドーシス等に陥らせ,よって,同日午後11時8分頃までに,同所において,ケトアシドーシスに基づくショック若しくは致死性不整脈又は溺水により死亡させた(被害児に対する傷害致死。原判示第6),というものである。
2 原判決は,上記各罪により被告人を懲役16年に処した。
事件番号令和2(う)827
事件名傷害,傷害致死,暴行,強要
裁判所東京高等裁判所 第8刑事部
裁判年月日令和3年3月4日
結果棄却
原審裁判所千葉地方裁判所
原審事件番号平成31(わ)425
事案の概要
1 原判決がその挙示する証拠により認定した罪となるべき事実の要旨は,次のとおりである,
すなわち,被告人は,千葉県野田市内のアパート(被告人方)で妻のC,長女のD(以下「被害児」ともいう。)及び次女と4人で生活する中で,
⑴ 平成29年11月上旬頃,被告人方において,被害児(当時9歳)に対し,その頭部を手で殴るなどの暴行を加え(被害児に対する暴行。原判示第1)
⑵ 平成30年7月30日,被告人方において,被害児(当時9歳)がかねてから虐待を受けていたため被告人を極度に畏怖していたことに乗じ,もしその要求に応じなければ被害児の身体に更にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示すなどして被害児を怖がらせ,被害児に命じ,被告人方浴室で,トイレの便器を用いないでした大便を右手に持たせて,被告人のカメラ機能付き携帯電話機の被写体にさせ,もって被害児に義務のないことを行わせ(被害児に対する強要。原判示第2)
⑶ 平成30年12月30日頃から平成31年1月3日頃までの間,被告人方において,被害児(当時10歳)に対し,その両手首をつかんで,身体を引きずった上,身体を引っ張り上げた後に,その両手首を離して床に打ち付けさせたほか,その顔面及び胸部を圧迫し又は打撃するなどの暴行を加え,よって,被害児に全治約1か月間を要する顔面打撲及び胸骨骨折の傷害を負わせ(被害児に対する傷害。原判示第3)
⑷ 平成31年1月1日頃,被害児に対する暴行を見かねたC(当時31歳)がこれを制止しようとしたことに憤慨し,被告人方リビングにおいて,Cの胸倉をつかんでその顔面を平手で殴り,Cを押し倒してその身体に馬乗りになり,さらに,立ち上がったCの大腿部を足で蹴る暴行を加え(Cに対する暴行。原判示第4)
⑸ 同月5日頃,被害児(当時10歳)が被告人を極度に畏怖していたことに乗じ,被告人方リビングにおいて,被害児に対し,「立てよ。行けよ。何やってんだよ。風呂場行けよ。行けっ」などと語気鋭く申し向け,もしその要求に応じなければ被害児の身体に更にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示して被害児を怖がらせ,着衣をつかんで被告人方廊下に引っ張り出す暴行を加え,さらに,Cに助けを求める被害児に対し,「やることあんだ行けよ,邪魔だから。行けっつってんだよ。行けよ早く」などと前同様に語気鋭く申し向けながら自己の身体を更に近づけて被害児を怖がらせ,被告人方浴室に行かせて,同所及び被告人方脱衣所で立たせ続けるなどし,もって被害児に義務のないことを行わせ(被害児に対する強要。原判示第5)
⑹ 同月22日午後10時頃から同月24日午後11時8分頃までの間,被害児(当時10歳)を飢餓状態にするとともに強度のストレスにより著しく衰弱させても構わないと考え,被告人方において,被害児に対し,食事を与えず,長時間,被告人方リビング及び被告人方浴室に立たせ続けたり肌着のみの状態で暖房のない被告人方浴室に放置したりするなどして,十分な睡眠を取らせなかったほか,その間の同月24日午後1時頃には,被告人方浴室において被害児の身体に冷水を繰り返し浴びせかけ,同日午後4時頃には,被告人方リビングの床にうつ伏せにした被害児の背中に座り,その両足をつかんで身体を反らせるなどし,同日午後9時50分頃には,「寝るのはだめだから」などと申し向けて被害児を被告人方浴室に連れ込み,シャワーでその顔面に冷水を浴びせ続けるなどの暴行を加え,これらの一連の行為による飢餓状態及び強度のストレス状態に起因するケトアシドーシス等に陥らせ,よって,同日午後11時8分頃までに,同所において,ケトアシドーシスに基づくショック若しくは致死性不整脈又は溺水により死亡させた(被害児に対する傷害致死。原判示第6),というものである。
2 原判決は,上記各罪により被告人を懲役16年に処した。
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