事件番号令和2(受)645
事件名遺言有効確認請求事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日令和3年4月16日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所大阪高等裁判所
原審事件番号令和1(ネ)2009
原審裁判年月日令和元年12月20日
事案の概要本件は,上告人が,被上告人に対し,両名の母であるAを遺言者とする平成20年4月17日付け自筆証書(以下「本件遺言書」という。)による遺言(以下「本件遺言」という。)が有効であることの確認を求める事案である。
判示事項相続人YがAの遺産について相続分を有することを前提とする前訴判決が他の相続人Xとの間で確定し,また,XがYに対してAのXに対する債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張してその支払を求める訴えを提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言の有効確認をYに対して求める訴えを提起することが信義則に反するとはいえないとされた事例
裁判要旨Aの相続人Yが他の相続人Xに対してAが所有していた不動産についてのXに対する所有権移転登記の抹消登記手続等を求めて提起した前訴において,YがAの遺産について相続分を有することを前提として上記の請求を一部認容する判決が確定し,また,Xが,AのXに対する立替金債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張して,Yに対してその支払を求める反訴を提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言が有効であることの確認をYに対して求める訴えを提起することは,次の⑴~⑷など判示の事実関係の下においては,信義則に反するとはいえない。
⑴ 上記前訴において,Xは,上記不動産はAとの売買等により取得したものであるなどと主張して本訴請求を争っており,その判決においては,上記の主張の当否が判断されたにとどまり,上記遺言の有効性について判断されることはなかった。
⑵ 上記本訴請求はAの遺産の一部を問題とするものにすぎなかった。
⑶ 上記前訴において,受訴裁判所によって上記本訴請求についての抗弁等として取り上げられることはなかったものの,Xは,上記遺言が有効であると主張しており,上記反訴に関しては上記遺言が無効であることを前提とする上記本訴請求に対応して提起したにすぎない旨述べていた。
⑷ 上記前訴において,Xによる立替払の事実が認められないとして,反訴請求を棄却する判決がされた。
事件番号令和2(受)645
事件名遺言有効確認請求事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日令和3年4月16日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所大阪高等裁判所
原審事件番号令和1(ネ)2009
原審裁判年月日令和元年12月20日
事案の概要
本件は,上告人が,被上告人に対し,両名の母であるAを遺言者とする平成20年4月17日付け自筆証書(以下「本件遺言書」という。)による遺言(以下「本件遺言」という。)が有効であることの確認を求める事案である。
判示事項
相続人YがAの遺産について相続分を有することを前提とする前訴判決が他の相続人Xとの間で確定し,また,XがYに対してAのXに対する債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張してその支払を求める訴えを提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言の有効確認をYに対して求める訴えを提起することが信義則に反するとはいえないとされた事例
裁判要旨
Aの相続人Yが他の相続人Xに対してAが所有していた不動産についてのXに対する所有権移転登記の抹消登記手続等を求めて提起した前訴において,YがAの遺産について相続分を有することを前提として上記の請求を一部認容する判決が確定し,また,Xが,AのXに対する立替金債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張して,Yに対してその支払を求める反訴を提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言が有効であることの確認をYに対して求める訴えを提起することは,次の⑴~⑷など判示の事実関係の下においては,信義則に反するとはいえない。
⑴ 上記前訴において,Xは,上記不動産はAとの売買等により取得したものであるなどと主張して本訴請求を争っており,その判決においては,上記の主張の当否が判断されたにとどまり,上記遺言の有効性について判断されることはなかった。
⑵ 上記本訴請求はAの遺産の一部を問題とするものにすぎなかった。
⑶ 上記前訴において,受訴裁判所によって上記本訴請求についての抗弁等として取り上げられることはなかったものの,Xは,上記遺言が有効であると主張しており,上記反訴に関しては上記遺言が無効であることを前提とする上記本訴請求に対応して提起したにすぎない旨述べていた。
⑷ 上記前訴において,Xによる立替払の事実が認められないとして,反訴請求を棄却する判決がされた。
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