事件番号平成26(行ウ)40
事件名生活保護引下げ処分取消請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年3月29日
事案の概要原告ら(ただし,原告番号49及び98を除く。)並びに亡A及び亡Bは,それぞれが受けた下記の本件処分1~3の時点において,生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた。
第1事件の原告ら(ただし,原告番号49及び98を除く。)並びに亡A及び亡B(以下,まとめて「第1事件原告ら等」という。)は,生活保護法による保護の基準(昭和38年4月1日号外厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)における生活扶助の基準(以下「生活扶助基準」という。)を改定する厚生労働省告示(平成25年厚生労働省告示第174号。同年8月1日から適用される。以下「本件告示1」という。)により生活扶助基準が改定されたこと(以下「本件生活扶助基準の改定」といい,特に断りのない限り,下記の2回の改定も含めて総称することとする。)に基づき,それぞれ,別紙処分一覧表1の「処分庁」欄記載の各処分行政庁から「処分の名宛人」欄記載の第1事件原告ら等を名宛人とする各保護変更決定処分(以下,それぞれに対する個別の処分を「本件処分1」といい,これらを併せて「本件各処分1」という。)を受けた。
第2事件の原告ら(ただし,原告番号98を除く。)及び亡B(以下,まとめて「第2事件原告ら等」という。)は,本件告示1に引き続いて保護基準における生活扶助基準を改定する厚生労働省告示(平成26年厚生労働省告示第136号。同年4月1日から適用される。以下「本件告示2」という。)により生活扶助基準が改定されたことに基づき,それぞれ,別紙処分一覧表2の「処分庁」欄記載の各処分行政庁から,「処分の名宛人」欄記載の第2事件原告らを名宛人とする各保護変更決定処分を,原告番号151は別紙処分一覧表3の「処分庁」欄記載の処分行政庁から保護変更決定処分(以下,それぞれに対する個別の処分を「本件処分2」といい,これらを併せて「本件各処分2」という。)を受けた。
第3事件の原告ら(ただし,原告番号98を除く。)及び亡B(以下,まとめて「第3事件原告ら等」といい,第 1 事件原告ら等から第3事件原告ら等までを併せて「原告ら等」という。)は,本件告示2に引き続いて保護基準における生活扶助基準を改定する厚生労働省告示(平成27年厚生労働省告示第227号。同年4月1日から適用される。以下「本件告示3」といい,本件告示1から本件告示3までを併せて「本件各告示」という。)により生活扶助基準が改定されたことに基づき,それぞれ,別紙処分一覧表3の「処分庁」欄記載の各処分行政庁から,「処分の名宛人」欄記載の第3事件原告ら等を名宛人とする各保護変更決定処分(以下,それぞれに対する個別の処分を「本件処分3」といい,これらを併せて「本件各処分3」という。また,本件各処分1~3を併せて「本件全処分」という。)を受けた。
第1事件は,本件各処分1は第1事件原告ら等の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,本件各処分1の取消しを求める事案である。
第2事件は,本件各処分2(ただし,原告番号151に対する本件処分2を除く。)は第2事件原告ら等の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,本件各処分2の取消しを求める事案である。
第3事件は,本件各処分3は第3事件原告ら等の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,本件各処分3の取消しを求め,また,原告番号151が本件処分2は原告番号151の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,その取消しを求める事案である。
判示事項の要旨1 厚生労働大臣が行ったデフレ調整や2分の1処理が,生活保護基準部会での検討を経ていないことをもって直ちに裁量権の範囲の逸脱又は濫用になるということはできないとされた事例
2 ゆがみ調整の内容(検証の手法,検証結果の反映方法等)や2分の1処理の内容からみて,これらを行った厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできないとされた事例
3 デフレ調整の内容(計算方法,ウェイト・計算期間の設定等)からみて,これを行った厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできないとされた事例
4 上記1~3からすれば,本件の生活扶助基準の改定は生活保護法3条,8条に違反するものではなく,憲法25条に違反するものでもないと解するのが相当であり,同改定に基づいてされた保護決定処分にも,これを違法と解すべき事情は認められないとされた事例
事件番号平成26(行ウ)40
事件名生活保護引下げ処分取消請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年3月29日
事案の概要
原告ら(ただし,原告番号49及び98を除く。)並びに亡A及び亡Bは,それぞれが受けた下記の本件処分1~3の時点において,生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けていた。
第1事件の原告ら(ただし,原告番号49及び98を除く。)並びに亡A及び亡B(以下,まとめて「第1事件原告ら等」という。)は,生活保護法による保護の基準(昭和38年4月1日号外厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)における生活扶助の基準(以下「生活扶助基準」という。)を改定する厚生労働省告示(平成25年厚生労働省告示第174号。同年8月1日から適用される。以下「本件告示1」という。)により生活扶助基準が改定されたこと(以下「本件生活扶助基準の改定」といい,特に断りのない限り,下記の2回の改定も含めて総称することとする。)に基づき,それぞれ,別紙処分一覧表1の「処分庁」欄記載の各処分行政庁から「処分の名宛人」欄記載の第1事件原告ら等を名宛人とする各保護変更決定処分(以下,それぞれに対する個別の処分を「本件処分1」といい,これらを併せて「本件各処分1」という。)を受けた。
第2事件の原告ら(ただし,原告番号98を除く。)及び亡B(以下,まとめて「第2事件原告ら等」という。)は,本件告示1に引き続いて保護基準における生活扶助基準を改定する厚生労働省告示(平成26年厚生労働省告示第136号。同年4月1日から適用される。以下「本件告示2」という。)により生活扶助基準が改定されたことに基づき,それぞれ,別紙処分一覧表2の「処分庁」欄記載の各処分行政庁から,「処分の名宛人」欄記載の第2事件原告らを名宛人とする各保護変更決定処分を,原告番号151は別紙処分一覧表3の「処分庁」欄記載の処分行政庁から保護変更決定処分(以下,それぞれに対する個別の処分を「本件処分2」といい,これらを併せて「本件各処分2」という。)を受けた。
第3事件の原告ら(ただし,原告番号98を除く。)及び亡B(以下,まとめて「第3事件原告ら等」といい,第 1 事件原告ら等から第3事件原告ら等までを併せて「原告ら等」という。)は,本件告示2に引き続いて保護基準における生活扶助基準を改定する厚生労働省告示(平成27年厚生労働省告示第227号。同年4月1日から適用される。以下「本件告示3」といい,本件告示1から本件告示3までを併せて「本件各告示」という。)により生活扶助基準が改定されたことに基づき,それぞれ,別紙処分一覧表3の「処分庁」欄記載の各処分行政庁から,「処分の名宛人」欄記載の第3事件原告ら等を名宛人とする各保護変更決定処分(以下,それぞれに対する個別の処分を「本件処分3」といい,これらを併せて「本件各処分3」という。また,本件各処分1~3を併せて「本件全処分」という。)を受けた。
第1事件は,本件各処分1は第1事件原告ら等の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,本件各処分1の取消しを求める事案である。
第2事件は,本件各処分2(ただし,原告番号151に対する本件処分2を除く。)は第2事件原告ら等の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,本件各処分2の取消しを求める事案である。
第3事件は,本件各処分3は第3事件原告ら等の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,本件各処分3の取消しを求め,また,原告番号151が本件処分2は原告番号151の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害するもので,憲法25条,生活保護法3条,8条に反すると主張して,その取消しを求める事案である。
判示事項の要旨
1 厚生労働大臣が行ったデフレ調整や2分の1処理が,生活保護基準部会での検討を経ていないことをもって直ちに裁量権の範囲の逸脱又は濫用になるということはできないとされた事例
2 ゆがみ調整の内容(検証の手法,検証結果の反映方法等)や2分の1処理の内容からみて,これらを行った厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできないとされた事例
3 デフレ調整の内容(計算方法,ウェイト・計算期間の設定等)からみて,これを行った厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできないとされた事例
4 上記1~3からすれば,本件の生活扶助基準の改定は生活保護法3条,8条に違反するものではなく,憲法25条に違反するものでもないと解するのが相当であり,同改定に基づいてされた保護決定処分にも,これを違法と解すべき事情は認められないとされた事例
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