事件番号平成29(行ウ)230
事件名障害基礎年金の支給停止を解除しない処分の取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日令和3年5月17日
事案の概要原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7及び原告X8(以下「原告ら8名」と総称する。)は,いずれも,1型糖尿病にり患し,国民年金法(以下「法」という。)30条2項による委任を受けた国民年金法施行令(以下「令」という。)別表の定める障害等級(同項に規定する障害等級をいう。以下同じ。)2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたが,厚生労働大臣から,法36条2項本文の規定に基づく障害基礎年金の支給停止処分(以下,「支給停止処分」といい,原告ら8名についてされた各支給停止処分を「前件各支給停止処分」という。)を受けた。また,原告X9は,原告ら8名と同様に,1型糖尿病にり患し,障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたところ,厚生労働大臣から,支給停止処分を受け,その後,厚生労働大臣に対し,国民年金法施行規則(平成30年厚生労働省令第10号による改正前のもの。以下「規則」という。)35条1項本文に基づき,支給停止の解除の申請をしたが,支給停止を解除しない旨の処分(以下「前件不解除処分」といい,前件各支給停止処分と併せて「前件各処分」という。)を受けた。
原告ら8名は前件各支給停止処分の取消しを(当庁平成29年(行ウ)第220号,第223号ないし229号),原告X9は前件不解除処分の取消し及び行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項2号に基づき支給停止を解除する処分をすべき旨を命ずること(同号所定の義務付け)(甲事件),それぞれ求めて訴訟を提起した。当裁判所は,原告ら8名の請求について,前件各支給停止処分は行政手続法(以下「行手法」という。)14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとして,前件各支給停止処分を取り消すとともに,甲事件について,行訴法37条の3第6項前段に基づき,前件不解除処分の取消しを求める訴えについてのみ,前件不解除処分は行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとして,前件不解除処分を取り消す旨の判決をし(以下「前件判決」という。),前件判決は確定した。
その後,厚生労働大臣は,令和元年5月10日,再度,原告ら8名に対し,支給停止処分(以下「本件各支給停止処分」という。)をするとともに,原告X9に対し,支給停止を解除しない旨の処分(以下「本件不解除処分」といい,本件各支給停止処分と併せて「本件各処分」という。)をした。
本件は,(1)原告X9が,上記のとおり支給停止を解除する処分の義務付けを求める(甲事件)とともに,本件不解除処分は,前件判決の反復禁止効に反するほか,支給停止解除事由があり,行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して,行訴法19条に基づき,本件不解除処分の取消しを求める訴えを,甲事件の義務付けの訴えに追加的に併合提起した事案(丙事件)と,(2)原告ら8名が,本件各支給停止処分は,前件判決の反復禁止効に反するほか,支給停止事由を欠き,行手法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して,その取消しを求める事案(乙事件)とから成る。
判示事項の要旨1 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分が違法であるとされた事例
2 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分,及び1型糖尿病にり患し,同項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた,支給停止を解除しない旨の処分が,違法であるとはいえないとされた事例
事件番号平成29(行ウ)230
事件名障害基礎年金の支給停止を解除しない処分の取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日令和3年5月17日
事案の概要
原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X6,原告X7及び原告X8(以下「原告ら8名」と総称する。)は,いずれも,1型糖尿病にり患し,国民年金法(以下「法」という。)30条2項による委任を受けた国民年金法施行令(以下「令」という。)別表の定める障害等級(同項に規定する障害等級をいう。以下同じ。)2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたが,厚生労働大臣から,法36条2項本文の規定に基づく障害基礎年金の支給停止処分(以下,「支給停止処分」といい,原告ら8名についてされた各支給停止処分を「前件各支給停止処分」という。)を受けた。また,原告X9は,原告ら8名と同様に,1型糖尿病にり患し,障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたところ,厚生労働大臣から,支給停止処分を受け,その後,厚生労働大臣に対し,国民年金法施行規則(平成30年厚生労働省令第10号による改正前のもの。以下「規則」という。)35条1項本文に基づき,支給停止の解除の申請をしたが,支給停止を解除しない旨の処分(以下「前件不解除処分」といい,前件各支給停止処分と併せて「前件各処分」という。)を受けた。
原告ら8名は前件各支給停止処分の取消しを(当庁平成29年(行ウ)第220号,第223号ないし229号),原告X9は前件不解除処分の取消し及び行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項2号に基づき支給停止を解除する処分をすべき旨を命ずること(同号所定の義務付け)(甲事件),それぞれ求めて訴訟を提起した。当裁判所は,原告ら8名の請求について,前件各支給停止処分は行政手続法(以下「行手法」という。)14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとして,前件各支給停止処分を取り消すとともに,甲事件について,行訴法37条の3第6項前段に基づき,前件不解除処分の取消しを求める訴えについてのみ,前件不解除処分は行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとして,前件不解除処分を取り消す旨の判決をし(以下「前件判決」という。),前件判決は確定した。
その後,厚生労働大臣は,令和元年5月10日,再度,原告ら8名に対し,支給停止処分(以下「本件各支給停止処分」という。)をするとともに,原告X9に対し,支給停止を解除しない旨の処分(以下「本件不解除処分」といい,本件各支給停止処分と併せて「本件各処分」という。)をした。
本件は,(1)原告X9が,上記のとおり支給停止を解除する処分の義務付けを求める(甲事件)とともに,本件不解除処分は,前件判決の反復禁止効に反するほか,支給停止解除事由があり,行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して,行訴法19条に基づき,本件不解除処分の取消しを求める訴えを,甲事件の義務付けの訴えに追加的に併合提起した事案(丙事件)と,(2)原告ら8名が,本件各支給停止処分は,前件判決の反復禁止効に反するほか,支給停止事由を欠き,行手法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して,その取消しを求める事案(乙事件)とから成る。
判示事項の要旨
1 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分が違法であるとされた事例
2 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分,及び1型糖尿病にり患し,同項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた,支給停止を解除しない旨の処分が,違法であるとはいえないとされた事例
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